俺はみほエリが見たかっただけなのに   作:車輪(元新作)

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まさかの時のみほエリ宗教裁判!!

\ジャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!/

「お前には三つの罪がある。 みほエリに挟まれた、愛里寿を病ませた、しぽりんとちよきちの胃を破壊した、秋山殿と相思相愛になった、まぽりんを泣かせた、ノンカチュに挟まれた、ミカを闇落ちさせた、アンチョビをママにした、黒森峰に監禁された……多すぎて数えきれない」



karma

バカ舌なことに定評のある俺にも実は確実に美味しく作ることのできる料理が存在する。

それは、カレーやシチューだ。

なぜなら箱の裏に簡単極まりないレシピが書いてある。

極端な話、味の調整ができなくともレシピ通りに作っていれば料理というものは食えるレベルにはなるものであり、その点この単純かつ人気のあるこれらは私の得意料理なのだ。

 

と、いうわけで俺は今ものすごく大きい鍋の前に立ち、中に煮えたぎる大量のカレーを作り終えたところだった。

 

「よし、できた」

 

「お疲れ様です天翔先輩」

 

宇津木優季ちゃんのお疲れ様コールに手を挙げて答えつつ、小皿にルゥを少し注ぎ、味見。

うん、いつものカレーだ! 大丈夫だな!

いや、むしろ普段作るカレーよりも美味いまである。

大鍋カレーや豚汁が美味しいのってなんなんだろうねあれ。

 

「よーし今日の晩御飯完成、あとはキャベツでも千切りにしておこう」

「それにしてもすごかったです、マシンガンみたいにズダダダダーッて」

「ふふふ、もっと褒めたまえよ」

 

食材のカットに定評のある俺氏、張り切って野菜の山をカットカットカットカットカットカットカットカットカットカットカットカットしましたよ。

しかしあの材料の山を一人で処理しきれるとは、人間やればできるもんだ。

 

「じゃあ晩御飯の時間だ、みんなに伝えてきてくれるかな?」

「はーい」

 

てってこてーーと駆け出してった優季ちゃんを見送って、俺は冷蔵庫からキャベツを取り出した。

キャベツの千切りは店で出るものは大半機械でカットしているのだがそんなものはない。

なのでここは手動でやることになる。

キャベツの外側の葉は捨てて、3枚ほどの葉の芯を切り落としそれらを丸めてストトトトンと切っていく。

 

 

 

……うーん、地味!

まあ愚痴っても仕方がないのでそのまま作業を続行していく。

すると突然携帯が鳴り出した。

 

「誰だ……愛里寿? きたかぁ……」

 

そのうち電話が来るとは予想していた、してはいたのだ。

けども!!メッッッッッチャ出たくない!!

だってこれ絶対に養子云々の話ししてくるでしょやーよ私島田家の養子なんて。

 

いや違うな、語弊がある。

正直めちゃくちゃなりたい。

千代さんの子供とか魅力的すぎるし愛里寿のお姉ちゃんになれちゃうとか、その権利をオークションにかけたら国が一つ傾きかねない。

でも、だけど、俺はガルおじだからね。

側から眺めるだけでも超贅沢なのにあまつさえ家族に?

あーダメダメいけません、ピロシキ案件です。

たとえお天道様が許しても俺が許しません。

でも、だけど、逃げ続けるわけには行かねえよなあ……結局これは俺が愛里寿と仲良くしすぎた自業自得だもんなー、嫌われるなー、うわー、とか色々考えながら。

結局俺は通話ボタンを押したのであった、敗北。

 

『もしもし、エミリ……?』

「ん、どうしたの? 愛里寿」

 

電話の向こうから聞こえてくるクッッッッソ可愛い声に鼓膜が溶けたバターになるかと思った。

それはともかく返事を返すと、えーと、んーと、とか少し詰まったうなりが聞こえてくる。

カワイイ。

 

『あの、ね。 実は今日、お母様からお話があったの』

「……お話かい?」

『うん、今度、大洗と大学選抜チームで、試合をするって』

 

アレ????

 

「え、試合?」

『うん……大洗の、廃校を賭けた戦いになるって言われたの』

「そ、そうか……」

 

動揺しつつも会話を進める、あれ、これワンチャン千代さんは養子の話を切り出してなかったのか?

 

「うん、そうか……ってことは、愛里寿と戦うことになっちゃうのかな」

『ううん、大丈夫、断ったから!』

 

 

 

は?????

「え? こ、断った!?」

『うん、そんな弱いものいじめみたいなことはしたくないって言ったの。 お母様も仕方がないって言ってくれたよ』

「だ、え……え?」

『……エミリ?』

 

俺はこの上なく動揺していた。

まじ?これ原作ブレイクどころの騒ぎじゃなくない???

あの名勝負が消えて無くなるの?俺のせいで?マジ?

これは控えめに言って指三本は軽いのでは?

 

「だ……大丈夫、なのか? 愛里寿の、立場とかは」

『大丈夫だよ。 みんな納得してくれるもん、私たちをそんな卑怯な作戦の道具にしないでって!』

「そ、そうか」

『エミリの大切な学校なんだよね? それを無くさせちゃうのは、やだよ』

 

愛里寿の自信溢れる声に俺は何も言えなくなってしまった、まさかこんなことになるなんて……

 

いや、でも、待て。

これは全然アリなのでは?

確かに愛里寿の見せ場は消えてしまっただろう、でもこれはアニメじゃない、本当のことだ。

愛里寿を相手に確実に勝てる保証なんてない、あの勝負はどっちに転んでもおかしくないギリギリの戦いだったのだ。

大学強化チームと戦う話がおじゃんになった以上文科省がどう動くかはわからないが、少なくとも代わりの条件提示くらいはするだろう、そうじゃないとしぽりんにズタズタに引き裂かれそうだもん。

そうなるとどのチームと戦うかはわからないが、少なくとも愛里寿たち以上の強敵にはなるまい。

強いて言うなら、戦いを通じて育む絆、なんてものはないかもしれない。

だけどそれは、今後の妙な事情の絡まない試合でいくらでも結んでいけるはずだ。

 

 

 

つまり、この戦い我々の勝利なのでは??

 

「……そっか。 うん、ありがとう愛里寿」

『いいの、私も、お姉ちゃんになる人に悲しい思いをさせたくないもん』

「──────お姉ちゃん」

『うん、それもお母様から聞いたよ。 私がいいって言わなきゃ、養子に入らないって』

 

有頂天になった瞬間俺は現実に引き戻された。

そうだ、この話もしなくちゃいけないんだった……千代さん話してたかー、そりゃそうだよな……

 

「あー、うん、その話ね」

『うん、私ね、エミリがお姉ちゃんになってくれるなら、すごく嬉しいよ? 断るはずないよ』

「う、うん、そうか。 そっかー……」

 

ダメでした。

ワンチャン友達の関係でいたいとか言われるのを期待してました、はい、カスですごめんなさい。

でも、でもダメだろ、ここで期待させるような言葉で引っ張ってうやむやにするのだけは、絶対に、絶対にダメだろ!

しっかりきっぱり断らなくちゃいけないだろう……!!

 

「あ、愛里寿」

『うん、なに?』

 

声の震えが抑えられない。

胃が痛い。

足が震える。

血の気が顔から引いていく音がゴォォォォォォと聞こえてくるようだ。

歯がガチガチと鳴るのを必死でこらえながら、俺は言葉を喉の奥からひねり出した。

 

「あの話の後、ね。 わ、私もたくさん、いろいろ考えて、その結果……島田の養子になる話は断ろうと思って」

 

 

 

 

『なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで』

 

 

 

 

『なんで?』

「ッ」

 

悲鳴が漏れそうなのをこらえた俺を褒めて欲しい。

ピッ、とかアヒッ、とかクッソ情けない声が出るところだった。

え、こわ、怖くない?

 

『なんでいやなの、エミリ、ねぇ、なんで……なんで?』

「そ、その……私なりに、考えたんだ、あの、身体能力以外なんの取り柄もない私を養子にしたら、二人に迷惑かかるんじゃないかとか」

『エミリは優しいね、でもそんなこと気にしなくていいの、お母様も私もそんなの無視できるから、だから来てよ』

「あ、愛里寿……」

『ねえ、エミリ……なんでやなの? 何が嫌なの? 私頑張るよ、エミリが嫌な思いしなくて、楽しく仲良くできるよう頑張るよ、だから、エミリ、ねえ』

「ま、まってくれ、愛里寿」

 

愛里寿が完全に暴走してます、完全に俺のせいです、本当に、本当にすいませんでした。

ややややややばいって!どうにかして抑えなきゃ俺の胃が死ぬ!!千代さんの胃も死ぬ!!

 

「そ、そ、そのだな、それに……私、愛里寿とは今の、大切な友達って距離感が好きだから……」

 

 

 

『家族になるのはやなの?』

「や、あ、その」

 

 

 

『……そっか』

 

 

 

『うーん……おかしいな』

「え?」

『エミリが私にひどいこと言うはずないよ……じゃあ、何かがエミリにそう言うように仕向けたんだね。 私にエミリを取られたくないんだ』

「……愛里寿?」

『……うん、そっか、わかった』

 

『邪魔なのみんななくしちゃえばいいんだ』

 

『また会おうね、エミリ』

 

プツリと、電話が途切れた。

 

「……」

 

俺は完全に絶句していた。

え、え?

なにこれ怖くない?

最後のまた会おうねってなに?

あ、またボコミュで遊ぼう的なアレかな?

うふふふ愛里寿ってば変な言い回しで脅かしてもー。

はい、違いますねどう考えても。

どう贔屓目に見てもそうじゃないですね。

え?これどうすりゃいいの俺?

え、え、まずいほんとうにどうしよう激おこじゃんどう謝りゃいいんだ。

そして俺はそのまま、みぽりんに思いっきり揺さぶられるまで呆然と立ち尽くしていたのであった。

耳にはまだ、愛里寿の声がこびりついている。

 

 


 

 

「悪いな天翔、力仕事を任せてしまって」

「いいんですよ、私にはこれくらいしか取り柄がありませんから」

「……でも無理はするなよ。 お前今日の鍛錬に随分と熱が入っていただろう。 お前がまた倒れたら西住がまた騒ぐからな」

「まぁ、はい、でも今は動きたい気分なんです」

 

夕暮れ時の廃校の一角、俺はえっちらおっちらとリヤカーを引いていた。

ももちゃん先輩がリヤカーに満載の荷物の揺れを支えて制動しながら、俺がグイグイとそれを引っ張っている。

原作ではさらりと流されたシーンだがワンチャン大怪我するかもしれなかったし、ここは変わっておかなければ。

それに、その、昨日の愛里寿の声がいまだに脳裏を離れなくて、なにかしてなくちゃ落ち着かない。

 

「おーい」

「お?」

「え?」

 

するとそこに声がかかる、ちらりとその方へ目を向けると、会長がいた。

 

「あ、お帰りなさい」

「ただいま〜」

「……かいちょお〜〜〜!!!」

「あっ! ちょ、桃ちゃ、ギャアアアアアアアアアアアアアア!!」

「あっ、天翔ちゃーん!?」

 

その瞬間駆け出す桃ちゃん先輩!! 支えを失った荷物、ずれるバランス、崩れるパイプ椅子!

かーしまの いすなだれ!

こうかはばつぐんだ!

 

「ぐ、ぐふ……ないす杏桃……」

 

パイプ椅子に埋もれた俺は色々と痛みを我慢しつつも、右腕だけ突き出して親指を突き立てた。

おいおい泣く桃ちゃんを慰める会長、これだけで、ええ、ご飯3杯いけますとも!

さて、こうしちゃいられねえ、非常呼集をかけにいかなくちゃな!

あ、そういえばこれで対戦相手どこになるかわかるよな……

だ、大丈夫、だよな?

 

 

 

 

 

「社会人を破ったチーム!?」

「」

「幾ら何でも無理ですよ!」

「」

「西住、どう思う!?」

「選抜チームの隊長、何処かで見た気が……あれ? エミリちゃん?」

「」

「か、顔色が真っ青だよ!?」

「天翔殿!?どうしたんですか!?」

 

 

 

「カハッ……!!」

 

我慢の限界!

俺は思い切り血反吐を吐いた。

 

「え……え、え、エミリちゃん!?」

「天翔ちゃん!? どうしたの!? 」

「きゅ、救急車呼ぶにゃー!!!?」

「よ、よぶな……」

 

あまりのストレスに思い切り床に血を撒き散らしながらも、俺はなんとかねこにゃーの携帯を握る手を止めた。

いかん、いまはいまだけは入院するわけにはいかん! 主に俺がストレスで死なないためにも!!

だってさぁ!!! これ確実に愛里寿豹変してるじゃん!!! それも全部俺のせいじゃん!!!

俺が養子入り断ったからおこで勝負うけちゃってるジャーーーン!!!

 

「なに言ってるのエミリちゃん!? 血を吐くなんて、病院いかなきゃ」

「違う……これはストレス性の例のあれだ、とにかくベッドで安静にすれば治る、薬もある……しばらく休むぞ……」

「て、天翔ちゃん……」

 

なんとか震える足に鞭を打ち、俺は作戦会議の部屋を出た。

血反吐の掃除をさせてしまうのは本当に申し訳ないが今回ばかりは我慢してもらうほかない。

あぁ、胃がキリキリと痛む、ていうか俺の体どうなってんだよストレス反映されるの早すぎるだろアルパカかよ。

 

兎にも角にも、いまは体を休めなければ。

今回ばかりは俺にもわかるぞ、愛里寿との試合は無くなるはずだったのに俺のガバのせいで戦う羽目になってる、すなわち大洗廃校の危機再びなんだ。

原作通りに戻っただけとはいえ、これは全て俺の責任だ、俺には試合を勝ちに導くために戦い抜く義務がある。

 

「大洗学園艦に、廃校の可能性など存在しない……! それを証明してみせる!」

 

とりあえず、いまは、胃薬飲んでベッドで休もう。

きゅー。

 

 

 

 

 

 

 

「……エミリ」

「ねぇ、エミリ」

「ごめんね、私が悪いの。 でもね、エミリも悪いよね」

「だから、手加減抜きで行くからね」

 

 




死ね!死ね!エミカスなど、ただのクソオリ主め!!
みほエリを成す?みほエリを成すだと?
お前になにができるってんだ!
俺だってなあ!!
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