衝動的に書いた。
反省はしないが、後悔はする。
かなりキングクリムゾンしますがそこはご愛敬でオナシャス。
俺の名はヴァン。辺境の農家出身の平凡な一般人だ。
俺は怠けるのが好きだ。それ以外のことは何もしたくないと考えるくらいに怠けるのが好きだ。
だから俺は小さい頃から両親から頼まれていた畑仕事をよくさぼり、森に作った自分のベストプレイスでグータラと昼寝を楽しんでいる。
もちろん勘当される危険性はあったので最低でも週一で手伝いはしていたが、それ以外はほとんど一つ下の弟に仕事を押し付けていた。
両親から怒られることはあったが年が十を超えた頃には怒り疲れたのか、それとも諦めがついたのか両親は俺に何かを言うことはなくなり、その代わりにちゃんと言うことを聞く弟に目を掛けるようになった。
そして、その傾向は生活面に反映されていき、ダメな兄貴と優等生の弟とで年々差別化されていくことになるのだった。
小さい頃は兄弟で一緒にされていた子供部屋は俺が十二歳になった時に弟のモノになり、俺は家の裏にある風通しのいいボロの物置で寝泊まりし、食事に関して言えば弟は毎食精が付くように肉や野菜、穀物などバランスよく出されていたが俺の場合毎食固いパンに出来の悪い野菜を洗って切られたモノだけだった。
恐らく両親は俺を過酷な生活環境に追い込めば少しは改心するだろうと考えていたのだろう。
暖炉がある家の中とは違い、夜風が吹き抜ける物置の中では薄い麻の毛布で包まることでしか暖を取れず、飯も満足に取れなかった生活に最初のうちはかなり堪えたていた。
さしもの俺も家の仕事を手伝わずにはいられない状況の一歩手前まで追い込まれたが、両親の目論見は叶うことはなかった。
別にその過酷な生活に慣れたわけでは無く、環境を自力で改善することで仕事をすることを回避したのである。
具体的には最近近隣で出没していた数頭の狼の群れを猟師のおっちゃんが仕掛けていた物を参考にして作った罠や物置にあった刃こぼれした鉈を駆使して二匹の狼を討伐し、手に入った毛皮を近所の革職人のオバはんから加工の仕方を狩った狼の毛皮の半分を対価にして毛皮の毛布を手に入れたのだ。
食事に関しては狼の一件で猟師としての腕を見込まれるようになり、村の猟師のおっちゃんから狩りの仕方を叩き込まれたおかげで自力で食事を手に入れられるようになった。
たまに猟師のおっちゃんの手伝いを強引にやらされることにはなったがそれ以外に制限されることはなく、悠々自適な生活を送るようになった俺を見て両親はついに今まで続けていた俺への食事の提供を止めるようになり、住む場所を提供するだけでほぼ勘当状態になった。
十二の夏の頃には両親と会話することはなくなり、時折隣の家に住む弟が近況を知らせに来るくらいの関係に落ち着いた俺と俺の家族はそのままほとんどお互いのことは不干渉のまま数年の月日を過ごすことになる。
狩りに誘いに来るーーもとい引きずりに来るーー猟師のおっちゃんや近況報告に来る弟以外の誰にも邪魔されずに穏やかな毎日を過ごしていた俺だったがその素晴らしい日々はそう長く続くことはなかった。
俺が十五になる年に村に疫病が蔓延し始めたのだ。
村にいた薬師によると疫病の正体はまるで分らず、人伝手に聞いた話では俺が住んでいた村だけでなく近隣の村々まで被害が及んでいるらしい。
幸運なことにもうすっかり俺の隣人と化した両親と弟は疫病に掛かっておらず、彼らは事態が落ち着くまで少し離れた街にある母方の従兄の家にお世話になることになっていた。
ここで問題になるのは俺の扱いである。
両親的には俺が付いてくる分には問題がないのだが、ただでさえ世話になる身分の自分達が向こうが提示してくる仕事を放り出して昼寝に耽るアホのことまではかばい切れない、と両親の口から直接そのままの意味で告げられてしまったのだ。
母方の従兄がいる街にはもちろんのことながら街を守る自警団がおり、森に巣食う獣を狩る狩人達が駐在している。
人の少ない辺境と違い街の近くで活動している狩人達にはそれぞれのテリトリーがあり、それを犯すような真似をする余所者にはそれ相応の仕打ちがなされると今は疫病で病床に伏している猟師のおっちゃんから聞いたことがあった俺はそれはもう頭を悩まされた。
このままこの地に居ればいずれ疫病に罹ることは明白であり、家族について行けば引っ越した先で働かなければならない。
しかし、毎日昼寝も満足にできずつまらない労働をしなければならないなんて絶対に嫌だった俺はついに家族から離れることを決意した。
そしてここを出た後の目的地だが安定した収入を度外視にして少なくとも自分のペースで仕事をし、どこで昼寝をしてようが文句を言われない職業を考えた結果、昔両親に弟と共に読み聞かせてもらった迷宮の話を思い出し、冒険者になれば狩場については誰にも口出しされることはなく上手くいけば俺が働かなくても絵本の英雄のように誰かに養ってもらえるかも、と考えた馬鹿な俺は速攻で迷宮のあるオラリオに向かうことにした。
弟に引っ越しの相談を持ち掛けられてから一晩で決意した俺は翌朝、両親と弟に一人で旅立つことを伝えるとあからさまにごく潰しが付いてこないことに安堵した両親と少しばかり俺のことを心配していた弟で反応は二分していたが、最終的に意味合いは少しばかり違えど双方ともに笑顔になり俺の旅立ちを見送ってくれた。
今まで愛用していた毛皮の毛布に一通りの生活用品や狩り道具を入れた麻袋と最後に両親から手渡された雀の涙ほどの金を手に旅立った俺は、一攫千金を狙い冒険者になるべく迷宮都市オラリオに向かうのであった。
村を出発してから数日が経った頃、オラリオに向かう途中でたまたま農民崩れの野盗数名に襲われていた商人の荷馬車と鉢会わせた俺は野盗の一人を初手で意識の範囲外から不意打ちで一人仕留め、そこからも泥で目潰しやらナイフで急所を一突きなど姑息な手段を用いながらも一人残らず討伐した。
どうせ野盗に身をやつしたような人間に配慮する意味もないし、こういった輩は殺してもよいと前に今頃疫病で苦しんでいる猟師のおっちゃんが教えてくれたので問題はないだろう。
当然のことながら初めて人を手にかけた俺だが特に思う所はなく、狩りの延長線上の様なモノだなと野盗を討伐し終えて思った。
そして、野盗を無事に討伐した俺は積み荷に被害が及ばなかったことから商人のおっさんに大層感謝され、偶然にもオラリオに向かうというその商人に護衛という名目で同行することになり、図らずも無駄な労力と金を浪費することなくオラリオまで向かうことができたのであった。
その後、いくつかの街を経由しながら移動していた荷馬車は約一カ月もの時を経てついに目的地である迷宮都市オラリオに到着した。
ここまで運んでくれた商人のおっさんから別れるときに餞別として数日間くらいは宿に泊まれる分の金を手渡される。
道中での護衛を雇う金をケチっていたようなおっさんだったが、これまでの旅で俺の気性を理解した所為か護衛分の代金を律儀に払い、今後金絡みのことで付き纏うことがないようにと釘を刺された上で商人のおっさんと別れることになった。
後々色んな意味でお世話になろうと思っていた俺の計画は頓挫してしまい、少しばかりがっかりした俺だったがまあ数日分の宿代を手に入れられたことに感謝すべきだろう。
取り敢えず目的地までたどり着いた俺は、
ーーー特に何をするでもなく早々に宿に籠りあっという間に宿代を使い果たしてしまった。
……これは仕方ないことなのだ。
ぶっちゃけ荷馬車での旅は予想以上に疲れた。
徒歩で向かうよりかは楽なことは確かなのだが尻をつけていた木の板は固く、昼寝をしようにもガタガタと揺れる荷台に加えて時折商人のおっさんが口ずさむ下手な歌が耳障りで仕方なく、夜も辺りを警戒しなければならないなどロクに安心して寝れもしなかったのだ。
時々村に立ち寄っても宿無く、馬小屋が提供されるか金を出して空き部屋を借りるくらいしかなかった。
俺にそんなことに使う金があるはずもなく、商人のおっさんがフカフカの布団に入っている時に俺はお馬さん達と藁で一晩過ごすというわけだ。
ーーーこんなものが快適な旅であるものかッ!?
それに引き換えどうだ、このオラリオの宿は。
少し安めのあばら家同然の宿を借りたにも関わらず幼少期に実家で使っていた藁を中に入れた布団など比べ物にならないくらい快適な寝心地を誇るベッドに加えて、オプションでちゃんとした栄養バランスの飯が朝と夜についてくるというワンダフルな仕様なのだ。
これに共同ではあるものの水浴び用シャワーが付いてくるのだから満足以外の何物でもない。
もとから自堕落な性格の俺は商人のおっさんのアドバイスでオラリオについて直ぐに宿を取ったのだが、案内された部屋のベットが予想以上に寝心地が良く、ついつい引き籠ってしまったのだ。
きっと俺と同じような思いをした人間は他にもいることだろう。
いや、絶対にいるね!(良く分からない自信に満ち溢れた思い)
と、まあそういった経緯で流石に手持ちの金が全て消え去ることは爪の垢程度に残っていた理性で抑えた俺は宿代が払えなくなったため宿を追い出され、こんな自堕落な人間を雇ってくれるファミリアを探すことにしたのである。
この迷宮都市オラリオでは人間やエルフやドワーフ、獣人といった亜人だけでなく、数多くの神々が存在している。
昔話によると天上の存在である神たちは天界での退屈な毎日に飽き刺激を求めて下界に降りたらしく、自らが有する神の奇跡の使用を一部禁じた上で下界の住民である子供たちと共にその不自由さを満喫しているのだという。
そして神々は下界での生活を
ある神は試練と称して子供達に無理難題を押し付けたり、ある神はそれを面白おかしく傍観したり、そしてある神はそんなこと知ったことではないと言うように町娘のナンパばかりしていたりなどと、神々の行動に一貫性はない。
こういった具合に下界で好き勝手に生活している神々だが神の力を使用することが禁じられている以上神の奇跡を用いた芸当は一切できず、身体能力的に常人と同等の力しか発揮することができない。
当然のことながら一時的とはいえ常人と同等の存在になってしまっている神々にも食事や睡眠は必要不可欠であり、飢餓であろうと病気であろうと死んでしまえば強制的に天界送り、神々曰く「ゲームオーバー」になり、天界に送り返された神は二度と下界に降りることができなくなるらしい。
よって、必然的に神々は自力で働いてその日の糧を手に入れなければならないのだが、流石の神々もそこまで面倒なことはしたくなかったらしくすぐさま下界の住民に縋りついた。
しかし、たとえ神であろうと見返りがなければ動かないのが下界の常識であり、神々もそのことについてはよく理解していた。
そこで神々は下界の住民である子供たちに養ってもらう代わりに
この魅惑的な力と引き換えに神々は下界の子らと共に自分だけのファミリアを作り生活をしていた。
そして、このオラリオには世界的に見てもかなり多くの神々が存在し、自分のファミリアを大きくすべく団員の勧誘を行っている。
ダンジョンで一山当てたい俺の様な人間はかなり多く俺がオラリオに着いた時、城門でこれからの未来に期待するような眼差しをした夢見る少年少女や己の腕っぷしを試しに来る強者など、色々なタイプの人間と巡り合った。
この中の人間は往々にしてダンジョンに潜るのだが、ダンジョンには強力なモンスターがワンサカいるため力が必要であり、必然的に手っ取り早く力を得ることができる
ダンジョンがある限りこの循環は続くため、下界にいる多くの神はオラリオに集まりやすくなるというわけだ。
というわけで今日も今日とてファミリアの団員を募集している神は多い。
取り敢えず己の堕落ライフを満喫すべく俺が入れるようなファミリアを探すことにした俺は別れ際に商人のおっさんに勧められていた""ギルド""に向かうことにした。
ギルドとはこのオラリオの中枢を司る組織で、ダンジョンの出入りやダンジョンで手に入れたアイテムの換金や冒険者登録の受付などダンジョンに関わる仕事を主にしている。
さらにオラリオ内のファミリアの管理もしているため団員の募集をしているファミリアを探すならここが最適であると商人のおっさんに教えてもらったのだ。
まだ自分が入るファミリアは決まっていないが商人のおっさんには感謝感謝である。
道すがら人に道を聞き、出店で購入したじゃが丸君という擦りつぶしたジャガイモを成形し油で揚げた食べ物を片手に食しながら進んでいくと目的地であるギルドに到着する。
ギルドを出入りする多くの冒険者たちを横目に食べかけのじゃが丸君を食しながらギルドに入った俺は受付へと向かい冒険者登録をすると同時に職員さんに頼んでどこか団員を募集していそうなファミリアがないかを探してもらった。
しかし、意外にも団員の募集をしているファミリアは全くおらず、受付さん曰くそもそも団員が零の神の場合ギルドに申請に来ること自体が稀なことで出てきてもすぐに知らせを聞いた新人が集まってしまい、定員オーバーになってしまうらしいのだ。
そして、今ギルドで紹介できる神の中に俺が欲する条件を満たす神は居らず、街の方を歩いていれば確率は低いが俺を必要としてくれる神がいるかもしれない、と受付さんは苦笑いを交えてアドバイスをくれた。
大まかな説明を聞いた俺はこのまま受付さんと話をしていてもどうにもならないことを知り、仕方がないので自力で「週五休暇、三食、昼寝付き」の条件で俺を受け入れてくれるファミリアがないかを探しに行くのであった。
しかし、世の中がそんなにうまくいくはずがなく道行く神々に声を掛けても俺を受け入れてくれる神は一柱もおらず、取り敢えず腹が減ったので遅めの昼食をとるために先程初めて食べて気に入ったばかりのじゃが丸君を買うためにさっきじゃが丸君を購入した屋台とは別の偶々近場にあった屋台へとじゃが丸君を買いに行った。
その屋台の店番をしていたのが神だったのだがそんなことはこのオラリオではそんなに珍しいことではなく、ここ数時間でオラリオの常識に慣らされつつあった俺はダメもとでじゃが丸君を買うついでに先ほどの条件で団員にしてもらえないかと頼んでみたところ、即採用された。
余りにもあっさりと採用されたことに驚いた俺は何かの冗談じゃないかと勘ぐったが、その後その男神、ゲブ様は店番を終えた後にギルドへ共に向かい俺の入団を許可する旨を記載した書類を提出してくれた。
これで晴れて冒険者になれる俺なのだが、どこか釈然としない空気を感じながらもゲブ様が拠点としているボロいアパートに住むことになったのであった。
主人公の容姿:癖が強い茶色く短めのモジャ毛にやる気のなさが一発で分かる程眠そうなたれ目(瞳の色は薄い青)、そして若干日に焼けた日本人寄りの肌で、身長は170㎝前後。
体格は細すぎず太過ぎずでビジュアルはザ・フツメン。