「ふたり」の「他愛のない」日々 作:刃波海苔
タイトル通り日記会となります。先輩との出会い前〜初期となります。
後輩ちゃん、少し荒みます。
◯10月1日
今日はすごく特別な日だった!高田くんをもっと好きになってしまった。きっとこの人と結婚するんだろうなあ。。。
高田くーーーーーんっ!!! 愛してる!! あなたに夢中です!! 高田くーーーーーーん!!!!
◯10月2日(文字はところどころ震え、漢字を書き損ね、涙で滲んだ跡がついている)
よく分からない内に失恋した。昨日初めてもあげたし、中二ムーブも嫌だって言われて卒業した。
なのにじゅんちょうな感じだったのに一方的に捨てられた。きいたらもっと好きになってしまった人がいるからそっちにするらしい。私が大好きな真けんな眼差しでそう訴えられた。へんじはいらないらしい。
しにたいしころしたい だいすきだったのに
◯10月3日(筆圧が強い。ところどころに涙の跡が見える)
今日は学校を休んだ。そして色々と衝撃の真実を明かされた。そのせいでむりやり元気にされてしまった気がする。
曰く、私は本来この家の……パパとママの子供では無いということ。なら遺産が来ないってことなの……?(ゲス)
曰く、年に一回は遊びに来た親戚のお姉さまは私の実の姉であるとか。
曰く、そこそこの名家の息女という肩書は仮の姿で、本来は由緒ある巫師の家系であるとか。設定に似ている。パクリだ!(混乱)
曰く、私には数年前から鍛冶師の家計の婚約者がいたとか。いや知らないんですけど。
そして明日その婚約者と会うらしい。と言うか今後(婚後?)に備えて会ったその日から新居で同棲生活スタートらしい。ふざけるなーっ!!
もしや高田くんがらしくないことを言って別れを告げたのはこれ関連の「工作」が原因なのでは、とダディに聞いたところ、「それは高田くんが善からぬ人間だっただけだな(キリッ)これを教訓にして眼力を磨くといい、それが若者の特権だ(キリッ)」と澄ました顔でオウヨウにうなずいていたのでフィジカル去勢脚をお見舞いして綺麗な顔を悶絶させてやった。面白かった。
高田くん、いまでもすきなんだけどな
◯10月4日
疲れた。転校先の学園は明日から秋休みらしいので助かった。
新しい家だけど実家に比べるとちょっと狭い(でもお手伝いさんは雇わなくても良さそうだから、丁度いいかも知れない)。
二階建てで、上は三部屋。二部屋住むのに使って一つは荷解きしてない荷物の置き場にしてる。
下はちょい狭リビングに実家とは違う、いわゆる普通のキッチン。
それに少しダウングレードしたバスルーム。トイレもちょっと……。
なによりも新居と新しい同居人の無機質さがすごく辛い。私特有の感性かもしれないけど、新居ってどんなに家具を置いてみても、どこか味気無いというか、寒々しいような、そんな感じがする。親戚のお兄さんの引っ越しを手伝ったときもそう感じた。
たぶんだけど、人の熱がまだ染み渡って無いからだと思う。
新しい同居人、もとい婚約者さんは人形のように綺麗な顔だけど、性格まで人形みたいで会話が続かないし、こっちが歩み寄ろうとするのも辛い。あまりにも虚ろな目だからガラス玉を嵌めてるようにしか見えなくて、とても不気味だから。
ところで、この新居に連れてきてくれた婚約者さんのお父さん、死ねば良いと思う。
セクハラが酷かったし舐め回すような目で見られたし太もも辺りに手を伸ばしてきたし本当に死ねばいいと思う。死ね。
なにが「おめえさんが俺の息子の子供を五年以内に産めなかったら俺のこっちの息子がお前さんを孕ませっからよ」だ。その前に死ね。上手いとか抜かしやがって、お前のテクニックなんて興味無いんだよ。
迎えが来る前にママとパパには「あのおっさんはクソだし信用できないから婚約破棄されるようなことやらかしてさっさと戻って来い」って言われてたけど、その判断、正解でした。まあ私が戻ったりすると政治的な意味で困ったことになりそうだから帰れないんだけどネ!
◯10月5日
婚約者サマにご飯を作って上げたけど味の感想はもちろん、お礼の一言も無い。いただきますもごちそうさまも言わない。ムカつく。
マークザインとかダイガードをいじったり、ダイガードを見たりして気晴らしをしたけどこれを書いてる内にまたムカムカを思い出してきた。
ええい、寝ちゃえ寝ちゃえ。
◯10月6日
婚約者さんは食事の時だけ上から降りてきて、終わると上に戻るのでが何をしているのか気になったので聞いてみた。
「時計を見ている」らしい。楽しいのか聞いてみた。
「分からない」らしい。なんでそうしてるのか聞いてみた。
「何も言われていないから」らしい。ちょっと怖い。AIと話してるみたいだった。頼んだら何かしてくれるのか聞いてみた。
「できることはなんでもする」らしい。(今までもそうだけど)棒読み&真顔なのでいまいち信用できない。
できないのでいただきますとごちそうさまを言うように頼んでみたら「わかった」と頷いてくれたので悪い人では無いのかもしれない。
今まであなた、とか、あの、とか呼びかけてたけど同じ学園に通っているので先輩と呼ぶことにした。変わらないマシーンぶりだったけど許可してくれた。
なんとなく、今までのことを聞いてみようと思った。
◯10月7日(ところどころに涙でふやけた跡が有る)
天国(という名の実家)お父様、お母様。私がこの家に行くとき、「あのおっさんはクソだし信用できないので婚約破棄されることやらかしてさっさと戻って来い」とこっそりおっしゃられましたね。
ですが私は戻ることはできません。私は自分より年上の、大きな背中のこの人の母にならなければならないからです。
今までの辛い気持ちをずっと我慢していたのでしょう。「母さん、母さん」と何度も何度も繰り返し泣いていました。彼から聞いたいままでを忘れないように書こうと思うのですが、いま一気に書こうとすると、このページは涙でふやふやになって使い物にならなくなってしまうでしょうから、断片的に書くことにしようと思います。
とりあえず、彼はとても苦しんできました。笑顔を作って、飄々と生きてきたと語っているのですが、今はそれすらできなくなるほど傷ついているようなのです。
それこそ、このまま消えてしまいそうな程に。
◯10月8日
先輩に好きと言ってみた。一目惚れしたとも。無理に笑おうとするので、ありったけの愛を込めて抱き締めてからやらなくていいんだと教えたりした。
本当に好きかと言われると、たぶん無い。可哀想だし凄く美形なのは分かるけど、ママとパパで見慣れて食傷気味なのか高田くんみたいに素朴で誠実そうな人が好みだし。
でも好きって言ったり行動に移したりするのは先輩を肯定するため。
あの人は小さい頃にお母さんと死に別れてから実の父親に全部を、それこそ自分を持つことすら否定されて生きてきた。それはきっと、地獄のような六年間だったと思う。
その果てに氷か機械のような先輩になってしまったなら、反対に肯定してあげないといけない。そして最上位の肯定は、好きだと表現すること。。。だと思う。
ちなみに先輩はすごく混乱してた。あと泣いてた。私もホンのちょっぴりだけど泣いた。
◯10月9日
明日から学校だけど準備はもう終わってるのでゆっくりした。
オタクバレしたときの反応が怖いのでこっそりと旧アニメ版のグルグルを見た。
OPのせいでちょっとだけ鬱になった。高田くん、どうしてなの。
でも飛ばせなかった。好きな曲だから。
それと今日から先輩と一緒に寝ることにした。するっと忍び込んで人肌(パジャマ越し)で温める、名付けて人間ハンギングピロー作戦。
◯10月10日
大変だった。中学デビュー以来、中二キャラで通していたせいでなにかを演じないと酷いレベルのコミュ障になることが判明した。
おかげで私のイメージが「清楚な令嬢」になってしまった。教室の雰囲気的にオタバレでもすればムラハチの憂き目に合いそうなので逆に良いかもしれないけどしんどい。
◯10月11日
今日はちょっと泣いた。
先輩が料理を作ってくれていた。ちょっとしょっぱいけど普通に美味しくて助かった。ここまでは問題無かった。ここまでは。
別の鍋に作ってあったやつを味見したらさあ大変、悶絶するほどしょっぱいじゃあ有りませんか。
聞くと、鍛冶仕事で汗をかくからそのぶん塩分補給をしなくちゃいけないせいらしい。
だから味を度外視した異常にしょっぱい料理(=塩分豊富)を作らされ、食べさせられてきた。
そのせいで「味覚がね。。。駄目なんだよ。。。」ということらしい。
正直、私が今までよりにかけて作ってきた料理もよく分かって無かったと思うと悔しいけど、それ以上に悲しくなった。
だって、食事が単なる栄養補給に成り果ててしまっているということだから。
とりあえず先輩の分は濃いめに作り分けて、だんだん味を薄くすることにした。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
すまない、本当にすまない……。
剣士さまと巫女さんは地の文付きで発表するのが適切な感じなものしか思い付けない故、まだ書けんのだ……。
期待を裏切ることに定評のある男として罵ってくれて構わぬ……。
いや、期待をかけられているのか……?
まあいい。今は書くのだ、ただひたすら……。
以下どうでもいい設定。
「後輩ちゃんの日記」
名前が書かれている鍵付きの日記帳。
黒歴史ノートは別に有る。というか中二病は昔はともかく今は引っ込みがつかずに演じ続けているだけのエセ中二病なのでこっちでは普通に(オタクの)乙女。
毎日書くことが目的なので割と適当だったりする。
でもその日の喜怒哀楽と他のいろいろが詰まっている。基本的丸文字。荒んでいるときは殴り書き。
「中二病時代の後輩ちゃんの設定」
由緒正しき陰陽師の子孫にして大妖怪牛鬼を祖に持つ。普段名乗る名前は仮のもので、真名は
闇に潜む変幻自在の天魔外道、妖魔、怪魔共を牛鬼の怪力と不思議な力、
学校生活ではその現力を発揮しないが、それは無駄遣いを抑えるため。
現力は使い過ぎると牛鬼としての力を一時的に失って弱体化してしまうので。
「高田くん」
名前は適当に決めた。サイコパス。初めから体目当てなのでたぶん貧乳好き。思ったより思ったほどじゃなかったのでフッた。
「先輩の父親」
汚物。いろいろなところから嫌われてる。でも汚物が肥料として役に立つように彼も鍛冶師としては役に立つので……。
「失恋してからの怒涛の展開の果てに母性に目覚めた後輩」
実はチョロイン。
ジーベック好きのオタクの姉ちゃんとも言う。父親の影響。
中学上がりたてで陰陽師の使命と血に目覚めた。一年半も経つと気のせいだと分かったけど周りの認識的にはもう遅かったのでそのままやり通し、今度は清楚系お嬢様を演じることになった。
実は先輩が失恋しているとはこの時点では知らない。
怒ると少々荒っぽくなったりするけど生まれも育ちも結構なお嬢様。父親の仕業でロボット中心にクソオタクだけど。
今は未練たらたらだけど忘れる。
「鍛冶をするだけの機械になりかけていた先輩」
大好きな母が死んでから氷結地獄のような環境で心を凍えさせながら育った。
母から教わった「笑顔の魔法」と親戚のお姉さんへの恋心を支えに生きていた。
しかし支えを一つ失い、笑顔を作れなくなり、ついに凍え死んだ。
精神的には母を亡くした頃よりほとんど成長していない。だって成長するようなことなんて殆ど無かったからね、しょうがないね。