カードファイト!!ヴァンガードG 再結成!世界に挑戦する3人   作:リー・D

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強敵、星崎ノアに勝利し、快調な滑り出しを決めた新導クロノ。
そのチームメイトたちも次なる戦いに身を落としていた。


第9ターン:互いの決意

トコハ「あっ、クロノ勝ってる。流石っ。シオンも勝ってるし、私も頑張らなくちゃ♪」

 

VF世界大会ファーストステージ初戦を無事に勝ち抜けたトコハは、走りながら次の対戦相手を探していた。

ある程度走っていると、知っている声が聞こえてきた。

 

トコハ「あれは……」

 

クミ「《エキサイトバトルシスター しゅとれん》でアタック」

 

彼女……岡崎クミのGユニットのアタックが相手ヴァンガードにヒットし、6ダメージを与えたことで勝利を収めたところだった。

 

トコハ「クミちゃん!」

 

クミ「トコハちゃん。久しぶり~」

 

デッキを仕舞ったところで声をかけると、クミがいつものふんわりとした様子で返してきた。

 

トコハ「あっ……うん。ひ、久しぶり」

 

少し気構えて話しかけたトコハは、何時もの様子のクミに少し困惑してしまった。

 

トコハ「クミちゃん、元気そうだね。大学は順調?」

 

そんな様子を見せないように、いつも通り話を進めた。

 

クミ「うん。服のデザイナーになるための勉強は順調だよ~」

 

トコハ「よかった。大学、東京から離れちゃったから、なかなか会えないんだよね」

 

クミ「現在は、ヨーロッパへの短期留学も考えていますぞい。トコハちゃん専用の服製作をお待ちください」

 

岡崎クミは高3の夏に進路を決め、都外の専門学校に入学したのだ。

もしもヨーロッパへの短期留学が実現すれば、トコハと会える機会も増えるだろう。

こぶしを握りながら、何時もの口調で話す親友にトコハは安心して笑った。

 

クミ「どうしたの~?」

 

トコハ「う~ん。クミちゃんがラースなんて物騒な名前のチームに入っていたから何かあったのかなって~。あれ?」

 

クミの質問に対して答えながらトコハはなるべく自然に疑問をぶつけてみた。

だが、トコハは突然室温が下がった気がしたので、目の前の親友を見てみた。

 

クミ「……」

 

トコハ「ひっ」

 

クミが纏う雰囲気に、トコハは怯えてしまった。

 

トコハ「ク、クミちゃん?(えっ!? 何あれ!? 般若!? え!? 怖い!)」

 

トコハには、目の前の親友の後ろに般若の面をかぶった《バトルシスター ふろらんたん》が見えた。

そのふろらんたんが、手持ちの銃器を自分のほうに構えているのだ。

怯えるのも無理はない。

 

クミ「……トコハちゃん。ファイト……しよっか」

 

彼女たちのファイバには既にファイト受理のマークが出ている。

互いが対戦相手だというのは明確だ。

 

クミ「ごめん、トコハちゃん。今の私には譲れないものがあるの!」

 

自身のデッキを構えてクミは力強く宣言した。

その決意の高さの理由が分からず、トコハは困惑し、悲しくなる。

 

トコハ「クミちゃん……それを、話してはくれないの?」

 

クミは首を横に振る。

 

クミ「ううん。話すよ。でも、先にファイト始めよう。多分……その方が話しやすいから」

 

トコハ「あっ……」

 

少し顔を伏せたクミの心情を察したトコハは、ファイトテーブルの前に立つ。

そしてデッキを構えた。

 

トコハ「いいよ。始めよう」

 

2人「「スタンドアップ! ヴァンガード!」」

 

ミヤ『さあ、続々とファイトが行われていにゃす! 次はどのファイトを実況しますか?』

 

カズミ『そうですね……おっ、元ハイメフラワーズの2人、安城トコハさんと岡崎クミさんがファイトを始めていますよ』

 

ミヤ『それは是非見ましょう! 文字通り注目の1戦です!』

 

2人の知らないところで、この1戦もまた、会場のメインスクリーンに流されることになった。

 

クミ「《バトルシスター きっふぇるん》」

 

トコハ「《栽植の乙女 オズ》」

 

可愛らしいエルフとバイオロイドがクレイの森の中に立ち上がる。

しかし、その強いオーラは本物だ。

 

クミ「ライド、《バトルシスター ここあ》! きっふぇるんは先駆で移動。ここあのスキルでVかRに登場した時、山札の1番上のカードを見て、山札の上か下に置くよ。このカードは下だね。このままターンエンド」

 

クミ手札:5→6→5枚

ここあソウル:0

〈 〉〈こ〉〈 〉

〈 〉〈き〉〈 〉

 

トコハ「(クミちゃんが序盤からデッキ操作なんてするなんて。顔は笑顔だけど、本気なんだね、クミちゃん)いくよ、クミちゃん。ライド、《盛運の乙女 ディアン》! 先駆で移動して、アタック!」

 

トコハ手札:5→6→5枚

ディアン+オズパワー:12000

 

クミ「ノーガード」

 

トコハ「ドライブチェック」

 

幻蒼のラナンキュラス アーシャ(なし)

トコハ手札:5→6枚

 

クミ「ダメージチェック」

 

神明護官 アマツヒコネ(なし)

クミダメージ:0→1

 

クミ「あっ」

 

トコハ「え?」

 

クミ「ううん。なんでもないの(ヒールで落とそう)」

 

クミダメージ:1

トコハ手札:6枚

ディアンソウル:0

〈 〉〈デ〉〈 〉

〈 〉〈オ〉〈 〉

 

カズミ『【バトルシスター】でアマツヒコネですか』

 

ミヤ『珍しいですか?』

 

カズミ『いえ、ピン刺しならありえますよ。問題はドロップ回収時のデメリットがこの先の展開にどう作用するかが分からないことですね。重要なカードがバインドされてしまったらピンチになりますよ』

 

ピン刺しとは、デッキに1枚だけの投入していることだ。

意図せずにデッキ破壊を行い続けるヴァンガードでは基本的に推奨されない構築方法だ。

 

クミ「ライド、《バトルシスター さぶれ》。《バトルシスター べりーむーす》をコール。このままアタックだよ」

 

クミ手札:5→6→5→4枚

さぶれ+きっふぇるんパワー:14000

 

トコハ「ノーガード」

 

クミ「ドライブチェック」

 

バトルシスター まふぃん(☆)

クミ手札:4→5枚

 

クミ「クリティカルトリガーだよ。パワーはべりーむーすに。クリティカルはヴァンガードに送るぞい!」

 

さぶれ+きっふぇるんパワー:14000/☆2

べりーむーすパワー:9000→14000

 

トコハ「ダメージチェック」

 

モンキーポッド・ドラゴン(引)

 

トコハ「ドロートリガー。1枚ドロー。パワーはディアンに」

 

ディアンパワー:7000→12000

トコハ手札:6→7枚

播種の乙女 ティアニー(なし)

トコハダメージ:0→2

 

クミ「べりーむーすでアタック」

 

トコハ「《共に咲く乙女 ケラ》でガード」

 

ディアン+ケラシールド:17000

トコハ手札:7→6枚

 

ミヤ『安城トコハは、このターンダメージを2で押さえました』

 

カズミ『岡崎さんはトリガーをよく引きますからね。可能な限りダメージを押さえるのは正しい判断です』

 

トコハダメージ:2

トコハ手札:6枚

クミダメージ:1

クミ手札:5枚

さぶれソウル:1

〈べ〉〈さ〉〈 〉

〈 〉〈き〉〈 〉

 

トコハ「スタンド&ドロー。ライド、《理想の乙女 トゥーリア》。さらに《プルメリアの花乙女 シャルル》をコール。オズのスキル。CB1とこのカードをソウルに送って1枚ドロー」

 

トコハ手札:6→7→6→5→6枚

トコハダメージ:2(裏0→1)

トゥーリアソウル:1→2

 

トコハ「いくよ! トゥーリアでアタック!」

 

クミ「ノーガード」

 

トコハ「ドライブチェック」

 

花園の乙女 マイリス(☆)

トコハ手札:6→7枚

 

トコハ「ゲット、クリティカルトリガー。クリティカルはヴァンガード、パワーはシャルルへ」

 

トゥーリア:☆2

シャルルパワー:9000→14000

 

クミ「ダメージチェック」

 

バトルシスター まどれーぬ(なし)

バトルシスター まかろん(なし)

クミダメージ:1→3

 

トコハ「よし。シャルルでヴァンガードにアタック!」

 

クミ「う~ん。さすがトコハちゃん。やりますな~。《バトルシスター じんじゃー》でガードだぞい!」

 

さぶれ+じんじゃーシールド:19000

クミ手札:5→4枚

 

カズミ『ここで防ぎますか(終盤まで使いようが無いまふぃんを残したけど、何か考えがあるのかな?)』

 

クミダメージ:3

クミ手札:4枚

トコハダメージ:2(裏1)

トコハ手札:7枚

トゥーリアソウル:2

〈 〉〈ト〉〈シ〉

〈 〉〈 〉〈 〉

 

クミ「スタンド&ドロー。ライド、《バトルシスター ふろらんたん》!」

 

クミ手札:4→5→4枚

べりーむーすパワー:9000+2000→11000

 

クミは自身の分身と言えるG3ユニットを出し、何か考え込むようにそのカードを触った。

トコハはその様子を心配するように見ていた。

 

クミ「いくぞい、トコハちゃん! まずはふろらんたんのスキルで山札の1番上のカードを確認。そのままにするよ。《バトルシスター らすく》をコール。さらに、さぶれをコールだぞい。さぶれのスキルでバトルシスターをSB1して、1枚ドロー。べりーむーすはさらにパワーアップ!」

 

べりーむーすパワー:11000+2000×2→15000

クミ手札:4→2→3枚

ふろらんたんソウル:2→1

 

クミ「(この手札だと、ここまでだね)らすくでブーストしたさぶれでアタック」

 

さぶれ+らすくパワー:16000

 

トコハ「シャルルでインターセプト。《純潔の乙女 カトリーナ》でガード」

 

トゥーリア+シャルル+カトリーナシールド:19000

トコハ手札:7→6枚

 

クミ「きっふぇるんでブースト、ふろらんたんでアタック!」

 

ふろらんたん+きっふぇるんパワー:16000

 

トコハ「ノーガード」

 

クミ「ツインドライブ」

 

バトルシスター ままれーど(なし)

バトルシスター ばーむくーへん(なし)

クミ手札:3→5枚

 

クミ「う~ん。トリガーなしか~」

 

クミはめくったカードを困った顔をしながら手札に加えてが、その様子をトコハは顔を青くしながら見ていた。

 

トコハ「(確かにトリガーは無い。でも……)強いね。クミちゃん」

 

カズミ『完全ガードと超越コスト。どちらもやっかいなカードです』

 

ミヤ『次のターンの守り、そして反撃用のカードが手札に入った。これはやっかい!』

 

トコハ「でもね」

 

トコハは笑った。

 

トコハ「私だって負けないよ! ダメージチェック!」

 

孔雀草の銃士 ラケーレ(☆)

トコハダメージ:2→3(裏1)

 

トコハ「クリティカルトリガー! 効果は全てヴァンガードへ!」

 

トゥーリアパワー:9000→14000/☆2

 

ミヤ『ここでトリガー! 攻めにくくなったぞ!』

 

クミ「うう。べりーむーすでアタック」

 

トコハ「シャルルでガード」

 

トゥーリア+シャルルシールド:19000

トコハ手札:6→5枚

 

カズミ『ダメージトリガーを利用した良い防御でした』

 

ミヤ『次は安城トコハの超越! さあ、ここからどう攻める!?』

 

トコハダメージ:3(裏1)

トコハ手札:5枚

〈 〉〈ト〉〈 〉

〈 〉〈 〉〈 〉

 

クミダメージ:3

クミ手札:5枚

ふろらんたんソウル:1

〈べ〉〈ふ〉〈さ〉

〈 〉〈き〉〈ら〉

 

場の状況を見て、トコハは笑った。

 

トコハ「強いね。クミちゃん。でも、私だって! スタンド&ドロー。全ての蕾よ、今こそ花開け! ライド! 《幻蒼のラナンキュラス アーシャ》!」

 

トコハ手札:5→6→5枚

 

クミ「アーシャ。トコハちゃんの象徴!」

 

トコハ「私だって、強くなった。大好きなヴァンガードと一緒に! こんなに楽しいファイト。負けていられない! 手札の《開墾の戦乙女 パドミニ》のスキル。このカードは超越コストとする際にグレードを2つ上げる。ストライド・ジェネレーション! 《四季の花乙姫 ヴェルヘミーナ》!」

 

トコハ手札:5→4枚

 

美しく咲いた花と可憐な剣を持ったカードにライドしたトコハ。

その姿をクミはしばらく何も言えずに見ていた。

 

トコハ「クミちゃんは、楽しくないの? 何時も笑顔で、とても楽しそうにファイトしてたのに?」

 

クミ「楽しい……ファイト……」

 

クミは顔を伏せてしまう。

そして、言葉をつむいだ。

 

クミ「ごめんね。トコハちゃん。ちょっと、気が立ってたみたい」

 

クミは自分のことを思い返し、少し苦笑していた。

 

トコハ「……何があったの?」

 

クミ「私ね。この大会のことを知った時に、真っ先にカズマ君と出場しようと思ったの。でも……」

 

彼女が思い出すは、ドラエン支部にて握手を交わす3人の姿。

 

クミ「カズマ君は、自分でチームを組んじゃった。それだけなら良いんだけど」

 

クミは顔を上げて声を荒立てた。

 

クミ「酷いんだよ! カズマ君、全然連絡してこなかったんだよ! せめて一言この大会に出場するって言ってくれれば、私だってなんとも思わなかったのに!」

 

トコハ「ええ……」

 

トコハはカズマの行動に呆れてしまった。

それは集音マイクを通して聞いていたカズミも同様である。

 

ミヤ『なにやら2人は話し込んでいますね。鬼丸さん、どうしました?』

 

カズミ『い、いえ。なんでもないです(カズマェ……何やってるんだ……)』

 

幸いにも、カズミ以外には聞こえなかったらしい。

 

トコハ「そ、それは酷いね」

 

クミ「でしょ!? だからね、同じ気持ちを抱えてるエミさんとナギサちゃんと一緒に出ることを決めたの! この大会で、カズマ君とファイトして、懲らしめてやるんだから!」

 

両手で机を叩いたあと、拳をにぎり、クミは高らかに宣言する。

なお、手札はテーブルに置かれたので、トコハに見えることは無かった。

そんなクミの様子を、トコハとカズミは何とも言えない気持ちで見ることとなった。

でもね、とクミは続けた。

 

クミ「私、そのことばかり気にしてて、トコハちゃんとのファイトに集中できてなかった。ごめんなさい」

 

トコハ「クミちゃん」

 

クミ「だから、全力で来て。私も全力で迎え撃つから。負けないぞい!」

 

笑顔で語るクミに、トコハは何時もの彼女が戻ってきたことを確信した。

だからこそ、彼女も笑顔で応える。

 

トコハ「分かった。いくよ、クミちゃん。アーシャの超越スキル! CB1で、開花を持つユニットを山札からコール! カトリーナをコール」

 

トコハダメージ:3(裏1→2)

 

トコハ「さらに、トゥーリアをコール。トゥーリアのスキル、このユニットは、カトリーナとして扱う。カトリーナの開花! カトリーナを5体選び、パワー+4000!」

 

トコハ手札:4→3枚

カトリーナパワー:7000→11000

トゥーリアパワー:9000→13000

 

ミヤ『でたあああ! 安城トコハの開花! 思う存分、咲き誇れ!』

 

トコハ「さらに、《花園の乙女 マイリス》をコール」

 

トコハ手札:3→2枚

〈ト〉〈ヴ〉〈マ〉

〈 〉〈 〉〈カ〉

 

カズミ『これで、安城さんは前列が攻撃可能になりました』

 

クミ「さっすが、トコハちゃん! でも、防ぎきってみせるぞ!」

 

トコハ「じゃあ、行くよ! カトリーナのブースト、マイリスでヴァンガードにアタック!」

 

マイリス+カトリーナパワー:15000

 

クミ「さぶれでインターセプト!」

 

ふろらんたん+さぶれシールド:16000

 

トコハ「これなら、どう? ヴェルヘミーナでアタック! マイリスのスキル! このユニットをソウルに送って、1枚ドロー。ヴェルヘミーナにパワー+5000!」

 

ヴェルヘミーナソウル:3→4

トコハ手札:2→3枚

ヴェルヘミーナパワー:26000→31000

 

トコハ「さらにヴェルヘミーナのスキル! CB1、山札から、開花を持つ同名カード2枚を前列と後列にコール! ディアンをそれぞれコール! 開花で、パワー+10000! そして、ラナンキュラスと名のつくヴァンガードがいるため、パワー+1000、抵抗を得る!」

 

トコハダメージ:3(裏2→3)

ディアンパワー:7000→8000→18000

ディアンパワー:7000→8000→18000

 

ミヤ『ヴェルヘミーナとマイリスのスキルのコンボによって、安城トコハ、合計4回のアタックが可能になったぞ!』

 

クミ「やっぱり、トコハちゃんは強いな~。ノーガード!」

 

トコハ「トリプルドライブ!」

 

播種の乙女 ティアニー(なし)

矢車菊の花乙女 イーネス(なし)

メイデン・オブ・ゼフィランサス(☆)

トコハ手札:3→6枚

 

トコハ「クリティカルトリガー! クリティカルはヴェルヘミーナ、パワーは右のディアン!」

 

ヴェルヘミーナ:☆2

ディアンパワー:18000→23000

 

クミ「うう、ダメージチェック!」

 

バトルシスター ここあ(なし)

バトルシスター ここあ(なし)

クミダメージ:3→5

 

ミヤ『ダメージ5! 岡崎クミ、追い詰められにゃした!』

 

トコハ「ディアンでアタック!」

 

クミ「Gガード! 《エキサイトバトルシスター ばばろあ》! スキル発動。CB1。1枚ドロー! 山札の1番上のカードを公開。それがG1以上ならシールド+5000! ふろらんたんだよ! このガードは山札の下へ!」

 

クミダメージ:5(裏0→1)

さぶれシールド:15000→20000

ふろらんたん+さぶれシールド:31000

クミ手札:5→4→5枚

 

トコハ「有ったんだ。ヒールトリガー。でも、まだまだ! トゥーリアでアタック!」

 

トゥーリア+ディアンパワー:31000

 

クミ「来て、《バトルシスター ままれーど》! 完全ガード!」

 

クミ手札:5→3枚

 

ミヤ『防ぎきったあああ!!!』

 

ミヤの実況に観客は沸き上がった。

 

ミヤ『岡崎クミ! 安城トコハの猛攻を、見事に凌ぎきりました!』

 

カズミ『ここから岡崎さんのターンです。ダメージは3対5。このターンは見逃せませんよ』

 

クミダメージ:5(裏1)

クミ手札:3枚

〈べ〉〈ふ〉〈 〉

〈 〉〈き〉〈ら〉

 

トコハダメージ:3(裏3)

アーシャソウル:4

トコハ手札:6枚

〈ト〉〈ア〉〈デ〉

〈デ〉〈 〉〈カ〉

 

状況は圧倒的にクミが不利だ。

でも、クミは笑った。

ただ、純粋に、何時ものように、このファイトを楽しんでいるから、笑っているのだ。

そして、彼女はデッキに手を添えた。

 

クミ「スタンド&ドロー。トコハちゃん! 今度は私の番だぞ! 《バトルシスター ばーむくーへん》は、パドミニと同じ超越コストとする際にグレードを2つ上げるスキルを持ってる! ストライド・ジェネレーション! 《エキサイトバトルシスター しゅとれん》! 超越スキル! バトルシスターをCB1。山札の上2枚を見て、1枚を手札に加えて、もう1枚は山札の上か下に置くぞい! これは上だね!」

 

クミ手札:3→4→3→4枚

クミダメージ:5(裏1→2)

 

クミ「そして、このターン、バトルシスターのRは全て、パワー+3000!」

 

べりーむーすパワー:9000→11000→14000

きっふぇるんパワー:5000→8000

らすくパワー:7000→10000

 

クミ「そして、さぶれとらすくをコール!」

 

クミ手札:4→2→3枚

しゅとれんソウル:1→0

べりーむーすパワー:14000→16000→18000

らすくパワー:7000→10000

さぶれパワー:9000→12000

 

クミ「まだまだだぞい! きっふぇるんのスキル! ソウルに送って、バトルシスターのRは全て、さらにパワー+3000だ!」

 

しゅとれんソウル:0→1

べりーむーすパワー:18000→21000

らすくパワー:10000→13000

さぶれパワー:12000→15000

らすくパワー:10000→13000

 

カズミ『たかが、3千、されど3千。重なると恐ろしいですね』

 

トコハ「まるで開花ね」

 

クミ「もっとだぞ! 《バトルシスター まふぃん》をコール。スキルで、山札に戻して、べりーむーすに神託とパワー+3000を与えるぞ~!」

 

クミ手札:3→2枚

べりーむーすパワー:21000→23000→26000

 

トコハ「そして、次は――」

 

クミ「そう、しゅとれんのスキル! CB1! SC1! Rのバトルシスターと同じ枚数だけ山札の上のカードを見て、上か下に置くぞい! 3枚上、1枚は下ね」

 

クミダメージ:5(裏2→3)

しゅとれんソウル:1→2

 

クミ「そして、しゅとれんのGB3! やっぱりバトルシスターのRにパワー+3000!」

 

べりーむーすパワー:26000→29000

らすくパワー:13000→16000

さぶれパワー:15000→18000

らすくパワー:13000→16000

 

トコハ「うう、開花よりはましだけど、馬鹿にできないパワーが……」

 

カズミ『安城さんの手札は6枚。ヒールと完全ガードを抱えているとはいえ、どこまでダメージを受けるかが決め手ですね』

 

クミは楽しそうに笑いながら、ヴァンガードに手を添えた。

 

クミ「いくよ、トコハちゃん! しゅとれんでアタック!」

 

トコハ「(クミちゃんは3枚を戻した。絶対に3枚ともトリガーだ)《播種の乙女 ティアニー》で完全ガード! 開花! ドロップのティアニーをバインド! ドロップの開花持ちを手札に戻す! シャルルを手札に!」

 

トコハ手札:6→4→5枚

トコハバインド:0→1

 

クミ「トリプルドライブ! ファーストチェック!」

 

バトルシスター まふぃん(☆)

 

カズミ『やはり、トリガーですか……』

 

クミ「効果は全てべりーむーすに!」

 

べりーむーすパワー:29000→34000/☆2

 

トコハ「ううっ」

 

クミ「セカンドチェック!」

 

バトルシスター まふぃん(☆)

 

クミ「これも効果は全てべりーむーすに!」

 

べりーむーすパワー:34000→39000/☆3

 

ミヤ『まだ1枚残っているぞ!』

 

クミ「サードチェック!」

 

バトルシスター ぽるぼろん(治)

クミ手札:2→5枚

 

ミヤ『やはり3枚ともトリガーだ!!』

 

トコハ・カズミ((でもヒールトリガー!))

 

クミ「パワーはべりーむーすだよ!」

 

べりーむーすパワー:39000→44000

クミダメージ:5→4(裏3→2)

 

トコハ「高いパワーのべりーむーすにクリティカルの全振り。そうか! クミちゃんは山札の上3枚のカードを知っていたからこそ、ガードがしにくいこの布陣を作れたんだ!」

 

クミ「これが私のヴァンガードだぞい!」

 

笑顔でピースサインを作ったクミを見て、トコハは驚愕と同時に笑顔になる。

 

トコハ「うん。やっぱり、クミちゃんはそうでなくっちゃ!」

 

クミ「この攻撃を防ぎきれる? べりーむーすでアタック!神託発動! CC2!」

 

べりーむーす+らすくパワー:60000/☆3

クミダメージ:4(裏2→0)

 

ミヤ『パ、パワー6万!?』

 

カズミ『ダメージトリガー無しで防ぐのは、至難の技です。安城さんはどうするのか……』

 

トコハ「Gガード! 《絆の守護銃士 アンテロ》! SB1でスキル発動! シールド+5000! Rが4枚以上なためさらに+15000! さらにガード! 《メイデン・オブ・ゼフィランサス》! シャルル!」

 

アンテロシールド:15000→20000→35000

アーシャ+シャルル+ゼフィランサス+アンテロシールド:61000

トコハ手札:5→2枚

アーシャソウル:4→3

 

クミ「防がれた!?」

 

トコハ「よし!」

 

ミヤ『安城トコハ! 見事にしのぎきりました!』

 

カズミ『見事ですね(ミゲル……君が守ってくれたのかい?)』

 

カズミは亡き友の分身の未来の姿を見て、ふと思った。

だが、トコハの表情を見て、考えを改めた。

 

カズミ(いや、違う。Gガーディアンもまた、彼女が築き上げてきた絆の1部なんだ。過去を力にして、シオン君やクミちゃん。何よりも、クロノ君との未来を歩んでいるんだ)

 

GユニットをGゾーンに戻しながら、笑うトコハの姿が、カズミにはとても美しく見えた。

 

カズミ(愛する人との輝く未来。それを掴むために築き上げる過去。ミゲルは、その1部として、ソコに、宿っているんだな)

 

ミヤ『鬼丸さん?』

 

カズミ『えっ!?』

 

トコハを見て、彼女の姿に目を奪われていたカズミは、ミヤに話しかけられてようやく正気に戻った。

 

ミヤ『どうか、しましたか?』

 

カズミ『い、いえ。なんでもないですよ。あっ、岡崎さんがさぶれで攻撃しましたね』

 

さぶれ+らすくパワー:34000

 

トコハ「ノーガード」

 

ミヤ『安城トコハ! ここは迷わずノーガードだ!』

 

理想の乙女 トゥーリア(なし)

トコハダメージ:3→4(裏3)

 

クミ「ターンエンド」

 

クミは一旦一呼吸をおいて自分の場を見た。

 

クミ「エンドフェイズに《神明護官 アマツヒコネ》の神託が発動するよ! CB1で、このカードを手札に戻して、手札1枚をランダムに裏でバインド!」

 

クミは手札をシャッフルして、裏向きにフィールドに置いた。

そのままクミから見て、左から2番目のカードをバインドゾーンに置いたのだった。

 

クミダメージ:4(裏0→1)

クミ手札:5→6→5枚

クミバインド:0→1

 

クミは裏のカードを確認したあと、手札を再び手に取った。

 

トコハダメージ:4(裏3)

アーシャソウル:3

トコハ手札:2枚

〈ト〉〈ア〉〈デ〉

〈デ〉〈 〉〈カ〉

 

クミダメージ:4(裏1)

ふろらんたんソウル:1

クミ手札:5枚

クミバインド:1

〈べ〉〈ふ〉〈さ〉

〈ら〉〈 〉〈ら〉

 

トコハ「クミちゃんの手札に完全ガードが加わっちゃったか。でも、負けない。スタンド&ドロー! ライドフェイズ開始時、アーシャのスキル。ドロップとサークルのノーマルユニットを山札の下に戻す! ドロップとサークルのディアンを戻して、1枚ドロー。そして、手札のカトリーナをコール! 開花!」

 

トコハ手札:2→3→4→3枚

トゥーリアパワー:9000→13000

カトリーナパワー:7000→11000

カトリーナパワー:7000→11000

 

トコハは手札のG3、《矢車菊の花乙女 イーネス》を捨てる。

 

トコハ「Gゾーン解放! 今こそ咲き誇れ、我が輝ける未来に! ストライドジェネレーション! ヴェルヘミーナ! 超越スキル! ディアンをコール! 開花! さらにCC1、SC1」

 

トコハ手札:3→2枚

トコハダメージ:4(裏3→4→3)

ヴェルヘミーナソウル:3→4

ディアンパワー:7000→8000→18000

ディアンパワー:8000→18000

 

トコハ「トゥーリアのスキル! このユニットはカトリーナ扱いでもあるため、ドロップのカトリーナを山札に戻して、このユニットを手札に戻す!」

 

トコハ手札:2→3枚

 

クミ「カトリーナとトゥーリアを戻した!? 確かトゥーリアって……」

 

トコハ「そうだよ。もう1度トゥーリアをカトリーナとしてコール。今度は2体のカトリーナが開花!」

 

トコハ手札:3→2枚

トゥーリアパワー:9000→13000→17000

カトリーナパワー:11000→15000→19000

カトリーナパワー:11000→15000→19000

 

トコハ「そして、ヴェルヘミーナのGB4! 前列のRにパワー+5000、クリティカル+1!」

 

トゥーリアパワー:17000→22000/☆2

ディアンパワー:18000→23000/☆2

〈ト〉〈ア〉〈デ〉

〈デ〉〈カ〉〈カ〉

 

ミヤ『でました! ヴェルヘミーナのGB!』

 

カズミ『岡崎さんのダメージは4。トリガーの可能性を含めて、全ての攻撃を防がなければなりません。これは辛い』

 

トコハ「いくよ! トゥーリアでアタック!」

 

トゥーリア+ディアンパワー:40000/☆2

 

クミ「パワー4万! うう、辛い。Gガード! 《八千代の日輪 アマテラス》! スキルでシールド+10000! 先にぽるぼろんのスキルで自信ともう1体をバインドして、SC1! アマテラスでSC1! 山札の上のカードを確認! やったあ! そのままにするね!」

 

クミ手札:5→4枚

クミバインド:1→3

ふろらんたんソウル:1→2→3

アマテラスシールド:15000→25000

ふろらんたん+アマテラスシールド:36000

 

クミが押さえきれないほど喜んでいるのを見て、トコハの警戒心は強まる。

 

クミ「さらに、さぶれでインターセプト!」

 

ふろらんたん+アマテラス+さぶれシールド:41000

 

トコハ「やるね。クミちゃん。だったら、ヴェルヘミーナでアタック! スキルで山札から、カトリーナを2体、コール! 開花!」

 

トコハダメージ:4(裏3→4)

カトリーナパワー:7000+4000×6→31000→36000/☆2

カトリーナパワー:7000+4000×6→31000

カトリーナパワー:19000+4000×6→43000

カトリーナパワー:19000+4000×6→43000

ヴェルヘミーナ+カトリーナパワー:69000

 

クミ「アマツヒコネで完全ガード!」

 

クミ手札:4→2枚

 

トコハはドライブチェックのためにデッキに手を添えながら考える。

 

トコハ「(クミちゃんのあの喜びよう。絶対にヒールがある。ここで私が勝つには……ダブルクリティカルしかない!)トリプルドライブ! ファーストチェック!」

 

幻蒼のラナンキュラス アーシャ(なし)

 

トコハ「セカンドチェック!」

 

孔雀草の銃士 ラケーレ(☆)

 

トコハ「よし! ゲット、クリティカルトリガー! 効果は全て、カトリーナに!」

 

カトリーナパワー:36000/☆2→41000/☆3

 

トコハ「サードチェック!」

 

クミ「ごくりっ」

 

花園の乙女 マイリス(☆)

トコハ手札:2→5枚

 

トコハ「ゲット、クリティカルトリガー!効果は全て、ディアンに!」

 

ディアンパワー:23000/☆2→28000/☆3

 

クミ(やっぱり……トコハちゃんには……敵わないなぁ)

 

クミは自信の手札を見て、目を閉じた。

その1枚はままれーど、完全ガードだった。

 

トコハ「ディアンでヴァンガードにアタック!」

 

ディアン+カトリーナパワー:71000/☆3

 

クミ「でも……諦めないよ! ダメージチェック!」

 

バトルシスター ぽるぼろん(治)

 

クミ「ゲット! ヒールトリガー! ダメージ1回復、パワーはふろらんたんへ!」

 

クミダメージ:4→3→4(裏1→0)

ふろらんたんパワー:11000→16000

バトルシスター ふろらんたん(なし)

クミダメージ:4→5

 

クミ「最後の1枚!」

 

ミヤ『運命のダメージチェック!』

 

バトルシスター じんじゃー(☆)

クミダメージ:5→6

トコハWIN!

 

クミ「あ~あ。負けちゃいましたな~」

 

クミはただ純粋に、笑顔でそう言った。

 

トコハ「やっぱりクミちゃん強いよ。楽しいファイトをありがとう」

 

笑顔で差し出される手に、クミは迷うこと無く掴んで、握手をした。

 

トコハ「まだ終わってないよ。頑張って、クミちゃん」

 

クミ「うん! 次は負けないぞい! 終わったら、みんなでお茶会しようね」

 

そう言ってクミはドロップゾーンへと降りていった。

その姿を見送ったトコハは、次なるファイトを求めて走り出した。

この高ぶる気持ちが収まらないうちに……。

 

 

その頃。

 

シオン「アルトマイルでアタック!」

 

スギル「まけた~~!」

 

シオンは対戦相手、刈谷スギルに6ダメージを与え、ファイトの決着をつけたのだった。

 

スギル「ちくしょう。また負けちまったか~。リベンジのつもりだったんだけどな」

 

シオン「負けるつもりはありませんから」

 

スギル「まっ、俺に勝ったんだ。負けんなよ」

 

2人の握手が終わったところで、刈谷はドロップゾーンへと送られた。

 

シオン「さて、次は……」

 

刈谷を見送ったシオンも次なるファイトのためにその場を離れようとしたところで、ファイバが反応を示した。

慌てて周りを見渡すと……

 

アム「シオン……」

 

シオン「アム」

 

出会うべき2人が出会ったのであった。

 

続く

 

マコト「まったく、何やってるんだ。お前は」

 

ノア「ごめ~ん。でも、ありがとう~」

 

マコト「次は負けるなよ。いくぞ、ノア」

 

ノア「うん。僕たちの本予選はこれからだよね」




次回予告

「あ~あ。カズマ君になんて言おう?」

「どうしたの? 急に?」

「トコハちゃんはいいですな~。何時もクロノ君と喧嘩してますから~仲直りも簡単にできて~」

「いや、別に会えば毎回喧嘩してるわけじゃ無いけど。まあ、確かにクミちゃんが怒ることってあんまり無いもんね」

「そうなんですよ~。だからいざ会うとなると言葉に詰まるのですな~」

「まあ、同じように喧嘩が少ないカップルも今現在話そうとしてるんだから。クミちゃんも頑張って」

次回、第10ターン:夫婦喧嘩!? シオンVSアム

「そうですな~。あらゆる感情を込めてファイトしてみますか~」

「うん。クミちゃんなら勝てるよ。絶対。でも、言葉で話すのも忘れないでね」

「は~い」

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