カードファイト!!ヴァンガードG 再結成!世界に挑戦する3人 作:リー・D
そちらも見てみてください。
ギーゼとの戦いから3年の月日が経った。
この年の夏、8月も終わりが見えたころの海はまだまだ多くの人で賑わっていた。
そんなビーチで1人遠泳を行っていた男が海から上がってきた。
「お疲れ様、クロノ。はい、ドリンク」
その男が歩いた先にいたパーカー姿の女性は、彼にドリンクを渡した。
「ふぅ、サンキューな。トコハ」
その男、新導クロノは夢である宇宙飛行士に向けて水泳の特訓に励んでいた。
プロファイターとしてフランスに滞在している恋人トコハとの久々のデートにて海を選んだのは、トコハとの時間を楽しむのと同時に特訓が出来るからだ。
遠泳で体力を消費したクロノは、スポーツドリンクを飲んで体を休め、飲み終わったところでトコハに声をかけた。
クロノ「どのくらい泳げてた?」
トコハ「30分で1.5kmぐらいかな。プールとは環境が違うから比較は難しいけど、フォームも崩れてなかったし、凄く泳げるようになったよ。クロノ偉い」
そう言って、トコハはクロノの頭を撫でた。
不特定多数の人の前で、そうされるのは慣れていないためか、クロノは頬を赤く染めて、照れてしまう。
ほんわかとした空気が2人から放たれ、周りの人から色んな意味で注目を集めた。
中には爆発しろと言う人もいたらしい。
トコハ「よし! クロノ、遊ぼ」
着ていたパーカーを脱ぎ、水着姿になったトコハがクロノを立ち上がらせる。
その水着姿に注目してしまい、さらに照れたクロノは抵抗することなく、引っ張られる形で海に向かった。
クロノ「トコハ」
トコハ「ん?」
クロノ「その水着、似合ってて可愛いぞ」
トコハ「ツ/// ありがとう///」
その後、しばらく、水着をほめられて嬉しそうなトコハと共にクロノは全力で楽しんだ。
トコハ「あーっ、楽しかった。海って最高ね」
十分楽しんだ2人は着替えて帰宅のためにバスに乗っていた。
クロノ「泳げるの夏だけだけどな」
トコハ「冬は冬で楽しいから良いの。それに……泳げない海って言ったら、あの時のことを思い出すし」
クロノ「あの時?」
トコハ「ほら。私たちが地区予選で敗退して、私とシオンがグレちゃったことあったじゃない。その後、クロノが私たちを励ます為に夕方から海に連れて行ってくれた時の事よ」
言われてクロノも思い出した。
クロノ「あー、あれな~。悪かったなって今でも思ってるよ。雨まで降ってきて服汚したあげく、目的だった流星群も見れなかったしな」
トコハ「確かに被害に有ったときは最悪だったけど、クロノが一所懸命私たちを励まそうとしてくれたのが分かったし、貴方の素直な気持ちが聞けてすごく嬉しかった。偶然見れた花火も綺麗だったから、嬉しかったよ。それに……」
トコハがクロノの肩に頭を置いて言葉をつむいだ。
トコハ「私、あの時やっぱりクロノが好きなんだって分かったから。貴方の不器用な優しさが大好き。ちょっと無愛想なのが玉に瑕だけど、そんなところも好き」
目を瞑って嬉しそうに言うトコハにクロノは恥ずかしいのか耳まで真っ赤になって顔を覆ってしまう。
同じく聞いていた他の乗客や運転手まで、恥ずかしくなってしまっている。
しばしの沈黙がバス内に流れた。
トコハ「シオンか~。最近会えてないよね」
その沈黙を破ったのもトコハだった。
先ほどの話で出てきた友人シオンの話題を振り出した。
クロノ「……/// そ、そうだな。あいつ忙しいもんな。綺場の仕事を本格的に始めたし、フェンシングの試合も有るし、大学もあるからな。トコハが日本に一時帰国するときは、予定が合わないことが多いよな」
赤くなり、熱くなった顔を振り切り、トコハとの会話を再開したクロノ。
高校を卒業し、大学生となったクロノたちの生活は、以前よりもさらに変化した。
特に忙しくなったシオンの現状とトコハの都合がかみ合わないためにトライスリーの3人は2号店でも集まれないのだ。
そのことがトコハには寂しく思えてしまう。
そんなトコハの気持ちを知っているクロノが何と声を掛けるべきか迷っている間に、バスは走り、2人が降りるべきバス停に到着した。
降りたところで、クロノはある物に目をつけた。
クロノ「トコハ。これ」
そう言ってクロノが指差した物をトコハも見る。
トコハ「これって……」
2人して暫くそれを見続けていた。
綺場コンツェルン本社
シオン「これでよし。岩倉、次の仕事は?」
その頃、シオンは社長室で書類整理を行っていた。
傍には執事の岩倉がそのサポートを行っている。
岩倉「そうですね。次のお仕事は――おや、お電話がかかっていますよ」
シオン「そうだね。はい、社長室。えっ、クロノとトコハが? 岩倉」
岩倉「はい。1時間なら時間が空いています」
岩倉がシオンの言いたいことを察して、予定表を確認する。
それを聞いたシオンは笑顔になった。
シオン「分かった。あっ君。大至急、2人を連れて来てくれ。どちらも僕の大切な友人だから、粗相が無いように……ね」
シオンが受話口の向こうにいる人に念を押してお願いしたあと、岩倉が下がり、シオンは扉が開くのを待った。
受付嬢「社長、お友達をお連れ致しました」
シオン「ありがとう。それと、3人分の珈琲を持ってきてくれないか」
受付嬢「かしこまりました」
受付のお姉さんが下がり、部屋にはトライスリーの3人だけが残った。
シオンは嬉しそうに2人に声をかけた。
シオン「クロノ、トコハ。久しぶり」
トコハ「久しぶりだね。シオン」
クロノ「悪いな、シオン。急に押しかけて」
クロノは部屋の真ん中に設置されていたソファーにトコハと共に座る。
シオンも向かい側に座る。
シオン「構わないよ。忙しかったら来ていいって言わないさ。それで、今日はどうしたんだい? 2人が一緒なら、デートでもしてきたんだろ」
察しの良いシオンは2人の行動を読んでいた。
簡単に言い当てられ、クロノは照れくさそうに頭をかきながら口を開いた。
クロノ「そうなんだけどさ。たまたまお前のことが頭によぎってな。そしたら……こんな物を見つけたんだ」
そう言ってクロノは懐から紙を1枚取り出す。
その紙は――
シオン「ヴァンガードファイト世界大会日本予選……近日開催」
そのチラシを見たところで、クロノが立ち上がった。
クロノ「シオン! これに参加しようぜ!」
トコハ「また私たち3人で!」
トコハも立ち上がる。
この広告とその言葉にシオンは窓際に向かった。
シオン「……実は僕、最近個人的に何か大きなことに挑戦してみたくてね。フェンシングでも良かったんだけど。どうしようか決め切れなくてね、困ってたんだよ。でも……2人のおかげで僕も決めた」
振り返り、シオンは決心する。
シオン「よしっ! やろう! トライスリーで世界を取ろう!」
クロノ「おう!」
トコハ「ええ!」
シオンの宣言にクロノもトコハも同意した。
今此処に、トライスリーの再結成と新たなる挑戦が決定した。
彼らが挑戦するVF世界大会とは何なのか。
彼らは優勝することができるのか。
続く
なお、先ほどの受付嬢から珈琲を受け取った岩倉がこの光景を嬉しそうに見ていたと言う。
次回予告
「ところで2人とも、今日はデートだったんじゃあ?」
「ああ、2人で海に行って来たぜ」
「帰りに3人で始めて海に行ったことを思い出したから、また3人で挑戦したくなったのよ」
「そうなんだ。でも、髪や水着は大丈夫? 直接此処に来たんだろ」
「それなら大丈夫だ。泳いだ後、お風呂や洗濯がある施設で全部洗い流してきたからな。乾燥機も有ったから乾かしてきたし」
「水着必須だったけど、混浴もあって楽しかったわよ」
「……君たち、特にトコハは本当に混浴好きだよね」
「まあねぇ/// って、なんでシオン私が混浴好きなの知ってるの!?」
「さあて、じゃあそろそろルールの確認しようぜ」
「それが良いね」
次回、第1ターン:VF世界大会のルール
「ちょっと、露骨に話し変えないでよ!」
「「なんのことかな~?」」
「おおーーい!」