「美月さんみこさん本当にありがとうございます」
と、青い肌の人たちがボクたちに頭を下げていた。
「唯の気紛れだから気にしなくていいわ」
みこはそんな彼らにあっけらかんと言うが、本来なら不可能な事をやっているだけに彼らの感謝は当然だろう。
「美月お姉ちゃんありがとう」
と、ボクと仲良くなった幻影族の幼女は無邪気に喜んでいた。
そして、彼らはみこによって彼らが元々いた異世界に転移されて、彼らの苦難が終わりを告げた。ボクは世界を巡る旅に出て久々に良いことをしたなと実感するのであった。
幻影族。それはエルハザード人が神の目を使用した際に異世界からこの世界に引き込まれてしまった異邦人たちであるが、彼らは幻影を操るという能力と肌の色からエルハザード人から迫害されていた。
聖戦と呼ばれる先エルハザード文明崩壊後に弾圧を受けていた幻影族の幼女をボクは助けていた。正直な話自分たちのやらかした事で来たくもない世界に繰る羽目になった幻影族を一方的に弾圧するエルハザード人に思う所があったからだ。
それが切っ掛けで他の幻影族と接触することになったが、幻影族はエルハザード人とは異なる世界の人間であるボクたちに共感意識を持ったのか接触自体は問題なかった。とはいえボクたちが異世界間を気ままに旅している事を知った彼らは、ボクたちに幻影族を故郷の世界に送り返してほしいと頼んできた。
彼らはこの世界にうんざりしており、故郷に帰りたいと切実に願っていたのだ。まあ、エルハザードにいても毛嫌いされて弾圧されるだけだからそれも当然でしょう。とはいえ、元の世界に帰るにしてもその座標もわからないとなると難しいのではないかと思っていたが、そうでもなかった。
「いいよ」
と、みこがそれをあっさりと了承したのだ。
みこはアカシックレコードから情報を引き出して、幻影族を彼らの故郷の世界に転移させるのだった。改めてチートだと実感したね。リアルで“吾輩の辞書に不可能の文字はない”と言わんばかりな彼女にボクは呆れてしまう。
こうして幻影族はいなくなったが、この世界には地球でいう所の中東みたいな文化を持つエルハザード人がいるので観光には事欠かないでしょう。ある程度楽しんだらまた別の世界にいけばいい。
そういえば、何気に原作ブレイクをしてしまいましたね。本来の流れでは後世に幻影族が暗躍してエルハザード崩壊の危機を招くわけですが、幻影族がいなくなるとそれもなくなります。こうなると主人公の水原誠などの地球人がエルハザードに来る事もないでしょう。
まあ、いいでしょう。原作ブレイクはちょっと不味いけど、幻影族は救済されて誠達も故郷から異世界に飛ばされることもなく平和に暮らせる。原住民のエルハザード人だってエルハザード滅亡の危機を未然に防げるわけですから結果からすれば悪くありません。
勿論、幻影族がいなくなってもエルハザード人とバグロムの対立はなくなるわけではないからもしかしたら原作よりも悪くなるかもしれませんが、それは私たちには関係ない事です。
解説
■幻影族
聖戦と呼ばれる先エルハザード文明が崩壊した大戦で使用された神の目の暴走によって異世界からエルハザードに飛ばされてしまった種族。その為、エルハザードの民からすれば異端者であり迫害の対象となってしまう。
■神の目
先エルハザード文明が作り上げた戦略兵器。これが暴走すれば最悪世界が滅亡する恐れすらあり、極めて危険な大量破壊兵器である。