ACfA RAVEN LIFE   作:D-delta

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ようやく更新……いつもの更新早くしたい病を患わせている奴~


CHAPTER10

 照り付ける太陽の下、砲撃による轟きは増していく。

 マザーウィルの上部左右に一基ずつ付いた三連キャノンの主砲。それが今まさにランドクラブへと向き、砲撃が行われていた。その度に砲撃音は大地を揺らすほどに轟いていく。

 

≪こちらの砲撃、三発がランドクラブに命中。砲台二基と前面の一部装甲の破壊を確認≫

≪敵ランドクラブ尚も接近中!≫

 

 オペレーターたちが明確に状況を告げる。

 敵ランドクラブはマザーウィルの超火力とも言える砲撃を受けても、多数の飛行型ノーマルと共に接近を続けている。まるで突撃、生を捨てた特攻である。

 

≪主砲はそのままランドクラブに砲撃を続行。各砲台砲撃用意、垂直ミサイル発射用意、敵飛行型ノーマルに接近戦を許すな≫

≪了解≫

 

 マザーウィルからランドクラブに対しての一方的な攻撃が続く。戦いは有利に運んでいるものの、砲撃を受けながら接近してくるランドクラブには違和感が目立つ。

 

「これほどに損傷して接近してくるのは流石に無謀だな」

 

 トーマスはマザーウィルのカメラから共有される映像を見つめ、ランドクラブのその姿に嫌な予感をしながら告げる。

 

「まさか敵とて無策ではないはずだ、こんな特攻の仕方。でも廃棄処分の代わりに敵に特攻させるということも……クソ、どれを考えてもどれも可能性を捨てきれない」

 

 トーマスの思考は敵の思惑を探るようにして口と共に動いていく。

 ランドクラブによる無謀な特攻の背後に、なにか切り札を隠しているか。それとも処分に困ったランドクラブを廃棄処分のついでにマザーウィルの弱点を露呈させれば良いという程度で特攻させているだけか。

 思考すればするほどその頭を悩ませる。どれかと現実に定まることはなく、可能性だけが続々と浮上するのだから。

 

「今は不測の事態に備えてなにかが起こるのを待つしかないか。全くストレスだぜ、こういうのはよ……」

 

 現在の一方的で有利な状況が続く限り、ただひたすらに待つことしか出来ない。

 このまま戦いが終われば良いだろう。しかし戦場というものはそうまで優しくない。

 

≪六時の方向に機影を捕捉!≫

≪なんだ? 敵か?≫

 

 マザーウィルの背後に機影。トーマスの嫌な予感が現実となるが如く、忍び寄ってくる者が姿を現す。

 

≪機影特定しました! オーメルの飛行型ノーマルです! コンテナを持っています!≫

≪複数機確認! 数は二十機ほどです!≫

 

 マザーウィルの背後に姿を現した飛行型ノーマル。しかも意味深なコンテナを持っている。

 

「コンテナだって? なんだ? なにを出す気だ?」

≪コンテナだと……≫

 

 飛行型ノーマルが持っているコンテナの中身はトーマスにも司令官にも分からない。

 コンテナからなにが飛び出してくるか予測が付かず、さながら死をもたらすびっくり箱が背後に置かれている状況となった。

 

≪ハイエンドノーマルは急ぎ出撃だ! マザーウィルの護衛に入れ!≫

「了解!」

 

 コンテナという中身の分からない不確定な危険が背後にある。司令官はそれがどれだけ危険なことか分かっており、咄嗟にハイエンドノーマル出撃の判断を下した。

 マザーウィルの格納庫のハッチが開き、そこからトーマスの機体が急いでカタパルト上に出てくる。

 

≪第三カタパルト、第六カタパルトの砲台及びミサイルはコンテナを持ったノーマルを優先的に狙え! 中身が定かでない以上は今ここで出させる訳には……≫

≪コンテナ開いています!≫

≪なに!?≫

 

 司令官が指示を下した時には既に遅く、飛行型ノーマルの持つコンテナが開いてしまった。

 中身が出てくる。

 開いたコンテナから現れるのは浮遊する無数の赤い点。それら無数の赤い点は、まるで赤眼が群れを成しているかのよう。

 

「なんだこれは、新型兵器か?」

 

 群れを成した赤眼。トーマスはこの兵器の正体を知らない。今この時、初めて見た兵器である。

 

≪あれは自爆兵器だ! ミサイルは攻撃目標をノーマルに設定、第三カタパルトと第六カタパルトの砲台及び各機関砲は自爆兵器を迎撃。ハイエンドノーマルも自爆兵器の迎撃に当たれ!≫

 

 司令官が群れを成した赤眼の正体を自爆兵器だと言い、すぐに対処するように指示を下した。

 トーマス機はブーストを活かしてカタパルトからカタパルトへと移動。第三カタパルトに到着し、右腕部のマシンガンで自爆兵器の迎撃を始めた。

 そしてトーマス機が迎撃を始めたと同時に第三カタパルトと第六カタパルトの砲台と機関砲、そしてマザーウィル本体の機関砲も自爆兵器の迎撃を始める。

 

≪EX-DAGON……イオシーン発射場で使用された自爆兵器がここで出されてくるとは。前方のランドクラブといい、まるで処分に困った兵器を廃棄処分ついでに我々に特攻させているようではないか≫

 

 マザーウィルに接近される前に、トーマス機及び各砲台が自爆兵器――EX-DAGONを迎撃していく。

 立て続けに起こる爆発。自爆兵器撃破による爆発は近くの自爆兵器を巻き込み、誘爆。連鎖的に爆発を広げていく。しかし大量に出された自爆兵器が減る様子はない。

 

「誘爆で周辺のも吹き飛ばせるが、一気に大きくは無理か! 自爆兵器ってのは厄介だな!」

 

 トーマスが口に出した通り、誘爆で連鎖的に自爆兵器を仕留めたとしても一機から五機という小規模な程度だ。それほど自爆兵器は誘爆を回避するように上手く分散している。その上、全体の数では五百を超えている。背後から現れ、その距離は近く、ここで一機一機に対して迎撃に手間をかければマザーウィルに被害が出るのは確実だ。

 

≪自爆兵器の数、四百に低下!≫

≪敵飛行型ノーマル、射程に入りました。第一、第二、第四、第五、各カタパルトから攻撃を開始します≫

 

 状況は進み、マザーウィルの全火力が使われるほどに戦闘は激化する。

 マザーウィルから作り出される弾幕は嵐の如く吹き荒れ、ランドクラブに矛先を向けた主砲は雷の如く轟いて発射される。

 しかしマザーウィル側が攻撃するばかりではない。自爆兵器に迎撃の目が向けられている間に、弾幕の中をくぐり抜けてきた敵飛行型ノーマルがマザーウィルを攻撃し始める。

 

≪六時方向の敵飛行型ノーマル、こちらへの攻撃を開始!≫

 

 攻撃されたことが告げられた。複数機の飛行型ノーマルの攻撃――ハイレーザーライフルによる小雨のような攻撃がマザーウィルの第六カタパルトに存在する機関砲とミサイルハッチに降り注ぐ。

 

≪自爆兵器の数は二百に低下!≫

≪迎撃が間に合わないかもしれないぞ! ハイエンドはなにしてるんだ!≫

≪ハイエンドは早くノーマルの相手もしてくれ!≫

 

 自爆兵器の爆発音の上に様々な発射音が重なる戦場。そんな音の溢れ返る戦場の中で、トーマスへと向けた怒号が通信に入り込む。

 トーマスはそれら通信の怒号に対して「自爆兵器の迎撃だけでも結構手間が掛かるというのに無理を言ってくれる!」と独り言の文句を垂れ流し、自爆兵器の迎撃をしながら飛行型ノーマルへの攻撃も開始する。

 

「クソッタレ、ここから一機一機に射撃をしていてはノーマルを落とすのに時間が掛かる! ここは機体をぶつけてでも多くを撃墜していくか!」

 

 戦闘が激化し、死に満ちた戦場の中で、トーマスは自身の戦い方を見失わないように口に出す。

 そうしてトーマス機はマシンガンで自爆兵器を撃破しながらブーストで飛行型ノーマルのいる空へと飛んだ。自爆兵器の爆発が輝く空、そこで飛ぶ飛行型ノーマルに左腕部のシールドを構えたトーマス機がぶつかる。

 

「落ちてろよ!」

 

 そのままトーマス機はシールドで押し込むように飛行型ノーマルを無理やりカタパルトに落とした。

 落とされた飛行型ノーマルはトーマス機に押さえ付けられ、反撃が出来ず、抵抗すらも出来ない。

 

「まずは一機」

 

 トーマスが告げた瞬間、押さえ付けた飛行型ノーマルに対してマシンガンが接射で放たれた。連続で響くマシンガンの発射音。抵抗や防ぐことすら出来ず、飛行型ノーマルは沈黙する。

 手早く確実に飛行型ノーマルを沈黙、撃墜。トーマス機は再び空へと飛ぶ。

 

≪敵のハイエンドの動きは侮れないぞ! 放っておくとすぐに全滅する!≫

≪二番機、三番機、こちらと連携で敵のハイエンドを抑え込む。それ以外は敵の攻撃に注意しつつマザーウィルに攻撃を集中させてくれ≫

 

 敵の間で通信が飛び交う。直後、飛行型ノーマルたちの動きが変わり、マザーウィルを攻撃している中から三機が連携してトーマス機へと標的を移した。

 

「敵の三機がこっちに来るか」

 

 トーマスは警戒し、狙ってくる飛行型ノーマル三機にミサイルを連続で発射。

 糸を引くようにして空を走るミサイルたちは真っ正面の三機の飛行型ノーマルを追っていく。しかし敵がその練度の高さを表すが如く、ミサイルたちは全てハイレーザーライフルによって迎撃され、瞬く間に誘爆を引き起こして爆発の中に消えていった。

 

「この三機、練度が高い!」

 

 真っ正面からのミサイルを被弾なしに迎撃した三機の飛行型ノーマルである。練度の高さはトーマスの目から見ても高い。

 そしてミサイルの迎撃を終えた三機は反撃に転じて、トーマス機にハイレーザーライフルによる攻撃を次々と送り込み始める。

 

「連中の回避は出来るが!」

 

 三機はトーマス機に攻撃を集中させつつ、撃墜されるリスクを少なくするように一定の距離を保っている。

 もちろんトーマスは易々と攻撃に当たるつもりなどなく、左腕部のシールドを構えて被弾のリスクを減らしながら三機の連携攻撃を回避していく。

 

「無闇に撃墜しに来ないで抑え込んでくるだけか。こうも時間稼ぎをやられては自爆兵器と他のノーマルの迎撃が疎かになるな。背を向けて迎撃に集中すればやられるだろうし、厄介な敵だぜ」

 

 ミサイルを撃てば瞬く間に迎撃されてしまい、マシンガンを撃っても撃墜には時間の掛かる距離である。そして三機の連携攻撃はトーマス機の接近を許さない。

 まさに今の状況は、三機の連携攻撃がトーマスのハイエンドノーマルを抑え込むという役目を果たしている証拠だ。

 

≪ハイエンドのパイロット、お前はこのまま抑え――≫

≪どぉうりゃぁぁぁぁぁ!≫

 

 敵から送られてきた通信が、何者かの気合の入ったうるさい声に遮られる。直後、トーマスを抑え込む三機の内の一機が一瞬通り過ぎた影に連れ去られていった。

 

「な、なんだ?」

 

 一瞬の出来事に、トーマスは目の前の現実を疑う。

 声の主は何者か。一瞬通り過ぎた影はなんなのか。

 トーマスはレーダーに増えた味方の光点を見つめ、そのモノアイをうるさい声の主に向ける。

 

「あれが増援……」

 

 飛行型ノーマルがバラバラになって砕け散っていく。

 まさしくその様子は解体だ。

 

≪間に合ったぁぁぁぁぁ!≫

 

 様々な緊張した声で混雑した通信の中、その全てを遮るぐらい弁えない声が響く。

 その正体、うるさい声の主、GAの重量二脚型のネクスト、両腕部の鉄塊とも言える武装、破砕する漢のエンブレム。

 

≪チャンピオン・チャンプス、来たか≫

 

 増援を期待した司令官の声。

 戦場の中に〝弁えない解体屋〟が飛び込んできた。そうしてマザーウィルの圧倒的な力にネクストという圧倒的な力が加わり、戦場は虐殺の場に塗り変わる。

 地獄が始まる。

 




チャンピオン・チャンプスが出てきたその先にも地獄は口を開けて待っている
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