先程、インデックスの一件で大暴れをした私だけど今は喫茶店にいた。勿論、超電磁砲のイベントをこなすためだ。
偶然を装って御坂と喫茶店で会った。残念美人こと木山 春生(きやま はるみ)を含めてみんなでお茶している訳です。
「君は?」
「私は佐天令子です」
「ほう、君があの支配領域か」
私は有名だから名乗ると一発で気付く。というか学園都市に住む者で私を知らない者はいないだろう。
「それはそうと彼女たちは知り合いかね?」
木山の視線の先には窓に張り付いている涙子がいた。
「幻想御手ね」
「あっ、それだったら…」
「危険な物かもしれないので、今すぐ保有者も保護しないといけません」
幻想御手と聞いてなにかいいかけた涙子の言葉を白井が遮る。やはり涙子は原作通りに幻想御手を手に入れた様だ。
その後は原作通りの話となり、涙子が私達から離れていった。私はその後を追うことにした。
「涙子」
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「少し話しておきたい事があるわ」
私は涙子を連れて少し場所を移動した。
「涙子最近学校生活はどう?」
「どうって、普通だよ」
「そう、問題ないのならいいけどね」
言葉を濁す。
「どうしたの? お姉ちゃん」
私の態度の不信を覚えたのだろう涙子がおずおずと喋る。
「……貴女には私の妹であったばかりに辛い思いをさせてしまったわね」
「えっ!?」
唐突な言葉に涙子が驚く。
優秀な姉と無能な妹。これが比較されない筈はなく、これまで涙子は私と比べられて来たはずだ。それが原作よりも劣等感を強化させていると知っていた。
しかし、だからといって今更私が無能の振りをすることはできないし、私は強力な能力を求めて転生したのだ。涙子に遠慮することはできなかった。
ある意味涙子は私の犠牲者だ。私はそれを知りながらも放置した。これは私の落ち度だろう。
「涙子、能力のことはあまり気にしなくて良いわ。母さんもそんなことは気にしていないしね」
「……」
学園都市では学力と能力で学生の評価が決まる。だから無能力者はテストで0点の看板を背負うことになる。大概の学生は我慢して生活しているが、中にはそんな状況に我慢できなくてスキルアウトになる者もいた。
そんな状況で、姉が学園都市を代表する最高の能力者で、妹が無能力者ではあまりの落差だ。
「涙子、なにも能力が使えなくても将来困るという事はないわ。普通の職業に能力なんて必要ないもの」
そう、一般社会では能力は必要ではない。例えばサラリーマンに能力が必要か? 答えは否。そもそも能力など一般社会では使い道がない。
「だから学業に専念するなり、なにか技能を磨いて将来なりたい職業に就くというのも良い方法だと思うわ」
学園都市の価値観で考えるから劣等感を抱くのだ。外の世界の価値観で物事を考えれば自然と考え方も変わっていくだろう。
「……お姉ちゃんに私の何が分かるの?」
「えっ!?」
「お姉ちゃんは私の気持ちが分かっていない!」
そう言って涙子は走り去っていった。
「……」
失敗した。涙子の状態を甘く見過ぎていたのかもしれない。
そもそも劣等感を抱いている対象である私が能力のことを気にしなくてもいいと言っても逆効果にすぎない。かえって状況を悪くしてしまったようだ。
幻想御手を使用する一押しをしてしまったかもしれない。勿論今無理やり幻想御手を取り上げることは可能だが、それでは根本的な解決にならない。
やはり初春に任せるしかないのか? 自分の妹の事なのに何もできない。いくら絶対能力者(レベル6)でも出来る事と出来ない事がある。
そして、これは出来ないこと。嫌、今まで放置してしまった事だ。
できれば幻想御手を使用する前に涙子に分かって貰いたかったが、それも無理なようだ。こうなったら原作通りに進ませるしかない。