怠け者の迷宮ライフ   作:水上竜華

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2019年2月8日よりも前に読んでもらった読者さんには申し訳ないのですが、今回の話は前半の話をロニーの話をはさまずに続けて展開していくことにしました。
お手数を掛けるようですいません。

前半は一人称、後半は三人称です。





第十二話 怠け者、水に流さず。

 

 ロニーの一件から一週間が経ち、休日の俺は自室の布団の上で惰眠を貪っていた。

 現在、ロニーの身柄は【アストレア・ファミリア】で預かってもらっているためホームには俺とゲブ様の二人しかいない。

 ホームから穀潰し(ロニー)の姿が消え、少し閑散とした空気が漂っていたが俺はそんな空気に飲まれることなく、再び手にした一時の平穏を満喫していた。

 

 あの日、俺がロニーを殺そうとしていたことをアリーゼさん達を通じて知ったゲブ様は、ダンジョンから帰ってきた俺に対し特に怒るわけでもなく何でそんなことをしようと思ったのかを悲しそうな表情で尋ねてきた。

 元々いくら俺がロニーの死をダンジョンでの事故死に見せ掛けようとしても、下界の住人の嘘を看破できる神相手にすべてを騙し通せるとは初めから思っていなかった。

 だから、あの計画を思いついた時点で一発くらい殴られる覚悟はしていたのだが、まさかここまで落ち着いた対応を取られるとは思っておらず、少し驚いた。

 

 後から知ったことだがゲブ様はアリーゼさん達の代わりに俺の尋問をすることになっていて、その情報をもとに俺の処遇とロニーの今後の身の振り方を考える気だったらしい。

 まあ、それとは別にこの一件を期に俺とゲブ様の付き合い方を見つめ直してほしいという考えも混じっているのだろう。

 

 ゲブ様と俺はこの約半年と一ヶ月の間、共に貧乏生活を過ごしてきた仲ではあるが別段仲が良いわけでもなく、どこか一線を引いた関係にあった。

 神と""神の恩恵""を授かったその眷族はもはや血の繋がりのある家族同然であると言われているが、俺たちのファミリアの場合かなり事務的な関係にあったと思う。

 基本的にゲブ様は毎日バイトに行っていたし、俺も俺でダンジョンに潜ったり昼寝をしに外に出ていることが多く、夕食や朝食は一緒にとってはいたが他に家族らしいことはほとんどしたことがなかった。

 

 俺は他人と交流すること自体が面倒だから自発的に何かに誘うことはなかったし、ゲブ様も仕事と家事の両立だけで手一杯だったからあっちの方から誘いに来ることもなく、自然と関係が薄れていったのだ。

 かと言って別に仲が悪いわけでもなく、数少ない交流の場である食事中などでは主にゲブ様からだが他愛のない話もするし、何かしら問題があれば俺からも相談をしたことだってある。

 しかし、後者においてはその回数が圧倒的なまでに少なかった。

 

 互いに大体のことは一人で出来てしまうタイプだったため相談するようなことはほとんどなく、俺の場合田舎で覚えたチグハグな敬語を矯正した時くらいしか主神を頼った覚えがないといった具合である。

 ゲブ様も貧乏生活が長くなりすぎた所為で欲がなく、特に遊んだりせずにバイト生活を楽しんでいた。

 

 正直に言ってファミリアの運営の話をするとき以外俺たちは不干渉になりがちだった。

 

 おそらく、【アストレア・ファミリア】の主神であるアストレア様あたりが今回の件で俺とゲブ様の関係を見るに見かねて提案したのだろう。

 そうでなくても本来この一件はうちのファミリア内で解決すべき問題であり、最低限できることは自分達でしなければならないと考えるとゲブ様が俺の取り調べをする流れになったのは当然とも言えた。

 まあ、事情はどうであれ質問を投げ掛けてくるゲブ様に対し、俺はあの場で話さなかったこれまでのロニーの所業やそれをされて今までどんな気持ちでいたのかを、面倒ではあったが詳細に話した。

 そして、あらかた必要な情報を話し終えた俺は沙汰が決まるまでいつも通り過ごしている。

 

 あと、これも後から知ったことなのだが今回の一件の前に俺は新しいスキルを発現していたらしく、それの所為でゲブ様が俺の変化に気が付き、ロニーの処理をあと一歩のところで防がれたというわけだ。

 スキルの詳細はこんな感じだ。

 

抹殺使命(ソウル・オーダー)

・一定条件下で任意発動。

・身体機能の稼働制限解除、痛覚鈍化。

 

 性能は悪くなさそうなのだが字面からして物騒で、俺も自分の中にこんなヤバそうな衝動があったことに少しは驚いたが、意外とは思わなかった。

 自分自身、他人と価値観が違うことは小さい頃から十分に理解しているつもりだったし、俺の行動を気味悪がる人間がいることもよく知っていた。

 村にいた頃は弟や狩人のおっちゃん以外からは頭のおかしい子供として大人からは不気味に思われ、同年代の子供からはからかわれていたくらいだ。

 今さら驚くことでもないだろう。

 

 このスキルが発現した所為でゲブ様に怪しまれてしまったのだが、これがあったお陰で途中まではうまく行っていたようにも思える。

 ロニーの腕を折らなければならなくなった時にも通常以上の力が出て比較的楽に骨が折れたし、周囲の音もいつも以上によく感じられる。

 また、激昂するリオンさんの一撃も痛覚鈍化のお陰で気を失わずに耐えることができた。

 

 ちなみにその時のリオンさんの手加減なしの一撃を胴体にもらった所為か、脇腹の骨に少し罅が入っていたことがダンジョン帰りに寄った治療院での診察で分かった。

 一応、あの時は新スキルの効果も相成って何者かが高速で接近していたことが分かっていた。

 だから、念のため下がった耐久をもとに戻すために魔法を解除して攻撃を受けたのだが、スキルの補正を加味しても耐えられなかったらしい。

 流石に二週間前の遠征でlv.3になったリオンさんの一撃を完全に防げるほど俺の体も丈夫に出来ていなかったようだ。

 

 激しい運動さえしなければ数週間で治ると診断されたがただでさえ寂しい懐事情をこれ以上悪化させるわけにもいかず、泣く泣くローンを作って治療院の人の治癒魔法で完全に治癒。

 この一件が終わったらどんな処遇になるにしろ絶対にリオンさんから慰謝料をもぎ取ることをその時俺は誓った。

 

 と、まあ少し話がそれてしまったが、新スキルの所為でロニーの処理は完遂出来なかったものの、恩恵もそれなりにあった。

 他にもロニーのスキルを封じるために飯を多めに食わしたり、正規ルートをわざと外れて人目が付きにくい道を通ったり、普段から人があまり来ない場所で休憩を取ったり、と周りに感づかれないように色々と手を尽くしたがロニーの精神力を甘くみていたことが今回の俺の敗因だったのだろう。

 

 マジメな話、俺は別に最初からあの穀潰しを拷問にかけようだなんて考えちゃあいなかった。

 物理的にアイツを行動不能にする場合、手足を折るのが一番確実な方法ではあるのだが手間もかかるし、悲鳴で居場所が判定される危険があるため得策ではなかった。

 現にその所為で俺の居場所がバレてしまっている。

 

 いくら学があまりないとはいえ、そこら辺のことに気がつかないほど頭が回らないわけではない。

 最初は全て魔法で方をつける算段だったのだ。

 今まで俺の魔法を食らった人間及びモンスターは例外なく強制的に睡眠状態になっていた。

 

 数秒もすれば上級冒険者の意識すら完全に奪える手段を有していた俺は当然のことながらそれに頼った。

 しかし、ロニーの意識は一向に飛ばず、それどころか普通に喋ることが出来ていたのだ。

 魔法を手に入れてから約半年と二ヶ月の間、起こらなかった初めての事象に少しだけ混乱したが、このまま俺がしたことを地上でロニーの口から吐かせるわけにもいかなかったので俺は早急に行動に移したのだ。

 

 それが手足を折るだったのだが、ロニーが予想以上に元気すぎて手間取ってる間にアリーゼさん達が来てしまい、あえなく失敗。

 よりにもよって俺の魔法の効力が誰にでも有効ではないことが一番失敗してはいけないタイミングで露呈したのだ。

 

 今にして思えば俺は自身の魔法を過大評価しすぎていたのかもしれないな。

 

 元々「感情を伝染させる」という効果だけであそこまでの力が発揮されること自体が可笑しかったのだ。

 俺の感情を伝染させるということは、相手の感情がそれを上回っていれば効果も発揮されないということ。

 今まではただ単に相手の意思が弱かっただけで、上手くいっていたのは俺の運が良かっただけだ。

 

 

 最後の最後で詰めを誤った俺の致命的なミスである。

 

 

 もはや言い訳の余地すらない今の俺に出来ることは沙汰が下るまで、ダラダラと、かつ普段通りに生活するだけ。

 だから、俺は今も真っ昼間から昼寝をかましているというわけだ。

 

 今日は朝から強めの雨が降っており、折角のベストプレイスも雨で野ざらしになっている。

 こういう日は大人しくホームに引きこもるに限る。

 俺は引っ越してから新調した極東式のフカフカ布団の中でヌクヌクしながら惰眠を貪っていた。

 

 今、ゲブ様はバイトに奔走しているためホームには俺以外の人間はおらず、俺は一人、静まり返ったホームの中で雨音を子守唄代わりに留守番昼寝をしている。

 立地や交友関係の都合上、基本的にホームを訪ねに来る客人は滅多にいない。

 いたとしても見回り帰りに寄ってくるアリーゼさん達くらいだ。

 

 必然的に暇なホームの留守番なのだが、今日は珍しく客人が来たようだ。

 外から聞こえた足音の数からして四人ほど。

 玄関を叩く音が閑散としたホームに響く。

 

 予想をするに外にいる面々は俺が想像している人達なのだろう。

 俺は自室を出るとのんびりとした足取りで玄関へと向かい、戸を開く。

 

 

 戸を開けた先にはアリーゼさんとリオンさん、そしてゲブ様の三人が後ろに控えた状態で雨の中でずぶ濡れになったロニーがいた。

 

 

◇◇

 

 

 

 

 降りしきる雨の中、傘一つ差さず玄関の前に俯きながら立つロニー。

 

 それを見守るアリーゼ達は特に何かをするわけでもなくただ見守っていた。

 玄関が開け放たれてからどのくらい時間が経ったのだろう。

 ヴァンとロニーは対峙してからずっと動くことなく相手の出方を伺っていた。

 ただ地面に、建物に、雨具に降り注ぐ雨の音のみがこの場を支配し、時間の感覚を狂わせる。

 

 いつまで経っても用件を切り出さない一同に業を煮やしたのか、呼び出されたヴァンが最初に言葉を発した。

 

「……なんか用があるの?無いなら勝手に入るなり、サッサと用件を言って帰ってくれないかな。」

 

 ヴァンはそう言うと俺は眠いんだと言わんばかりに欠伸をこぼす。

 ヴァンの言葉を聞き、ビクリッと体を大きく震わせるロニー。

 彼女は未だに迷宮での出来事を引きずっているようで、ヴァンは今の彼女にとって恐怖の対象でしなかった。

 今この瞬間も彼女を襲ってくるのではないかと内心戦々恐々としているのだ。

 

 しかし、それでも尚、彼の前に立ったということは彼女には何かしらの決意があるのだろう。

 胸に手を当てて速まる動悸を抑えるロニー。

 少し間を置くと、彼女は俯いたまま口を開けた。

 

「……勝手にっ、だんちょうのおこづかい、使って、ごめんなさい。」

 

「……。」

 

 涙声を交えたロニーの謝罪を聞いたヴァンだったが、その表情に変化はなく傍から見ても彼が何を考えているのかは全く分からなかった。

 ヴァンは何も言葉を発さずにロニーの次の言葉を待つ。

 

「ロニーね、お兄ちゃんと離れ離れになってからずっと、さびしくて、神様に助けてもらってからもちょっとここの所がくるしかったの。」

 

 ロニーは胸に手を当ててそう言う。

 ロニーは能天気に振舞っていた過去の自分が心の中で何を思っていたのか、吐露した。

 

「そんな時、ずっとロニーの面倒を見てくれただんちょうに甘えちゃって……。だんちょうはいつもロニーのこと怒るけどロニーのことちゃんと見てくれてたから、ロニーとってもうれしくて、だんちょうのこと本当の家族みたいに思っちゃったの。」

 

 ここまでずっと強張った声で話していたロニーだったが過去の楽しかった思い出を思い返したのか、一瞬だけヴァンへの恐怖心が和らいでいた。

 

「でも、ロニーバカだからだんちょうが嫌がってるのアリーゼ達に言われるまで全然気が付かなくて……、あんなことしちゃって、本当に、ごめんなさい。」

 

 ロニーは深く頭を下げ、再び謝罪する。

 見た目だけ見れば完全に反省しているように見えるロニーだが、ヴァンはめんどくさそうに頭を掻きながらロニーを見つめていた。

 ヴァンがロニーに求めていたのは謝罪などではなかった。

 

「……もう、そういうのはいいからさ。これからどうするかだけ手短に教えてくんないかな?時間がかかるなら別にお前が言わなくてもいいから。」

 

 ロニーの後ろに立っている三人に視線を移しながらヴァンはそう言う。

 その様子は本当にロニーのことなど興味の外にあるようだった。

 

 しかし、アリーゼ達は何も言わずーーーリューは拳に力をいれていたがーーーにたたずんでおり、彼らはロニーの口から言わせたいらしい。

 彼らの様子を見るにそこに悪感情はなく、あくまでロニーのことを思っての対応のようだ。

 

「だ、だんちょう……。だんちょうはロニーのことが嫌いかもしれないけど、もう一度ロニーにチャンスをくださいっ。」

 

 頭を下げるロニーの姿を見るヴァンの瞳には空虚という言葉が似合うほど冷めきった感情が映し出されていた。

 あんなことがあったのにも関わらず、こんなことを言い始めたロニーの馬鹿さ加減に彼がほとほと呆れているというのは言うまでもないだろう。

 

「ロニー、もう絶対わるいことしないから、だんちょうにメイワクかけないようにごはんも我慢するし、お仕事もがんばるから、だから……。また、ここにいさせてくださいっ。」

 

「それ、本気で言っているのか。」

 

「はいっ。」

 

 真剣な声音でそう言ったロニー。

 彼女なりに覚悟はしているようだ。

 しかし、現実はそこまで甘くはない。

 

「俺はお前を信用してないし、何も期待していない。それは分かるな?」

 

「……はい。」

 

「それなら。……またお前が何かやらかしたらどうなるかも、分かるよな?」

 

 一度失った信頼を取り戻すのはとても難しい。

 今回のケースに至っては『相手がこの世にいる価値』すら見いだせなくなり、殺人に及ぶといった最悪な状態だ。

 これを元の関係まで戻すのは不可能と言っても過言ではないだろう。

 

 ヴァンは暗に彼女に警告しているのだ。

 

 

 ""次は殺す""、と。

 

 

 その意味を改めて理解した瞬間、ロ二ーは再び内なる恐怖に捕らわれた。

 顔は青ざめ、全身が震え始める。

 しかし、ロニーは再び手に力を入れて、恐怖に抗っていた。

 

「……それも、……分かって、ます。」

 

「お前の言葉で、俺がそれを本当に信じると思ってるのか?」

 

「それはっーーー、」

 

 ロニーは即座に反論することができなかった。

 ヴァンの言葉は何も間違っていないから。

 頭の足りない彼女でも理解できてしまったから。

 彼女はすぐに言葉を続けられなかった。

 

「ーーーロニーは、変わりたいのっ。ロニーは今のロニーがイヤ。だんちょうに殺されそうになるくらい、お兄ちゃんに捨てられるくらいダメなロニーがキライ。だから、そんなダメダメなロニーを変えたいのっ!…………でも、ロニーはお腹がすいちゃうとごはんが食べたくて食べたくて仕方なくなっちゃって、自分でもそれを抑えられなくて。」

 

 両腕に爪が食い込むほど力強く自分の体を抱くロニーの姿は、どこか必死に見えた。

 

「でもね、あの時のだんちょうのことを考えたらそれも収まるようになって、ロニーが変わるためにはだんちょうと一緒にいるしかないって、ロニーは思ったの。」

 

 ロニーは本気で変わろうとしていた。

 彼女の顔には前に進もうとする意志と、変わらぬ彼への恐怖がぐちゃぐちゃになって浮かんでいる。

 

「ロニーだって死にたくない。でも、みんなに殺したいって思われるくらいうらまれるのはもうイヤなのっ!だから、だんちょう。ロニーを【ファミリア】にいさせてくださいっ!!」

 

 ロニーはまた、深々と頭を下げる。

 その彼女の死を覚悟した申し出を受けたヴァンは、相変わらず興味のなさそうのない眼差しでロニーを見つめていた。

 

「別にお前のこととかはどうでもいいから。いい加減俺がお前に対して必要性を感じていないことくらい察してくんないかな。」

 

 彼にとって彼女の成長など本当にどうでもよかった。

 それこそ、彼以外の誰かに殺されようとも、どこかで幸せになろうとも、それ以外の数多の道に彼女が進もうとも、彼にとって関心のあることは「彼女が自分に対して不利益なことをするかしないか」だけなのだ。

 今のロニーはヴァンにとって害悪にしか感じられない""ゴミ""と同等の存在であり、""ゴミ""を手元に置こうと思うほど彼は酔狂ではない。

 

 ヴァンから言外に「お前はいらない」と言われたロニーであったが、震える手で腰に下げた袋をヴァンの方へと差し出す。

 その様子に訝しんだヴァンであったが、取り敢えずそれを受け取った。

 

「ロニーが、稼いだお金。まだ、全然足りないけど、ちゃんとロニー働くから。だから、だからっ…………、」

 

 袋の中に入っていたのはお金だった。

 総額にして約六千ヴァリス。

 【アストレア・ファミリア】に預かってもらっていた一週間の間にどれだけの時間ダンジョンに潜っていたのかは分からないが、冒険者を始めてまだ一カ月近くの駆け出しの冒険者が稼いだ額にしてはかなりの金額である。

 確認のためにヴァンはロニーの後ろにいるアリーゼに視線を向けると彼女は真剣な眼差しで肯定していた。

 アリーゼは自身の正義感故か、この手の話で嘘を吐くことがないので信頼してもいいと判断できる。

 

 となると、この金は本当にロニーが自力で稼いできた金なのだろう。

 

 これもロニーなりの覚悟の表れなのか。

 前までのロニーであればこれだけの金を持っていたら、数刻もしないうちに食事に費やしていたことを考えれば大きな進歩とも言えた。

 ヴァンは少しの間、再考する。

 

 彼にとってロニーという存在は路傍の石程度の認識であったが、多少金が稼げるようになったことを考えると話も変わってくる。

 今の彼女であれば自分を裏切る可能性も低く、前のように何かしらやらかしたら今度こそ処分することも可能であるということを考えると、過去のことはある程度目をつぶり今は団員として手元に置いた方がいいのではないだろうか。

 

 今回の一件でヴァンは自分で新人を教育することがかなり面倒なことに気が付いた。

 ロニーの場合、冒険者としての適性が高かったから一週間程度面倒を見るだけで済んだが、これから新たに入るであろう新人が全員彼女のように上手くいくとも限らない。

 ならばいっその事、コイツがこれ以上何かをやらかさないことに賭けて、いずれ来る新人の教育をコイツに任せるのも言い手だろう。

 

 そう、ヴァンは考えた。

 

「……最後に言っておくぞ。今度お前が何かしら俺にとって不都合の及ぶようなことを故意にしたら、誰が何と言おうとお前を殺す。それでもいいなら勝手に残ればいい。」

 

 ヴァンはそう言うとロニーから貰った金を片手に自室へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 それから数週間後、ヴァンの横には共にひなたの下で穏やかに昼寝をしているドワーフの少女の姿があったそうな。

 

 

 

 

 

 

 








この話を読んで結末が微妙と思った方も多いでしょう。
正直に言って送られてくる感想を見て作者の書き方次第でキャラの受け取られ方が変わってくるのだと思うと結末は決まっていても中々文が続かず、リアルでのこともあって更新できませんでした。
ただ、作者的には鬱展開よりも先の話を書きたいと思う気持ちが強かったため、結構後半に関してはかなり雑な仕上げになってしまいました。
作者にもっと文才があればよかったのですが、まあこういう作品なのだと思って読んでもらえると幸いです。


次回はロニーの話をします。
そちらでヘイトの集まってる彼女のことが少しわかってもらえるといいなあ、と作者は思います。


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