とある少女の支配領域   作:ADONIS+

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星の使徒(八月八日)

 星の使徒。それは第七学区をまとめるスキルアウト集団の集団名だ。彼等は他のスキルアウトとは異なり、道(タオ)と呼ばれる学園都市の能力とは別の力を保有していた為、彼等はそれを感じ取れた。凄まじい気の波動を。

「なっ、なんだ。この馬鹿げた氣は!?」

 

 周りが騒然となる。これほどの氣など感じたこともない。まるで、この星そのものすらも圧迫するかのような次元違いの力。

「佐天令子だな。こんなのあいつしかいねぇ」

 

 浜面が吐き捨てる。この場にいる者達は佐天のチートが嫌となるほど理解できる。

 

 学園都市第一位の絶対能力者(レベル6)の上に、道使い(タオつかい)としても自分たちとは次元違いの力を持っているのだ。

 彼等は誤解しているが、実際には令子は『BLACK CAT』の道使いではない。彼女はどちらかというと『ドラゴンボール』の武道家に分類される。

 

『ドラゴンボール』の気と、『BLACK CAT』の氣はいずれも生命力であり、同じ力なので彼等から見ると、その微妙な差が分からないのだ。

「そういえば浜面さん。あの佐天令子とどうやって知り合ったんですか?」

 

 一人の男が顔を引きつりながらいう。その男は神氣湯(しんきとう)を飲んで道(タオ)の力に目覚めてから、それほど時間が過ぎていない新人だ。

 

 彼等『星の使徒』の中では駒場、浜面、半蔵の三人は最古参の道使いだった。

「そうだな。あれは……」

 

 浜面は佐天との出会いを思い出す。

 

 

 それは数ヶ月も前。駒場たち三人はATMを盗んだり、ちょっとワルをやりながらも楽しく過ごしていた。

 

 そんな中で強力な能力者が無能力者を次々と襲撃する事件が起こり、あの女にあった。

「道(タオ)?」

「そう、強力な能力者に対抗するには、これが一番手っ取り早いわ」

 

 佐天より聞かされた学園都市とは異なる力『道(タオ)』。

 ここは佐天が『別荘』(ダイオラマ魔法球)と言っていた場所。何でもここと外では時間の流れる速度が異なり、別荘の一日過ごしても外では一時間しか時間が流れない。実に24倍だ。

「まあ、この神氣湯(しんきとう)を飲む飲まないは君たちの自由だよ」

「これを飲めば良いんだな?」

 

 駒場が確かめるかのように言う。

 

「そうだよ」

 

 あっさりという佐天。

 はっきりいって俺はこのとき戸惑っていた。道の才能がある者ならば、数日の間意識を失い次に目覚めたときに道の力に目覚めるが、才能がない者が神氣湯を飲むと死んでしまうと言われたからだ。

 

 一応佐天からは俺達三人ならば才能があるから大丈夫だといっていたが、安心できるものではない。

「良いだろう飲むとしよう」

 

 そういって駒場はコップに注がれていた神氣湯を一気に飲み干した。

 

「駒場!?」

 

 あまりに大胆な行動に俺と半蔵は驚く。

 

「大丈夫だ。あの佐天令子が今更俺達みたいな無能力者をわざわざ騙したりはしないだろう」

 

 確かに駒場の言う通りだ。

 そもそも佐天が俺達を邪魔だと思って排除しようとしているのならば、こんな手の込んだことなどせずに能力で始末すればいいのだ。学園都市最強の絶対能力者という肩書きは伊達ではない。

 

 そして、俺も思い切って神氣湯を飲んだ。

 

 

「……まあ、こうして起きたら道(タオ)の力に目覚めていたのさ」

「そうですか」

「その後はあの女から道の修行と称してしごきを受けたが、そのおかげで道を使いこなせるようになったな」

 

 嫌そうな顔をする浜面。実際あれは相当きつかった。

「では例のリスト表はその時に貰ったんですか?」

「ああ、そうだ」

 佐天はどうやってか知らないが、スキルアウトの中から道の適性検査をしていたらしく、道の才能のある者をリスト表にまとめていたのだ。

 

 佐天は、そのリスト表と神氣湯、そして活動資金として大量の金塊を俺達に渡して、無能力者狩りを行う危険な能力者を倒す為に『星の使徒』を組織させた。潤沢な資金と神氣湯によりこれは上手くいった。

 最もまったく問題ななかったワケではない。リスト表にのっていなかったにも関わらず、道の力を欲しがったスキルアウトの男が神氣湯を飲んで死んでしまうという事件があったし、道の力を手に入れたら『星の使徒』に参加して俺達と共に無能力者を守るという約束を破って暴走した者まで現れた。

「後は知っての通り、多数の道使いで危険な能力者たちを一掃したのさ」

「しかし、今回の一件は問題では?」

「だから佐天の粛正も黙認したのさ。第一、あいつは俺達がどうにか出来るヤツじゃねぇ。ほっとくしかないさ」

 

 それにアイツは敵対さえしなければ害はないのだ。一定の節度さえ守ればむしろ他の能力者よりも安全だろう。

 

「そうですね」

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