俺はみほエリが見たかっただけなのに   作:車輪(元新作)

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いつも「俺はみほエリを見たかっただけなのに」をご愛読いただきありがとうございます。
今回のアップデート内容をご案内致します。

・タグに『精神的NL』を追加
「むしろなんで今までなかったんだ?」
・誤字の大幅修正。
「水炊きシリーズは執筆も大して早くないくせに誤字が多すぎる、廃棄した方がいいんじゃないか?ものすごい誤字脱字報告だぞ」
・みぽりんとエリカの友好度を下方修正
「おいやめろバカ」

・緊急メンテ「入れようと思って入れ忘れてたシーンをねじ込んだ」11/28 22:05


TANK SOUL ITUMIELIKA OF THE ABYSS EDITION ★

 人間関係というものは構築には多大な時間が要されるのに消え去る時は一瞬だ。

 時には、一切の手心なく、周りの都合だけで本人たちの意思は関係なく切り崩され離れ離れにさせられる。

 電話も、SNSも、返事はない。

 

「どこにいっちゃったのよ」

 

 失って初めて、その大切さに気がつくとは、だれがいった言葉なのだろう。

 その人もきっとかけがえのない何かを失って、その悲しみを他の人に味わわせたくなくて教訓としたに違いない。

 

 引っ込み思案で、そのくせ戦車道にはだれより長けていた彼女は、なぜここから去ってしまったのだろうか。

 こんなとっつきづらい性格の自分にもぐいぐい迫って、あっという間に輪に加えてしまう強引な彼女は、どこにいってしまったんだろう。

 

「私だけ、置いていかないでよ」

 

 部屋の中は暗く静かで、かすれるような声すらもやたらに響く気がした。

 それが異様に煩わしくて枕に顔を埋める。

 

 最近は、あまり眠れていない。

 

「はやく寝なくちゃ。」

 

『後任の』副隊長として就任して、周りに侮られているのは知っている。

『逃げた』とされた二人と特別仲が良かったとみられていた私に所詮は同族と蔑む奴らもいる。

 

 そいつらを、全員黙らせなければならない。

 

「私が、証明しなくちゃ。」

 

 エミは間違ってなんかなかった。

 みほは何も悪くない。

 それを証明するために、私の力で邪魔する奴らをみんな蹴散らさなきゃいけない。

 

 そのためには実力が必要なのだ。

 だれもを黙らせ従わせるだけの力。

 

「……なんで、返事くれないのよ」

 

 でも、私はそんなに強くない。

 離れ離れになった大切な友達が、たまらなく恋しかった。

 

 

 

「エリカ、近頃顔色が悪いぞ。 無理をしていないか」

「大丈夫です、隊長」

「……そうか。 大会は間近だ、体調管理はしっかりしろ」

「わかっています」

 

 戦車道全国大会のトーナメント抽選会。

 そこに訪れた参加者たちの中には当然黒森峰の隊長と副隊長であるまほとエリカの姿もあった。

 しかし、両者ともその表情は浮かないものだった。

 特にエリカの目元には深いクマが刻まれ、顔色も到底良いとは言えないもの。

 それを心配しても踏み入らせてもらえないまほもまた顔を曇らせている。

 

 エリカの心労の原因は多岐にわたるが、特に大きな要因はまほにもわかっている。

 特にエリカと仲のよかった二人、みほとエミの二人が突如として黒森峰から姿を消したことに違いないだろう。

 まほから見ても3人はとても仲が良かった。

 中心となるのはエミで、彼女に引っ張られてみほもエリカも笑顔を絶やさなかったものだ。

 例の事件の後も二人はエミから離れず友人としてあり続けた。

 

 そんな親友とも呼べる間柄だった二人がある日いきなり転校したなどと聞かされて平静を保てるはずはないだろう。

 それでもエリカは腐らずに努力を重ね、二年生の身でありながら副隊長の席につくほどの実力をつけていた。

 

「……」

「……」

 

 二人の間に、会話はなかった。

 エリカはまほに気を払うことすら忘れるほどに苛立っていて、まほもそれを察して刺激したくなかったのだ。

 原因は、抽選会の場に立った、大洗の制服をまとった西住みほ。

 それを見てからというもののエリカの機嫌は下降する一方だ。

 

(何を考えている、みほ……)

 

 まほもまた、その無表情の仮面の下に動揺を覆い隠していた。

 まほとて気にならないはずもない。

 最愛の妹が突然自分から離れて、そして別の学校で隊長を務めているなどと。

 

 それを、追求する勇気もまほにはない。

 まほは、エミを庇わなかった。

 立場上それができないということはだれもがわかっていただろうが、そんなのは所詮言い訳に過ぎない。

 みほの親友を見捨てた情けない姉、そんな楔がまほを縛り付けて、抽選会の場ではみほの元に行くことはできなかった。

 

(……このままでは、試合に影響があるな)

 

 到底コンディション良好とは言えない状況だ。

 伝統ある黒森峰隊長として今年は優勝を勝ち取りたいという思いがまほにはある。

 しかし隊長を務める自分たちがこのざまでは……

 

「エリカぁ!!」

 

 聞き覚えのある声が、響いた。

 

「!?」

 

 弾かれたように振り向くエリカと、少し遅れて首を回すまほ。

 その視線の先には、かつてとは違う制服をまとった、あの小さな少女の姿。

 

「良かった……見つけられた……」

「エミ……?」

 

 掠れた声で、エリカが彼女の名を呼ぶ。

 小学生ほど小さい少女はうっすらと額に汗を浮かべながらも、柔らかく微笑んで、そしてエリカの手を握る。

 

「ごめんね、話したいことがたくさんあるんだ。 エリカもそうだとは思うけれど、まずは私の話を聞いてほしい」

 

 呆然としながらその言葉に頷くエリカ。

 エミの目がチラリとまほの方を向いて、その瞳は確かな意思を伝えてくる。

 

「……久しぶりだな、エミ。 何やら大事な話らしい、落ち着ける場所に移ろうか。 確かあちらに戦車喫」

「向こうに小洒落たカフェがありますよまほ隊長!! そちらでいかがですか!?」

 

 鬼気迫る表情のエミに、まほは、怯んだ。

 

 

 


 

 

 ──月──日

 

 実の所、この俺天翔エミと聖グロのダージリンの間には因縁と呼ぶべきものが存在しちゃったりする。

 と、いうのも。 俺がまだ黒森峰中等部に所属してた頃、練習試合なり大会なりでそれなりに聖グロと戦うことも多かったわけだがなんでかその度にまだダージリンじゃなかった頃のダージリンと激突することになったからだ。

 そしてさらになんの因果か、大抵の場合その一騎打ちは『連射力』の差で一枚上回り勝つ事が多かったのだ。

 当時の時点では俺の装填手としての実力は黒森峰の中でも頭一つ抜けており。

 他の戦車が三発撃つ間に俺の戦車は四発撃つ事ができた。

 FPSなどをやった経験からもわかるが連射速度はとても大事だ。

 そしてその連射速度を一気に引き上げる俺は戦車の瞬間火力を上げる事ができる逸材だったわけだ。(今ではスタミナ以外はそこまで差がないまで落ちぶれたがな!!)

 

 そんなわけで時の運となぜか俺の装填手としての力量があわさって毎度毎度出会うたびに戦ってはぶっ飛ばされたダージリンは、俺にものすごいライバル意識を抱いているのだ。

 ……装填手の差で勝負が決まるって相当なレアケースなのになんでこんなことに?

 

 そしてなぜこんなことをつらつらと書いているかと疑問に思った未来の俺、これはssの都合上記せざるを得なかったものと理解しろ。

 まあとにかく、なんでこんなことを書いたかというと練習試合の聖グロが本気で潰しにかかってきた原因であるからだ。

 試合前の挨拶でみぽりんを見たダージリンは原作通りの反応をして、一方俺を視界に収めると髪の毛を逆だたせた後に不敵な笑みを浮かべてからメラメラメララとその瞳に闘志を燃やし始めた。

 まぁ、つまりなんだ、原作より厳しい試合になったってわけだ。

 無論俺だって黙ってたわけではなく、本当に珍しく原作知識を利用して会長を最初から砲撃手に据えた。

 これは簡単に可決された、なぜなら普段の様子からして桃さんの砲撃手適性は俺の車長適性ほどではないにしろひどいものだとみんなわかっていたからだ。

 なのでカメさんチームは通信手兼装填手が俺、砲撃手を会長に、操縦手を柚子さんに、そして車長に桃さんを据える編成と相成ったのである。

 地味に原作改変だが俺だって負けるわけにはいかなかったし(将来的に追い抜かれる可能性が高いが)俺の方が桃さんより装填手として高い技量を持ってたのだから仕方がない。

 戦車道はなあ、スポーツなんや!!それにみほエリのためにも絶対に強くならねばあかんのや!!

 だからこそ、最適な役割配置は必須なんだ!!!

 

 で、結果から言うと原作のように負けました。

 変わった点といえばカメさんチームが一輌相手を撃破したくらいで、結末は同じでしたとさ。

 あんこう踊りは楽しかったです。

 だからみぽりん、会長をそんな目でみないでよ。

 俺は辛くないんだからさ。

 

 で、その後の自由時間で俺はどうしても行ってみたいとこ等があったので一人市内を探索する。 おめあてはズバリボコミュージアムだ。

 しばらく探すと普通に見つけたので最近は不機嫌気味なみぽりんに適当なお土産を見繕うことにした。

 

 ……はい、遭遇しました、彼女と。

 

 

 ──月──日

 

 たった五輌の戦車が根こそぎぶっ壊れたためフル稼働中の自動車部に赴き、差し入れを渡して協力を申し出た。

 甘味の山に目を輝かせ俺の怪力にはしゃぎ倒す自動車部の面々は本当に可愛らしい。

 ナカジマちゃんに実際どれくらいのパワーがあるのかと質問されたため、とりあえず垂直で2メートルほどジャンプしたり壁を走ったり戦車砲弾でお手玉したりしたらものすごく盛り上がった。

 

 ……自分でやっといてなんだけどこれを平然と受け入れるのはどうかと思うんだよ。

この写メみても合成を疑うレベルなのは実際明らかである。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 ──月──日

 

 最近の登校は麻子ちゃんを背負いみほと談笑しながらというパターンがすっかり定着した。

 そどこさんに頻繁に叱られるけれど見捨てられないよこれは。

 麻子ちゃんは割と真剣にあんこうチームで最も重要な人物でもあるし、可愛いからついつい甘やかしてしまう。

 しかし自分より小さい俺に背負われるのは割と屈辱なのか一人で登校する努力も前よりはわかりやすくなった。

 近いうちに、戦車道のおかげで血行が良くなって少しはマシになるだろう。

 スゴイね、人体。

 

 

 

 

 

 ──月──日

 

 ついに全国大会の抽選会の日だ。

 多分相手はサンダースだろうと思ってたらやっぱりサンダースだった。

 そのあと俺はあんこうチームに戦車喫茶に誘われたが、それをやんわりと断る。

 

 そう、今日ばかりは俺はのんびりしてはいられない。

 あの日以来連絡を取れなかったエリカに会わなければならないのだ、戦車喫茶にたどり着かれる前に。

 

 結論から言うとエリカを捕まえて話をすることには成功したが、みぽりんとエリカの中は悪化した。

 

 どんどんみほエリの夢が遠ざかっていく。

 そろそろこの世からピロシキ〜することも算段に入れなければならないだろう。

 全国のみほエリ好きーさんたちごめんなさい。




今回はネタも少ないし書くことがないな。
なので作者の好きなキャラを晒します、カチューシャです。

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