とある少女の支配領域   作:ADONIS+

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幻想御手 その二(七月二十四日)

 どうしてこんなことになったのだろう。少女『佐天涙子(さてんるいこ)』は思う。

 

 そもそも涙子は、超能力に憧れて学園都市に来ることを望んだ。それはこの学園に来た者の多くがそうだろう。

 弟は無邪気に私が超能力者になれるのだと感心していたが、母さんは私が学園都市に行くのを快く思っていなかった。でも、私はどうしても行きたかった。

 そんな私の思いを後押ししたのが、一つ上の令子お姉ちゃんの存在だった。お姉ちゃんは幼稚園のときに学園都市に行き、そこで天才的な才能を発揮して、強力な能力に目覚めて超能力者になった。

 

 実の姉がそうなのだ。妹の私にも才能があって、凄い力が眠っているかもしれない。学園都市に行く前日などドキドキして眠れなかった。

 

 学園都市の人だって私の入学を進めてくれた。お姉ちゃんがあれほど優れた能力を持っているので、妹の私も期待されていたからだ。でも、現実はそうじゃなかった。

 

「貴女には才能がありません」

 

 それが答えだった。なまじ期待していただけにショックだった。学園側も期待の反動から私に強く失望していた。

 学園都市でもその優秀さから極めて有名な姉。それに対して才能の欠片もない無能力者の妹。姉妹でありながらその余りの落差に、私と姉を比較して無能と馬鹿にされる事が多かった。

 

 それはお姉ちゃんが前人未踏だった絶対能力者(レベル6)になった事でより多くなる。

 学園都市史上最高の天才。至高の絶対能力者(レベル6)。学園都市第一位。常盤台最高の頭脳。お姉ちゃんを称賛する人は多い。

 

 私だって分かる。お姉ちゃんは凄い。でも私は思う。お姉ちゃんの妹なのに何で私はこう何だろう?と

 学園都市では学力と能力で評価が決まる。無能力者(レベル0)はテストで0点の看板を付けて生活していく事に等しい。

 

 何時からか私は心の何処かで、お姉ちゃんに歪んだ思いを持つようになった。お姉ちゃんもそれ事に薄々気づいているのか、私と会うのを控えるようになった。でも憧れを捨てることができなくて、そんな日々を過ごすうちに常盤台のエース御坂御琴さんにあった。

 

 御坂さんは超能力者(レベル5)の凄い能力者だ。勿論、次元違いの力を持つお姉ちゃんと比べると格段に劣るが、それでも私達のような無能力者(レベル0)からみれば雲の上の人。高位能力者の人が傲慢な人が多いと聞いていたので、超能力者(レベル5)ともなるとどんな人か不安でしたが、御坂さんは気さくな人で親しみやすかった。

 

 でも私が佐天令子の妹だと聞くと一瞬だけ意外そうな顔をしていました。あの人の妹が無能力者(レベル0)なのが意外だったのでしょう。能力には遺伝子がある程度関わっているので、姉妹なのにここまで差があるのに違和感を覚えているのかもしれない。

 

 御坂さんはお姉ちゃんの友人らしいです。ならばお姉ちゃんの力もある程度知っていると思うので、それも無理もない。

 幻想御手(レベルアッパー)。それを見つけたのは偶然だった。

 

 最初はそれを調べていた御坂さん達に教えるつもりだった。でも幻想御手の持ち主を保護するという言葉を聞いてそれを止めてしまった。

 幻想御手が危険かもしれないという話しを聞いていたものの安易にそれに手を出してしまった。しかも知人まで巻き込んだ。

 

 あの時、能力の補習を受けることになってぼやいていた知人に対して私は幻想御手を持っていることを教えてしまった。結果的に言うと知人に幻想御手を使うのを唆してしまった。

 

 幻想御手を使い極小さなものだけど能力に目覚めた。私はそれが嬉しくて堪らなかった。例えお姉ちゃんや御坂さんに比べたら大した事がなくても能力に目覚めたのだ。でもそんな喜びは長くは続かなかった。

 

 幻想御手を使用した知人が倒れてしまい、自分のしでかした事を思い知らされた。自分も倒れるのだろうか?

 これがズルをして能力を得た報いなのか? 無能力者(レベル0)はどこまでいっても所詮は欠陥品なのか? お姉ちゃんはこんな私に失望したんじゃないのか?

 不安で堪らなくなって、初春に電話をかけた。初春は私を助けてくれると言ってくれた。

 

 だから安心して寝ていてくれと。初春の優しさが私を安心させてくれる。だから私は待てばいい。

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