出せると良いなぁ……(´・ω・`)
〈ハチマン Side〉
俺はイルゼを補食しようとしている巨人に殺気を向けながら近づいた。
「良いか、デカブツ。もう一度言うぞ。死にたくなかったら、今すぐにソイツを離せ。そして、ここから立ち去れ。分かったか?」
俺の殺気にあてられた影響で、巨人はガタガタと震えており冷や汗を流している。
巨人は言うことを聞いてくれたのか、イルゼを離した。
イルゼ「ハチマンさん!」
俺はすぐにイルゼを引き寄せ、イルゼを庇うようにして巨人と対峙した。
「無事でよかったよ。俺の傍から離れるなよ!」
イルゼ「は、はい////」
「おい、デカブツ。ここから立ち去れ。無駄な殺生はしたくない。死にたくなかったら、全力でここから逃げろ!」
巨人「うっ!」
巨人はそう言うと、俺たちの目の前から全力で去っていった。
…………ふぅ。どうにか戦闘は避けられたか。この場所での戦闘はさすがにまずかったからな。夜で視野もせまいし、周りは木などの障害物だらけで立体起動装置も使えないからな。
って、そうじゃねぇ!
イルゼが無事かどうかを確認しないと!
俺はイルゼの安全を確認しようとしてそちらを向くと、イルゼが泣いていた。
イルゼ「ぐすっ、ひぐっ……………。」
「イ、イルゼ、だ、だ、大丈夫か?お、落ち着け。巨人は、もういないぞ!」
いやいや何が落ち着けだよ! 俺の方がテンパってて落ち着けだよ!こんな時どうすれば良いんだ!?
ホント誰か助けてよ! 生前コミュ症でボッチの俺は、こんな時の対処の仕方なんてわかりませんよ………。
イルゼ「ひぐっ………………。」
ちっ、女の子の泣き顔は見ていて良いもんじゃないな…………。
ええい、どうにでもなれ!
俺はやけくそになりながら、イルゼの頭を撫でながら落ち着かせるのだった………………。
「落ち着け。もう大丈夫だ!
巨人はもういないし、安全だ。
だから、安心しろ。………な?」
イルゼ「ぐすっ、違うんです…………。私は生きていると安心したら、涙が急に溢れてきてしまったんです。ぐすっ…………諦めないって思………っていたんです………けど、立体起動装置も壊れて、馬も失い絶望的な状態で助からないって不安もあったんです………。調査兵団を志願した時点でこんなことになるかもしれない覚悟はしていたんですけど、やっぱり死ぬのは怖いですね………。周りの人が死んでいくのも怖かったです。
ハチマンさんは、いつもこんな経験をしていたんですか………?」
イルゼの問いに俺は、イルゼが安心できるように笑顔で答えた。
「そうか、よく頑張ったな。俺でも同じ状況になったら恐怖心が芽生えて、イルゼと同じ状況になっていると思うぞ。
俺からのアドバイスだ。死ぬのは怖い等の人として、当たり前に思う感情を忘れるな。
その感情が無くなった瞬間、人ではなくなるからな……………。
ああ。俺は、調査兵団に入ってから仲間の死をずっと見てきた。現在参加している壁外調査任務でも、たくさんの仲間が死んだ………。その都度思うことがあるんだよ。
俺がもっと強くて、巨人を多く倒せていたら死ぬ人間が少なかったのではないか?、より良い作戦を考えていたら、たくさんの部下を死なせずに済んだのではないか? など、後悔することばかりだ。だけどな、そこで腐ることは絶対にしない。何故だか分かるか?」
俺の問いかけに、イルゼは首をふった。
「俺は隊長で、まだ生きている部下の命を預かっているからだ。それに、死んでいった部下達も俺が腐るのを望んでいないからだ。だから、俺は部下がいる限り、最善を尽くし闘い続ける。そうして、巨人を殺して全滅させるのではなく、対話をして共存し、お前達が平和に楽しく暮らすことができたらすごく幸せだと思わないか?
まあ、もしもの話だし、現状だと不可能なんだけどな…………。
完全な絵空事だな、ははっ。
まあ、今はそんなことは良い。
ペトラも心配していたし、仲間達も待ってる。俺達には帰る場所があるんだから、幸せなことだよな。
さあ、帰ろうぜ、イルゼ。」
イルゼ「…………はい!」
俺がそう言って手を差し出すと、イルゼは涙を拭い、俺の手を掴み笑顔で答えるのだった。
俺達は、馬に乗り仲間達の元へと向かうのだった………。
〈ハチマン Side out〉
〈イルゼ Side〉
私はハチマンさんに助けられ、ペトラ達が待っている場所に帰って合流し、壁内に向かって帰還していた。私は、先ほどハチマンさんに助けられた。
あの時の私は、ここで死ぬんだなと思ってすべてを諦めていた。
しかし、ハチマンさんが登場しヒーローのように私を救ってくれた。あの時のハチマンさんは、普段のハチマンさんでは考えられないぐらいの殺気を巨人に向けていた。いつもの彼ではない気がして少し怖かったが、彼の知らない一面を知ることができて嬉しい部分もあった。私は今回の一件で、ハチマンさんが異性として好きなんだと実感した。彼の不器用な優しさを感じ、もっともっと好きになった。
ただ、問題がある。それは、彼を好きな女性が多いことだ。八幡隊内では、非公式にファンクラブができるということから、すごく人気者であることが伺える。私の同期のペトラも彼のことが好きみたいだ。私とハチマンさんが一緒に、拠点に着いた時、涙を流して私に抱きついてきたが、落ち着いた後に、
ペトラ「貴女が無事で良かったけど、どうしてハチマンさんと体をあんなに密着させていたのか教えてもらえるかな………?馬の上で、落ちないようにするにしてもくっつきすぎだよね?」
と言われた。
あの時の笑顔はホントに怖かった………。なので、その場は誤魔化し、壁内に帰ったらお互いに話し合いしようということで何とか落ち着いてもらった。
とりあえず、ペトラが最大のライバルね。
私も負けないように頑張らないと!
私が意気込んでいると、壁に着いた。
何とか帰ってこれて良かったよ………。
そして、門をくぐり中に入るとハチマンさんは号令をかけた。
ハチマン「お前達! 今回の壁外調査任務は、終わりだ! 俺についてきてくれてありがとな。
各自しっかり休養するように!
それでは解散!」
号令をかけて、先輩達は各自で行動し始めた。
ハチマンさんは何かに気づき、私とペトラをすぐに呼んだ。
ハチマン「ペトラ、イルゼ! 来てくれ!」
「はい!」
ペトラ「どうしたんですか?」
ハチマン「急に呼んで悪かったな。これから調査兵団本部に行って任務の報告をしないといけないんだが、ちょっと急用ができてしまってな。悪いんだけど、俺の代わりに二人には調査兵団本部に行って報告をしてきてくれないか? すまないが、頼む。
報告し終わったら、休んでくれてかまわない。
それじゃあ、またな!」
ハチマンさんはそう言うと、走って去っていった。
ペトラ&イルゼ「ハチマンさん!?ってもういないし…………。」
私とペトラは、二人だけ取り残され顔を見合わせた。
「ペトラ、えっと、どうしよっか?」
ペトラ「そうね………。ハチマンさんに言われた通りに報告しに行きましょう。」
私たちは苦笑いをしながら、調査兵団本部へと向かうのだった…………。
〈イルゼ Side out〉