プロローグ★
立ち込める土煙の臭いが鼻をつく。
口元を覆うフェイスガード、さらにその上から纏う濃赤色のなびくマフラー。
それらを乗り越えてまで匂うのだから、どれだけの量の土が舞い上がったのか想像に難くない。
否、それだけではない。
微かに香る、鉄と火薬の異臭。
昔から嗅ぎ慣れた、戦車の香り。
辺り一面は黄土色の煙が覆っており、ゴーグル越しでなければ目も開けられない惨状だ。
だが、それでもわかる。
その先には、戦車がいる。
無論、ただボーっと待ち受けている場合ではない。
この土煙は視界を奪うが同時に身を隠してくれる隠れ蓑だ。
音も無く飛び下がり、頭の中に映した地図を頼りに建物を探す。
とっかかり一つさえあればそれを登って守りを固められる。
ビチャリ、と。
異音が聞こえて目を凝らせば、先ほどまで立っていた場所に赤色の液体がぶちまけられていた。
かすかに遅れて聞こえる軽い発砲音。
まずい、見つかっている。
ジグザグに大きく飛び下がるが、その場所を狙いすまして朱色の花が地に壁に叩きつけられるように咲き誇る。
このままではまずい。
しかし同時にその手のひらに大きな壁の感触をとらえる。
いける。
即座に判断し、指先に引っかかった溝に限界まで力を込め、腕一本と両足のバネを全力で弾けさせる。
一跳びで建物の屋根まで手を届かせる大跳躍。
一つの極限とも言える大技でもって緋色の魔弾の脅威を振り切る──────
否!まだ終わっていない!!
頭の中に鳴り響いた警報に従い即座にずるりと首をズラす。
その直後目の前を弾丸が飛んでいく。
冷や汗が、頬を伝う。
視線を下に移せば、そこには小さな魔王が、鋼の巨獣の内側から体を覗かせている。
その手に握るは鉄の杖。
その先端から吐き出される魔弾のたった1発に当たれば自分の負けだ。
「……」
「見つけた」
沈黙を貫く赤い影に、魔王は少しだけ唇の端を上げて、笑い顔を作る。
それを見て顔をひきつらせる。
「すぐ、捕まえてあげる」
即座に吐き出される死の暴風に、全力で跳ぶことで回避する。
射線から逃れなければマズイ!
影は全力で脚を稼働させ風のように走る、疾る!
「……言ったでしょ、捕まえてあげるって」
ひときわ高く跳んだ影の落ちる先に、銃口が定められた。
あとはタイミングを合わせて、引き金を引くだけ。
絶体絶命、いかに赤い影でも空でその魔弾から逃れるすべは──
「まだ捕まってないさ」
影が背負っていた板を引き抜いた。
なんの変哲も無い鉄板、やや厚く、その小柄にすぎる体には大きな負荷となるそれを、空で軽々と扱い自らの足の下に置く。
そして、影は空で跳ねた。
「……逃げられちゃった。 でもいいの、絶対に見つけて、捕まえてあげるから」
「エミリ」
(おかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいだろなんなのなんでこんなに俺愛里寿に執着されてんの絶対おかしいでしょこんなことは許されねえだろてか原作より明らかに愛里寿が強いんだけど誰か助けていぃやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!)
俺はみほエリが見たかっただけなのに
劇場版 『Alice in Hunting Field』
開演
同時上映予定
俺は地雷カプを回避できませんでした