ACfA RAVEN LIFE   作:D-delta

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お久しぶりの更新です。
今回は新しいオリジナルネクストのお披露目回です。


EX CHAPTER 新たなる一歩

 新たな友情。新調される機体。それから、ほんの数日が経つ。

 結果的に見捨てた子供――母親を探す子供のクオレと親のいない者同士の友情を交わすことで新たな一歩を踏み出したトーマスは、また一歩を踏み出すために自身の新たな機体に目を向けていた。

 

「出来上がってきたな」

 

 トーマスの目に映る新たな機体。

『002‐B』と『03‐AALIYAH』の二機の機体構造、そこに見たことのないパーツが組み合わさる尖鋭的な人型の姿。しかし人型と言うには異形であり、新造された腕部の武器腕と背部の一対の大型ブースターがその異形さを際立たせる。

 

「数日前に見たのと比べて悪魔みたいだ」

 

 一対の大型ブースターを持つ異形な人型。尖鋭的な見た目と一対の翼を持つような姿から、トーマスは率直に〝悪魔〟と口に出す。

 

「そう見えるか?」

 

 休息を終えて、今しがた戻ってきたヴェインが言う。そんな戻ってきたばかりのヴェインに対してトーマスは「まぁな」と一言返した。

 そして二人の目はお互いから新たな機体へと移る。

 

「それで、この機体はどういう奴なんだ?」

「聞いて驚くなよ……この機体は搭乗者のAMS適性が低くてもネクスト戦力として十分に機能する、いわゆる次世代の試作量産型ネクストだ!」

「次世代の試作量産型?」

 

 トーマスの問いに、ヴェインは聞かれるのを待っていたかのように上機嫌な様子で答えていく。

 

「そう、独自の機体フレームによるAMS負荷の軽減、高火力な武器腕のマルチウェポン化。それに加えて『002‐B』のAIを流用すれば自律ネクストにもなれる。つまりは有人無人問わずネクスト戦力として数えることが出来るって訳だ」

「なるほど。従来の機体パーツとの互換性は?」

「機体フレームが独自だからなぁ、あまり互換性は想定してないよ」

 

 互換性がないことをヴェインは告げると、情報端末に表示された機体の設計図データをトーマスへ見せた。

 従来機とは全く異なる試作量産型ネクストの設計図。ひと際目立つ特徴としてオーバードブースターと背部武装は廃止され、一対の大型ブースターである『セラフ・ユニット』を搭載。もう一つの特徴として簡易的な変形機構を有する武器腕『パルヴァライザー・ユニット』を搭載しており、ハイレーザーライフルとレーザーブレードを使い分けられるという武器腕のマルチウェポン化を果たしている。

 

「確かに独自だな」

 

 機体の設計図データに目を通し、明らかに従来機とは異なることにトーマスはそう告げた。情報端末はヴェインの手へと戻されて「だから量産型なのさ」と言葉を返される。

 

「ともあれ、仕様を全部詰め込められた訳じゃないけど一応は完成した。これで戦闘にも参加出来て十分に戦えるぞ」

「毎度毎度助かるよ、ヴェイン」

「どういたしまして。俺の最高の機体を扱うんだ、次のミッションでも生きて帰って来いよ」

 

 話の終着点で、トーマスの「分かっているさ」という言葉と共に二人は約束の意を込めて拳を軽く打ち付け合う。

 

「さてと、次はクオレの方に行ってくるよ。一緒に来る?」

 

 話の切り替わりに来る、ヴェインからの誘い。特に用事もないトーマスは「行こうかな」と成り行きでヴェインの誘いに乗った。

 そうして二人はクオレの機体が格納されている場所へと赴く。少しの移動を要し、二人の視界にクオレと『TYPE‐HOGIRE』がベースの新たな機体の姿が映った。

 

「クオレー!」

「?」

 

 ヴェインの呼び掛けはクオレの耳に届き、すぐに反応してトーマスとヴェインの方へと駆け寄ってくる。その表情はいつもの薄い表情でありながら嬉しい様子であった。

 

「来たよ?」

 

 二人のところへ来たクオレは用件を尋ねるように言い、同時に友達であるトーマスの手を握った。もちろんトーマスはその幼い手を好意的に握り返す。

 

「よし、ネクストの時間だ。ささっと説明するから興味を無くさないでくれよ?」

 

 これからヴェインの口からネクストの説明がされる。それに対してクオレはなにも言わず、顔を下へ向かせた。なにが不満なのか自分の口で言い表せない様子である。

 そのクオレの態度からトーマスは察して「聞いても理解する自信がないんじゃないか?」と尋ねた。

 

「うん……よく、分からない」

 

 クオレはトーマスの言葉に答えるようにして、ネクストのことがあまり理解出来ないことを自分の口で言い表した。

 ヴェインは「んー……どうしよう」と頭を悩ませ始める。ネクストに搭乗するのはリンクスのクオレであり、性能や機体の特徴を理解してもらわねば、機体性能は活かしきれない。それで撃墜されるのがヴェインは一番心配なのだ。

 

「俺も一緒に聞くよ。時間は掛かるけど、俺とヴェインで教えればクオレも理解出来るさ」

 

 一人で厳しいなら二人でと、トーマスはそう提案した。

 その提案にヴェインは「そうしてくれると助かる!」と喜んで賛成。そのまま「それじゃあ簡単に説明するよ」というところから、ネクストの説明が始まった。

 

「この機体は『TYPE‐HOGIRE』をベースに、コアの後部上に『ダヴ・ユニット』と背部にブースターとしても機能する『アイビス・ユニット』を搭載しているんだ」

 

 ヴェインはネクストの説明をしながら、二人へ情報端末に映し出された機体の設計図データを見せる。

 図面に映る、試作量産型と似た一対の翼を持つネクスト。

 そこから読み取れるのは、この機体がネクスト本来の汎用性を失ってはおらず、外付けとして『ダヴ・ユニット』と『アイビス・ユニット』が存在しているということだ。

 

「俺のとはまた違うな」

 

 汎用性を失った試作量産型である自らの機体と比べ、トーマスは呟く。それに対して、ヴェインは「まぁな」と一言返してネクストの説明を続けた。

 

「こっちは試作量産型じゃなくて、既存のネクストにユニットを搭載しているだけだからね。役割は大型ブースターとしても機能する『アイビス・ユニット』に搭載された八基のコジマオービットも用いて自衛を行い、AMSを通してAI制御の味方機体の指揮を『ダヴ・ユニット』で担うってところだよ」

 

 二つのユニットの説明が軽くされる。しかし機体の駆動から火器管制でも掛かるAMSの負荷に加えて、コジマオービットの制御とAIの味方の指揮である。

 トーマスはすぐさま「AMSの負荷が大きそうだな」と疑問をヴェインへぶつけた。

 

「だからクオレの機体なのさ」

 

 トーマスの疑問にヴェインはそう答えた。それが意味するところは、AMS適性が高くなければ機体性能を一部しか活かせないということ。

 AMS適性の高いクオレが搭乗して初めて機体の性能が活かされる。

 

「クオレ、出来るよな?」

 

 期待のあるヴェインの口振りに、クオレは間を置いて「うん」と返事をした。いつもの薄い表情の中に自信のない曇った表情がありながら。

 

「まぁ出来るとは言っても慣れは必要だろう。ゆっくりやろう、クオレ」

 

 トーマスは自信のないクオレを支えるように告げて、そのまま「俺も一緒にいるから」と付け加えた。

 不安なクオレに安心が訪れる。

 

「それじゃあ任務があるまで新調したネクストに慣れていくかい、理解を深めるためにも」

 

 ヴェインの言うことにトーマスとクオレは頷く。

 これで新たな一歩は踏み出された。

 これより臨むはORCA旅団としての新たな戦場、新たな景色。

 描かれる物語は終わりへと近付く。

 

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