俺はみほエリが見たかっただけなのに   作:車輪(元新作)

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まんまと騙されてくれたな。
このssをみほエリじゃなくしたのはこの俺さ、そうとも知らずおめでたい野郎だ。
まあ安心しな、すぐにゆっかゆかにしてやるよ。


撃たれるもの 偽りの仮面

 彼女はすごい人だと、常々思わされる。

 

 まず彼女は、他の誰よりも努力家だ。

 朝晩のトレーニングメニューを見たときは目を疑ったし、それをあの小さな体でちょっとの弱音も吐かずに続けている。

 そして、その自分の努力を誰かにひけらかしたりしないし押し付けもしない。

 ただただ当たり前のこととして、過酷で孤独な鍛錬を続けている。

 

 次に知識の深さだ。

 名門の黒森峰所属なだけあって実戦に関する様々な知恵を持ち、それを初心者の集団だった私たちにも惜しげもなく与えてくれる。

 機体の性能や外観の特徴などなら負ける気は無いが、実戦経験の差ばかりはまだまだ縮まることはないだろう。

 

 そして身体能力。

 あの小さくて華奢な体のどこにあんな馬力があるのか不思議なほどに力持ちだ。

 さながらL3にマウスの、いや、あそこまで行くと最早列車砲のエンジンを積み込んだかと思うほどの出力だ。

 砲弾を軽々と持ち上げ履帯の修理では誰より動き、そしてそんな馬力を長々と発揮し続けられる驚異的なスタミナも見逃せない。

 

 でも、何よりも彼女の一番の魅力は、あっという間に人と人を結びつける力だと思う。

 練習試合を始めた頃はまだまだ全員チームワークも何もあったものじゃなかったけど、その後みんなは見る見る内に結束が強まっていって、そしてその輪の中にはいつも彼女がいる。

 

 西住殿が彼女を深く信頼しているのも当然だと思う。

 あれほど魅力に溢れる人物のそばにいれば、それから離れがたくなると思うのは誰しも同じだから。

 自分も例外じゃない。

 同じ装填手として話すことが多いのだが、その度に彼女に惹かれていくのがわかる。

 

 戦車道を始めて、ついにできた友達。

 今までの人生とは比べ物にならないほど彩られた日々に私はすっかり有頂天だった。

 そんなある日、私は天翔殿から誘いを受ける。

 

『今日はウチでいっしょに黒森峰の試合を見ないかい?』

 

 曰く、古巣の黒森峰での試合の映像をコピーしたDVDを披露してくれるらしい。

 一も二もなく私はそれに飛びついた。

 

 

 

「まぁ座ってよ。 麦茶入れるね」

 

 何度か訪れたことのある、西住殿と天翔どののシェアルーム。

 2人で住むにはやや狭い間取りだけど、この窮屈とも言える空間がいやに心地よい。

 もしかしたら、自分の部屋と雰囲気が似てるからなのかもしれない。

 少しして戻ってきた天翔殿は、氷の入ったコップと麦茶のピッチャーを持ってきた。

 

「最近はますます暑くなってきた、戦車に乗るのが憂鬱だ」

「天翔殿でもそういうのは感じるんですか?」

「もちろんだ、夏場の戦車の中は長居していい環境じゃない。 会長と相談して、塩飴やスポーツドリンクの配備を徹底させないとなあ」

 

 カランコロン。

 グラスと氷のぶつかり合う音はなんとも心地よい。

 そこに注がれる半透明な飴色の麦茶。

 夏の到来を実感させる光景だ。

 

「一息ついたらDVDをつけよう。 我が校が優勝するためにも黒森峰との戦いはまず避けられないからしっかり研究しないとね」

「それにしても西住殿は残念でしたね、いっしょに見たかったのですが」

「一体なんの呼び出しを受けたんだろう、たいそう悔しがっていたけれど」

「それが話してもらえなくて……」

 

 冷たい麦茶で喉を潤していると、会話が弾んだ。

 話し上手で聞き上手な天翔殿との会話は、ちょっと油断するといつまでも続けてしまうから大変だ。

 他愛もない話を続けていると不意に着メロが鳴る、自分のではない。

 

「おっと、誰かな…… あぁ?」

 

 少し驚いた、普段の彼女とは随分と様子の違う声色だ。

 それに気がついたのか天翔殿は少し気まずそうな顔をする。

 

「ごめん、少し外で電話してくるよ。 待っててくれる?」

「あ、はい」

 

 ありがとうと言って天翔殿は慌てて玄関を出て行った。

 ぽつん、と、取り残される私。

 

「……んー」

 

 手持ち無沙汰だし、人の家に自分だけというのが無性に落ち着かなくて、なんともなしに部屋の中を見渡してみる。

 

 それが目に付いたのは、偶然だった。

 

「……あれは」

 

 天翔殿の机の上は、なぜだか妙にボコのぬいぐるみが敷き詰められている。

 西住殿の影響とはいうが本人はストラップやグッズを普段使ってはいない、たぶんそこまで気に入ってるわけじゃないんだろう。(その扱いもあるいはボコらしい(・・・・・)のかもしれない)

 しかしそれらではなく、テーブルの上に置かれた角の擦り切れた分厚い本が気になった。

 

 なんの本だろう。

 無性に心を引きつけるそれを、なんとなく手に取ってみる。

 天翔エミ、と白い部分に書かれたこれは……

 

「日記、ですかね?」

 

 これはまずい、早く戻そう。

 人の日記を覗き見るというのはあまりにも酷い。

 常識としてありえない行いだ。

 

 ──とは、思うのだが。

 

「……少しだけ」

 

 好奇心に負けてしまって、私はページを開いてしまった。

 普段から天翔殿が怒ってるどころか苛立ちを見せたところすらほとんど知らなかった私は、万が一バレても彼女なら許してくれるという甘い考えを持っていた。

 

 だからその日誌を開いて、書かれている内容を背徳感とともに読み進めてしまう。

 

 

 〜〜月〜〜日

 

 今日から日記をつけることにした。

 念願の黒森峰に入学した記念でもある。

 張り切って5年日記なんてものを買ってしまった。

 在校期間は6年間だから十分に埋められるだろう。

 将来これを見返して、悶えたり、懐かしがったりして、でも悲しくはならないような内容で埋められるといいな。

 

 地元では友達ができなかったけど、ここならきっと私でも仲良くなれる人ができるはず。

 

 

 

 私は驚いた。

 普段から物怖じせずあっという間に誰とでも仲良くなれる天翔殿が、昔は友達がいなかったとは想像できなかったからだ。

 

 

 

 〜〜月〜〜日

 

 やっぱり黒森峰はすごい。

 多くの人が戦車道に深い理解を持っていて、戦車道を履修した人は当然もっとすごい。

 これなら、戦車道しかやってこなかった私でも友達ができて、昔よりずっといい試合ができるにちがいない。

 

 

 〜〜月〜〜日

 

 どうやら、私はここでも変わり者だったらしい。

 そもそも背丈の小ささで目立つ私はその小ささゆえに戦車道履修者としては軽く見られがちだったけど、名門校だからこそその風潮は強いみたいだ。

 それに、話題も合わない。

 昔から私は勉強とトレーニングしかしてこなくて、周りからきみ悪がられてたし、話も合わなくていつも輪に加われなかった。

 ここでも、ダメなのかな。

 

 

 

 なんだか、自分を見ているような気がして心細さに私は震える。

 そんな共感を抱いてしまうと、もっともっとと急いてしまう、もう止まれない。

 

 

 

 〜〜月〜〜日

 

 今日、ついに友達ができた。

 西住みほさん。 勇気を出して声をかけた甲斐があった。

 みほさんは急に話しかけた私を、追い払わずに接してくれたいい人だ。

 とても嬉しい、でも、焦りすぎて嫌われないようにしないと。

 

 

 

 そこから、日記の内容は一気に華やかになっていく。

 どんどん友達が増えていくこと、自分の力を存分に使って周りが評価してくれること、初めて友達との買い物なんてことをして、どうすればいいかわからなくて笑われてしまったこと。

 そして、戦車道大会で優勝してみんなで喜びを分かち合ったこと。

 

 眩しい、眩しい日々だ。

 日記はたまに日が空きつつもハイペースで書き続けられている。

 私は自分のことのように嬉しくて、それで最近はどんなことが書かれてるのかと気になって一気にページを飛ばす。

 

 

 ぜんぶなくなっちゃった

 

「ヒッ!」

 

 私は、日記を取り落とした

 

 

 


 

 

 ──月──日

 

 今日は秋山殿と一緒に黒森峰戦のDVDを視聴したのだが明らかに秋山殿の様子がおかしい。

 こちらを涙ぐんだ目でチラチラと見て、話しかけようとしてはやめてを繰り返して明らかに集中できてなかった。

 

 うん、たぶん、これはあれだな

 

 見られたな!ダミー日記!!

 

 机の上に置きっぱなしにしてたからね、仕方ないね。

 そりゃ気になっちゃうよね、誰だってそうなる俺だってそうなる、だから追及はせず放置した、時間が彼女の罪悪感を癒すだろうし長引くようなら俺の方からフォローしよう。

 

 しかし、みられたとなるとちょっとアレだな。

 あの日記は本命の携帯で書く日記を隠すための物理日記であるが、まさか適当なことを書くわけにはいかないので俺の演じるキャラに合わせた内容のものを記してあるのだ。

 

 まぁ、なんだ、つまるところ俺を主役にしたssを書いてる気分なのだ。

 はっきり言おう、死ぬほど恥ずかしい。

 

 こんどからはしっかりと隠すことにする、夜神月の真似して二重底の引き出しでも作ろうか。

 

 

 

 ──月──日

 

 アンツィオ戦を前に戦車探しを行なった。

 原作通りの車両を新たに発見した。

 それ以外は、特に書くことはない。

 強いて言うなら秋山殿が日記を盗み見たことを謝ってきたことだ。

 もちろん笑って許してあげた、あんなところに置いてあった俺が悪い。

 しかしなかなか秋山殿の気分が優れないようだったので帰り道でアイスクリームを一緒に食べることにした。

 

 当たり前だが俺は不用意に撫でたりとかキザったらしいことを言って慰めることはしない。

 秋山殿にそんな真似しようとする奴がいたら俺が学園艦の底に押し込んでボッコボコにしてやる。(原作キャラを除く)

 

 しんどそうなときは、甘いものを、食わせる!!それが最適解なのだ。

 秋山殿も最後は笑顔を浮かべていた、万事解決ありがとう。

 

 

 

 ──月──日

 

 アンツィオの潜入任務になぜか俺も抜擢された。

 ミポリンがぐずって私もいくといったが流石にいかんでしょ(知名度的に)

 とはいえ俺も例の事件で人のことは言えないのでがっつりイメチェンする。

 髪型はポニテからサイドテールに、服装は真っ白なワンピース、そして麦わら帽子をかぶる。

 古き良き夏の美少女スタイルだ、外面がいいから問題はないものの中身はアラサーのおっさんなのでぶっちゃけ失笑ものである。

 

 秋山殿と一緒にアンツィオにやはり堂々と潜入する。

 途中やたらとうまそうなものがたくさんあったので買い食いしたりローマよりローマしてる学園艦内をたっぷり観光した。

 

 ……これは実質デートなのでは?

 帰還後俺は人差し指の生爪を剥いだ。

 めっちゃ痛かったが戒めにはなった。

 秋山殿とデートしちゃったんだからガルパンおじさんとしてこれくらいのケジメは実際大事である。

 どうだろう、償われただろうか?

 

 

 

 ──月──日

 

 アンツィオとの試合の日だ。

 試合前に顔合わせをしたのだが、そのとき初めてドゥーチェを見た興奮でちょっと凝視してしまった。

 マジでドリルツインテでマントしてんの、おまけにそれに違和感ないの。ヤババない?ヤバイ(断言)

 そのことを問われたので、適当に「立派な指導者」的なことを言って褒めそやかしたら「褒めたって何も出ないぞ! だがお近づきの印にこれをあげよう」と言われて鉄板ナポリタン無料券をもらってしまった、チョロい(チョロい)。

 

 試合は概ね原作通りことが進んで特に言うことはなかった。

 白熱した戦いが繰り広げられたはずなのになぜか一瞬で事が済んだように感じる、俺も必死だったと言うことか。

 

 試合後、妙にドゥーチェに気に入られてしまってアカウントをフォローしあってしまった。

 これはまほチョビ的にまずいのでは?と思ったがそもそも原作ではまほとチョビの出会い自体がほとんどなかったような気がする。

 なので一層の事俺が2人を結びつける役目を担おうか。

 

 まあ、全てはみほエリを成し遂げた後の話だ、ツーラビッツ・ノーラビット。

 まずは目の前の大業を片付けることから始めよう。

 そもそもそっちが今空前絶後の大ピンチなんだから。

 

 

 

 ──月──日

 

 ぼくはいま病院にいます。

 

 

 




1日くらい投稿を休んでもいいのでは?焼きカボチャプリンはいぶかしんだ。ほら、だって僕は甘味だからね!
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