因みに小説名は適当です。わいわい。
◇◇◇
―――"ヒーロー"。
現社会において絶対的な正義。
悪を打ち滅ぼす存在であり、それだけで人々は心から安堵する。
一昔前では少年達がこぞって夢見たそれも今では手の届く範疇にまで来ていた。
ただし、全員がそうだとは限らない。
"個性"………その者独自が行使可能とされる普通の人ではなし得ない力。炎を出したり、空を飛んだり、異常な筋力を持ったり、と。
個性の殆どは遺伝性により決定される。これが残念ながら、どれ程調べようが、詳細は曖昧なまま。
だが、一つ判明した事もある。
例外も少なからず存在するのだ。
その場合、特に多いのが個性が無い、つまり"無個性"と一般的に診断されたパターンだ。
個性の引き継ぎや発現はあくまで遺伝から、のみ。生命が誕生した瞬間にだけ受理される力。それがないと言うのなら、ない他に道はない。
一人の少年―――"
彼もまた無個性と診断された者。
両親がしっかりとした個性を持ちながら、医師からそう告げられた無個性の少年。
両親は勿論、彼自身も悲観した。個性あってこそ、社会では上下関係が成立するのであり、そのラインにすら着けない事実に。
―――汝、我の召喚に答えよ。
だが、それは間違いであった。
彼の本来秘められた能力は特殊であった。その為、本人も含めて誰もその真実に辿り着けなかっただけだった。
時が動き始めたのは冬の終わり。
場所は―――雄英高等学校。試験会場。
◇◇◇
試験会場。
「聞いてない!!こんなのは卑怯だって!!」
走る。ひたすら走る。
試験会場となった人気のない特製の市街地を駆け抜ける少女―――"耳郎響香"は本番中にも関わらず盛大な愚痴を吐き出した。
雄英高等学校。通称、"雄英"。
ヒーローの通過点。
そう呼称される程、この学校には多くの有名な卒業者がいる。どれも世間で日の出を浴び続ける立派なヒーローへと成長していた。
そして、その最もたる象徴として名を上げるのは雄英高校はヒーロー界のNo.1―――"オールマイト"だ。
響香もまたオールマイトに憧れた一人。
やがて、幼い子供の響香の憧れの目はヒーローへと向き、高校生になろうとした今でも潰えることはなかった。
雄英高校のヒーロー試験は一般とは違う。
学科にもよるが、ヒーロー科においては他とは全く異なる採点方法に準じて合格者が決められる。
「流石に大きすぎる………!!」
響香はその雄英高校の試験、最後のテスト"実技試験"の真っ最中にいた。
実技、と名の通り。個性を使用した実践形式のこのテストでは各挑戦者が目標とされた敵の撃破して獲得出来るポイントの総合数制度で進められていた。
開始から前半は順調だった。
多少スタートに出遅れたものの、響香の個性を存分に発揮。ライバルに遅れない最低限のポイントは獲得出来たと自負していたつもり。
問題は試験後半。
前兆はあった。
試験前の全体説明の時。一人の真面目そうな生徒がこう質問していたのだ。
―――プリントに記載された四体目の存在はどうなのか、と。
口頭で説明されたのは三種類の敵が別々にポイントを持っている。それだけ。普通に響香自身も説明一切無しであったその四体目とやらには興味があった。
この時の説明担当であったヒーロー"プレゼント・マイク"はこう答えた。
―――そいつはお邪魔虫だ。
響香がこの回答に疑問を抱く事はなかった。得点争いに多少の妨害が入るのは普通だと思っていたからだ。
倍率300倍と言う、驚異的な人気を誇る雄英高校が試験者をある程度候補に絞る策として出したのには何らおかしくない。
ただし、これだけは予想外。
―――巨大なのだ。それもとてつもなく。
ビルと余裕で肩を並べる程。
下から見上げてもその天辺が隠れるぐらいに金属製の物体で構築された巨大なロボット擬きが前触れもなく試験会場に降臨した。
次の瞬間。
試験者全員、誰もがパニックに陥るのは必然と言える。
そもそも個性とは言え、あくまで一人の人間に対して有利が取れるだけの個性が大多数。ましてや、試験を受けているのはまだ高校生になろうとしている者ばかり。個性自体もまだ完全に扱いきれてはいない。
そこに突如、現れた絶対的な天災。
逃げ惑うしか方法がない。響香もまた懸命に逃げる道を選択した。
「くっ!!」
一歩歩けば地響き。ビルを手掴みしては粉砕。鋼鉄な鎧に纏われた防御。
どう考えても、この状況を挽回する策までには至らない。
そして―――
「うわっ!?」
亀裂の走る道路。出っ張ったアスファルトに響香の足が取られる。
咄嗟に受け身で怪我は防ぐものの、動きが完全に止まってしまった。
―――く、来る………!!
振り向く。奴が追ってきている。
距離にして約数十メートル。少しでも稼ごうとずりずり足を動かして後ろに移動する。
絶望とはまさに、この事。
必死に抗う。無駄かもしれないけど。
まさに現在進行形で響香が諦めに気持ちが占められようとしていた。
―――その時。
「あー………これを俺がやんのか………」
響香の耳に届く声。
同時に足音も聞こえてくる。無意識に確認しようとした彼女のすぐ隣を通過して歩いていったのは一人の少年。
「ちょっと!!そっちは危ない………!!」
懸命の呼び掛けも虚しく。
彼はまるで目の前の巨大な敵の存在すら認知して居ないかのように進む。
やがて、彼は響香の少し前で歩を止めた。
ゆっくりと左手を真っ直ぐ伸ばす。その刹那、白い光が彼の左手から伸びる。
光が晴れれば、響香は衝撃の光景を目にした。
―――聖剣。
人間並みサイズの剣。相当の重量である筈のそれを易々と彼は振り翳す。
巨大な敵がもうすぐそこまで接近。なのに、響香は自然と彼の後ろ姿から視線を外せずにいた。
「………行くぞ、――――」
彼が聖剣を両手で握り締め、構える。
と思えば、驚くことに空気が一変。空気が重いと錯覚してしまうほどに張り詰めた緊張感が訪れた。
光が聖剣に収束。
徐々に幻影が聖剣を大きくしていく。
圧倒的な力の前に響香はただただその行方を見守るしか出来なかった。
そして―――
「
巨大な剣が振りかざされる。
彼の叫びに呼応して、巨大なロボットは回避行動へ移ったかのように思えたが間に合わず。
肩部分に剣が接触。衝撃波が辺りを舞う。
次の瞬間。
響香が目にしたのは―――
真っ二つにされた
「え?」
派手な崩壊音とそれは共に崩れる。
先程の天災とは売ってかわって、響香が目にしたのは微動だにしない只の残骸であった。
地面にもまさに断裂した跡が。震え上がる程の威力に響香はつい息を飲む。
そうだ。彼は何処に。
張本人である彼を探す響香は個性の発動を解除したと思われる彼の姿を見つける。
すると、軽く服から砂埃を払った彼は座り込む響香の側に近寄ってきた。
「大丈夫か?」
「あっ………う、うん」
差し出されたその手を握った響香。
彼は手を引っ張り上げ、響香を立たせ上げる。
「じゃあ、また」
そう告げ、彼はその場を後にした。
無惨に荒れた市街地にいるとは思えないあっけらかんとした態度の彼に助けられた。
そう響香が気付くのは暫くして放送された試験終了の合図の時であった。
◇◇◇
試験からの帰り道。
「え?帰りにパフェ食べたいって?いや、食べんのは最終的に俺であってさ、普通に今月のお小遣いがヤバいんやけど………そんなのは知らない。行くぞ………そっか………」
英鈴 志怜。個性―――"憑着"。
-2- に続く(予定)。
ここまで読了ありがとうございます。
では、軽く主人公のプロフィール的なものを載せときますので是非そちらも。
『プロフィール-1-』
名前:英鈴 志怜(えいれい しれい)
個性:憑着
英霊:未登場
概要:
個性発現の条件が特殊だった為、つい最近まで無個性だと思われていた。
(出てくるサーヴァント募集します。ただし、作者のカルデラにいるサーヴァントのみ出演予定の為、全ての希望に答えられないことは予めご了承ください)