東方罪妹録   作:百合好きなmerrick

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なんだよ、(低浮上気味でも)結構書けんじゃねぇか⋯⋯ふぅっ⋯⋯。

あ、ではまぁ、嵐の前の静けさ、という事でほのぼの日常回。
ただいつも通りの毎日を過ごせる姉妹達ですね


49話「日常的な閑話」

 ──Hamartia Scarlet──

 

 竜の血を飲み、その狭く薄暗い部屋で歪な姿へと変わる。白い尻尾に黒い角。そして、それら全てを覆うようにして全身に纏う真っ赤な鱗。いくつもの色が混ざり合い、重なり合う歪な竜の姿に私はなった。髪はそのまま緑色なのも合わさって、自分でも色とりどりな竜だと思ってる。

 

「ウロ、どう? 歪だけど、強そうでしょ? 実際強いけど」

「はいはい。そうですね」

 

 私は今日も相変わらず、魔女兼竜っ娘であるウロの家に特訓ついでに遊びに来てる。もちろん、いつも通りウロの傍には赤いイラ(メイド)も居て、この家の2階には新たな住人も2人居る。

 

「ところで、その黒い角は何?」

「私の親友のものだよ。可愛いでしょ! この角。お揃いなんだよー」

「⋯⋯まぁ、いっか。この調子なら権能もわたしに近付きつつあるんじゃない? 血を摂取しないとこの姿になれないという事は、常に力を消費してるんだろうけど」

 

 何も言ってなかったのにどうして気付かれるんだろう。確かに、ウロの血以外は定期的に摂取しないとすぐに枯渇してしまう。それどころか、私のこの姿は血を摂取しない限りは長く持たない。それこそ、昔の能力制限みたく10分くらいだ。それは権能を使っても、それ以上無いものだから伸ばす事はできない。よくある時間制限付きのパワーアップ。それでもお釣りが来るほどだけど。

 

「幻想郷に行くまでにもう少し時間を伸ばしときなよ。あなたには注意を引いてもらうつもりだから。その間にあの方に接触して、行けそうなら、合図を送る。それが確認できたら後は自由にしていいよ。もう未練も関係も無くなるから」

「⋯⋯そうなったら、ウロとはもう一生会えない?」

「さぁ。それはどうだろう。また会えると思うよ。いつかはね。それまでに不老不死の件、考えてなさいよ。わたしは⋯⋯どっちでも、いいけど⋯⋯」

 

 声が徐々に小さくなっていった気がしたけど、それが本当に気のせいだったかのように、ウロは平然とした口調で「あぁ、そうだ」と言葉を繋げる。

 

「絶対に人里には手を出さないでよ。絶対死ぬから。今世の人生終わるどころか、来世にも響くから」

「転生するのに響くの? どうして?」

「あの方、見た目に反して執念深いというか、復讐心強いし、意地悪だから。絶対身体も精神も三生くらい弄ばれ続ける⋯⋯」

「何それ楽し⋯⋯酷いね⋯⋯」

「おいおいおい。聞こえとるぞー」

 

 思わず心の声が出ちゃったけど、どんな風に弄ばれるのかとても気になる。そうなった時、私も同伴させてくれないかな。見学とかめちゃくちゃ楽しそう。

 

「まぁ、ともかく。絶対に手を出すな。あとわたしの指示には従え。以上。それ以外は自由にしてどうぞ。わたしは咎めないから。まぁ、ただの協力関係だし、咎める事も──」

「え? そうなの? 私はウロの事、頼れるお姉ちゃんって思ってるよ?」

 

 あれ。何かまずい事言ったかな。ウロの口が止まってしまった。それに、不思議と表情が曇ったようにも見える。そう思ってると、不意にウロの口が動き始めた。

 

「これだけ言っとく。情に流されると、自分だけ先に死んじゃうよ?」

 

 無表情に、冷静に、まるで経験した事かのように、ウロは冷たく言い放つ。もしかしたら、ウロが転生してきた過程の中で、経験した事なのかもしれない。

 

「それでもいいよ? 私はお姉ちゃん達のために死ねるならいいと思ってるから。逆に、お姉ちゃん達が死んじゃう方が辛い⋯⋯」

「⋯⋯はぁ。それはお姉ちゃん達も同じ事思ってるんじゃないかな。あなたは末妹だし、余計にね。だから、そんな事言っちゃダメだよ。──自分だけが悲しいなんて、絶対に思うな、ティア」

「う、うん⋯⋯」

 

 力強い言葉に、押し負けるように頷いた。たまに理由も分からずに真剣になる事があるけど、ウロは情緒不安定なのかな。昔、前世やそれよりずっと前で性格や人格が微妙に違うとか話してたし、性格がコロコロ変わるのも有り得ない話でもない。

 

「じゃぁ、そゆことで。わたしはそろそろ寝る時間だし、あなたが連れてきた()()()の2人の様子も見てくるから、姉に心配かける前にもう帰ってなさい」

「うーん⋯⋯イラ──」

「何がなんでも断るぞ!」

 

 私に対しての風当たりが強くて悲しい。私にもっと優しくて構ってくれるように、いつか調教しないと。ウロに止められそうだけど。

 

「あ、ところでイラ。見て、貴女とお揃いだよ? もちろん嬉しいよね?」

「嬉しくない。見てると血を採る時を⋯⋯うぅっ⋯⋯」

「竜なのに注射怖いの? まだまだお子ちゃまだね」

「誰がだ! あとあれは量がおかしいだろ! 採りすぎだ!」

 

 たったの500ml程度なのに、何を怖がってるんだろう。普通の人間ならその10倍は採るのに。まぁ、採られた人間は死んじゃうんだけど。

 

「ティア。ウロいじめてないで早く帰りなさい。⋯⋯イラ、あなたも構ってないで早く掃除。先輩なんでしょ? なら、いいとこ見せないとね」

「うぅっ⋯⋯わ、分かった。我、掃除する⋯⋯」

「はぁ、つまんないの。じゃぁね、ウロ、イラ。⋯⋯バイバイ」

 

 別れの挨拶を済まし、外へ出る。そして、星が輝く夜空の下、虚空にルーン魔法を描いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スクリター! 私がきたよー⋯⋯って、あれ?」

 

 スクリタにちょっかいを出しに行こうと図書館に来たら、机で本を読むスクリタの横にお姉ちゃんが居た。暇そうにスクリタと一緒に本を読むお姉ちゃんの姿は、見てて癒される。

 

「お姉ちゃんっ! 何してるの? こんなところで」

「ティアが私の相手してくれないから、スクリタの場所に来ただけだよ。それに、スクリタは私の妹だしね。たまには姉として様子見ないと」

「フラン? 妹違ウ。ワタシが姉」

「はいはい。もうっ、可愛いんだからっ」

 

 そう言って、お姉ちゃんは読書するスクリタに横から抱き着く。スクリタは煙たがってるけど羨ましい。今すぐにでも間に割り込みたい。だけど、それは抑えないと嫌われちゃう。

 

「⋯⋯もういイ? そろそろ離れてくれると嬉しイ。とても邪魔」

「えー、残念。⋯⋯でも、嬉しかったでしょ。私なら分かるよ。だって、スクリタは私なんだから」

「あっソ。⋯⋯勝手にすればいイ」

「ふふん。素直じゃないね。⋯⋯そこがいいんだけどさー」

 

 抱き着くのはやめたけど、お姉ちゃん達、凄く仲良さそうに引っ付きあって本を読んでる。いつもは見れないこの光景。癒されるけど、とても妬ましいし、羨ましい。早く引き裂かないと、私の我慢が持たない。

 

「あれ、珍しいですね。この光景は」

 

 そう思って行動に移そうとした瞬間、背後から聞き慣れた声が聞こえてきて、思わず立ち止まる。突然の声に振り返ると、そこに立っていたのは門番の仕事をしてるはずのメーリンだった。

 

「ん。あれ、そっちも珍しいね。休み時間?」

「はい、休憩中です。何もする事がなかったので図書館に遊びに来たのですが⋯⋯珍しい光景が見れて満足しました」

 

 照れくさそうに美鈴は笑ってるけど、私は満足してない。というか、できない。今は必死に自分を抑えてるけど、嫉妬心が膨れ上がってきてそろそろ我慢できそうにない。

 

「ところでティア様。あの輪の中に入らなくて良いのですか?」

「⋯⋯え? な、なんで?」

 

 私はそんなに分かりやすい事でもしていたのか。もしそうなら、お姉ちゃん達に私の嫉妬心は明らかだったのでは、とメーリンの言葉で不安になる。だが、何故私の気持ちが分かったのかはすぐに答えてくれた。

 

「いえ、羨ましそうにお2人を見つめていらっしゃったので。それに、普段の事を考えるとそう思えて仕方ないのです」

「私、普段おかしな事してるかな?」

「いえいえ。何もおかしくはないですよ。ただとても仲睦まじいとは思ってますが」

 

 やっぱりそれはしてるんじゃ。⋯⋯いや、確かにおかしくはないか。だって、普通の事だし、姉と仲良くて誰かが困るわけでもないし。誰にも迷惑をかけないなら、それが異常として見られる事もないだろうし。

 

「あら。みんなで集まってどうしたの? 私に秘密で何か企んでいるのかしら?」

「おや、お嬢さ──」

「お姉様っ!」

「おっと」

 

 気付けば溜まりに溜まっていた欲求を抑えきれなくなり、お姉様へ飛び込んでいた。が、お姉様はまるで予知していたかのように両手を広げて受け止めてくれる。

 

「あらあら。どうしたの? ⋯⋯ああ。妬いちゃったのかしら?」

「違うよ? ただ、こうしたい気分なだけ」

「ふふっ、どういう気分よそれ。⋯⋯フランとスクリタは何してるの?」

 

 私の頭を撫でながらもお姉様はお姉ちゃん達に疑問を投げかける。すると、こちらを見る事もなく素っ気ない声で返事が返ってきた。

 

「本を読んでル。オネエサマも一緒に読ム?」

「本を読んでるスクリタを見てるだけだけど?」

「温度差激しいわね、貴方達⋯⋯。そうね⋯⋯一緒に読もうかしら。ティア、少し離してくれない?」

「うーん⋯⋯ダメ。もう少し」

 

 せっかくお姉様を抱き締めれたのに、もう離すなんて嫌だ。もう少し、後ちょっとだけでいいから、このままで居たい。いや、むしろずーっとこのままでもいい。この身体が朽ちるまで、永遠に⋯⋯。

 

「あらそう。なら、みんなの分の紅茶をいれてくるから、付いてきなさい」

 

 とか私は思ってたのに、お姉様は平然と受け流してくる。流石の私でもそんな事されたら冷めてしまう。やっぱり、状況とかその場の雰囲気とか、お姉様は条件が成立しないと良い流れに持っていけない。

 

「あ、それなら私が⋯⋯」

「いえ、今日はもう仕事はいいから、貴女はゆっくりしてなさい」

 

 自ら取りに行こうとするメーリンを手で制して下がらせる。いつもなら任せっきりだけど、今日は自分でしたい日らしい。

 

「それに、5人分を1人で持ってこさせるのは悪いわ。ねえ、ティア」

 

 私に向けられたお姉様の笑顔と言葉に、笑顔で頷く。お姉様が私だけを見てくれる時間を至福に感じ、じっとお姉様の瞳を見つめていると、お姉ちゃんの方から咳払いをする音が聞こえた。

 

「なんか変な空気流れてるから、お姉様早く紅茶」

「はあ、もう⋯⋯せっかちねえ。ティア、行きましょうか」

「うん!」

「仲良いなー。⋯⋯いいもん。私にはスクリタと美鈴がいるし」

 

 気を引こうとしてるのか、それとも油断させて近付かせようとしてるのか。わざとらしく拗ねるお姉ちゃんも可愛いけど、今はお姉様の方を優先だ。どうせ今日はお姉ちゃんと一緒に寝る日だし、相手はその時にすればいい。なんて思ってる事がバレたら絶対に怒れちゃいそうで怖いなぁ。

 

「お姉ちゃん、すぐ持ってくるから待っててね!」

「はいよ。⋯⋯本当に早くしてよ? 遅くなったら怒るから」

「あ、私は全然ゆっくりでいいですのでー」

「美鈴、それだと私のも遅くなっちゃうからね⋯⋯」

「心配しないでもすぐ帰ってくるわよ。さあ、行きましょう、ティア」

 

 お姉様に連れられ、私はお姉様と一緒に食堂へと向かう────




というか、低浮上気味だったはずなのに、結構書ける事に驚きを隠せない私です。

次回、50話ではとある投票がありますので、読者さんは良ければして行ってくださいな。
まぁ、50話だけじゃなくて、この章に載せるつもりなのですが

オリキャラ生存or死亡ルート(詳しくは50話で)

  • 生存ルート
  • 死亡ルート
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