とある少女の支配領域   作:ADONIS+

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 可能な限り原作に近い形で、なおかつミサカを一人も死なせないように実験を終わらせる。

 

 そんな無理難題をこなすために、佐天は工作を開始した。直球にいうと実験初日に上条に実験を中止させる事を依頼した。

 

 事前に教えておくとアレイスターが妨害する可能性があったので、あえて実験直前に上条に依頼してアレイスターが介入する暇も与えず事を終わらせた。

 

 学園都市で活動する以上、滞空回線(アンダーライン)を警戒しないといけないから。

 できれば原作と同じでミサカが殺されかけている場面で劇的に助けに入るというシュチュエーションの方が燃えるのですが、相手が一方通行では数秒でミサカが殺されかねない。それは困るので実験開始前に乱入した。

 私の目の前では上条が一方通行を殴り飛ばしている。

 

 上条の戦闘力は180。『ドラゴンボール』でいえば、第22回天下一武道会で天津飯と戦った時点の孫悟空の戦闘力に匹敵する。

 

 一方通行のベクトル操作を無効化するには些か心許ない戦闘力だが、それならば右手以外は触れなければ良いだけのことだ。

 

 幻想殺しによって反射さえ無効化されれば、強力すぎる能力のためにケンカのやり方すら身につけていない一方通行とナメック星人に弟子入りして武道家として高い能力を持つに至った上条とではその差は圧倒的だ。

 

 本来ならば一方通行は上条の拳の一撃で死にかねないが、佐天は上条にはくれぐれも一方通行には手加減して殴るように言っておいた。

 これは一方通行と上条の戦いをある程度続かせるためでもあった。

 

 私の期待通り、一方通行と上条との戦いでも原作通り一方通行が風のベクトルを操る事を思いついた。これは後々の進行に役に立つだろう。

 一方通行は上条にぶん殴られて気絶している。研究所の連中は今頃大慌てでしょうね。

 

「上条さんもう良いので引き上げましょう」

「ああ」

 

 上条が了承するのを確認すると私と上条はその場から消えた。

「これでいいのか?」

 

 火星圏に待機させている三千世界航行艦のサポートによるテレポートドライバーで研究所の外に空間移動した。

 

 私一人ならばテレポートドライバーを超能力で再現して移動可能だったが、そうすると上条が無効化してしまう。だからこそあえて超能力ではなく、純粋科学技術に頼った。

 

「ええ、これでいいわ。ご苦労様」

 

今回やって貰う事はこれで終わりです。

 

 

「うっ」

 

 倒れていた一方通行が呻く。

 

「気がついたかしら?」

「お、お前は!」

「ここは病院よ。気絶した君を研究所の人が送ってくれたんだよ」

 

 番狂わせがあって混乱していただろうに、ご苦労なことです。

「まず報告しておくけど、今回の件で君の強さに疑問が出てきてしまったので、実験は中止されるでしょう」

「そうか、アレはお前の差し金か?」

 

 一方通行が佐天に聞く。

 

「ええ、私が上条に実験を止めるように頼んだわ」

「ちっ、余計なことをしやがって!」

「本当にそう思う?」

「何だと?」

 

 一方通行は眉を顰める。

 

「確かに君は実験に参加してミサカ達を殺そうとしたけど、もしも彼女達が『死にたくない』とか『実験に参加したくない』と言って貴方に頼み込んでいたら、貴方それでも彼女達を殺せた?」

「……!?」

 

 一方通行は絶句した。

 そう、もしもそうであったなら…。そもそもこんな狂気じみた実験など中止されていただろう。

 

 この実験は一方通行を絶対能力者(レベル6)にするための物だ。そのため一方通行が協力しないというだけで計画が頓挫する。

 

 例え研究者達が実験をやるように一方通行に強制しようとしても、それは実行不可能だ。最強の超能力者は伊達ではない。

「君は心の何処かで、誰かがこの実験を止めてくれることを望んでいたんじゃないの?」

「……」

 

 沈黙する。佐天の言葉が一方通行に直撃していた。

 

「まあ、仮定の話はいいわ。どのみち実験は中止されたんだしね」

 そう全ては終わった事。計画が中止された以上、考えても仕方がないだろう。

「そういえば、あのとき風のベクトルを操ったね。私も風をある程度扱えるから、なんなら私が風の練習に付き合っても良いよ。風力使い(エアロシューター)や空力使い(エアロハンド)の超能力者(レベル5)がいないから私以外適任がいないでしょうし」

 

 一方通行は優れた演算能力を誇るが、それはあくまでベクトル操作に特化している。風も使えるといっても風使いのように風の操作に慣れていない。もし、一方通行と風系の超能力者(レベル5)が風だけで勝負すれば間違いなく一方通行は負けるだろう。

 

 まあ、そんな飛車角抜きのハンディキャプマッチで勝っても、あまり意味はないけどね。だが、一方通行が風の操作に慣れれば、それだけ風の超能力者(レベル5)に近づくことになる。とはいえ一方通行の練習相手が大能力者(レベル4)程度では力不足だ。

 

 その点、私の支配領域(テリトリー)は素粒子レベルで物質に干渉できるからあらゆる科学反応を再現できる。つまり鎌鼬(かまいたち)どころか竜巻や台風でも簡単に使えるので、私ならばそこら辺の風力使いよりも効率よく風を使える。

「へっ、誰がてめえの手を借りるかよ!」

「そう、気が向いたらでいいわ」

 

 佐天はそれだけ言うと病室から出ていった。

 

 

 窓のないビルの中、学園都市統括理事長のアレイスターは溜息を吐いた。一方通行の絶対能力者進化計画の中止。これはいい、元々中断しても問題ない計画だった。しかし実験を一度もせずに終わるとは思わなかった。

 

 そしてそれをなした少女の事を考える。

「お邪魔します、と言うべきかしら?」と不意に少女が声をかけてきた。そこにいたのはアレイスターが考えていた懸念の元凶とも言える佐天令子だった。

 このビルは窓もドアもない上に核攻撃にも耐えられる構造になっていて、空間移動系の能力者でなければ出入りが不可能なはずの場所。アレイスターがここで直接会う者は案内人を務める空間移動系の能力者の手を借りているというのに空間移動系でない佐天が、自力でここに侵入していた。

 

 素粒子を操る能力を応用したのか? それとも監察軍の超技術を使ったのか? アレイスターには何れかはわからないが、彼にはそれは大した問題ではない。重要なのは佐天が自力でこちらに来る手段を有しているという点だ。

「これはどういうことかな?」

 

 言外に佐天が絶対能力進化計画を妨害したことを責める。

 

「別に貴方にとって許容範囲内でしょ? 最初からミサカクローンを皆殺しにするつもりはなかった訳だし」

「……」

 

 アレイスターは、何故それを知っているという言葉は言わない。

 

「それに妹達を身体の『調整』の為とか、同じ外見の人間を学園都市に二万人もおけないからという口実で、世界各地の協力機関に送り込めるから好都合でしょ?」

「君はどこまで知っているのかね?」

「監察軍に関しての概要は話したと思うけど、私達は様々な異世界とその並行世界に干渉できる。だから並行世界を観測すれば粗方の情報は手に入る」

「……」

 

自分でいうのもなんですけどトンデモな話しだよね。アレイスターは沈黙しているし。

「まあ、私個人の意見を言えば、例えこの世界から魔術が消えてもどうでもいいけどね。どのみち無神論者で能力者の私は魔術が使えないから。自分が使えない技術には興味がない」

 

 これは大半のトリッパーも同じだ。監察軍の者は無神論者かシドゥリ教徒が9割以上を占める。今更この世界の宗教にハマる者はいないから、この世界の魔術にはあまり利用価値がないし、既に並行世界で粗方の情報は入手済みだ。

 

 むしろ超能力の方が調査対象になっている。私も監察軍に所属する科学者の調査にいろいろと協力している。

「それより面白い情報があるけど、聞きますか?」

「何かな?」

 

 ふっ、食いついてきたか。

 

「実は……」

 

 私はいろいろと企みながらもアレイスターにさして問題ない情報を伝える。

 

 

 その後、ミサカクローンの一人が、上条に暫く身体の『調整』で会えないと伝えた。今回の一件でアレイスターは実験を中止させた。元々、中止することも考慮にいれていただけに問題なく進み、一部を除いて大多数のミサカは世界各地の学園都市協力機関に預けられた。私は直接聞いてないが、アカシックレコードからその情報を仕入れた。

 

 今は四月なので、三ヶ月後に禁書目録が学園都市に来るでしょうね。となると魔術サイドとのガチバトルとなるけど、その時の問題は……。いや、ないか。本編に備えて大幅に戦闘力を上げたから。

 

 私の『別荘』を使って特訓したり、ナメック星人の長老にお願いして潜在能力を引き出してもらったり、神精樹の実の欠片を食べたので、今の私の戦闘力は30,000にもなる。例えアックアが攻めて来ても、『私の戦闘力は53万ですよ』(byフリーザ)なネタが実行できるほどですから。

 

 超能力も使わずに片手だけでフルボッコできるというか、ここまで戦闘力に差があると魔術も超能力も全く効かないから、この『とある魔術の禁書目録』の世界では、それこそ天使か神でもないとまともな戦い自体ありえないでしょうね。いや天使でも無理かな?

 別荘は『魔法先生ネギま!』のエヴァンジェリンの別荘を参考にしており、他の世界の魔導技術を導入しているなど異世界の技術の集結地たる監察軍の商品らしい代物だ。小さな島に中世ヨーロッパ風の城(実際は監察軍の超技術を導入)があり広大な海が周りに広がっている。時間の早さもオリジナルと同じで外の24倍で外の一時間が別荘では一日に相当する。

 

 更に修行のために精神と時の部屋(監察軍ver)の局所エリアもある。この精神と時の部屋は『ドラゴンボール』のそれと同じような外見で、違うのは重力と空気濃度をこちらで自由に設定できる事だ。

 

 ここは更に別荘の15倍の速度で時間が流れる。つまり24×15=360となり、精神と時の部屋で360日過ごしても外の世界では1日しか過ぎていないという状況になる。

 

 これは多用すると早く歳をとるが、14歳で外見年齢が止まり以後歳を取らないファティマである私には問題ない。

 ちなみに上条は『別荘』は使えないし、潜在能力を引き出して貰うこともできない。『別荘』は複数の世界の魔導技術が使われているから、上条が近づくだけで壊されかねないし、潜在能力の引き出す力も無効化してしまう。幻想殺しは強力だけど融通が利かない。本人の意思で任意に無効にしたりできれば、もっと使いかってがいいのだけど。

 

 その事を知った上条は、いつものように「不幸だ~」と言っていたけど、これはいつものことだしね。上条の不幸体質は恐ろしいことに他の下位世界でも変わらなかったから、他の仲間も実になれたものだ。




後書き

 オリ主チートフラグ! フリーザばりに無双です。というか『とある魔術の禁書目録』で戦闘力30,000はチート過ぎる。
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