ACfA RAVEN LIFE   作:D-delta

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最後です、長らく読んでくれてありがとうございます。


CHAPTER LAST

 死の存在。それが形を成して、今まさにトーマスの目の前にいる。

 上下に真っ二つになり、汚れた大地に伏しているキルドーザーからは、もう通信の一つも来ない。

 死の末路。目の前にある死が示すのは、死の順番がトーマスに来ているということ。

 

「来るか?」

 

 ストレイドの目がフロウヴェインの単眼を見た。機体と機体の目が合い、トーマスは反射的に告げる。

 その直後、巻き上がる砂埃と共にトーマスの視界からストレイドが姿を消した。

 

「来たか!」

 

 しかし左からストレイドが寄ってくる一瞬の姿をトーマスの目は捉えていた。

 死の近付き。敵が出してくる攻撃、次の瞬間に起こり得る死、トーマスは一瞬の間に先を読んで大型シールドを持つ左腕部を動かす。

 

「左から――」

 

 一瞬の後。レーザーブレードの光の刃が視界の左側から飛び込んでくる。光の刃は死を与えにコックピットへ近付くが、フロウヴェインを溶かし斬ることは出来ていない。

 

「――やはりこう来たか!」

 

 先を読んでいたトーマスは事前に動かしていた大型シールドで、ストレイドが振るう左腕部を、レーザーブレードを押さえ込んでいた。

 だが、機体の純粋なパワーはネクストの方が上だ。少しすれば押し切られるのは明白。

 

「パワーも向こうが上なら、これはどうだ!」

 

 トーマスの言葉の次に放たれるのはグレネードキャノンの轟き。接射となり、両機の間にゼロ距離でグレネードキャノンの爆発が起こる。その爆発にPAは揺らぎ、ストレイドの装甲に損傷が入る。対してフロウヴェインは大型シールドとカバーし切れない部分の装甲が焼けてボロボロになっていく。

 そうして装甲を痛めつける爆発の力は爆風と共に両機を引き離した。

 

「どうだ?」

 

 トーマスはコックピットモニターを通して、薄れゆく爆発の黒煙の向こう側を見つめる。その目に映るのは頭部を損傷したストレイドの姿。黒煙が晴れればストレイドの頭部からコアまで焼けた姿が見えてくる。

 

「よし、まずは一矢報いた」

 

 ストレイドの装甲が焼けて損傷した姿をその目に映し、トーマスは告げた。そしてまた腕部グレネードキャノンをストレイドに発射する。

 死を前にして戦い続ける姿勢。死を葬ろうとグレネードキャノンの砲弾は飛ぶ。

 

「このまま倒す」

 

 だが、首輪付きはこのまま易々と葬られてくれるような弱く優しい獣ではない。

 飛んでいく砲弾はQBによる瞬間的な超音速機動で容易く回避される。

 

「速い!?」

 

 その様子に先ほどのグレネードキャノンの接射で弱っている気配などない。

 それを示すが如く、レーダー上のストレイドを示す赤い光点はワープを始め、トーマスの目では動いていく一瞬の姿しか見えない状態となる。

 

「くっ!」

 

 背後からのライフルとチェーンガンによる一斉射撃。大型シールドによるガードは間に合わない。フロウヴェインの装甲は貫かれ、背部にあるOBの機構が破壊される。これでネクストに追いつける唯一の手段を失った。

 

「狙ったか、奴は!」

 

 大型シールドによる防御はOBが破壊されてから遅れて敵の弾を受け止めた。しかし爆発で損傷していた大型シールドは、ストレイドの攻撃をすぐに貫通させてしまう。

 

「俺も」

 

 一斉射撃によって大型シールドは穴だらけとなっていく内に原型を失い、防御力が失われる。もはやただの重りでしかない。

 

「みんなのように……」

 

 トーマスは使いものにならない大型シールドと垂直ミサイルを捨て、フロウヴェインの機動力を底上げする。機動力の底上げはそのまま被弾を抑えることに直結する。

 

「でも、まだ!」

 

 残った武装は右腕部のグレネードキャノンと背部の小型ミサイルのみ。

 

「死ぬるか!」

 

 トーマスは腕部グレネードキャノンを地面に撃ち、爆発とそこから生まれる黒煙で身を隠した。身を隠していれば更に被弾を抑えられる。

 

「クソ、クソ」

 

 もうフロウヴェインはまともに戦えない。トーマスに残された選択肢は身を隠し、攻撃を回避し続けるしかない。

 それにも限界がある。弾数は既にないに等しく、腕部グレネードキャノンの弾数はたった今尽きる。

 

「クソッタレ!」

 

 残るは小型ミサイルのみだが、出し惜しみは出来ない。小型ミサイルも地面に撃ち、次々と身を隠すための爆発を作り出した。

 それでも被弾を抑えることしか出来ず、装甲は確実に削られていく。

 

「くっ……」

 

 粘り続けるトーマスに対して、レーダーに映るストレイドの赤い光点は爆発のあったところから近付いてきた。

 それはトーマスが自身の身を隠すためだったはずの爆発と黒煙の中をストレイドが突き進んでいるということ。

 

「まだだ!」

 

 トーマスの最後が来る。爆発の中を抜けてきたストレイドが死を与えにフロウヴェインの目前に来る。

 ストレイドのレーザーブレード。フロウヴェインは腕部グレネードキャノンをパージし、その細い軽量腕部でレーザーブレードを止めた。

 

「俺は」

 

 しかしそのレーザーブレードはフェイント、光の刃は消えて、拡散ミサイルの発射口がフロウヴェインに向けて開かれる。

 

「まだ――」

 

 そうして拡散ミサイルはゼロ距離で発射され、ゼロ距離からの大爆発は二機を包む。

 フロウヴェインのパーツがバラバラに吹き飛ぶ光景。トーマスの声は爆発の中に消える。

 フロウヴェインの最期。トーマスの最後。

 

≪敵ネクスト、来ます!≫

 

 中破したストレイドはマザーウィルに攻撃を再開。通信の騒がしさは増える。

 そこから行われるのは誰もが予測出来る一方的な戦い。ストレイドの殺戮は進み、マザーウィルは敗北の運命へと進まされる。

 

≪ダメです! 機関部が持ちません!≫

 

 成す術もなく、砲台が次々と破壊されていく。

 砲台の破壊はマザーウィルの被害に繋がり、被害の広がりに耐えられず、抵抗と反撃の末、遂に限界を迎える。

 

≪総員地上装備!≫

≪退避しろ! マザーウィルが崩壊するぞ!≫

 

 通信に響くは退避の命令。搭乗員は一斉にマザーウィルから逃げ出す。

 そして敗北の運命はマザーウィルに爆散という結果を与えて、この戦いは結末を迎えた。

 

 首輪付きは過ぎ去っていく。

 この先も死んだ者たちはただ死人として数えられ、この先に生きた者たちは首輪付きの〝答え〟がもたらすこの世の末を見るだろう。

 故に今は、この世を去った者たちの安らかな眠りを祈るとしよう。例外を除いて。

 




これでとりあえずの完結となります。
やはり二次創作を長くやるのは、私には向いていないようですね……(´・ω・`)
セリフとか原作の時系列とかと合わせるのが大変で、しかも原作キャラも雑に扱うのもあれなものですから本当に苦労しました。

いやはや凝り性なのに気力は追い付かないものです。

さてこの作品はこれで完結となりますが、今後更新はすると思います。
たぶん私の気力的に断片的になると思いますが、物語を本来予定していた結末に向かわせることが出来るでしょう。

今度は小説家になろう辺りにでもオリジナル作品を投稿します。
ではまた、読者の皆様方。
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