儚き旧世界より   作:RedQueen

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どうも、RedQueen です。
ペース的には一日間ですが、少々文が短いかなと感じますね。
まあ、文の構成は置いておくとして序章へと参りましょうか。



序章にして崩壊の予兆 弐部

「呪力が使えるようになったら何したい!?」

 川辺から少し草地を進んだ辺り、皆が町の風景を涼しげな風に吹かれながらくつろいでいると突然に早季が話題をふってきた。

「覚は?」

「俺はそりゃドガーンって岩とかさ!」

 早季の問いに覚が拳を掲げ答える。

「真理亜は?」

「とりあえず船で移動したいわね」

「真理亜って船好きだったか」

「ううん、大人だけズルいって思っただけよ」

 ほほう、まあ呪力を使えない子供からしたら、そう思う子がいても不思議ではない。

「麗子は?」

「わ···私はお料理かな。作ってみたいのたくさんあって、それとーー」

 早季の隣に腰かけていた麗子はあわあわとした様子で答える。

 この流れからして俺にもまわってきそうだな。そうだな、呪力を手に入れたらーー

「イタズラの幅が広げがりそうだな」

 言葉に出てしまっていたらしく、皆が懲りないなといった感じで軽くため息をつく。

「ほんと、鴇は変わらないわね。もっといい考えは浮かばなかったの?」

 ないな、まったく。

「じゃあ早季はどうなの?」

 早季をはさむようにして麗子とは逆の位置に座っていた真理亜が問いかける。

「ん? 私!?」

 自身にふられると考えていなかったのか、早季は驚くようにして立ち上がる。

「どうせアレだろ?」

 覚にはなにかわかっているらしい。まあ、早季がずっと言ってきたことと言えば。

「八丁標の外を探検したい!」

 やはりか。

 バケネズミみたいな外の動物や素敵な景色を見たいと語る早季の顔は真剣そのものといった感じだ。

 まあ、子供ってのは生ける好奇心の塊みたいなものだから早季の考えもわからなくもない。しかし、それは”本当の外”を知らないからである。

「僕も一緒かな。その時は絶対早季と行くよ」

 俺のとなりにいた瞬が早季の夢に同調するように宣言した。同じ夢を持った二人の間で会話が続こうとした次の瞬間、

「コラアアア!! 瞬! 調子乗んなよ!? 私も一緒に行くし!!」

 怒りの表情全快の真理亜が二人の間に強引に割って入り、獰猛犬のようにガルルルと威嚇する。その真理亜の勢いに乗るようにあの大人しかった麗子も、

「わっ···私もそのっ···一緒なので!!」

 早季を好きなのはいいが、潰しちゃってるぞお二人さん。

 

 

 

「なあ、お前ら知ってるか?」

 将来の願いを語り終えたところで、覚がゆらゆらと奇妙に揺れながら立ち上がる。

「呪力に目覚めなくって、小学校を卒業できない奴もいるらしいぞ?」

 覚のホラ話開幕に相変わらずだなと手の甲をつく早季とは裏腹に、麗子と真理亜は目を見開いて固まってしまった。

「でも···小学校を卒業できなかった人なんて町にいないぞ?」

「まあ確かに、そんな人がいたら話題にはなってそうだな」

「ちょっと瞬に鴇までやめてよ! どうせホラ話なんでしょ??」

 麗子たちが本気で怖がってそうに感じた早季が話をやめるよう促すが、覚はいたって止める素振りを見せない。

「ネコダマシっていう大きな猫に連れ去られるらしいんだ。小学校を最後に卒業した先輩の話なんだけど···」

 

        ”最後の一人になってからだいぶ経ちーー

             不安に思っていた時期に···

        帰宅中後ろに何か気配を感じたらしいんだ···

         でも振り返っちゃいけない気がして

          そのまま進んで···ふと気が付いた

 

        自分の後ろから伸びる巨大なネコのカゲに······!!

                              ”

 

 

 

 川辺でのあの日からはや数月が経ち、今まさに卒業の時期に差し掛かっていた。大所帯で賑やかだった私貴園も、俺と早季だけとなっていた。

「皆さんが卒業してこの『私貴園』も残り二人となりましたが、焦ることなく毎日をーー」

 静けさが漂う教室に先生の声だけが響き渡る。隣の席の早季はというと、覚より卒業が遅れたことがよほど悔しかったらしく重苦しい表情でいる。

 

 そして刻々と時間が過ぎていき、あっという間に放課後を迎えた俺たち二人は林道を歩いていた。いまだに早季は重苦しい雰囲気のままでいる。

「ずっとその調子で疲れないか?」

「······んん···」

 今日一日を通して早季に話しかけて返事が返ってきたのは数えるほどでしかない。まあ、覚に負けた悔しさ以上にどうやら別の考えがあるようだが。

 そうこうしているうちに巨石をさけるようにして奥に続く分かれ道に差し掛かった。俺は窪みを利用して這い上がり、上から早を季見下ろすようにして巨石の真上に腰かける。

「じゃあな早季。あんま思い詰めんなよ」

「う、うん···鴇も、お互い卒業できるように頑張ろう」

「おう」

 お互い手をふって、早季は右に伸びる道に足を進める。

 どうせあの早季のことだ。明日になればいつもどおりに戻ってるだろ。

 そう内心思い巨石から飛び降りようとしたその瞬間、前方の茂みのほうから奇妙な音が聞こえてきた。かすかなものだったので空耳かと思ったのだが、確かにその音は早季が向かった方角へと消えていった。

「どうやら、そうこうしていられる時間もないのかもしれないな」

 いつにもない真剣な眼差しで音の正体の居場所を捉えようとした鴇だったが、もはやその存在はとっくに消え失せていた。

 




ふう、眠いなぁ。でも書き出したら止められないなあ。満腹満腹。
「どこのおっさんだよ」
おお、僕の旧友たる鴇ではありませんか。
「おう、久しぶりだな主」
久しぶりって、昨日ぶりですがね。まあ、それは置いといてーー 
お二人は見事に卒業できずにいますね。早季さんのほうはなにかと焦りが見られるようですが。
「まあな、早季にもいろいろあるんだろ。俺らが深く考えたところでどうにもできないし」
そういう鴇は普段通りですね。あなたも同じ立場にあるのですよ。
「俺か? はは、冗談はよせよ主。わかってんだろ」
おお、そうでしたかね。あはは。
『もういいから、終局といくぞ。あまり時間を無駄にするな』
ではでは、この辺りでさよならですね。
それではまた、次回でお会いしましょう。
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