東方罪妹録   作:百合好きなmerrick

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寝てたら予想以上に遅れました。
が、気を取り直し⋯⋯。

今回はティアちゃん待望のデート回。
内心楽しみにしてたのはフランも同じらしく⋯⋯。


45話「切望なデート」

 ──Frandre Scarlet──

 

「おーねーえーちゃんっ! どう? 私キレイ?」

 

 ティアはいつになく真っ白で清楚なドレスを身に纏う。いつもお姉様が着てる服に似てるが、それよりも主に背中に露出が多い。前も微妙に胸を強調してるのか、胸から上に衣類はない。俗に言うベアバックかな。ティアはその場で回ってスカートを浮かせ、自分の姿を見せびらかし、私に感想を求めてきた。

 

 良からぬ虫が寄ってきそうな可愛さだけど、それよりも私に合わせてくれてるという嬉しさには勝てなかった。

 

「うん、綺麗だよ。⋯⋯このまま食べちゃいたいくらいに」

 

 今日はティアとデートを約束した日。もちろん冗談半分だったから、私はいつも通りの赤いドレスを着てる。まさかティアがここまで本気で挑んでくるとは思わなかったから、正装なんてしてない。それでも不釣り合いだとは思わない。いつも着てる服が一番可愛いと思ってるし、そもそもティアとは姉妹だから、釣り合うなんて言葉は相応しくないとも思ってる。

 

「え、本当に?」

 

 冗談だったのに、本気だと思ってるらしい。相変わらず食に対する感情がズレてるけど、それもティアの可愛いところだ。それに、頭のネジは1本くらい外れてる方が愛嬌が出るというもの。私は外れてなくても愛嬌あると思うけど。

 

「比喩表現ね? 食べるというのは冗談。でも、綺麗というのは本当だよ。流石私の妹ね。これならどこに出しても恥ずかしくないや」

「⋯⋯え? どこにも行かないよ? 私、お姉ちゃん達とずっと一緒に居たいから!」

「うん、そっか。⋯⋯ありがとう」

 

 嬉しい言葉。私もずっと一緒に居たいと思うけど、そんなの叶うわけがない。人の心は移ろいやすく、それは吸血鬼も同じ。この世界に永遠なんて言葉は存在しないから、ティアがずっと私やお姉様だけと一緒に居たいと思うのは、新しい好きな人ができるまでだ。

 

 なんて、夢のない事は妹の前で思わないようにしなくちゃ。暗い気持ちが伝わっちゃうし、何よりもずっと一緒に居たいという気持ちが今あるだけで充分だから。

 

「さ、行こっか。夜の街にね。朝よりは娯楽が多いから、ゆっくり見て回ろうね。お姉様からの許可も貰ってるし、朝までなら自由に行きたい場所に行っていいから」

「うん! じゃぁ、私の『初めて』をよろしくね、お姉ちゃん!」

「言い方。⋯⋯ま、ちゃんとエスコートしてあげる。姉として、好きな人としてね」

 

 ティアの手を掴み、星が輝く夜空へと飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ティアの置換魔法とかいうので姿を変え、私達は夜の人間の街へやって来た。大通りは露店で賑わいを見せ、裏路地は人気がなく閑散としている。いつもは気にしないが、今日は魅力的なティアと一緒。それ故に、着いてすぐに周りを気にする。どこに危険があり、危険がないか気になってしまう。

 

 どうやら危険な感じはどこからもしないけど、それよりも気になる事が1つ。

 

「⋯⋯ティア、みんな見てるから。もう少し離れよ?」

「えぇ! やだぁ!」

 

 分かっていた事とはいえ、ティアが近過ぎる。腕に抱き着いてるから歩くのにも邪魔だ。それに、周りの視線が痛い。離してくれる気配はないから、当分はこのままだろう。それでも、大好きで可愛い妹だから悪い気はしないけど。

 

「あらティアちゃんじゃな〜い。今日はお姉ちゃんと一緒なのぉ?」

「んー? あっ!」

 

 声をかけられ、ティアは何かに気付いて私から離れ、声の方へと向かっていった。

 

「本屋のお姉さん! うん、お姉ちゃんだよー!」

「⋯⋯まーた知らない人と友達になってる⋯⋯」

「知ってる人だよ! いつも行ってる本屋さんのお姉さんだから!」

 

 それを言われても正直誰か分からない。そもそも人間の街へ本を買いに行った事もないから、知ってるわけがない。⋯⋯ティアが人間と仲良いのは知ってたけど、どうしてここまで仲が良いんだろう。いつもウロの家に行ってるとばかり思ってたけど、人間の街にも行ってるのかな。

 

 考えれば考えるほど、ますます分からない。人間の街に行く理由も、仲良くなる理由もだ。

 

「今日はどうしたのぉ?」

「お姉さん、デートに丁度いい場所知らない? 今お姉ちゃんとデートしてるの!」

「いや、ちょっ!」

 

 ティアは悪びれも、恥ずかしがりもせずに、笑顔でそう話す。普通に考えて姉と一緒にデートなんて普通じゃないし、絶対に引かれる⋯⋯とか思ったけど、どうやら冗談として受け取ってるのか、相手の女性も笑顔で返していた。

 

「あらあら。それは楽しそうねぇ。それなら丁度いい場所があるわよぉ」

 

 それどころか、場所まで教えてくれる丁寧ぶり。人間には珍しくいい人そうだ。ティアの人付き合いもなかなか上手らしい。この様子なら、どこに出しても大丈夫そうで一安心だ。

 

「え? 本当に? どこー?」

「最近私の本屋の前にオシャレなカフェができたんですよぉ。そのお店、かなり評判なのでオススメですよぉ」

「ふーん⋯⋯そっか。ありがとうね、お姉さん!」

「いつもお世話になってるからお互い様よぉ。それじゃぁ、またねぇ。楽しんできてねぇ」

「はーい! お姉さんもまた会おうねー!」

 

 別れを告げ、手を振って来た方向とは逆の方向へと歩いていく。全く不思議な関係だけど、ま、気にしなくてもいっか。今日はデートと言っても、半分は遊び。ただ楽しめればそれでいいから。

 

「⋯⋯あれ? 妬ましいとか、そんなの思わない感じ?」

「へ? どゆこと?」

「いやいや。私が他の人と話してて、妬ましいとか羨ましいとか思わないのかな、って」

 

 妙な事を気にする妹だ。ただ会話しただけで妬ましいなんて思うわけないのに。私がそれほど嫉妬深い人と思ってるのかな。嫉妬深いところなんて、一度も見せた覚えがないのに。

 

「するわけないじゃん。貴女は私の妹だよ。他の誰よりもずっと一緒に居る自信あるし⋯⋯その気になれば、気が済むまで独占できるよ?」

「⋯⋯ふふっ。お姉ちゃんとずっと一緒に居れるなら、それもいいかな。落ち着いたら、そうしてもらうね!」

「うん、落ち着いたら、ね⋯⋯」

 

 今でも充分なのに、これ以上の平穏をどうして求めるのか。どうせ一時の気の迷いだろうから、ティアの気の済むまでしてくれていいんだけど。

 

「おっ、可愛い子はっけーん! キミ可愛いねぇ!」

「ちっ、次から次へと⋯⋯」

 

 唐突に黒い髪の男に声をかけられた。と同時に、嫌悪感が芽生えた。

 

 思わず口に出ちゃったけど、どうしてデートしてるだけで、歩いてるだけで変な輩に絡まれるのか。いやま、ティアも私も可愛いし、声をかけられるのも分からなくないけど。それでも、こうして引っ付きあってるのに、話しかける勇気があるとは。そこだけは尊敬できるかな。

 

「んー、それ、私に言ってるー? 見ての通りまだ子供だよ?」

「もちろんさぁ! 妹さんと一緒に居て恥ずかしいのは分かるけど──」

「ううん! 妹じゃないよ、私のお姉ちゃん!」

「⋯⋯は、ははっ、そんな小さ──」

 

 考えるよりも先に身体が反射的に動いていた。人間の姿でも構わず、男の首筋に爪を当てていた。男は一瞬の事で動く事もできずに、ただただ呆然としていた。

 

「あ? 次もその言葉を言ってみろ。──殺すぞ」

「ひ、ひぇぇ⋯⋯な、なんだお前は⋯⋯!」

「お、お姉ちゃん! ステイ! こ、こっち⋯⋯!」

 

 が、それ以上何かする前にティアに引っ張られ、路地裏へと連れて行かれた。そうしてしばらく走った後、急に両肩を掴まれ、壁へと押し付けられる。

 

「お姉ちゃん! ⋯⋯気持ちは分かるけど、落ち着いた?」

「⋯⋯うん。ごめん。せっかくのデートなのにね。マジでイラついちゃった。ってか、貧乳はステータスだし? 本当は別に何も思ってなかったけど?」

「う、うん⋯⋯。落ち着いたならいいけど⋯⋯。今度あんな事があっても、怒っちゃダメだよ? せっかくのデートだもん。無駄にしたくないよ⋯⋯」

 

 泣きそうな声。そこで初めて、ティアの気持ちに気付く事ができた。ティアにとって、これは遊びでも、冗談でもなかった。何もかも本気だったんだ。それを思うと、さっきまでの自分がバカバカしく思えてくる。

 

「そっか。そうだよね。ごめんね、ティア。次からはもっと考えて行動するよ。⋯⋯カフェ、行こっか。全部私が奢ってあげるから」

「うん、ありがと⋯⋯。でも、私お金持ってきてないし、奢るのは最初からお姉ちゃんって決まってたよ?」

「⋯⋯ほーん。やっぱ帰ったら、ちょっと話し合おっか。今はデートだから、悪い事は何も言わないけど。さて、ティア。行こっか」

 

 ついさっきの気持ちを返せ。その言葉を飲み込んで、ティアの手を掴んで引っ張った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃんはさ、私の事、本当はどう思ってるの?」

 

 注文を終え、落ち着いた雰囲気でコーヒーを飲む最中。ふとティアがそんな事を聞いてきた。

 

「どうって、どゆこと?」

 

 突然だったというのもあって、私は意味が分からずに聞き返す。すると、ティアは頬を赤らめて、表情を悟られないようにするためか、その場で顔を伏せた。

 

「んー? どうしたの?」

「⋯⋯バカ。どうして聞くのぉ⋯⋯」

 

 え、なんでこんな初々しい反応してるの。確信犯だろうけど、そんな反応されるとめちゃくちゃ困るんだけど。やっぱり、帰ったら話し合うよりも⋯⋯。いやいや。妹だし、そんな事⋯⋯ってのは今更か。

 

「お、お姉ちゃん! 恋愛対象として、私の事⋯⋯どう思う?」

「へ? えぇ!? こ、こんな場所で聞っ⋯⋯!」

「こんな場所だから、お姉様にもスクリタにも聞かれないんだよ? もう200も超えて、考えてもいい時期だと思うんだよねぇ」

「ま、まだ早いと思うけどなー。⋯⋯一応、改めて聞くけど、本気で聞きたい? 意味深にとか、何か隠してとか、そんなんじゃなしに?」

 

 そう確認すると、ティアは力強く頷いて肯定の反応を示す。ティアがこんな時に冗談や嘘をつかない娘なのは知ってる。だから、ここまで本気なら私も⋯⋯本音の1つや2つ、話した方がいっか。私も、ずっと隠したままにするのは得意でも好きでもないし。

 

「⋯⋯ま、それなら。まず本音から。誰よりもずっと一緒に居る妹だから、最後までずっと一緒に居たい、かな。⋯⋯その意味では恋愛対象になるか分からないけど、前話してた結婚⋯⋯なんてのもいいかな、とは思ってるよ。ティアが好きだから。一線を超えても構わない。そう思ってる」

 

 お姉様にも、スクリタにも話した事ない話。ティアは真剣に、そして何よりも嬉しそうに聞いてくれた。話して変な姉と思われて嫌われる、なんて事も考えたけど、この様子なら大丈夫そうだ。⋯⋯内心、とてもホッとしてる。

 

「でも、今はまだダメだよ? まだまだ、もっとお互いの事知ってからじゃないと⋯⋯ね?」

「⋯⋯うん、そうだね。話してくれてありがとう。私も、お姉ちゃんが大好きだよ!」

 

 話してくれない、か。ま、それも想定内。私が恥ずかしい思いをしただけでこのデートは終わりそうだ。だけど、それでも距離は少し縮まったから良いと考えるか。

 

「⋯⋯いつか、話してよ。洗いざらい全部」

「⋯⋯うん。その時が来たら、教えてあげる。お姉ちゃんと結婚したいから」

「ふふっ。可愛い妹ね?」

「ふふん、お姉ちゃんもね」

 

 今度は顔も赤らめず、珍しく真剣そのものといった表情で答えてくれた。恐らくは、いや確実に本心からかな。

 

 なら、私もそれに応える事ができるくらい、ちゃんとした姉として生きよう。そんな事を考えながら、残ったコーヒーを飲み干した────




デートからの告白。
でも、まだ⋯⋯。

ふと思ったけど、もしティアフラに子供⋯⋯あいや。やっぱりなんでもないです(

オリキャラ生存or死亡ルート(詳しくは50話で)

  • 生存ルート
  • 死亡ルート
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