怠け者の迷宮ライフ   作:水上竜華

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もうお気付きの方もいらっしゃるかと思いますが、拙作の評価欄をコメント必須に変更しました。
評価乞食なわけではありませんが、色々と思うところがあり必須に変更です。
低評価であっても「つまらん。」の一言でいいので乗っけてください。無言よりも割り切れますので。
本ッ当にめんどうな作者ですいません。

では、前置きはここまでにして本編をどうぞ。

※今話には、読み手に精神的に苦痛を与えかねない文章があります。
面倒であれば、その部分は飛ばして読んでも構いません。





第十八話 怠け者、ちょっと悩む。

 

 

 

 ヴァンがアマゾネスの少女、シャラス・ラスリィーに事実上の告白をされてから三日後。

 使える情報筋を最大限活用し、シャラスの身辺調査を行ったヴァン達は彼女を【ファミリア】に受け入れるか否か、最終的な判断を下すためホームのリビングにて面接を行っていた。

 今回の面接には主神のゲブだけでなく、今後の入団者の基準を知るためにロニーも審査する側として参加している。

 

 予定通りヴァンと別れて三日後の早朝に【ゲブ・ファミリア】のホームにやってきたシャラスは、丁度朝食を取っている最中だったヴァン達の準備が終わるまで外で待たされ、つい先程部屋に通された。

 面接会場であるリビングはテーブルが部屋の隅にどかされており、上座に三脚、入り口の方に一つ椅子が置かれている。

 上座の方にヴァンとロニーが主神を挟むようにして座り、もしも相手が主神に対して害を及ぼそうとするのなら即座に対応できるように、それぞれ武器を装備していた。

 入団試験という今まで経験したことがない行事を前に、参加を許してくれた団長の期待に答えねばと張り切って鼻息を荒くするロニーであったが、今回彼女の出番はそれほど多くはない。

 ヴァンとしては今後、自分抜きでマトモな試験さえ出来ればよいので、シャラスが合格するか否かに関係なくロニーが判定基準を覚えてくれれば問題ないのだ。

 何はともあれ、双方準備が整い、実質【ゲブ・ファミリア】初となる入団試験が始まった。

 

「では、これより入団試験を始める。私は【ゲブ・ファミリア】の主神ゲブだ。なにぶん、こういったやり取りに慣れていない故、失礼なことも聞くかと思うが寛大な心で受け止めてもらいたい。」

 

「いえ、私こそ、急にこの様な場を設けていただきありがとうございます。」

 

 初めは両者ともに低い物腰で無難な挨拶から入る。

 その後、互いに簡単な自己紹介を終えるとゲブが神妙な顔付きで口を開く。

 

「最初に断っておくが、私の【ファミリア】の団員はここにいるロニーとヴァンの二人だけだ。こうして立派な家屋はあれど名はさして売れていないし、活動資金も然程(さほど)潤沢とは言えず、切り詰めた生活を君に強要するかも知れない。……それを聞いてもなお、君は【ファミリア】への入団を希望するのかね?」

 

 今の【ファミリア】の状況は最初に伝えるべき事柄であると、友好関係を築いている【アストレア・ファミリア】から助言をもらっていたゲブは嘘偽りのない【ファミリア】の現状について述べた。

 当然のことながら、当人が入団を希望しているとはいえ、自分の命を預ける【ファミリア】の現状を知らせずにその方針に従わせるのは詐欺に似たようなことである。

 彼女の場合、数ヶ月前に主神を失い、親切な女神から神の恩恵を借り受けている状態で、今【ゲブ・ファミリア】に改宗するとゲブが天界に帰らない限り、一年間は【ファミリア】を変えることができなくなる。

 そうなればシャラスの意思に関係なく【ファミリア】に拘束されることになり、望まない生活を強いられることになるだろう。

 そこまでして新たに団員を獲得したいとは考えていなかったゲブは、あくまで彼女の意思を尊重することにしたのだ。

 しかし、そんなことは百も招致と言わんばかりに、シャラスは平然とした様子で悩むことなく返答する。

 

「はい、問題ありません。私はヴァン様と添い遂げられればどの様な環境でも受け入れます。たとえ【ファミリア】が多額の借金を抱えてその日すら過ごせるか怪しい状態でも、主神様に関係を迫られても、なるべく希望通りに役割を果たす所存です。」

 

 かなりとんでもないことを(のたま)っているがそれだけの覚悟をしているのだろう。

 彼女の意思は全くブレなかった。

 しかし、落ち着いている彼女に反し、ゲブは彼女の言葉に著しく反応した。

 

「私はそのようなことは望まん!!私はヌゥート一筋!!浮気など言語道断だ!!」

 

 体を前のめりにして乗り出し、体全体で彼女の発言を全力否定するゲブ。

 普段から落ち着いていて声を荒げることが少ないゲブの怒声にヴァンとロニーは驚いた。

 いくらたとえ話として述べたとはいえ、ここまで顕著な反応が帰ってくるとは思っていなかったシャラスも目を丸くし、少しの間放心していた。

 

 自分が取り乱したことで周囲の空気がおかしくなっていることに気が付いたゲブは我に帰り、間を開けてからコホンッ、とわざとらしく咳き込む。

 

「……少し取り乱した、話を脱線させて申し訳ない。」

 

「い、いえ、私も例え話とはいえ変なことを口走り申し訳ありません。」

 

 すっかり落ち着きを取り戻したゲブの様子を見て、内心ハラハラしていたシャラスは若干動揺しながら謝罪を返す。

 横でその様子を見ていたヴァンとロニーはヌゥートなる神物(じんぶつ)が誰かは知らないが、色恋沙汰の話でゲブに冗談は言わないようにしようと心に決めた。

 

「では、話を戻そう。取り敢えず、君の意思に揺るぎがないことはよく分かった。君は本当にヴァンのことを好いているのだな。」

 

「はい!それはもう、心の底から、溢れんばかりの情欲が押さえられないほどに!」

 

 ゲブが落ち着いたかと思えば、今度はシャラスの方が暴走した。

 頬を赤く染め、興奮した様子で身を乗り出す。

 若干引き気味になったゲブだが、このままでは話が進まないため強引に話を続けた。

 

「そ、そうか。しかし、聴くところによると君とヴァンは交流を始めてまだ間もないのだろう?それなのにコヤツのどこに惹かれたのだ?」

 

 交流してから、というより出会って間もないヴァンとシャラス。

 ヴァンからある程度の話を聞いていたゲブであったが、命を助けてもらい、つり橋効果でヴァンへの好感度が上昇している程度の恋であれば、早々にその幻想を打ち砕き、恋路を諦めてもらった方が当人にとっても幸せである、と考えていた。

 何せ、彼女が恋い焦がれているのは、いずれ自分の下に付く団員達に金を貢がせ、食っちゃ寝するだけの毎日を過ごそうとしている穀潰し予備軍のヴァンだ。

 アマゾネスが本能的に強者の子種を欲しがるのはゲブも知っている。

 しかし、実際に迷宮でのヴァンのことを知らないゲブからしてみれば、ヴァンが相手では彼女が満足するとは考えられなかったため、どこに惹かれたのか聞いたのだが……。

 

 

 

「ヴァン様の全てです!もちろん最初は一目惚れに近いものでした、私が異形のオークになぶり殺されそうな時に颯爽(さっそう)と現れ格上相手に最後まで逃げずに戦い自らの腕を対価にして放たれた魔法暴発(イグニス・ファトゥス)は十階層の霧を晴らすほどの魔力が込められその攻撃でオークに痛手を負わせた光景は霧越しであっても今でも私の(まなこ)に焼き付いております、その威力を叩き出した魔力も凄まじいモノでしたがそれ以上に格上のモンスターを相手に痛手を負わせる状況まで持ち込んだ戦闘センスに苛烈な攻撃に対処しながら自らを勝利に導く作戦を考え付いた冷静な戦術眼は天才的でそれにも関わらずまだまだ成長の余地がありその時始めてヴァン様が今まで出会ってきた(オス)の中でも最高峰の(オス)であると確信しこの(オス)に己の全てを捧げねばとこの身に巡るアマゾネスの血が騒ぎ立てました、それからヴァン様のことを徹底的に調べ上げ何処から来たのかいつからオラリオにいるのかどの様な人々と交流しているのかどの様な性格なのかどの様な女性が好みなのかどの様に休日を過ごしているかまで全て事細かく理解しようと努力しました、伴侶とする雄のことを全て理解しようとするのは雌として当然のことでありそれを元に雄に振り向いてもらえるよう己の振る舞いを見直すことは最早言うまでもありません、ただ一つ泣き言を言わせてもらうとヴァン様がオラリオに来る以前の情報が全く手に入らず完全に貴方様のことを知ることが出来ませんでした、申し訳ありません、しかし恥ずかしながらこれから【ファミリア】を共にすることでヴァン様のことをより深く知る機会が増えたのだと思うと嬉しさが胸のうちから込み上げてしまいどうしても心の底から後悔が出来ないのです、こんな不出来で不完全な雌ですがヴァン様に対する思いは誰にも負けません、どうかこんな私をヴァン様の傍に置くことを許していただけないでしょうか?」

 

 

 

「……んー、少し待ってもらいたい。これ、ヴァンよ、起きんか!」

 

「……あ、終わりました?」

 

 ……ヴァンの何処に惚れたかに始まり、つらつらとここ数日間でとんでもないストーカー行為を行っていたのかを自白、からのお嫁にしてください宣言。

 ここまで来ると種族の特性などでは済まされない猟奇的な何かを感じるほどの語りである。

 

 一度に来る情報量が多すぎて、ゲブの隣で話を聞いていたロニーは混乱して目を回しており、ヴァンはいつの間にか鼻に提灯(ちょうちん)を作って寝ていた。

 自分に関する話なのにある意味図太い男である。

 ゲブは内容を整理するためにこめかみを押さえ、呑気に寝ているヴァンの頭を叩く。

 

「全く、こういう時くらいしっかりと話を聞きなさい。」

 

「あー、大丈夫ですよ、ゲブ様。大体内容は頭に入ってますから。彼女が俺のことを絶賛してたり、俺達がしてたみたいにこちら側の情報を仕入れたり、ゲブ様に俺との結婚を許してくれるように頼んだりしてたんですよね?」

 

 ほぼほぼ正解である。

 

「……君、寝ていなかったか?」

 

「俺くらいの昼寝の熟練者は寝ている間の話も記憶できるんですよ。」

 

「そ、そうなのか……。」

 

 無駄に高性能な怠け者である。

 ゲブは自分の眷属が持つ意外な特技を知った。

 

「これは下調べになかった情報!?メモメモ!!」

 

 何処から取り出したのか、やけに使い古されたメモ帳を取り出し何やら書き始めるシャラス。

 目の前の人間が本当に先程礼儀正しく挨拶を交わした相手なのかゲブが不安になるほどシャラスのテンションは上がっていた。

 ちなみにその手帳の見出しには「未来の旦那様について」と書かれているのがチラリ、と見えた。

 最早入団試験中とは思えない様子を見て、ゲブはまたしても何やら本筋から脱線していることに気付き、取り敢えず彼女への返答を先に済ませることにした。

 

「……まず、シャラスくん。君のヴァンに対する思いは十分に理解した。それは認めよう。私個人としては団員の恋愛関係については余程のことがない限り口を出さないつもりだ。」

 

「それではゲブ様は私達の婚約を認めていただけるのですか!?」

 

 メモに夢中になっていたシャラスの顔が上がり、茶色の瞳を輝かせた。

 まあまあ、とゲブが宥め、一旦彼女を落ち着かせる。

 

「そう急くでない。まず、君がヴァンのことをいくら知っていようとヴァンは君のことを知らないであろう?それではどう足掻いても君がヴァンを拘束することになってしまい、両者ともに望まぬ最後を迎える可能性が高くなる。私はそんな結末は望んではおらん。だから、一先ずこの入団試験を合格したのなら、交際から始めたらどうだろうか?」

 

 入団試験が始まる前、ゲブはヴァンから求婚されているがどうすればいいのか分からないと相談を受けていた。

 ヴァンは非常に高レベルな怠け者で美少女や美女と交流しても自分から手を出す気概はなかった。

 ただ単に面倒だからというのもあるが、まだヴァンが実家で猟師生活を満喫中だった頃、ヴァンの弟が女性関係で拗らせたあげく、幼馴染みの女の子が逆恨みで弟に刃物を突き立てたという事件があったことが最大の理由なのだろう。

 最終的に偶々その場面に出くわしたヴァンが幼馴染みの女の子を羽交い締めにし、意識を落としたことで殺傷沙汰にはならなかったが、その頃から女の嫉妬は恐ろしいとヴァンは潜在的に感じるようになっていた。

 

 村にいた頃はイケメンの弟がいい盾になってくれていたためほとんど問題にならず、オラリオでもそこまで目立った活動をしていないため言い寄りに来る女性は全くいなかった。

 街中でも、ダンジョンでも人との交流をなるべく避けてきたヴァンだ。

 ジュリとダンジョンに潜っていなければ今回の出会いもなかっただろう。

 

 ヴァンは別に男として不能なわけではなく、ほどほどにそういったことには興味はある。

 しかし、それなら歓楽街にいけば済むことで、わざわざ特定の女と付き合う意味が彼には見出だせなかった。

 とは言っても、今回ヴァンに告白したシャラスは何処と無く、ヴァンに""ヤバい""と思わせるくらいにはヤバそうなアマゾネスである。

 もしかしたら、弟の二の舞になる可能性もなくはない。

 そうなると下手に断るのも悪手だろうし、なまじ経験がない分ヴァンでは最適解が出せなかった。

 このままではロニーの時のようにとんでもない結果に成りかねない。

 そう、考えたヴァンはゲブに相談したのだ。

 

 ロニーはまだまだ子供だし、異性の影が全くないアリーゼ達やジュリでは相談に乗れないだろうし、彼のアドバイザーさんは非常に綺麗なエルフで経験豊富そうなのだが、完全に公私が別れていてそもそも話を聞いてくれなかった。

 結果的に消去法でゲブに相談した形なのだが、無難に「試しに付き合ってしまえば良いのではないか?」と言われ、最終的にそうするしかないか、とヴァンも納得した。

 未知の体験であれば経験することが一番の解決の糸口となる。

 下手に婚約を確約せずとも、言い訳を作る時間も稼げるし、もしかしたら普通に付き合うことができる可能性だってある。

 ゲブの目から見ても明らかにヴァンに害を及ぼそうとする存在であれば【ファミリア】に入れなければいいし、本当にヴァンのことを想っている女性であれば試験的にでも入れればよいと彼らは決定を下した。

 

 そして、実際にシャラスを前にしたゲブは、「少し変わってるが悪人ではなさそう」という印象を彼女に抱いた。

 というわけで、これから話す【ファミリア】の方針に反発しないのであれば、このまま彼女を入団させてもいいと考えている。

 

 交際から始めよう、という申し出に対し、シャラスは先程までのハイテンションを静めると口元に手を当て、深く思考する。

 

「……申し訳ありません。あまりに興奮し過ぎて冷静さを欠いていました。その条件で構いません。私の気持ちがヴァン様に伝わりさえすれば後は時間の問題ですから。」

 

 にこやかにそう告げるシャラスの様子は冷静そのもので、勢い任せの感情ではなさそうだ。

 言っていることは少し不穏に感じるが、隣にいるヴァンは特に嫌がる素振りもしていないのでこのまま進めても大丈夫とゲブは判断した。

 

「では、そういう方針で進めさせてもらおう。ヴァンもそれでよいな?」

 

「はい、異存はありません。」

 

 その言葉を聞きシャラスは大層嬉しそうに笑顔を輝かせる。

 ……こうしてる分にはただの可愛らしい少女なのだが、と少し微妙な気持ちになりながら、ゲブは話を続けた。

 

「では、次の話に移させてもらおう。シャラスくん、簡単に自己アピールをしてくれ。あ、本当に簡単で良いのだぞ?特技とかを端的に伝えてくれればそれでよい!」

 

 ゲブは先程と同じ事態になることを恐れたのか、念には念を入れて注意した。

 おそらくここで言わなければ彼女の超絶怒濤のピーアールが始まっていただろう。

 シャラスは心得ました、と一言入れると悪印象を抱かせないためか、普通の自己紹介を始める。

 

「改めまして、私の名前はシャラス・ラスリィー。到達階層は十二階層です。見ての通り、私はアマゾネスですが一族が呪術師の家系にあったことから魔法を主体とした戦闘が得意です。使用可能な魔法は自力で修得したモノを含めて複数ありますが、詳細は入団後にお話しします。話せる範囲で簡単に説明すると回復と攻撃、支援系など三種類の魔法は有しています。……その、過去のトラウマでモンスターとの直接戦闘はできませんが、後衛からの支援は十分にできますのでご安心ください。」

 

 後半のトラウマの部分が気になるところだが、嘘を見抜くことができるゲブが何も言わないことから問題がないというのはホントの事なのだろう。

 おそらく一緒に迷宮へと潜ることになるヴァンとしては虚偽の情報さえなければ不都合はなかったため、そのまま続けさせた。

 

「戦闘以外のことだと掃除に洗濯、料理、裁縫、あとは簡単な調薬とかもできます。」

 

「ふむ、なるほど。」

 

 良妻賢母というべきか、割りと何でも出来そうな人材にゲブからは好感触を受けていた。

 

「それと、夜伽の訓練は実家の母から叩き込まれてますので、そんじょそこらの遊女など目にならないくらいの快楽を教えられると思います。」

 

「ねぇねぇ、神様?どうして急にロニーの耳、塞ぐの?何にも聞こえないよ?」

 

「急にとんでもないことを口にするな、君は!?」

 

 既に混乱状態から回復していたロニーだったが、あまりにも性的に過激そうな話が出てきて、主神ブロックが発動していた。

 一方、ヴァンは少しだけ興味を示していた。

 

「もう、大体分かった。ここまでの話に嘘偽りはなかったと私が認めよう。」

 

 若干疲れ気味のゲブだったが、あと少しの辛抱だと自分に言い聞かせる。

 

「では、いくつか質問をさせてもらおう。シャラスくん、君は今まで悪事を働いたことはあるか?」

 

 非常に直接的な質問を投げ掛けるゲブだが、入団試験であるため誤魔化しが効かないように、遠慮なくこういった物言いにしているのだ。

 シャラスは動じることなく、返答する。

 

「いえ、私は決して悪事に手を染めたことはありません。」

 

「……ふむ、分かった。では、次の質問だ。」

 

 特に意味合いを歪められた形跡はなく、彼女が真実を告げているとゲブは判断し、淡々と質問を続けた。

 一つ、二つと順調に予め用意してきたゲブからの質問に答えていくシャラス。

 自分の【ファミリア】でやっていけるのか、その判定基準として投げ掛けられる質問なのだが、シャラスはほとんどノータイムで答え、一歩ずつ、着実に入団に近づいていった。

 

 しかし、とある質問の時だけ、彼女は返事につまった。

 

「え、ヴァン様も私のステイタスを確認なさるのですか?」

 

「ああ、団員のステイタスを知ることでその人と成りが簡単にだが分かるからな。団長であるヴァンにも情報共有するのが筋なのではないか?」

 

「……変わった方針を取ってらっしゃいますね。」

 

 彼女はステイタスをヴァンに見られることを嫌がった。

 他の質問に比べると少しだけ時間が掛かったが、背に腹は変えられませんかッ、と覚悟を決めた様子で了承した。

 その後は順調に進み、最後の質問を終えたところでヴァンとゲブは視線を合わせ、互いに縦に頷いた。

 

「おめでとう、シャラス。君を今日から私の【ファミリア】の一員として認めよう。」

 

「……ッ!?ありがとうございます!神、ゲブの名の下に誠心誠意【ファミリア】に貢献していきます!」

 

 感極まった様子で涙をこぼしながら、本当に心の底から喜びを感じたシャラスは改めてゲブへの忠誠を誓った。

 

「おめでとう、シャラスおねぇさん!分からないことがあったらロニーに何でも聞いてね!」

 

「ええ、これからよろしくね、ロニー。」

 

 先輩として背伸びをするロニーに微笑ましく思い、笑みを浮かべるシャラス。

 端から見るとどっちが先輩か分からなくなりそうだ。

 

 最後に眠そうに欠伸をするヴァンへと向き直ったシャラスは彼の手を取り、満面の笑みを浮かべて改めて挨拶をした。

 

「これから末永くよろしくお願いします、ヴァン様♪」

 

「……取り敢えずその呼び方、どうにかしてくれないか?」

 

 ヴァンは目を擦りながらそう言った。

 

 

 

 

 







問題なく(?)、入団しました。
アマゾネスのシャラスです。
ヴァンはそれなりの技量を持ったサポーターがほしいと思っていたので、わりと乗り気ではありました。
……中身はともかく優秀な人材ですので。
詳しいステイタスは次回公開予定です。


大まかな外見と性格を載せときます。


シャラス・ラスリィー

ウェーブのかかった黒髪を肩の近くまで伸ばし、茶色の瞳を持つ。
肌の色はアマゾネスゆえに褐色で非常に落ち着いた""お姉さん""といった印象を抱かせる外見である。
身長は165センチでヴァンよりも少し小さい。
胸はまあまある。

魅力的に感じた雄に対しては猪突猛進!恋に生きるアマゾネス。

ちょっとアレな性格なだけで、常識人の分類です。


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