おっちゃんin女子高生 某トリプルフェイスに出会う 作:ルナ子
――『コナン』でありがちな場面で、もしそこに『探偵助手』してる『おっちゃん』がいたら――(工藤新一視点)
(そうか、あの人――)
大体の目星がついた俺は、それを確認するために、走りだそうとした。
――シュッ!
「がはっ!」
床に倒れ込んだ俺の足首には、先に手錠(なんでだよ!俺は犯人じゃねぇっ!)がついたロープが巻き付いていた。
「こぉらっ!このガキッ!!あれっ程!単独行動はすんな!って言ってただろうがっ!!」
ロープの先にはそれをしっかり握ったおっちゃん――今は女子高生か――がいた。
「大体なあ。殺人事件なんてのはケーサツの領分だっての。それをしゃしゃり出てきた上に勝手に居なくなるとは、どういうこった?」
「それは……」
確かめてから話すつもりだった、と言うと拳が飛んできた。
「――痛っ!!」
「ガキがっ!いーんだよ!少しくらい外しても!捕まえるのはケーサツの仕事なんだからよ!それに」
それくらいで今更そっぽ向かれるほど、安い関係じゃないだろうが。
「……すみません」
俺は謝罪して、まだ固まっていない推理を話すことになった。
(ううっ、俺、全然カッコよくない……)
――『コナン』でありがちな……その②(工藤新一視点)
始めは何てことないハズの事件。
それがどんどんヤバい方向へ転がって、銃を持った奴らまで現れて――
「くそっ」
俺は何とか奴らのひとりから奪い取った銃を構え、
「うおりゃ!!」
スパーン、と小気味良い音がした。
「何してくれとんじゃ、このガキはっ!!」
(ハリセン!?その手にしてんの、ハリセンだよね?)
「だアホッ!!国内で銃なんざ、ぶちかますんじゃねぇっ!!」
「今は非常事態――」
「すぐそこまで救援、来てっだろーがっ!!」
その後、奴らは後から来たSATに制圧され、俺は再びおっちゃんのお説教を受けていた。
「大体なあ、お前、最初っから関わってたんだから、救援が充分間に合いそうに調整とか連絡とか、何かしようがあったんじゃねーのか?」
(それを言われると、耳が痛い)
「あのなあ、他と違って日本のケーサツは銃の管理はメッチャ細かいんだ。発砲する度に報告書書くんだぞ!!」
おめーがあそこで発砲したなんて分かったら、責任者の警部殿がどうなるか、それくらい、分かるだろ。
「……すみませんでした」
(何か俺、元に戻ってから、お説教多くない?)
――if;怪盗キッドが『正美ちゃん』に化けたら――
(キッド視点)
とあるビルの屋上――
(何とかまいたな)
目当ての宝石を月光に翳すが、今日も反応はなし。
(まあ、そんな気はしてたが)
「「待て――!!キッドッ!!」」
屋上に現れたのは、いつもの名探偵(戻っても推理は健在、ってか)と公安のお兄さんだった。
(ってか、今回、随分早くねーか!?俺、まだ息整ってねーんだけど!!)
「あら、工藤くん」
少し休憩が欲しいので、化けた少女のまま、そう返してやると、なぜかふたりが固まった。
「「そんな女っぽいおっちゃん(先生)がいてたまるかーっ!!」」
(へ?この子って『おっちゃん』『先生』って呼ばれてんのっ!?)
混乱しかけた脳裏に蘇るのは、この間、男と思って姿を借りた子が実は『女の子』だったというアレだ。
「えと、この子って『男の子』なのか?」
「「……ちがう」」
(え、え?何、今の間?)
俺が更に混乱してると、
「動くな」
(え!?サイレンサー付き、って何、その殺気!?あんた、日本のケーサツ官だよな!?)
「フッ、この美しい月の下で、そんな無粋なものは向けないで欲しいですね」
言うと同時に変装を解いてキッドの姿に――
ビシュッ!ビシュッ!
(へ!?もう発砲っ!?あっぶねっ!!もう少しで当たるとこだった!!)
三十六計逃げるに、だな、と俺は捨て台詞もそこそこに仕掛けを出そうと――
――シュッ!!
「させっかよ」
(なっ!?投げ縄!!おいおいおい!おまっ、いつの間にこんなん覚えてんだよっ!?)
「怪盗キッド!手を挙げろ!そして、先生はどこだ?」
「……逆らわない方がいいぜ」
名探偵の忠告が入るが、その時の俺はまだこの事態を甘く見ていた。
ゆっくりと両手を上へ。
もちろん、その手の中には閃光弾。
「おっと」
あと少し、という所で両手首が固定された。
と同時に手の中の閃光弾も没収。
(くそっ)
「逃がすと思いますか」
俺のこめかみに銃を向けたまま、もう片方の手で俺の両手首を押さえる、という芸当をしてくれた『お兄さん』は、
「このまま、身体検査を」
「了解ですっ!!」
(どーした名探偵!?何かいつもより腰、低くねーか?)
息が合ったコンビネーションを前に、俺は初めての敗北を記した。
その後、何とか隙をみて逃げ出したものの、翌朝の朝刊には、『怪盗キッド、ついに逮捕!!』と載っちまった。
(っとに。何なんだよ。こうなったらテッテー的に調べてやる!!)
その時の俺は知らなかった。
その決意が、もうひとつの決して開けてはならない『パンドラの箱』を開けてしまうことになろうとは――