とある少女の支配領域   作:ADONIS+

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 俺は不幸だ。何しろ俺がいると周囲の不幸が俺に吸い寄せられると周りから避雷針変わりに扱われるほど。そんな不幸な事を除くと平凡な俺の運命はある時変わった。

 

 切欠は三年前、中学に上がってすぐに一人の少女と出会った事。

 佐天令子。学園都市第一位にして、たった一人しかいない絶対能力者(レベル6)。

 

 佐天は無敵を地でいく少女だ。学園のカリキュラムを受けてすぐに強力な能力に目覚めて超能力者(レベル5)になったという猛者。そんな規格外なだけに学園都市では有名人だから佐天に話しかけられたときは慌てた。

「それで、ここはどこだ?」

 

 あれよあれよと佐天に連れ出されていきなり訳の分からない場所に空間移動していた。空間移動されたことには驚いた。自分の右手の幻想殺しはあらゆる異能をうち消す。だから空間移動などできない筈なのに。

 

 後で聞いたのだがテレポートドライバーという純粋科学技術による空間転移を使ったらしい。これは異能でも魔術の類でもないので幻想殺しでもうち消せない。

「ここは監察軍。数多の世界に干渉できる場所よ。詳しく説明すると……」

 

~中略~

 

「……というわけね。まあ学習装置があるのでそこで必要な知識を入れるといいよ」

「そんな物があるのか?」

 超能力でさえも科学的に証明できる時代であるが異世界というトンデモな話しは信じられない。

「ええ、実際ここは異世界ブリタニアのスペースコロニーだしね。まあゆっくりと理解していけば良いよ」

 その後、色々ととんでもない物を見せられて驚きの連続だった。何しろ直径数㎞の宇宙戦艦とか当たり前にある。「どこのSFだよ!」と突っ込んだものだ。

 

 おまけにオカルトも網羅している。魔導書や魔術工芸品。様々な世界の知識がここに集まっていた。数多の世界の知識と技術の集結地。監察軍はまさにそう表現するしかない場所。

 この監察軍というのは主にブリタニア帝国という超大国がスポンサーになっているらしい。帝国が直接三千世界に干渉しないのは帝国の暴走を押さえるためとか。

 

 ちなみにブリタニア帝国の魔法皇帝シドゥリさんもトリッパーだけど皇帝という役職に就いているため監察軍とは直接関わる時間が無く、代わりに他のトリッパーに組織を運営させている。

 

 三千世界とは仏教用語の三千大千世界(さんぜんだいせんせかい)の省略で、1000の三乗つまり10億個の世界を意味しているが、数多の世界とその並行世界を網羅している監察軍にとって世界は無限にある。

 圧倒的な国力を持つ帝国が直接干渉したらあちこちの世界が蹂躙される事になりかねない。だからトリッパーが中心になって三千世界に干渉するための専門の組織『三千世界監察軍』が作られたらしい。とまあここまでが監察軍の概要であるが、トリッパーを優遇する制度がある。

 

 組織の構成は主にブリタニア帝国出身者で構成される科学者グループや生活班。各世界で稀に現れる稀少能力(機密らしく内容は教えてもらえなかった)を持つトリッパー。そしてトリッパーから推薦された者達で構成されている。

 

 俺はトリッパーの佐天に監察軍にスカウトされているわけだ。

「それで何で俺をスカウトするのだ?」

 

 自慢じゃないが俺が落ちこぼれ(無能力者)で、学業の成績だって平均よりも下。スカウトされる理由に心当たりがない。

 

「君の能力『幻想殺し』は、私達の間でも類を見ない能力よ」

 

 何でも完全魔法無効化能力みたいにある程度は魔法を無効化する稀少技能はあるそうだが、あらゆる異能を問答無用で消滅させる幻想殺しはその中でも際立った物らしい。

「学園都市では無能扱いだけどね。君の能力があれば魔術や呪いに苦しんでいる人々を助けたりできる。まあ真っ先に頼みたいのは危険な魔導書の始末だけどね」

「俺が役に立つのか?」

 

 正直言って俺は不幸なダメ学生でしかないと心の中でずっと思っていた。だから役に立つという言葉は新鮮だった。

 

「ええ、君がその気になれば三千世界の人々を助けることが出来る。その気にあるなら私の仲間になって貰いたい」

 

 そういって佐天が差し出した手を俺はしばし躊躇った後で握った。

 それから俺は様々な異世界を渡り歩いた。監察軍が把握している世界は無数にあり、科学技術がやたら進んだ世界、剣や魔法のファンタジー世界、元の世界と差して変わらない文明の世界など色々だったが、俺の場合はこの右手のおかげで超能力や魔法や魔術関係の世界ばかり行かされる。

 

 一番やばかったのはアーカムシティがある世界だった。大体デウスマキナとか出鱈目にも程がある。あそこの世界は無茶苦茶やばかった。何度死ぬかと思ったか。

 ちなみに俺は超能力、魔術、魔法などといった異能は全く使うことができない。これは幻想殺しが関係しているらしい。使おうとしても右手にうち消されてしまうので、どうあっても使えない。

 

「はっきりいって学園都市の開発は君には無意味だよ」と佐天に太鼓判を押された。

 確かにいくらやっても使えない物を練習しても意味がない。そこで佐天が戦士型のナメック星人を師匠として紹介してくれた。気や純粋な武術ならば修得可能なので、その分野を鍛えるしかない。

 その時の修行はあまり思い出したくない。ハッキリ言って地獄だったが、そのおかげで気を感じることや、気をコントロールして身体能力を高める事が出来た。武空術などは非常に重宝だ。

 俺と佐天は、夏休みや冬休みなどに長期で世界を渡ることがあるが、その時は身代わりの人形をおいている。この人形は本人と全く同じ姿と性格になり、しかも例え学園都市の科学技術で調べても俺と見分けがつかないほどの物で、俺の身代わりをしている間の記憶も俺と共有している。だからこそ普段人と会わない長期休みの間は問題なく過ごせるわけだ。

 

 しかし、俺や佐天のような規格外の能力となると完璧に模倣するのは難しく、システムスキャンを受ければ一発で怪しまれるだろう。だから可能な限りカリキュラムのない長期休みに限定して使っている。

 そんなわけで早くも高校生となった俺であるが、相変わらず不幸にみまわれている。といっても監察軍で身体を鍛えているので肉体的に傷つく事はないし、金銭的な問題も豊富な収入で問題なく賄えている。余計な贅沢をしなければ生活に困ることはないのだが、ここ最近余計な面倒が発生している。

「見つけたわよ。あんた!」

「また、お前かビリビリ。はあ不幸だ~」

 

 思わず嘆きたくなる。このビリビリ何故か俺に突っかかってくる。

 

「わたしは御坂美琴って名前があんのよ!いいかげん覚えなさい!」といつものように電撃が飛んでくる。それに対していつもの様に右手を前に出してうち消す。

 

「くっ、また!」

 

何度攻撃しても全く通用しないことに苛立つ御坂。

「また、やっているね」

「あら佐天さん」

「お前か佐天。というか、これはお前が原因だろうが!」

 

 このビリビリが俺に絡むようになったのは、佐天が御坂を挑発するような事を言ったことがそもそもの始まりだ。

 

「いや、まさか御坂さんがここまで怒るとは私も思わなかったわ。まっ、君の不幸効果かな?」と言われた。

「はあ、不幸だぁ~」

「まあいいわ。それよりも上条さん戦闘力はどれぐらいになったの?」

「ああ、先日は測った数字だと180だな」

「そうなんだ。それは凄いね」

 

 佐天は感心したようにいう。監察軍のナメック星人などは戦闘力が数千から数万だし、某サイヤ人などは兆単位の戦闘力だ。しかし地球人というカテゴリーで分類するならば戦闘力180という数字は破格の物だ。

 

 散々厳しい修行をして、現在も学生生活をする傍ら腕時計型の重力制御装置で身体を鍛えている成果と言えた。

 ちなみに佐天の戦闘力は30,000とかなり高い。しかも、その戦闘力には超能力が加算されないから、純粋に気の量が数値として出ただけだ。

 

 佐天は成長に悪影響が出るのを恐れて幼いときは身体が出来上がるまでは無理な鍛錬はしていなかったが、ここ数年で戦闘力を大幅に上昇させていた。ナメック星人の最長老に潜在能力を引き出してもらったり、神精樹の実の欠片を食べたからここまで上昇したのだろう。

「それならそろそろ準備はいいかもね」と佐天は意味深な事を言う。

「おいおい、佐天お前また何か企んでいるのか?」

「ふふっ、そうね。色々と悪巧みしているわ」

「……聞いてもどうせ答えないだろう?」

 

 俺は諦めを込めて言う。この少女はいつもこうだ。悪人ではないし、筋は通すのだが、秘密が多くて俺がそれに巻き込まれる事がある。

 

「まあ、そのうち分かるから楽しみにしてなよ」と有り難くもない言葉を残して佐天はその場を去っていった。




解説

 この世界の上条当麻は監察軍に関わって原作よりやたら強くなっています。第22回天下一武道会で、天津飯と戦った時の孫悟空と同じ戦闘力です。上条は幻想殺しのおかげで監察軍では便利屋扱いされている。(それなりに重宝されています)
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