東京の大学に入学して2年目のある日その電話は突然かかってきた。名前を確認すると『母さん』と表示されている。
「もしもし。母さん?」
「八幡くん……お父さんが!お父さんが!!」
16年間母さんの焦った声を聞くのは初めてだ。
「父さんがどうしたんですか?」
息をのみ母さんの言葉を待つ。電話の向こうで泣く母さんを落ち着かせ言葉を待つ。
「あのね…お父さんぎっくり腰になったの…」
ガタンッ!
こういうオチの時に椅子から落ちるのはバラエティーだけだと思っていたがそんなことはなかった。立ち上がり母さんの話を聞いていくとどうやら重いものを持ち上げた時になったそうだ。
「それでね八幡くん、お父さんが治るまで内浦に戻ってくれるかな?」
「それは大学を休学しろって事ですか?」
「そうなるよね……やっぱりこのはな『いつ帰ればいい??』えっいいの?」
父さんありがとう!ぎっくり腰最高!これで堂々と大学に行かなくてすむ。そう考えるとニヤニヤが止まらない。
「そうと決まれば直ぐに帰ります」
「ホントにありがとう!八幡くん……でも内浦に行く前に大学にしっかり届けを出してからだよ?」
「り、了解しました」
母さんは電話だと喜怒哀楽がすごくわかりやすい。最後の声なんて怖すぎだろ。危うく漏らすとこだったぜ…とりあえず明日大学に行って休学届け出してそのまま内浦にいくか。
「そういや1年以上帰ってなかったか…」
自分が育った町に思いを馳せ明日のために早めに寝る事にした。
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「帰ってきたな…」
やはり静岡県内から見る富士山が日本一!と言いたいが山梨から見た富士山も綺麗なのも認めざるを得ない。新幹線を使おうとしたが沼津には新幹線は止まらない事を思い出し泣いた。仕方なく東京からバスで沼津駅までのチケットを取った。途中でよったサービスエリアで有名なメロンパンをお土産に内浦に到着した。大学に休学届けをだし東京を出たのが昼の12時頃なのだが渋滞に巻き込まれ内浦に着いたのは午後6時とめちゃくちゃ時間がかかった。
「とりあえず家に向かうか」
俺が育った内浦にある旅館「|十千万〈とちまん〉」を目指し内浦行きのバスに乗る。丁度よくバスが来たからいいが1本バスを逃すと1時間近く待たないと次のバスは来ない…田舎の怖いとこだ。
そんなバスに揺られる事20分弱、内浦港のバス停で降りた。ホントはもう1つ先のバス停で降りれば家は直ぐ近く何だか少し歩きたくなった。
「やっぱり人…全然いねえな」
内浦に着くまでのバスも俺以外は誰も居なかった。まあ俺的には余り人と関わりたくないから都合がいい。しばらく歩いてると三津海水浴場が目の前にある十千万に着いた。
『ワンワン!!』
「グェッ」
敷地に入った途端真横から衝撃が襲ってきた。尻餅を着き重い何かがのしかかってくる。まあ、分かってるんだけどね?
「ただいま、しいたけ」
『ワンワン!ワン!』
「しいたけ〜うるさいよ!」
しいたけと玄関前で戯れていると美渡姉さんが出てきた。が俺と目が合うと口を開け目を見開いていた。めちゃくちゃ驚いているのがわかる。帰ってくるのつたえて無かったから驚くのは分かるけどこんなに驚くとは思って無かった。
「美渡姉さんただいま…」
「………」
「おーい美渡姉さん?」
ヘンジガナイタダノシカバネノヨウダ。
「あの…みとね『はちまん!!!』いたただだ!!」
「あんたなんでここに居るの!?大学はどうしたー!!」
1年ぶりの再会で感動のあまり驚いているのかと思ったら違ったようだ。チョークスリーパーを決められめちゃ苦しい!と言うかあと少しで落ちそう…
「美渡〜お母さんから八幡くんがお父さんの代わりに帰ってくるって」
「えっ!そうなの!?」
「ゴッホッッゴホ」
救世主様の現れに俺は解放された。
「八幡くん大丈夫?それとおかえり〜」
我が高海家の長女でこの旅館十千万を切り盛りする若女将でもある志摩姉さんが背中をさすってくれる。やっぱり志摩姉さんは最高だ…危うく惚れそうになっちまうとこだった。
「志摩姉それほんとなの?」
「さっきお母さんから連絡があってお父さんが治るまで八幡くんには大学休学してもらう事になったって」
「休学?それならそうと早く言いなさいよ八幡!」
「痛い痛い、やっホントに痛い」
バシバシと美渡姉さんが背中を叩いてくる。先程まで優しさで満たされた背中が今はめちゃくちゃ痛い超痛い。
「二人とも近所迷惑になるから早く家に入って〜」
「じゃあ裏口から入りますね」
2人から離れ裏口へと向かう。正面の玄関から入ると宿泊しているお客と会ってしまう可能性がある。靴を脱ぎ俺の部屋の場所へ向かう途中呻き声が聞こえてきた。
「うぅ……俺も…歳か…」
うん。聞かなかったことにしてとりあえず部屋に向かう。部屋に入ると昔使っていた勉強机に本棚くらいしかなかった。東京に必要な物は持って言ったしこんなもんか。とりあえず着替えて厨房に向かう。父さんの仕事を代わりにやるからには半端な物はお客様に出せない。あれ?俺ってこんなに働き者だったか?
「さてと…やりますか」
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「ご馳走様でしたー!」
「料理すっごく美味しかったです!」
「あ、ありがとうございましたー」
夕飯の料理を出し終え後片付けをしていると女子大生位の人達に話しかけられた。正直家族以外の女子とは余り話したくはない。
「お兄さんすっごいイケメンだったね〜」
「それあるー!」
せめて部屋に戻ってから言ってほしいものですね。意識しちゃうじゃないですかやだー。俺のどこがイケメンなのか誰か100文字以内で簡潔に教えてくれ。
「八幡くんお疲れ様〜」
「志摩姉さんもお疲れ様」
食器を持ってきた志摩姉さんと共に雑談をしながらそれを片付けていく。片付け終わり父さんの部屋にまかない飯を持って入る。
「おおっ…勇者八幡よくきてくれた」
「某RPGみたいな対応やめてください」
「一日中部屋に1人は寂しい…」
いい歳して何言ってんだこの人は乙女か!まかない飯を置いてさっさと部屋を出よう。
「もう行くのか?もう少し話さないか?」
「明日も来ますから…」
部屋を出る時まで乙女発言連発の父さんを無視し部屋に戻ろうとすると正面玄関の戸が開いた。まだ帰っていなかった客でもいたのか?そう思い玄関に向かう。
「………」
「ええ……」
太陽の光を浴びたツヤツヤのみかん色の髪をした女子高生が倒れている。いや寝てるだなこれは、家に着いた途端寝るとは…1年ぶりに会う妹に兄は心配です。
「…おかえり千歌」
ここまで読んでくれてありがとうございます。
元々ダンまちの小説を書いていましたがラブライブ!サンシャイン!!にハマってしまい書きたくなったので書いております。
不定期更新なのでゆっくり書いていきますのでよろしくお願いします!