Fate/imprefection wish   作:えんじゅ

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第二話 葬式

 あれから季節が変わって肌寒くなり、12月3日。今日は母さんの葬式の日だ。

 事件の日はまだ暑苦しい9月上旬だったことを考えると、時間が経ったことを否が応でも思い知らされる。あれから施設への引っ越し、各種手続き等々、怒涛の3ヶ月間だった。とっくに冬服に変わった制服に袖を通しながらしみじみと感慨深くなってしまう。

 半ば無理矢理喪服に着替えさせた沙耶を連れて会場に向かう。といっても誰も招待されていない小さな式だ。僕は葬式になんて頭が回ってなくて、職員さんを始めとした周りの勧めからこの葬儀は行われることとなった。曰く、母さんの冥途を祈り、僕らの気持ちの整理をつけるために。

 でも、と僕は考えてしまう。

 49日もとっくに過ぎての葬式。別れの言葉もないままの突然の離別。身寄りがなくなった僕ら。

 大学への進学なんてありえないだろう。就活ってどうやるんだ。無駄に進学率の高い高校に入ってしまったから、周りに就職する友だちなんていない。

 考え始めたらきりがない混沌とした想像が襲ってきた。あの日以降、ずっと不機嫌で言葉数が少なくなった沙耶の手を引いて会場への坂道をあがる。僕も、坂道と沙耶を引きずっていることを差し引いても、ずるずると気乗りしない足取りだ。早く着いて、早く終われ。

「すみません、少しお尋ねしたいのですが」

「あ、はっ、はい!何でしょうか!」

 気づくと僕と同じか少し年上くらいの、地元の上枝では見たことのない学制服に身を包んだ女の子が一人、傍に立っていた。坂道は途中で枝分かれしており、僕らからは見え辛い横道側から現れたのだろう。僕はかなり驚いてしまって、声が上ずってしまい挙動不審な対応になってしまった。勿論、いきなり女の子が現れたことへの驚きもある。でもそれ以上の驚きは、その女の子が今までに見たことがないほどの美少女だったことだ。すらりと伸びた白く長い手足、造形の整った顔、長い睫毛、つややかな長い黒髪。加えて何とも言えない浮世離れた雰囲気を醸し出している。芸能人とか、こんな感じなのだろうか。

 美少女は、慌てふためく僕を見ながら柔らかなソプラノの声で丁寧に尋ねた。

「突然申し訳ありません。円孟寺へ行くには、こちらの道で合っていますでしょうか」

「あ、はい!僕たちも今から円孟寺の近くに行くところで……。良かったら、ご案内します」

「あら、いいんですか?それはとっても助かります。ありがとうございます」

 円孟寺というのはこれから葬式が行われる会場の二軒手前にある寺だ。だからこのまままっすぐ会場へ向かえば自ずと寺も見えてくるだろう。今日担当してくれるお坊さんも、円孟寺から来てくれるらしい。

 ふと、女の子は沙耶を見てふわりとほほ笑んだ。

「妹さんですか?可愛いですね」

「はい。ありがとうございます。ほら、沙耶、お礼は?」

「……」

 相変わらず不機嫌そうにだんまりを決め込む沙耶。いや、心なしか不機嫌の度合いがますます深まっている気がする。最近沙耶は僕が誰か別の人と会話をするだけでも不機嫌になっていたので、今回もおそらくそれだろう。

「すみません」

「いえいえ、大丈夫ですよ。それにしても、仲の良いご兄妹で素敵ですね」

「いやー、ははは……」

 それからも沙耶はずっと黙っていたが、僕らは坂道を上る間に当たり障りのない会話をした。今日の天気のことや、坂道がつらいことだとか、あと彼女の制服の事。彼女は日本とフランスのハーフで、インターナショナルスクールに通っているらしい。なるほど、だから地元で見たことがなかったのか、と僕は心の中で膝を打った。

「あ、見えてきましたね。あそこが円孟寺です」

「ああ、ありがとうござ……、!?」

「ど、どうかしましたか?」

 彼女は大きな目をさらに大きく見開いて、寺を指さした僕の左手を凝視した。

「そ、その痣……、どうしたんですか」

「え?ああ、これですか。全然痛くも何ともないんですけど、なんか全然消えないんですよね。もう出て数か月経つから、そろそろ皮膚科行こうかなぁ」

 どうやら僕の左手の甲に出来た痣に驚いたらしい。確かにやけに幾何学模様っぽくて悪目立ちする痣だ。病院に行く暇がなかったせいで放置してた。

 それにしても彼女の反応は、なんというか、何か恐ろしいものを見たかのようだった。

「で、では、私はこれで。ありがとうございました」

 女の子は今までにこにこしていたのに、血相を変えて寺の境内へと小走りで駆け上がってしまった。彼女の後姿と、自分の左手を交互に見比べる。

「そんなにグロいかなぁ、この痣。ねぇ、沙耶、どう思う?」

「知らない」

 沙耶は相変わらずだった。

 

 約束の場所に駆け上がる。驚いてしまったとはいえ、まるで逃げたかのようだ。――怪しまれてしまったでしょうか?

 自分の左手の甲に現れた痣をぐっと抑える。でも、あの人は本当にこの痣の事を何も知らないようだった。だとしたら、なんと不幸な事だろう。……でも、私にはやらなくてはならないことがある。

 その時、私の頭の中に、訛りの強い土佐弁が語りかけてきた。もう慣れ親しんだ感覚だ。

(ミサ。あんの神父は不審な動きしちょらん。まっすぐこの場所に向かってきちょる)

「坂本さん……」

(なんかあったがか)

「偶然、新しいマスターを見つけました。本人は高校生くらいで、小学生くらいの妹連れ。妹さんは喪服を着ていましたから、おそらくここの近くの斎場に行くのでしょう。桐生神父からターゲットを切り替えて、そこに向かい、しばらく様子を見てください。ただ……」

(ただ、なんじゃ。はっきり言わんか)

 声はせっかちで、イライラしているようだ。でも、私もまだ確証があるわけではない。

「そのマスターからは魔力を何も感じませんでした。ましてや令呪についても何も知らなそうで……。ひょっとしたら魔術師ではない可能性があります」

(なんじゃそれは。魔術師じゃない奴を聖杯が選ぶがか?)

「魔術というのは遺伝によって大きく左右されるもの。親族や祖先に強力な魔術師がいた場合、本人が魔術師ではなくとも才能が眠っているというのは往々にしてありえます」

(そんでも、召喚は難しいろう。ちがうか?)

「ええ。このままではいつまでも聖杯戦争が開始されない恐れすらある。でもそこは私たちの管轄ではありません。教会の仕事です」

 ここでハッとする。もうすぐ私をここに呼び出した桐生神父がやってくる。あの神父が意味もなくこんな郊外の場所を指定するとは思えない。

 ひょっとして、桐生神父はもうすでにあの少年に接触している、もしくはこれからしようとしているのではないだろうか。

「……なんにせよ、です。セイバー、しばらく監視を頼みます」

(チッ、了解じゃ)

 頭の中から声が遠ざかっていく。行ったようだ。

「あの子がマスターだとしたら、あと、一人。それで聖杯戦争は幕を開ける。……お父様、お母様、どうか見ていてください」

 

 斎場に着いて、真っ先に僕らを出迎えたのは、あの強面の刑事さんだった。

「君たちには、どんなに頭を下げても意味はないだろう。……この日までに事件を解決出来ず、本当に申し訳ない」

 刑事さんはまるで土下座でもする勢いで、僕たちに深々と頭を下げた。当然のことながら中年の男性に叱られることはあっても、謝られることは今まで経験していなかったので僕は狼狽してしまった。

「い、いえ、どうかお気になさらず……」

 いや、本当は気にしてくれるのはありがたいのだ。ただどうしてもうまい返しが思いつかなかった。

 刑事さんはゆっくりと顔を上げた。彫りの深い顔立ちに刻まれた皺は三ヵ月前に見た時よりもますます深くなり、目の下には青黒い隈が出来ていた。本当にこの日までに事件を解決しようと、奔走していてくれたのだろう。刑事さんの顔を見るだけでなんだか喉の奥底のほうが熱くなってくる。

「犯人、つかまえられそう?」

 沙耶が僕の後ろからひょっこりと顔を出し、刑事さんに尋ねた。沙耶が僕以外の人と口をきくのを見たのは久しぶりな気がする。

 けれども刑事さんが一瞬ぐっと、言葉に詰まったのを、僕は見逃さなかった。

「……必ず犯人は私が逮捕する。お母さんの遺体もきちんと見つける。約束しよう」

 嗚呼、と思う。この人は嘘がつけない人なんだ。おそらくその言葉は本心からだ。けれど、犯人の目星や手掛かりは、きっとつかめていないのだろう。もし何かしら情報をつかめていたのなら、こんなに苦しそうな顔で言う筈はないだろうから。

「……頑張ってください。僕たち、待っていますから」

 にこりと微笑んで見せたつもりだけど、きっと上手く出来ていないだろう。顔の筋肉が妙に硬直しているのが分かる。嫌味っぽくなってないといいのだけれど。

 そんな僕の言葉に対しても、刑事さんは真剣な面持ちで頷いた。

「ああ、勿論だ。ところで今日、この後時間はあるかい?ぜひとも会わせたい人がいるんだ」

「葬式の後、ですか?ええ、大丈夫ですけど」

「そうか、それはよかった。由基人君は未成年とはいえ一応立場は喪主だからね。きっと気疲れしてしまうだろう。緊張には甘いものがいい。ケーキでもおごってあげよう。沙耶ちゃんもどうだい?」

 沙耶は無言で頷いた。心なしか口元がにやけている。施設に入ってから外食することなんてまずなかったから、喜んでいるのだろう。正直、僕も嬉しい。勿論ケーキもだけど、その心遣いが何より嬉しい。

「ありがとうございます。あまり人がいない式ですが、一言だけ挨拶があるので、頑張りたいと思います。ケーキ、楽しみにしてます」

 刑事さんはやっと少し微笑んでくれた。笑うとますます皺が深くなった。

 

 母さんの事件は猟奇殺人としてニュースに取り上げられ、一時期話題になった。僕らは未成年、特に沙耶はまだ9歳ということもあり、保護のために職員や学校側には緘口令が敷かれていたようだ。僕も職員さんたちの提言もあり、事件に巻き込まれたことは周りには言わず、休んだのは風邪、ということにしてた。それでも僕らが住んでいた家、いや、事件現場には連日マスコミが殺到していたし、近所ではかなり噂になっていただろう。高校ですらなんだか僕を見てひそひそ噂話をしている人が三ヵ月経ったいまでも多くいる。先生たちもなんだかよそよそしい。高校でこれなのだから、沙耶はもっと露骨な目に合っているだろう。プライドの高い沙耶のことだ。さぞ不愉快な思いをしているに違いない。

 とにかく、僕たちが被害者遺族であることは世間的には公表されていないため、式に来ているのは僕ら兄妹のそれぞれの学校の校長と担任、施設の職員さん、それに警察関係者だけだった。

 お棺には何も入っていないので、当然焼骨などはない。しかも人は少ない。よって最初に僕が挨拶をし、お坊さんがお経を唱えている間に焼香し、大変スピーディに式は終わった。僕たちの気持ちの整理のためのはずが、想定外なほどあっけなく、拍子抜けしてしまったほどだ。

 式が終わったあと、刑事さんは約束通り僕たちに歩み寄ってきた。もう一人、別の中年男性を連れて。

「とても立派な挨拶だったよ、由基人君。お疲れ様。早速で申し訳ないが、こちらが君たちに会わせたかった人、桐生源仁(きりゅうげんじん)さんだ」

「やあ、はじめまして。由基人君、沙耶ちゃん」

 桐生さんという方は刑事さんよりももっと厳つい顔をしたおじさんだった。口調は柔らかいが、そのバリトンボイスと顔の厳つさのせいで何となく背筋が伸びてしまう。

「二人ともそんなに緊張しないでくれたまえ」

 言われて僕の足にひっついている沙耶を見下ろすと、確かに僕以上に緊張し、桐生さんをにらみつけている。桐生さんみたいに威厳のある人は今までにいなかったタイプだから仕方ない気もする。

「式に間に合わず、申し訳なかった。君たちのお母さんとは古くからの知り合いでね。実は由基人君が赤ん坊だった時、一度会っているんだが……覚えていないだろうね」

「え、そうなんですか!?」

 こんな怖い顔の人、赤ちゃんが見たら即効で泣き出しそうだ。

「まぁ、こんなところで立ち話もなんだ。近くにいい喫茶店を知っているんだ。そっちに移動しよう」

 刑事さんががちがちになっている沙耶を気遣って、僕らを斎場から連れ出してくれた。沙耶は刑事さんに対して、いくらか心を開いているようだ。すんなり言うことを聞いてくれる。

 あの坂道を下る途中、円孟寺の境内を覗き込んでみた。そこにあの女の子はおらず、カラスが一羽、瓦屋根の上にとまっているだけだった。

 

 桐生さん、刑事さん、僕、沙耶の四人は小洒落た喫茶店にやってきた。刑事さん、意外にファンシーな趣味をしている。

 僕たち兄妹はケーキをほおばりながら、桐生さんと刑事さんが訪ねてくる質問に答えていた。最も、沙耶はあまり口を利かず専ら僕が答えていたのだけれど。

 質問の内容は学校はどうか、とか、マスコミに追いかけられていないか、とか、施設でうまくやっているか、など僕たちの生活に関することがほとんどだった。桐生さんはコーヒーを飲みながら僕の話をじっと聞いており、僕は僕で(桐生さんとブラックコーヒー、滅茶苦茶よく似合うな)などと考えていた。

 話していて数十分がたったころ、桐生さんがこちらをまっすぐに見つめながら切り出した。

「由基人君、君と二人で話がしたいんだが、いいかね?」

 ぼくはその威厳にまた緊張してしまって、どもりながら「は、はい」とこたえた。

 刑事さんは沙耶の空になったケーキ皿を確認し、沙耶を散歩に誘った。

「10分で戻ります」

「ああ、ありがとう」

 そんなやりとりを桐生さんとしながら。

 

 「さて」と桐生さんが椅子に座り直しながら切り出した。

「君たちのお母さん、楓花さんには大変お世話になった。私は上枝の教会で神父をしているんだがね、君たちのご両親の結婚式も,、その縁で私が執り行ったんだよ」

「え、そうなんですか」

 これには素直に驚いた。というか桐生さん、神父さんだったのか。神父さんというとあの神父服を着ていないとなんとなくピンとこない。

「そして君と二人きりにしてもらった理由だが……率直に言おう。君たち兄妹を、私の養子に迎え入れたい」

「……は!?」

 なんだって?養子?僕らが?

「驚くのも無理はない。君たちにとってみてれば私は初対面のおじさんだからね。……だが生前の楓花さんに託されていてね。何かあったら、君たちを助けてやってほしいと」

 桐生さんはどこか遠い目をしながら呟いた。

「本当に、惜しい人を亡くしたものだよ」

 しかし桐生さんは再び真剣な顔になり、続けた。

「刑事さんに聞いたんだが、由基人君、君、学業はすこぶる優秀だそうじゃないか。大学への学費なら私が出そう。それに沙耶ちゃん、施設でも学校でもうまくなじめていないらしいじゃないか。教会の二階は生活スペースになっていてね、部屋が空いているから君たち二人に貸し出すくらいは造作もない。ああ、家事は多少してもらうが君たちのプライベートは確保されて生活できるから安心してほしい。あと、これは沙耶ちゃんが希望すればだが、学校に居づらいのであれば、私が出資しているミッション系への学校への転校も視野に入れておいてくれ」

 話が一気に急展開して脳がパニックを起こしているのを感じる。

「な、なんで僕たちにそこまで。あっ、も、もしかして、桐生さん、母さんの昔の恋人、とかですか」

 言ってしまったあとに後悔した。なんて馬鹿な質問を。

 桐生さんは少し驚いたあと、くっくと低い声で笑い出した。

「楓花さんと恋人か。残念ながら違うよ、由基人君。高校生らしい発想でいいと思うがね」

「そ、そうですか、すみません」

「なに、謝ることはない。とはいえ、君も混乱しただろう。もう職員の方とは話をしたんだが、これから半年ほど、何回かうちに泊まりにきて検討するのはどうだろうか。もし教会での生活が気に入らなければ、断ってくれて構わないのだからね」

 そのとき、僕は何故か、施設で僕にくっついている沙耶を思い出した。あんなに嫌がっていたのに施設に来て、案の定馴染めていない沙耶。歯を食いしばっている沙耶の姿。

「ぜひお願いしたいです!なんならすぐにでも!」

 僕は身を乗り出して桐生さんに迫った。桐生さんはゆっくりとうなづいた。

「では詳しい打ち合わせは沙耶ちゃんと刑事さんが帰ってからにしよう。それと聞きたいことがもう一つある」

 そう言った桐生さんは今まで以上に真剣で、そして迫力があった。僕も椅子に座り直し、姿勢を正す。

 もしかして、母さんに関係のある事だろうか。

「いいかね。今からいう三つの言葉。どれかひとつでも楓花さんからなにか聞いていないだろうか」

 僕はその言葉を待ち構えた。この人は僕が知らない母さんを知る人だ。そう考えると、膝に置いた手が少し汗ばんだ。

 桐生さんもその言葉を言うのになぜか躊躇いがあるようだった。しかしやがてゆっくりと口を開き、言った。

「令呪」

「聖杯」

「サーヴァント」

 一つ一つゆっくりと低い声で発せられた三つの単語はどれも聞き覚えのないものだった。この質問にどんな意味があるんだろう。

「い、いえ……。母さんからそんな言葉、聞いたことないです」

 僕の返事を聞いた桐生さんは、まるで安堵したかのように「そうか、やはりな」とため息とともに呟いた。

「変な質問をしてしまってすまない。今のは忘れてくれ」

 その後すぐに、沙耶達が帰ってきてしまったことからすぐに養子の話になり、耳慣れない不可思議な三つの単語に触れられることはなかった。沙耶は養子の件にかなり驚いていたけれど、「今いるとこよりマシ」と僕に耳打ちして、話はとんとん拍子に進んだ。その後施設の職員さんも喫茶店に合流してその打ち合わせに参加してくれ、さっそく三日後、僕たちは教会に一泊することとなった。ここまで話が早くまとまるということは、桐生さんはよっぽど社会的立場のある人なのだろう。

 それにしても僕はこの耳慣れない三つの単語が気になって仕方なかった。"令呪""聖杯""サーヴァント"。どれも日常生活では使うこともないし聞いたことがない単語だ。これが母さんとどう関係があるのだろう。その言葉たちは僕の頭の中でずっと引っ掛かり続けていた。

 

 しかし、三日後。12月6日。僕はこの言葉たちの意味を否が応でも思い知らされることとなる。

 "サーヴァント"に沙耶が誘拐されたからだ。

 

 

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