とりあえず書いた作品集   作:通りすがりの錬金術師

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近界人とリリカルな世界

地球、海鳴市。海や翠屋のシュークリームが有名なこの町に一人の少年がやってきた。9歳くらいのその少年は町一番の高台に登って町を眺めている。

 

 

「ここが地球……だっけ?」

 

『そうね、カナの出身世界よ』

 

 

その少年は誰かと話しているが、辺りには少年以外誰もいない。携帯なども持ってないので通話しているわけでもない。しかし、よく見ると白いロボットのようなものが少年の肩に乗っていて、声もそこから聞こえている。

 

 

「やっと母さんの世界についたのか」

 

『目的地はわかってるの?』

 

「ん、高町士郎って人に会いに行けばいいんでしょ?」

 

『わかってるならいいわ。早く行きましょう、ライト』

 

「了解、エマ。人に見られないように隠れて」

 

『はいはい、【(ステルス)】ON』

 

 

エマ、と呼ばれた白いロボットはそう言って自身の姿を消した。光学迷彩で姿を周囲と同化しただけだが。

そして少年・ライトはこの町にいるらしい高町士郎を探しに降りていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後。

 

 

「ないなぁ……」

 

『ないわね』

 

 

住宅街を一人と一体(?)は歩いていた。彼らはしらみ潰しに家々の表札を見て高町の名を探していたが一向に見つからない。

 

 

「この町から引っ越したって可能性はないかな?」

 

『まあ、ないことはないけど、まだ全部見てないからわからないわよ』

 

「そうだよな……」

 

 

と、その時だった。

 

 

「やめて!離しなさいよ!」

 

「うるせぇ!黙りやがれ!」

 

「キャッ!?」

 

「――ちゃん!?」

 

「てめぇもだ!」

 

「早く出せ!」

 

 

そんな声がライトの耳に入ったかと思うと、近くから黒塗りの車が走り去っていった。

 

 

「なあ、エマ。もしかしなくても今のは」

 

『ええ、そうね、ライト』

 

『「誘拐だな(ね)」』

 

『どうするの?……って言っても、もう決まってるみたいね』

 

「ああ、もちろん助けにいくさ」

 

『それで?どっちを使うの?』

 

 

エマの言葉に少し考え込むライト。しかしすぐに決まったのかエマを見て告げる。

 

 

「そうだな、『ノーマル』の方でいこう」

 

『了解よ』

 

「トリガー、起動(オン)!」

 

 

その言葉を告げた途端、ライトの体がトリオンに包まれ戦闘体へと変わってゆく。黒のアンダーウェアに白のフード付きコートを羽織った姿に。

戦闘体への換装が終わるとライトは即座にエマの【隠】を起動させ姿を消し、先ほどの車が向かった先へと走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

そしてライトのたどり着いた先は一棟の廃ビル。ご丁寧にビルの前には見張りと思わしき人も二人立っている。今は近くに生えている樹の影に隠れてそこを見ている。

 

 

『それで、ここからどうするの?ライト』

 

「こっそり入ってもいいけど、後から応援にこられると面倒くさいから正面から倒していこう」

 

『了解よ』

 

「それじゃあ……アステロイド」

 

 

【隠】を解除したライトは右手から小さなトリオンキューブを出し、それを二つに分割する。

 

 

「とりあえず眠っとけ。ファイア!」

 

 

そして放たれたトリオン弾は見張りの一人に命中。そのまま気絶した。さらに急に仲間が倒れたことに驚くもう一人にも続け様に命中し、無力化する。

 

 

「生身の人にトリオン弾当てると楽に無力化できるよな」

 

『本来は万が一、一般人に誤射したときの安全機能なんだけど……』

 

「まあ、細かいことは気にしない、気にしない」

 

 

少し呆れた感じを出すエマをライトは軽く流し、建物の中に入っていく。

中にも数人、見張りと思わしき人がいたが、全て見つかる前に弾速最大、威力最低に設定したアステロイドか、バイパーで死角から当てていき、気絶させた。

 

 

「さて、エマ。誘拐された子たちがいるのはこの先だよね?」

 

『ええ、放った子機が声も拾ったわ。何やら「こいつは夜の一族という化け物なんだよ!」って……どういう意味かしら?』

 

「さあ?とりあえず助けに行くよ」

 

 

ライトは目的地の扉の前に立つと腰に差している孤月を握ると一気に引き抜き、扉を派手に斬り裂いた。

 

 

 

 

 

 

 

「何者だ!」

 

「その子たちを助けに来ただけのただの通りすがりだよ。誘拐なんて見て見ぬ振りは出来ないからね」

 

 

中にいた男たちは銃を持ち二人の少女を囲んでいたが、突然扉が吹き飛んだ為、そちらに銃を向け構えていた。そして現れたのは肩に何かを乗せた少年。

 

 

「……子どもだと?」

 

「そうだけど、何か文句ある?」

 

「フンッ、身のほど知らずのガキが。やれ」

 

 

リーダー格と思わしき男が指示を出すと周りの男たちはライトに向けて銃を乱射した。辺りに銃弾の衝撃で煙が舞う。

 

 

「そ、そんな……」

 

「ふん、ガキの癖にでしゃばるからこうなるんだ」

 

 

誘拐された少女たちはそれを見て悲しみの感情を見せる。あれだけの弾丸を浴びせられたら生きられる可能性は低いと理解したのだろう。その時だった。

 

 

「メテオラ+バイパー……トマホーク」

 

「何!?グハッ……」

 

 

声が聞こえたかと思うと光弾が煙の中から飛び出し、男たちの持つ銃に曲線軌道を描き命中。同時に爆発し、その衝撃で銃は全て壊れ、リーダー格以外の男たちが倒れた。

 

 

「で、何がこうなるって?」

 

 

さらに粉塵の中からライトが無傷で歩いて来た。それに少女たちとリーダー格の男は驚いた。

 

 

「さて、覚悟はいいか?」

 

「き、貴様はこの化け物を助けるというのか!?」

 

「化け物ってなんのこと?そこには女の子二人しかいないけど?」

 

「知らないのか?なら教えてやんよ。そこの紫の女はなぁ……」

 

「やめてぇ!」

 

「夜の一族という化け物なんだよ!」

 

「夜の一族?」

 

「分かりやすいように言えば吸血鬼だ!」

 

 

吸血鬼、もしくはヴァンパイアともいう怪異。血を吸う生き物だ。確かに分かりやすい。……ライト以外にとっては。

 

 

「吸血鬼?なにそれ……エマ、知ってる?」

 

『知らないわね』

 

「は?」

 

「とりあえず眠っとけよ」

 

「待て、てか今その肩のしゃ…ブベラ!?」

 

 

ライトは男の言っている意味を理解出来なかったので、とりあえずアステロイドをぶつけて気絶させた。最後に何か言おうとしていたが、ライトには聞こえなかった。

そしてライトは二人に向き合うと、

 

 

「大丈夫だった?」

 

 

歳相応の笑顔を見せながらそう言ったのだった。




ライト(名字未定)
高町士郎の妹(オリ)の息子、つまりなのはの従兄弟。
神隠し的な何かで近界に流れ着いたライトの母親が現地の人との間に出来た子ども。
トリオン量は0.6千佳くらい。


エマ
白いレプリカみたいなの。ライトの保護者。
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