進撃の巨人〜不屈の盾〜   作:ただのふわにゃん

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今更ながら進撃の巨人二次創作を始めます。


百年の安寧

今から100年前、人類は突然現れた未知なる存在、“巨人”の出現によって衰退の衰退の道を辿っていた。当時の人類の持つ文明では巨人にはなす術は無く、人類の英知を、文明を巨人らはその全てを踏み躙ってきた。

そして生き残った人類は巨人に対し“マリア”“ローゼ”“シーナ”の三つの大きな壁を築き上げその侵攻を防いできた。

こうして人類は自由の代償に安寧と繁栄を手に入れたのだった。

ー845年ー壁によって得た安寧は100年間続いていた。

 

 

 

 

「あー暇だ………」

そうロビン=フランシスは木にもたれかかり、空をぼうっと見上げながら一人ぼやいていた。しかしいくら空にぼやいても唐突に人生が変わることなんてありはしないと理解はしているが心の底では期待している自分がいるのも本当であった。

(何かトラブルでも……まあそんなこと………)

ないだろうと我ながら馬鹿げたと思う思考を意識の彼方に追いやると、彼の赤い目は瞼にシャットアウトされた。惰眠を貪ろうと決めた瞬間だった。

「はあ、風が気持ちい、睡眠には『最適解』の環境だ………これならすぐに眠れそうだ」

そよ風が頰を撫で、肩まで伸びた銀髪揺らしながら、自然の恵みを肌で感じつつ沈みゆく意識を受け入れようとした時だった

「ロビンー!」

睡眠という底なし沼から優しく掬い上げられるような声に瞼を開けると、太陽の光に当てられ麦の穂の様な金髪を揺らした少女が純白のワンピースに身を包み笑顔でロゼットを見下ろしていた。

「おはよ、またここにいたんだ。ロビンはいつもここでお昼寝してるから探すのが楽だよね」

「………空から女の子、かぁ………」

「え?」

「ああいや何でもない、おはようユイヤ。今日も相変わらず元気そうだな。今日も屋敷から抜け出してきたのか」

「だって、お屋敷にいてもつまらないもん。あんな所よりもこっちの方が楽しいしまだお父様に見つかった事は無いもの」

「リザさんを困らせるなよ。君に何かあったらあの人が代わりに怒られるんだから」

「大丈夫よ。その時は私がリザを助けてあげるもの」

金髪の少女ユイヤ=リグエーダはウォールマリアの商家で酒や煙草などで莫大な財を築いており、壁内でも名の知れた商家の娘であった。

「それよりロビンこそ空から女の子なんて、相変わらず面白い事を言うよね」

「聞こえてたのかよ………」

ロビンがそう苦笑いを浮かべながら身体を起こすとユイヤはその隣に腰を下ろす。

「今日はお屋敷からお菓子を持ってきたの。一緒に食べましょう」

そう言いながら彼女が持ってきた籠からは一つ一つが食べるのを躊躇うほどの見目麗しいクッキーが出てきた。

「相変わらず凄いな。俺が食べてもいいのか?」

「大丈夫よ、私がいいって言っているのだから」

そう言いながら早速一つ目のクッキーを口に運ぶユイヤ。普段から食べ慣れているのであろう。口へ運ぶまでに躊躇いがない。ロビンは普段は食べることのない価値のクッキーをゆっくりと嚙み砕く。

「………こんな美味いもの、俺には勿体無いくらいだ」

笑いながらも壁内の上等な素材を利用したクッキーは鼻から抜ける香りが質の高さを否応もなく分からされる。

 

「でもここって気持ちいいよね。ロビンがお昼寝したくなる気持ちも分かるよ」

お菓子を食べながらユイヤも風の心地よさに寝転がった。

「そうだろ?でも 大丈夫か、服汚れるぞ」

「ちょっとくらいなら大丈夫だよ。それにリザが洗ってくれるし」

「だからって汚していい理由にはならないぞ」

「もう、ロビンったらお母様みたいに口うるさいわね」

「そりゃ………」

ロビンの言葉を遮るように壁上に設置されている鐘が鳴り響き、彼らの凱旋を伝える。

「ロビン、鐘が」

「ああ、調査兵団が帰ってきたんだろう」

「英雄の凱旋ね。私見たことないし、見に行きたいわ。行きましょう」

「あっ…おい」

ロビンの手を引くと有無を言わせず走り出すユイヤ。危うく引き摺られかけたロビンは体制を整えると元気よく走り出すユイヤの背中を見て溜息をつく。

(初めてみる奴ってのは大体こんな感じだよな。俺もそうだったし………)

調査兵団の帰還を何度も見て、知っているロビンにとっては、身につけているワンピースと同じくらい穢れない心の彼女なこの光景はあまり見ないでほしかった。

 

ウォールマリアの最南端に位置する街、ロビンの居住区であるシガンシナ区は言わば対巨人の最前線でもあった。その街から調査兵団と呼ばれる彼らは巨人の中へと飛び込んでいくのであった。

「えっ………?」

ユイヤの思い浮かべていた英雄の凱旋とは目の前に起こっている現実によってものの一瞬によって破壊された。

門より凱旋したその集団の表情は、死人のような生気の抜けた顔をしており、中には手足を失っている兵士もいた。

何よりユイヤが驚いたのは彼らを迎える民衆の殆どが、呆れたような冷めた視線を送っていた事だった。

「今回もまた失敗だったのかよ………」

「半分くらいやられたんじゃないのか?」

「こんな役立たず共のために俺たちの税は使われてるのか」

「あぁこんな奴ら壁外で全員食われちまえばいいものを………」

ヒソヒソと彼らに浴びせられる嘲笑。

ユイヤはロビンを見る。彼はこの惨劇にも、彼らに向けられる嘲笑にも意を返さず、ただその光景を眺めていた。何度もこの光景を見てきたのだろう。

「ここに君を連れて来たくはなかった………」

「ロビン………」

「俺も初めて見たときは君と同じ顔をしてただろうからね」

満身創痍の調査兵団、憐れみと嘲笑に満ちた民衆の顔、幼いながらも現実を思い知らされた瞬間だった。

そしてこの壁の外にいる敵の強大さと恐ろしさを………

 

「ねえ、ロビンは………将来兵士になるの?」

歩きながらユイヤはロビンに尋ねる。ユイヤの表情にはいつもの明るさはなかった。

もし彼が兵士に、そして調査兵団にでもなってしまったのならその中傷の的になってしまうのではないか。そう考えてしまうユイヤであった。

それを見たロビンは少しオレンジ色に染まり始めていた空を見上げながら少し笑みを浮かべて

「ああ、多分なるだろうね、普段親父ともトレーニングはしてるし」

恐らくユイヤが聞きたくないであろうことを彼女に言い放った。

「それってロビンのお父さんとおんなじの駐屯兵団?」

「そこはよくわからないな。今はまだ漠然と兵士に………」

「嘘」

ロビンの言葉を遮ってユイヤは言葉を続ける。

「ロビンは本当は調査兵団になりたいんだよね。何となくわかるよ」

「………」

ユイヤは笑顔を作ってみせているが、内心は複雑な思いであった。それをみてロビンは言葉に迷っていた。

「ねえ、ロビンは何で兵士に………」

今度はユイヤの言葉が遮られた。ロビンではなく、シガンシナ区全土に響いた大地震であった。

「な、何?」

「俺も分からない。こんな地震初めてだしさ…」

辺りを見回すと他の大人たちもこれまでに経験のしたことのないものだったんだろう。誰も状況を飲み込めていなかった。

「いったい何が………」

「ね、ねえ………ロビ…ン………」

ユイヤがロビンに声を掛ける。その声は震えており、困惑と恐怖を交えているのが声で分かった。

「あ………アレって………」

ユイヤが指を指す方向は壁の上であった。その指の先を見たロビンもその光景を現実として受け取れなかった。

父の仕事に無理を言って同伴させてもらって壁の上から外に群がる巨人を見たことがある。父曰く個体差はあれど、五十メートルにもなる壁を破れるとはとても思えないとのこと。ロビンも子供ながらにその意味を理解しそう思って生きてきた。

だがその考えは、壁を遥かに超える巨人を前に崩れ去った。

そして、百年の安寧を誇った壁はその壁を超える大きな存在によって破られた。

 




ダラダラと書いていたら長くなってしまいました。申し訳ないです。
というか主人公の精神年齢が原作のエレンたちに比べて大人すぎる気がする………
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