「とりあえずサーヴァントを呼べる状態を確保しました」
彼女の名前はマシュ・キリエライト。見た目は普通の女の子だがデミ・サーヴァントとという状態で普通の人ではないらしい。自己紹介が遅れてしまった、俺は藤丸立香。なんだかんだでマスターに選ばれた…いや、マスターにならざるを得なかったただの青年だ。そう、こうなる前までは。
『藤丸君、今からサーヴァントの召喚を行う。君は何もする必要はないけど出てきた英霊と協力する必要がある。君の腕にある令呪はその英霊のセーフティ、安全装置にもなるんだ』
通信越しに俺に話しかけるのはロマニ、通称ドクターと呼ばれている。
「はぁ…本当に大丈夫なんでしょうね?」
溜息をつきながら俺を指さすのがカルデアの所長、オルガマリー・アニムスフィア。って俺信用なさ過ぎじゃないですかね?!いやたしかについさっきまでただの青年で魔力も全然でしょうけども!
『やるしかないんだよ、このままサーヴァントがマシュだけじゃマシュがもたないだろう?いつ敵が来るかも分からない、早く召喚してしまおう』
マシュが頷くと急に眩しくなった。どうやら召喚が始まったらしい。
『いいかい?とにかく召喚されたら契約をーー』
ビーーッビーーッとなる警報音。何があったんだ?!
「どうしたのロマニ!」
『どうやら召喚に問題が生じたらしい!出てくるのが英霊ではない可能性がある!』
「はあ?!どういうことよ?!」
…まるで意味がわからない。マシュが俺の前に来て盾を構える。一体何が出てくるって言うんだ…?!。
「…来ます!」
バチバチと音を鳴らしながら辺りがどんどん明るくなる。たまらず目を閉じる。
「…」
「…」
『…』
沈黙もつかの間、目の前には人がーーって上半身裸…?
「えぇっと…一応人型は召喚されたわね」
「そうですね…」
男だ。体は細いが筋肉質で髪は黒色、いたって普通だ。
「ブロリーです…」
物静かそうな男はそう呟いた。自己紹介されたならおれもしないとな!
「俺は藤丸立香。よろしく!」
握手をしようと手を差し出す。が、ブロリーからは何も返しがない。
「それ、何の意味があるんだぁ…?」
どうやら握手が何の意味があるか分かっていないらしい。
「これは挨拶というか、これから一緒に戦うからよろしくって意味なんだけど…」
「カカロットはどこだぁ…?」
カカロット…?聞いたことない単語だ。
『…ブロリーっていう英霊はいない?!どういうことだ?!』
後ろが騒がしいけどどうせ分からないのでブロリーと話を続ける。
「その、カカロットっていうのは人の名前?」
「…俺の殺したいサイヤ人だ…」
サイヤ人…?ますます分からない。しかしこれはチャンスだ。今のうちに契約してしまおう。
「じゃあ取引をしよう」
「?」
「俺たちは各時代に散らばった聖杯、って言うのを集めないといけないんだけど…その世界のどこかにブロリーが探してるカカロットってやつがいるかもしれない」
あくまで推測だけど。だってサイヤ人の英雄とか知らないしそもそもサイヤ人なんて聞いたことないから…どこかのパラレルワールドから来たのかなって。俺の推測。
「…なるほど、つまり俺がカカロットを殺すのをお前達が手伝う代わりに俺がお前達の抱えてる問題を解決するのに付き合えと?」
まあそう言うことになる。お互いに利益だと思うんだけど。
「…」
考えている。後ろは未だに騒がしいがまあ…ほっておいても大丈夫なはず。ブロリーが顔を上げ不敵な笑みを浮かべる。
「いいだろう、ただしカカロットが見つからなかったらお前を血祭りにあげてやる…」
今半分死刑宣告されたよね?!まぁ…とりあえず契約できたみたいだしいっか…。
「先輩!危ない!」
マシュの声だ。ブロリーの後ろの方からスケルトンが矢を…!避けきれない…!ブロリーも俺も撃ち抜かれてしまう。頭が真っ白になる、何もできないまま俺は目を閉じてしまった。