名前 天翔エミ
身長 チビ
体重 軽い
特技 ベンチプレス150キロ
名前の由来 転生→テンショウ→天翔
中等部に上がって、初めて友達になってくれた人だった。
『やぁ、一緒にお昼でもいかがかな?』
そんなふうに気さくに声をかけてきてくれたのは、私よりも背の小さな子だった。
130にも満たないかもしれない、服の上からでもわかるほどに華奢な手足に艶やかな黒い髪を後ろでまとめた子。
『だいぶ離れた県からきたから、知り合いが一人もいないんだ。 君も一人なら是非とも交友を深めたい。 えーと……』
『え、えーと。 私は西住みほです……』
『そっか。 よろしく西住さん』
やや強引に押し切られて、彼女は私のかけていた席の対面に腰を下ろす。
彼女の持っていたトレーの上には焼き鯖定食が載っていた。
『うん、誘いを受けてくれてありがとう。 少し押しが強すぎたかも』
『そ、そんなことないよ! 私も、まだ友達とかいなかったから……』
『そうか、迷惑じゃないなら良かった。 いただきます』
そんな少し変わった話し方の彼女は、そこまでいうと早速食事に手をつけ始めた。
私も慌てて自分の頼んだお昼に箸を向ける。
『……西住みほさんだっけ。 黒森峰に来たということは、君も戦車道をやるのかい?』
『う、うん。 そうなると思う』
『そうか、私もなんだ。 これも何かの縁だ、戦車道の授業が始まったら同じ戦車に乗らないか? 装填手としてこれでも地元ではならしてたんだ』
『え! 装填手……?』
『ふふ、似合わない?』
『あ、や、えーとそんなことは……』
『隠さなくてもいい、私は見たとおりチビだからね。 でも男にだって負けないくらい力持ちなのさ』
『本当……?』
彼女は気さくに話題を振ってくれて、緊張してた私の話にも合わせてくれた。
気がつけば私も彼女に気を許していて、お昼を食べ終わる頃にはすっかり打ちとけてしまった。
『えー! 本当にそんなトレーニングしてるの?』
『努力家だからね、私は。 おっとそろそろ教室に戻ろうか』
『あ、そうだね、エミさん』
『……あれ? 私名前いったっけ』
そういえば彼女は名乗っていなかった。
慌てて取り繕おうとした私にエミさんはくすくすと笑う。
『ふふ、朝の自己紹介覚えててくれたんだね。 改めて、天翔エミだよ。 よろしく』
そして彼女は、その小さくて、でもマメですっかり硬くなった手を差し出してきたのだ。
エミさんは、本当にすごい人だった。
中等部戦車道では他の誰よりも力持ちで、それに装填速度もとても早い。
お姉ちゃんだってエミさんの素早い装填には驚いていて、一時期自分の戦車に引き抜こうとしたくらいだ。
それにエミさんはとっても社交的で、引っ込み思案な私を引っ張ってみるみるうちに友達をたくさん作ってくれた。
私はすっかりエミさんのことが好きになってもっと仲良くなりたくて、だからエミさんにこう言ってみた。
エミさんの家に遊びに言っていい?って
彼女はそれを了承してくれた。
彼女の部屋に招いてもらって、私は驚いた。
エミさんの部屋は、普段の快活な彼女の様子からは想像できないほど殺風景だったのだ。
ぬいぐるみどころか写真の一枚もない。
簡素な本棚に詰まっているのは教科書だけで、小さなクローゼットと使い込んだノートパソコン、他にも本当に最低限の家具しかない。
『驚いたかい? だから言っただろう何もないって』
『で、でもこれは想像以上というか』
『勉強と戦車道しかやってこなかったからね。 』
だから同世代の話題には上手く合わせられなくて困ったんだ。
苦笑いするエミさんの姿に、なぜか私はぎゅっと胸が締め付けられるような思いがして。
思わず尋ねた。
『どうして、そんなに戦車道に全てをかけることができるの?』
口に出した後、もしかしたらこれは失礼だったかもしれないと思って謝ろうとしたけど、エミさんはまた少しだけ困ったように笑ってこう言った。
『どうしようもないくらい戦車道が好きなんだ』
そうだ、考えてみれば当たり前のことだった。
彼女は戦車道が好きで、だから他の趣味や息抜きを必要とせず、過酷なトレーニングをこなせる。
好きだから全力で臨む。
そんな当たり前の理由で、私はなんだかおかしくて笑ってしまった。
『エミさんって、戦車道バカなんですね』
私の失礼な言葉にも、エミさんはまた困ったように笑った。
──月──日
きょうは ステキな日だ。
はなが さいてる、ことりたちも さえずってる...
こんな日には おれみたいなヤツは
じごくで もえて しまえばいい。
──月──日
昨日は錯乱していた。
頭の中に横に広いガイコツが現れて俺を操ったに違いない。
さて、俺は大洗女子学園の二年生となったわけだが
いややっぱおかしいわなんであの流れから大洗にみぽりんと一緒に引っ越すことになるんや。
……ええ、経緯は知ってます、聞きました。
総てはみぽりんが一晩でやってくれました。
みぽりんはお父さんの常夫さんに電話をして、引っ越すこと、俺と一緒に暮らすこと、戦車道のない場所でしばらくゆっくりすることを伝えて援助を頼み、それをOKされたらしい。
おまけに俺の孤児院長にもすでに根回ししてた。
次の日にキリッとした顔で一緒に駆け落ちしようと言われた時俺が晒した間抜け面は未来永劫語り継がれるレベルだったと言っておこう。
何やってんだみほオォォォォォォォ!!!!!!と叫ばなかった自分を褒めてやりたいところだった。
──月──日
原作、始まりました。 はい。
春の桜が舞い散る季節、俺とみぽりんが揃って昼飯を食ってるとさおりんと華さんが話しかけてきたのである。
揃って引っ越してきてすでに仲が良かった俺たちに興味津々だったらしい。
実の所、俺はすでに原作に介入し大洗の戦車道メンバーとして戦う覚悟はできていたりする。
断じてやけっぱちになったわけではない、現状それが一番みほエリを成立させる確率が高いルートだからだ。
現状は極めてまずい。俺の想定よりはるかに俺へのみぽりんの好感度は高い。
そしてあんなカッコつけ発言しておきながらみほ共々黒森峰から去ってしまってエリカは心に大ダメージを食らってる可能性が高い。
このままではみぽりんはエリカと離れ離れになってしまい、そして誰得ランキング二位くらいのみほエミなるクソカップリングが誕生してしまう可能性がある、そんなことはみほエリストとして断じて許せない。
何が悲しくて好きなcpの間に自分が挟まらなければならないのだろうか。
百合の間に挟まれるような願望は俺にはない、むしろそんな奴を縊り殺してやりたいくらいだ。
だからこそ、原作のルートをなぞりみぽりんとエリカの関係を修復する必要がある。
その後からなんとかかんとか頑張って二人をくっつけるように裏工作をしなければならないだろう。
とにかく、最悪でも俺とみぽりんのカプとか言う地獄は絶対に避けなければ。
みぽりんのことは好きだがこれだけは絶対譲れない。
──月──日
例の戦車道勧誘イベがあったが早速予想外の事態が発生した。
俺を引き込もうとした生徒会の面々にみぽりんが猛烈な勢いで噛みついたのだ。
これには生徒会長たちも華さんもさおりんも俺もびっくり。
思わず怯む生徒会長に俺も慌ててみぽりんを宥める。
しかしどうやらあの事件は原作以上にみぽりんの心に深いトラウマを刻んだらしい……こんなはず……
ひとまずこの件は保留として、後日改めて返事をすると言うことでその場はおさめた。
帰宅したらみぽりんをなんとか説得して戦車道を選択しなければ……
──月──日
死ぬほど粘ってなんとか戦車道を再開できたが、会長がなんだかよそよそしい。
……いや、わかるよ。みぽりんがものすごい威嚇するの。犬か何かかね君は。
それはともかくとして例の戦車探しイベントをこなした。
大洗学園艦にきてからまだ日が浅いので、探索ついでに色々と観光した。
当然秋山優花里殿も一緒だ。
俺の行動は間違ってなかった旨の発言をしてみぽりんと瞬く間に意気投合してた。
……みほゆかもいいよな、うん!!
最推しはみほエリだが基本的にみぽりん愛され系ならなんでもいける雑食派なのです。
あ!俺は無しな!!
──月──日
冷泉麻子ちゃんと遭遇した。
実は一番好きなキャラだったりする。
やっぱり例によって猛烈にフラフラしながら登校してた。
危なっかしくて見てられないので背負って登校するとそど子さんに注意されてしまった。
そのあと戦車道の授業が本格的に始まった。
蝶野一尉をお招きして全員で生き残ったものが一等賞のデスマッチルールバトルが行われた。
みぽりんは俺と一緒の戦車に乗りたがったが経験者が固まるのはよろしくないと会長と一緒に説得して俺はカメさんチームに、みぽりんは当然あんこうチームに所属することに。
そうだ、みぽりんは俺離れしなくてはならない。
試合が始まり、俺は当然のごとく装填手としてしっかり仕事をこなした。
俺の動きを見て会長たちはドン引きしていた。
俺も最近ようやく片手で戦車砲弾を掴みあげるのはおかしいと気づいたところだが効率がいいからいいんだよ。
しかし奮闘空しく、突如動きの良くなったあんこうチームによって大逆転が巻き起こり、原作通り一等賞はあんこうチームになるのであった。
そして冷泉ちゃんが戦車道に正式に加入することになる。
朝の恩を仇で返してしまったと謝られたが気にすることはないと伝えておいた。
──月──日
聖グロとの練習試合が決定した。
これもまた原作通り。
……聖グロ、聖グロか……
まさかこんな形でダージリンと再戦することになるとはな……
ロクでもない予感がする。
拙者ssの〆下手くそ侍努力はしたが直せなかったのでこのまま投稿する
ところで名前の初出がネタ前書きの転生オリ主がいるらしい