〈ハチマン Side〉
ヒストリア&フリーダキス事件から、一年の月日がたった。
この一年間は本当にあっという間だった………。
色々ありすぎてな!
何故か知らないが、ヒストリアとフリーダにやたら気に入られた影響でレイス家専属の使用人にもさせられたんだよ。
フリーダがゴリ押ししたらしい。それと責任を取って婚約者?になれとか言われたが丁重にお断りしました。だって、王族に入るとか嫌だし、一家揃って俺を騙そうとしてる感じしかしなかったぞ…………。
そんなことでハチマンは騙されないぞ!
俺の過去のトラウマの経験上、絶対に後から金が取られるとか、よく分からない土地に奴隷として売られる未来が想像できたからな。
まあ、断ったらすごく驚かれたんだけどな………。
それを聞いてフリーダが
フリーダ「私と結婚するの、そんなに嫌なの?」と泣きながらいった。
俺は内心オロオロしながらも
「フリーダ様、貴女は大変お綺麗で私のような人間にはもったいない人でございます。貴女は、私より良い方を見つけ、幸せになってください。」
と笑顔で言い返した。
いったいこのキザな野郎は誰なんだよ!
自分で言ってて、鳥肌たったぞ!
ベッドに戻って叫びながらゴロゴロしまくる案件だぞ!
もう嫌だ。ハチマンお家帰る…………。
アホなことを考えていたら、フリーダが顔を真っ赤にして俺の手を取り、
フリーダ「/// なら、私が良い人を見つけて幸せになるまで傍にいてよね////」
と言った。そして彼女の家族達は、そんな俺とフリーダのやり取りを微笑ましく見つめていた。
あれ? なんか嵌められてないかな?
と思い、いつの間にかフリーダ専属の使用人になってしまうのだった…………。
次に、ミカサ、ペトラ、イルゼ、エレン達について話したいと思う。
まずペトラとイルゼだが、調査兵団内で驚くほどの戦果をあげているらしい。俺の部下達も同様らしい。潜入捜査の報告する際に、その理由をキース団長に尋ねたら、「お前に会えず、ハチマン成分が足らずイライラするので巨人に全てをぶつける!」と言っていて、巨人が可哀想になるぐらい駆逐されているらしい。それで、他の調査兵団の仲間から俺の班のことは、死人もおらず、巨人を鬼のように駆逐するという姿から『百鬼夜行』と恐れられているらしい。
え、なんなのそれ? すごく厨二病っぽい感じがしてカッコいいんだけど………。
使用人の仕事の休みをもらって何回か顔を出した時は、本当に凄かった。
みんな凄い勢いで、俺に話しかけてくるんだぞ。コミュ症のボッチは、あんなに話しかけられたらどうして良いか分からなかったので、ペトラやイルゼ、部下達のお願いごとを聞いてあげると、みんな満足していた。
休みで顔を出した時は、全員の言うことを聞くことを約束させられた。
何故かって? 最初は断ったんだが、ペトラとイルゼ、部下達が悲しそうな顔をして涙目になり捨てられた子犬のような態度になってしまい、これは流石に不味いなと思い約束しちまったんだよ……………。
だから、俺は悪くない! …………グスン。
その時のことを思い出したら、目から汗が出てきたぞ……………。
とまぁ、そんなことがあったんだ。
次にミカサについてだが、ペトラとイルゼを先生として武術を習っているらしい。
そして、カルラさんからは女子力のスキルを習っているらしい。ちなみに、ぺトラとイルゼも一緒らしい。
いやいや、一体ミカサに何を教えているんですか、貴女達は?
ミカサは、その影響で俺が家に帰ってきたら料理などの家事をしてくれるようになった。
ミカサ「ハチマンさんの為に頑張って作ったんだよ///」
と言われた時は、思わずミカサの手を掴み
「結婚してくれ。そして将来俺を養ってくれ!」
と言ってしまい、ペトラとイルゼに止められて何とか正気に戻ることが出来たんだよな。
いや、マジであの時の破壊力はヤバかった…………。
まあ、ミカサの次に、ペトラとイルゼにも料理をふるまわれて感想を言わされたんだけどな。
アイツらの料理は旨かったな~
俺も料理頑張らないとな。
最後にエレンやアルミン達についてだが、俺が家に帰った時に稽古をつけてあげている。俺が居ないときは、俺考案のトレーニングメニューを繰り返し行うようにさせている。
そのおかげで、調査兵団の新人ぐらいにまで強くなり始めている。
やべーな………
強くさせすぎたかな………
グリシャさんやカルラさんには怒られそうだが、エレン達が楽しんでやっているので良しとしよう。
まあ、そうして色々なことがあり一年間があっという間に過ぎたというわけだ。
そして、現在は845年だ。
俺は、フリーダに礼拝堂の地下に来るように言われていた。
礼拝堂に地下があったことに驚きなんだが、おそらくレイス家の秘密があるのだろう………。
俺は自室から、長い箱と小さい箱を取り出してきて、礼拝堂へ向かうのだった。
今日はすごく嫌な感じがするな…………。
コイツらを持っていっても問題は無いだろう。
使うことは出来るだけ避けたいのだが…………。
まあ、使用せざる状況になったら使うんだけどな。
俺はデカイ荷物を持って、礼拝堂へ向かうのだった……………。
そして、
――その日、人類は思い出した。
奴らに支配されていた恐怖を。鳥籠に囚われていた屈辱を……。
100年に及ぶ仮初めの平和が、壊されるということを…………。
この日人類達は、改めてこの事実を認めなければならなかった…………