一人の少女がいた。その少女は昔から体が弱く、まともに学校に通うことも出来ずに入院生活を続けていた。そして、その子は儚く死んだ。
「……ということは、ここは死後の世界?」
「そうなりますね」
自分が死んだことを理解した私に、黒装束に大鎌を持った如何にも死神な人が律儀に答えてくれた。周りの風景が歪んで見えるのは死後の世界だからか?
「それで私はこれからどうなるのでしょうか?」
定番だと天国か地獄行きでしょうね。
「実は貴女にはラノベ『とある魔術の禁書目録』の世界に転生して欲しいのです」
「はい?」
一瞬耳を疑った。
これはなんでしょう。最近ネットで流行のテンプレですか?
「いや~、最近人材不足でトリッパーを補充しないといけないと思っていたのに、なかなか予定外の死者がいないので、今回は貴女に行って貰おうと思っているのですよ」
「あの~、どういうこと何でしょうか?」
いまいち状況が分からないので訪ねてみる。
「そうですね。説明しましょう」
~中略~
要約すると、この世界の人々が思い描いた漫画や小説などの世界は下位世界として私達の創造が具現化して実際に作られるらしいです。でも下位世界は破壊神ベヅァーが出現して滅ぼしてしまうことがあるらしいですね。これは上位世界人の創造具現化による世界創造の反動が原因らしい。
ここで一端消滅すると、その下位世界は並行世界諸共滅ぶ。まあ滅んでも上位世界の人々が創造してくれれば再度同じ下位世界が創造されることはあるそうですね。でもそうした事態はできるだけ避けたいという事で、下位世界が消滅しないように反作用を中和して下位世界を安定させている。その方法が上位世界人を下位世界にトリップさせること。
上位世界人の魂が下位世界に存在していると下位世界は安定する。その為、予定外の死者が出ると積極的に下位世界に送り込んでいる。
更に上位世界人が下位世界を認識しているという状態が反作用の中和に最も効果的だ。そこで下位世界にいるトリッパー達に、様々な下位世界を行き来する技術を提供したらしい。
現在では下位世界にトリップしたトリッパー達が三千世界監察軍という組織を作り、各地の下位世界に自由に行き来している。
しかし、ここで問題となるのがトリッパーになる人材の不足。元々、予定外の死者というのは少ない。死神が普通にやっていたら滅多に出ないからだ。
確かにミスで死んだ人間をトリッパーにするというのは二次創作ではテンプレだけど、そういうのは頻繁におこるワケがないよね。だから当然トリッパーになる者も少なく、死神が積極的にスカウトしてトリッパーの数を増やしていて、今回は予定通りの死亡した私に白羽の矢が立った。
「だから貴女にはトリップして欲しいのですよ。変わりに三つ特典を与えます」
「三つですか?」
「そうです。よく考えて下さい」
『とある魔術の禁書目録』の世界の力といえば魔術と超能力だ。あの世界の魔術は信仰心が大切なようで、無神論者の日本人の悲しさ、私ではまともに魔術を使えないでしょうね。となると超能力でしょうが、最強の超能力というとやっぱり学園都市最強の一方通行でしょうが、それにするとキャラが被る。なら原作に登場しない能力で最強の力が望ましい。
ここでよくよく考えてみると、あの世界の超能力って汎用性が低い。一つの能力に特化し過ぎていて応用がやり難い。でも多重能力は脳に負担が掛かりすぎるので理論上不可能らしい。少なくとも原作の学園都市では散々人体実験を繰り返しても無理だった。となると一つの能力でありながら、バリエーションが豊富で応用が利く物がいい。
そういえば『ゼロの使い魔』で、四系統の魔法はこの世の全ての物質を構成するとても小さな粒に影響を与える。そして虚無の魔法はそれより更に小さな粒に影響を与えるとされており、虚無を完璧に使いこなせた者は世の理さえ思うままにすると書いてあったね。
物質は元素で構成されていて、元素は素粒子で構成されている。ならば四系統魔法が物質を構成する元素に干渉できて、虚無は素粒子に干渉できると考えた方がいいでしょう。
素粒子か、良い考えかも知れない。素粒子レベルで干渉できるなら大抵の化学反応は再現可能。理論上不可能な筈の多重能力者の様な事もできる。
「では絶対能力者(レベル6)になれる才能に、あらゆる素粒子に干渉できる能力が良いです」
「では学園都市に入学してすぐに超能力者(レベル5)になれて、能力を成長されると絶対能力者(レベル6)になれるようにしておきます」
「それで次は『ファイブスター物語』のファティマの能力が欲しいですね」
ファティマの情報処理能力は凄かった。おまけに身体能力も高くて不老長寿。まさに超人。
「ファティマの能力ですか?確かに絶対能力者(レベル6)の能力となるとそれぐらいは必要かもしれませんね」
能力を行使する際には演算能力と制御能力は大切です。一方通行もスパコン並の演算能力を持っていますが、ファティマならば樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)をも圧倒できる。
「でもそうなると超人的な身体能力になり、原作補正により14歳で外見年齢が固定されて以後不老長寿となってしまいます。あと性交は可能ですが妊娠はできませんがかまいませんか?」
「ええ、それでいいです」
元々子供が欲しいとは思っていないので妊娠できなくても構わない。
「サービスで身体の調整はいらないようにしておきます」
そういえば、ファティマって高度な調整が必要だった。うっかりしていたよ。
「それで最後はアカシックレコードから自由に情報を得られるようにして欲しいです」
「ふむ、ではアカシックレコードにアクセスできるようにしておきます。能力はこれでいいですね?では転生させますよ」
「はい」
私が頷くと、周りの風景が歪み、意識が消えていった。
次に気がついたら赤ん坊だった。正直、この当たりの話しは省いておきたい。死神に三歳あたりになってから記憶を取り戻すようにして欲しいと頼んでおくべきだったと後悔した。他人にオムツを交換して貰うというのはかなりくる。
そんな屈辱の赤ちゃん生活を終えてやっとまともに動けるようになった。
さて今の私は『佐天令子(さてんれいこ)』という女の子です。佐天というと主に外伝『とある科学の超電磁砲』のほうに出てくる無能力者の少女の名字ですね。一つ年下に涙子という妹がいますので、間違いないでしょう。原作には涙子の姉など出てこなかったのでオリ主というものです。
早いものでもうすぐ幼稚園に入る時期になり、両親が私を学園都市に入学させるという話しになった。母親が私を学園都市に送るのは反対していたが、問題なく話しが進んだのは、死神が因果律に干渉していたのでしょうね。
ちなみにアカシックレコードは成長する過程で何となくアクセスできるようになった。欲しい知識を思い浮かべるだけで必要な情報が頭に流れ込んでくる。前世知識とこのアカシックレコードさらにファティマのハイスペックで神童扱いされましたよ。
確かに自分でもチートだとは思うけどね。
さて学園都市か…。先端科学が存在する場所。そして主人公達が生活する場所。
そこで何が起こるのか? 今から期待できる。
まあアカシックレコードを使えば未来も読めるがそんなことをすると面白くない。やはり未来を知るのは必要な時に必要な情報だけに限定しておかないといけない。何が起こるのか分かるというのは面白みがないから。