「ふたり」の「他愛のない」日々   作:刃波海苔

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今回から思考を書いていた()を「」内に治めるようにいたしました。
前回もそれに合わせて修正しています。
……いつもに増して後書きが長くなっています。
……これで設定厨だと分かってしまったなぁ!
この作品は会話文のみとなります。
この作品にはミーム的な表現が含まれます。
この作品と二人の会話に意味を求めることはPOPTEAMEPICに意味を求めることと同義です。
この作品はフィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。


好き合ってる変態な先輩君と変態な後輩ちゃんは今日も仲良し

◯仲良し……じゃない

 

「えへへ、久しぶりに会ったけど、本当に綺麗でした……」

「そう、だな……」

「なんですか、アンニュイな顔して。……そういえば、先輩は初めてでしたっけ、私の姉さまに会うのって」

「……や、違う。何度か会ってる。……それだけだったけどな」

「むむ、なんとも引っかかる言い方をしますね……」

「なんでもねえよ。……なんでもないんだ」

「ふーん。……好きだったんですか?」

「……ああ。大好きだった」

「へー……そうだったんですか。……姉さまってば、昔っから綺麗ですもんねー」

「今はもっと綺麗になった……」

「そうですか。(うそ、こんな顔……、見たこと無いんですけど……)……先輩、未練タラタラだったりします?」

「どうなんだろうな……。自分にも良く分かんねえや。……大好きだったことは覚えてる。……優しい人だった。大好きだったんだ」

「……ふーん。いつから好きだったんですか?」

「小四に上がった辺り、だな……一目惚れだった」

「…………いつまで好きだったんです?」

「あの人が(あに)さんの子供を妊娠した辺りだから……高一の時か。……家同士の取り決めで決まったことだから、望まない結婚だと思い込んでた。だけどよ、子供ができたって会ったときにすごく幸せそうな顔で……俺はもう、ただの邪魔もんなんだなって」

「………………」

「……どうした?」

「いえ、なんでもないです。恋する男の顔で人の姉を語った先輩にはなんにも関係ないですから」

「いや、なんでも有るだろ、そういう態度じゃねえか」

「そういう態度ってどういう態度ですか説明してください」

「んなこと言われてもよ……」

「私は眠いのでちょっと寝ます邪魔されると困るので部屋に入って来ないでください」

「おい、いま寝ると夜困るぞ!」

「そうですかご忠告ありがとうごさいます」

「なんだよ、何が……」

「うっさい! 自分の気持ちにも気付かない鈍感クソ野郎! 未練タラオ! 死ねっ!」

「……なんかやっちゃったんわけね、俺……」

 

◯翌朝

 

「あのよ……昨日は本当に悪かった」

「……なにが悪いか分かってます?」

「それは……」

「何が悪いかも分かんないのに何を謝ろうって言うんですか!」

「その、本当に……」

「うるさい! 謝ってんじゃねーですよ! タラオ死ね!」

「……ごめん」

「う……とにかく私はもう出ますからっ!」

 

◯一人ぼっちの通学路

 

「(はは、はははは、み、醜い、本っ当に醜い……! 死ねとか、なにそれ……何言っちゃってんの私……。でも、でも……!)ひぐ、ぐず……、『お前のことしか考えられないって』、言ったくせに、あんな、あんな……顔するなんて……ひっく、ぐす……」

 

 

◯放課後

 

「(ライン、やっぱ既読すら付かねえ……)」

「――くん、――しが――の」

「(あれだよな、姉さんのこと話したからだよな……。未練がどうとか言ってたから、今も好きだって思わせたんだよな……。たぶん、そうだよな? 謝んなきゃな……でもどうすりゃいいんだ……)」

「――りか――くん、も――どくん?」

「(朝は怒らせちまったし……いや、実際いまの今まで分かんなかった訳だけど……ライン的に話を聞いてくれる感じでもねーし、ホントにどうすりゃ……!)」

「守門くんっ!」

「うおっと⁉ ……ああ、すいません……。えっと……」

「山下だよ、あたしの名前。覚えてないの? で、こっちのちゃらいのは海田」

「ちゃらいのはお前もだろぉ!」

「……すいません」

「ま、いいけど。それよりね、私達とカラオケ行かない?」

「……あー、誘って頂いたところ悪いんですけどね、用事が有って。大事なことでして……」

「なんだそりゃ。なに、彼女と約束とか? 連れてくりゃ良いべ?」

「いや、そんなんじゃないんですが……とにかく用事が有りましてねぇ……。では、これで……」

「……ちぇっ、遊んで無さそうだから誘ってやってんのに……」

「ねー」

「やめとけ! やめとけ! あいつは付き合いが悪いんだ」

「は? 誰?」

「守門……名前はなんだったかな? まあ良い、お前らは知ってるだろう。今年十七歳で彼女はいない。成績で見るとなんでもそつなくこなすが、口調とか態度だかが気怠い感じで、今ひとつ情熱のない男……」

「(こいつキモくね?)」

「(まじやばくね? いきなり出てきてさ)」

「なんか運動ができそうな見た目で顔も良いから女子にはモテるが、部活にも入らず放課後になると真っ先に帰ってるんだぜ」

「いこーぜ」

「うん」

「荷物運びとかを手伝ったりしてくれて、悪いやつじゃあないんだが、これといって特徴の無い、影のうすい男さ」

 

◯あっさり

 

「やっぱここだったか。……絶対そうだと思ったぜ」

「先輩……なんでここに?」

「なんで、だろうな……直感で分かった。お前のことだから、かな。……あのな、信じられないかもしれねえけど……俺はもう未練なんてねーんだよ」

「嘘です! 先輩は……男の人は、私みたいなペチャ女より姉さまみたいな身体の人の方が好みなはずです!」

「あのな、人が人を好きになる、好きでいる要素ってのは身体とか見た目だけじゃねーだろ……。少なくともお前にはそう教わった」

「……はい、そう……教えましたね」

「それに、……それにな、俺が姉さんのことを言ってる間、どんな顔してたかは分かんねえ。でもな、たぶんお前のことを語ってるときの方が……恋する男っぽい顔になると思う」

「でも、でも……! あんなに想われてたなんて……勝てるなんて思えませんよ……大好きだったって、何回も言って……」

「あー、確かに言ったな……。だけどそれは、もう過去のことなんだよ……ていうかな、お前の方が大好きだ」

「今の姉さんよりですか?」

「違う……好きだった頃のあの人よりも、だ」

「……それって」

「いくら遡ってもな、お前が一番なんだよ。これまでの人生でお前以上に好きになった人間はいない」

「……なら証明してくだ、んむッ⁉」

「…………好きだ。大好きだ、お前に夢中だ。……愛してる」

「……えへ、えへへ、私も、です……」

 

◯仲直り

 

「先輩、あの、ごめんなさい」

「なにが?」

「あの、あの……! ひぐ……」

「覚えてねぇ。そんな酷いこと言ってたか?」

「……っ! ありがど、ございばず……。ごめ゛んなざい……」

「それよりさ、仲直りってことで……カラオケとかどうよ?」

「ぐすっ、カラオケ……ですか?」

「うん、カラオケ。ほら、結構前に一回行ったきりだろ。そーゆーとこ。……気ぃ遣ってくれてたんだよな? あ、ティッシュ使う?」

「ずびっ、びーっ! ……ぐすっ、行きたいです、先輩とカラオケ」

 

◯カラオケで①

 

「先輩……」

「ん?」

「いつの間にこんなにレパートリーを……ていうか、歌いたい歌を見つけたんですか?」

「そりゃお前がいたからだよ」

「答えになってないけどとにかくすごく嬉しい……」

 

◯カラオケで②

 

(グルグルの『ハレルヤ』なんてどこで聴いたんだろ……)

「〜♪ 〜♪」

「(……待って、さっきから思ってたけど、先輩が入れる歌って……!)」

「〜♪」

「(ぜんぶ、全部! 誰かへの愛を歌ってる……!)」

 

カラオケで③

 

「先輩、あの今まで歌ってたのって……」

「ん、どうかしたか?」

「えと、その……ラブソングって言うか、なんていうか……」

「お前のこと考えてたらな、他の歌いたいのが全部どっか行っちまった。……ほら、次はお前の番だぜ」

「〜〜ッ!」

「……なんだ、悶えて。どっか苦しいのか?」

「いえっ! 愛される喜びを噛み締めていただけです! 鼻血出そうです!」

「お、おう……」

 

◯帰宅して

 

「あばっ、あばばばば、あばぶぁっ……」

「おい、怖いなら無理しないほうが……」

「いえ、漢なら……勇気を出さねばならないときも有るのです……!」

「いや女じゃん」

「せからしか! とりゃっ! ひえっ……!」

「……あっ」

「きやぁああぁぁあ! 指が、クランシーの指がぁぁぁぁ!」

「おおう、あらぬ方向に……」

 

◯後輩 〜可愛い婚約者はホラーが苦手

 

「憔悴してるなあ……」

「憔悴してます……。なので癒やしてください……」

「あいよ」

「ああ……っ! やばいです……先輩の腕の中やばいでふ、オーガニック的ななにかで満ち溢れてて、とっても温かいです……」

「なんだそりゃ」

「なんでも良いんです……。あ〜……やばい、先輩成分が心の傷を癒やしていくぅ……」

「……そうか」

「温かい……」

 

◯たぶん示現流。掛け声は創作? うるせーばか

 

「先輩、先輩、それは一体……?」

「ん……居合い切りとか見たことねえか?」

「ああ、あれですか、巻藁ですか……でも油とか、へんな汁とか、こんなドバーッと染み込ませるものでしたっけ?」

「いや、普通はしない。でも俺は、守門の鍛冶師はやる。……俺さ、土曜になると実家に戻ってたろ?」

「ええ。……今日は行かないんですか?」

「向こうでやってた用事をな、こっちでやることにした。……クソジジイに会いに行くよりお前との時間を増やしてーからな」

「えへへっ、そうですか、そうですよねえ!」

「うん……。ま、見とけ……」

「はい、刮目させていただきます!」

「……っ! ちぇっそぉぉぉぉぃっ!」

「〜〜ッ! み、耳が、耳がビリビリっ」

「あっ……」

 

○正座

 

「先輩……?」

「はい……」

「近所迷惑なので、掛け声は禁止です……いいですね?」

「いや、でも、アレをやんないと力の入り方がおかしく……」

「いいですね?」

「……」

「……いいですね」

「……はい」

 

◯ドヤァ……!

 

「でも凄いですね……。スパッ、と綺麗な断面です……」

「ああ。……しかもな、この軸の黒く染められた部分でな、剣筋にブレが無いか分かるようになってんだ」

「おお、ちゃんと真っ直ぐに切れてるんですね……」

「そうだろう。綺麗な剣筋だからこう切れるんだ」

「はえー……(ドヤ顔かわいいなぁ……)」

 

◯この作品はフィクションであり、実在する刀剣類の切れ味の如何とは一切関係有りません

 

「じゃあこの汁と油は……?」

「ああ、人の血と脂の代わりだな。それと軸は骨より硬い」

「……えっ?」

「うん、刀ってさ、人を何回か斬ると使えなくなるって聞いたこと無いか?」

「んー……お父さんが言ってた気がします」

「それな、俺に言わせりゃ下手な持ち主に相応しい、出来損ないのガラクタなんだよ」

「どういうことですか?」

「その俗説のテストケースに使われた刀ってのは、戦争のときの大量生産品だ。昭和新刀ってな。人一人を斬るとへにゃるんだ」

「えっ……」

「江戸時代とか、幕末みたいな刀が主武装だった時代の代物と比べればとんでもない粗悪品だ。使い手が良い刀を使えば百人切りだって伝説じゃねえのさ。……(うち)が作ってんのはそれができる刀だ。良い刀は、血と脂を弾く。……里見八犬伝の村雨みてーにな」

「……やっぱり、家の話に詳しいんですね」

「……ま、あのクズに詰め込まれた知識だけどな。……こんなことより、リフティングのコツとか知りたかったぜ」

 

◯ドヤァ……!②

 

「よしっ、これで五本目……。どうだ、刃毀れ見えるか?」

「い、いえ……。全然わかんないです」

「そうか……うし、そこの半紙とってくれ」

「あ、これですね。……拭くのに使うんですか?」

「いや、こうする」

「……っ! ふ、触れただけで……」

鬼留刃(くりゅうじん)、問題ねーみたいだな。どうだ、凄えだろ? 俺が打ったんだぜ、これ」

「ほえー……すごく綺麗な刀……(……あとドヤ顔凄くかわいい)」

 

◯ピクニック

 

「はいどーぞ、未来の愛妻が作ったお弁当です」

「さんきゅ……。うん、美味そうだな」

「えへへ。美味しそう、じゃなくて、美味しいんですよ?」

「ん、ホントに美味いなぁ……」

「美味しいです。むぐむぐ……ん、先輩、ほっぺたにお米付いてますよ」

「マジ? どこだ……?」

「とったげます……ちゅっ」

「え、ここ? 本当に?」

「嘘です。なんとなくほっぺにしたかっただけです」

「……お前なあ」

「んっ……頭なでなで好きです、幸せです……」

「ああ、幸せだなあ……」




ここまで読んでいただきありがとうございました。
今回から思考を本格的にぶち込むようにした訳ですが、これは果たして会話文なのか、ssなのか……。
もういっそやってることを「」の後ろに付け足すとかしたほうが良いのかもしれませんね(やけくそ)
こんなことになったのは偏に私の技量不足ですね。たぶんロングソードも扱えないんじゃないでしょうか。
ところで、お気に入り数、15人。
いやね、とても嬉しいですよ。非R18じゃ初めてです。
まあくだらない自分語りもここまでにしておきます。

以下どうでもいい設定

今回はあんまり変態じゃなかった後輩ちゃん
オタク系スレンダー美少女。
今回名前が出てくる予定だったが「……いらねーな!」と判断したので出なかった。
喧嘩した日は猫を被りきれず、様子が違ったのでクラスで心配されていた模様。
ある理由で三歳頃に本当の両親から引き離され、遠い親戚のもとで育った。そして数年前まで親戚を本当の両親だと思いこんでいた。
不幸に思えるかもしれないが、間違いなく幸運、幸福である。絶対に。そして、愛する人と一緒にいる今こそが逆に不幸と言えるかもしれない。
厨二病を患っていたときに「自分は退魔の巫女の末裔で強い霊力を持っている」と設定していたが、それが割と当たっていたと知ったときは愕然とした模様。
ちなみに妖がどうのとは知らず、ただ「犯罪レベルで厳しいところなんだな」と認識している。知っても信じない。
姉とは八歳頃から毎年会っていた。毎年の夏休みに家に一週間ほど泊まりに来る彼女を姉とは知らないまま姉さまと呼び、慕っていた。
性格が良くも悪くも非常に似ているので気が合ったのだろう。それこそ姉が彼女と同じ環境で育てば確実に趣味人になっていたであろうほどに。
先輩のことは大好きなので名前で呼びたいし自分の名前を耳元で囁いて欲しいが恥ずかしいので無理。

今回は剣の腕が変態だった先輩くん
仲良く無い人には敬語対応系美青年。母親似。
後輩ちゃんに夢中なので他の人の名前を覚えられない。
名字は守門くん。名前も決まっていたが「……いらねーな!」と判断したので出ない。
母子家庭で育ったが、彼が十歳の頃に母親が病死。血縁上の父親である守門の鍛冶師に引き取られ、すべてを奪われたうえで鍛冶修行に従事することになった。
後輩ちゃんと出会うまで自我が薄かった。というかもともと薄かったのに失恋やら何やらが重なって消えかかってた。
今の性格は、ほとんどが後輩ちゃんと出会ってから形成されたもの。
後輩ちゃんを名前で呼びたいが「鼻血の出過ぎで失血死する」と訴えられたため、心苦しいが自分が血縁上の父に呼ばれていたように「おい」とか「お前」と呼んでいる。
余談だが、討妖の家と巫の家と鍛冶の家の長男、及び長女は通常戸籍を作られない。しかし彼は母親が嫡外子として産み育てたため、一般人に近い育ち方をした。プロサッカー選手が夢だった。

先輩くんと後輩ちゃんの関係性
兄妹であり、親友であり、相棒であり、恋人であり、夫婦であり、そして母と息子でもある。

鬼留刃
鬼も留まって思わず目を見張る切れ味、という意味の名前。
先輩くんの血縁上の父親が名付けた。
本文では半紙を切ることてテストしていたが、本来は水面に浮かべた髪の毛に触れることでテストする。
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