ACfA RAVEN LIFE   作:D-delta

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色々と時間が掛かってしまった……投稿ペースを保って完結にまで持っていきたいなと思う所存


CHAPTER12

 硝煙漂う戦闘後の戦場。

 撃墜され、鉄塊と化した飛行型ノーマルたちから上がる炎。

 マザーウィルの砲撃によって、沈黙したランドクラブから上がる黒煙。

 無数の自爆兵器の残骸はよく燃えずに、ひたすらに燻っている。

 

「どこに行っても、戦いに勝ったとしても、この光景は変わらないな」

 

 戦場に転がる鉄塊と死体。こびりつく血と死体の欠片。装甲と死肉を焦がす炎が汚れた風に揺られながら燃えている。

 そんな地獄めいた光景がトーマスに目に映った。ホワイトグリントに父親を殺され、戦いながら戦場から逃げ回っていた子供の頃から変わらない光景。なにも変わらない、いつもの光景だ。

 

≪これから収容作業に入るのでネクストはこちらへ!≫

≪久々にネクストの専用収容スペースを使うぞ。コジマ粒子の活動抑制の作業を忘れるなよ。機体が稼働を停止させてもコジマ粒子は活動しているんだからな≫

 

 格納庫の作業員から通信が入る。それはトーマスより先にマザーウィルの格納庫に入っていったチャンピオン・チャンプスへ向けた通信だ。

 もちろんチャンピオン・チャンプスは格納庫へ入る前に機体のプライマルアーマーを解除しており、通信と誘導に従って順調に収容作業を進めていた。

 

≪おい、トーマス。さっきの戦闘で機体が不調にでもなったのか? そんなボーっとしてないで、早く格納庫に戻ってこい≫

 

 ネクスト、キルドーザーの収容作業の通信が飛んでいる中、ハイエンドノーマルを担当する作業員からトーマスへ向けて通信が入る。

 

「俺も戻るか」

 

 自分宛の通信を受け、トーマスはキルドーザーに続いて格納庫へと機体の足を進める。

 そうしてトーマス機がカタパルトを移動して格納庫に入ってくる頃にはキルドーザーの収容作業は終わっており、コジマ粒子が漏れ出ないように厳重に密閉されている収容スペースに収容されていた。

 

≪ようやく戻ってきたか。これからハイエンドノーマルの収容作業後に各部パーツの点検及び整備と弾薬チェックを行う。誰かハイエンドノーマルをこっちに誘導してやってくれ≫

 

 収容作業や第六カタパルトの修理など、格納庫内は相変わらず忙しい。その忙しさを表すように、格納庫内の作業員たちはそれぞれの作業で走り回っている。

 

≪こっちです。こちらの誘導に従ってください≫

「了解」

 

 通信でのやり取りの後、トーマスは作業員の誘導に従って機体を動かしていく。もちろん格納庫内で機体を動かしている今は歩を進める足元に細心の注意を払っていた。

 人や武器を誤って踏めば、その処理で作業が増え、踏んだという失敗の事実が心に残るのだから。

 

≪そのまま、そのまま、OKです!≫

 

 そうして作業員の誘導通りにトーマスは機体を動かし続け、作業員の指定した位置に来る。

 

≪お疲れ様です! 後はこちらでやりますので!≫

 

 作業員からの通信が一つ。これでトーマスの仕事は一旦の終わりを見せた。

 トーマスと共にハイエンドノーマルも仕事が終わり、稼働を終了する。そしてそのコックピットから仕事を終えたトーマスが出てくる。

 

「今日は疲れた……ネクストが増援に来たとはいえ、楽じゃなかったな」

 

 仕事疲れの独り言を口に出しながら機体から降り、トーマスの足が格納庫の床に着く。目線の高さがハイエンドノーマルの高さから作業員と同じに変われば、格納庫内の忙しさがトーマスの身に直に伝わってくる。

 

「お疲れさん、トーマス」

「そっちこそお疲れさん。機体の整備にパーツチェック、それに爆発した第六カタパルトの修理で忙しそうだな」

「こっちはハイエンドノーマルの担当だから、緊急時でもない限りはあっちの方にはあんまり駆り出されないよ」

 

 ハイエンドノーマルを担当する作業員とトーマスの会話。互いに向き合い、労いの言葉を掛け合う。

 

「それで、あっちのネクストはどうだ?」

 

 トーマスはネクストを密閉収容している場所を見つめながら、なにとなく作業員に尋ねた。

 作業員の目もトーマスと同じ方へ向き、ネクストが密閉収容されている場所をその目に映して「大変みたいだったよ」と話を切り出す。

 

「こっちは見ているだけだったけど、ネクストの収容にはコジマ粒子の活動抑制とコジマ粒子が漏れ出ないように密閉する必要があるんだ。まぁノーマルよりも手間が掛かるんだよ」

「コジマ粒子での汚染は敵味方関係ないからか……ネクストの特徴が味方にも仇を成しているってところだな」

「そういうこと。核兵器と同じで、強力になればなるほどクリーンな兵器にはならなくなるのさ」

 

 話していく内に、作業員とトーマスの目は外の景色を閉じていく格納庫のハッチへ向けられた。

 外の景色、砂漠化して消えていった街の光景は戦争と兵器使用による汚染を物語っている。

 

「言うて、この世界はもうクリーンじゃない。核兵器は使わないにしろ、ネクストの使用は止まらないな」

「ネクストはアームズフォートと同じく企業の主力だし、それにもう世界がクリーンじゃないなら使用を止める必要はないだろう」

「それもそうだな」

 

 作業員の言い様にトーマスは納得する。

 もはや汚れた世界。欲のまま進んだ世界となった今の世。世界の支配者たる企業たちにとってこれ以上汚れることなど、力を維持するためならばどうでも良いことなのだ。

 

「さてと、こっちには仕事がある。トーマスは出撃の時まで休んでろよ?」

「今日は自爆兵器にノーマルにと、あれやこれやで疲れたからな。そうさせてもらおう」

 

 トーマスと作業員は話に区切りを付け、それぞれの方へ歩いていく。トーマスは休憩所へと、作業員はハイエンドノーマルへと。それぞれの役割をこなす。

 それからトーマスは格納庫から離れ、休憩所へと続く通路を進んでいった。

 しかしその時のことだ。

 

「どいしょぉぉぉーっ!」

 

 トーマスが休憩所を目前にしたところで、戦闘中の通信にも聞こえてきたあの弁えない声が休憩所から響いてきた。

 休憩目的で来たトーマスに嫌な予感が走る。

 

「他にいないか、俺の相手をする奴はぁ!」

「え?」

 

 チャンピオン・チャンプスの筋肉に満ち溢れたうるさい顔が休憩所から出てくる。それにひょんと反応してしまったトーマスに気付いたのか、うるさい顔がトーマスの方へ向いた。

 今まさにトーマスの少女な顔とチャンピオン・チャンプスの筋肉でうるさい顔が向き合っている。

 

「次はお前だぁ!」

「えぇ!?」

 

 なにやらトーマスに決められた直後、休憩所から顔から足まで筋肉に満ち溢れた重機が出てきた。ボディビルダー並みの身体。重機と呼ぶに相応しいチャンピオン・チャンプスの身体がトーマスの目の前に現れる。

 

「俺との力比べ、腕相撲の相手になれぃ!」

「待て、俺は――」

 

 トーマスが言い終わる前に、チャンピオン・チャンプスの腕がトーマスを捕まえ、休憩所へ持って行かれる。

 そして休憩所の先にはかなりの人数が腕相撲でぐったりとしている光景があった。これからその光景の中に仲間入りするということを察したトーマスは顔を青ざめさせ、チャンピオン・チャンプスに向かって全力で首を横に振る。

 

「その華奢な身体じゃ無理だってか? 違いない! やめてやっても良いぞ!」

 

 トーマスの嫌がる素振りと身体付きを見て、チャンピオン・チャンプスは告げる。

 男性と女性の中間のような身体付きでもトーマスは男だ。挑発じみたチャンピオン・チャンプスの口に乗せられて「やってやるよ」とトーマスは告げる。

 

「よし来た! 早速始めよう!」

 

 両者はテーブルを挟んで席に座り、腕相撲の態勢となる。

 

「Ready GO!」

「どっせぇぇぇぇい!」

 

 腕相撲が始まった瞬間、バタンッと音を立ててすぐに勝負がついた。

 あまりの筋肉、差が違い過ぎたのか、トーマスは壁にビターンと張り付いていた。その後キュキュキュッと音を立ててトーマスは壁からずり落ちていく。

 

「いっよしゃぁぁぁぁっ! 十五人抜きぃ!」

 

 トーマスはめでたく十五人目として、ぐったりしている中の仲間入りとなり、そのまま寝てしまうのであった。

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