雁夜side
俺の名は間桐雁夜。今回の聖杯戦争にマキリのマスターとして参加する魔術師もどきだ。そう俺は魔術師ではない。促成で魔術回路を用意しただけの三流以下の魔術師にすぎない。
そんな俺の前にサーヴァントが現れたが、その姿が問題だった。その姿はセーラー服を着た絶世の美少女だった。確かに容姿はとても優れていたが、その姿はどこからどうみても英霊ではなく唯の女学生にしか見えなかった。
いや外見がそうなだけでちゃんとしたサーヴァントの筈、と思い直した俺はセーラー服姿の英雄を記憶から思い浮かべてみる。結果、そんな英雄はいない、と無情な結論が出た。
おいおいどういうことだよ。そりゃ確かに臓硯がサーヴァント召喚の為の触媒を手に入れる事ができなかったから触媒なしでやったけど、いくらなんでもこりゃないだろう。
「ほ、本当にお前が俺のサーヴァントなのか?」
「はあ。サーヴァントって何の事です?」
少女はいきなりワケに判らない事を言われたと言わんばかりに困惑していたが、その反応に俺は泣きたくなった。
「カカカッ、どうしてよばれたのかもわからぬか!」
そんな俺を間桐臓硯が嘲笑う。
「雁夜、どうやら此度の聖杯戦争は結果が出たようだな。まあ、三流以下の魔術師と神秘性が欠片もないサーヴァントでは余興にしかなるまい。精々がんばるがいいわ」
そう言いながら臓硯は部屋から退出していった。
「くそっ、どうしてこうなったんだ!」
俺はそんな臓硯に苛立ちながらも少女に対して罵らずにはいられなかった。
美月side
それは次の世界に渡る時だった。ボクは何かに引っ張られるような感覚を受けて気が付けば知らない部屋にいて、そこには見覚えのない男と老人がいた。老人はすぐにその場を離れたが、男はまだその場に残り頭を抱えていた。ボクはそんな男を見ていたが、
「美月、お待たせ」
「美月はん、無事でなによりでっせ」
そこにみことジョニーが現れた。
「みこ、これはどういう事?」
「うん、ちょっとしたミスでこの世界のサーヴァントの召喚システムに触れちゃったみたいだね」
詳しく話を聞くと、どうやらここは『Fate/Zero』の世界らしい。道理であの老人をどっかで見たような気がしたわけです。
「で、今のボクはどうなっているの?」
「それがね。どうも美月がアサシンのサーヴァントになっているのよ」
「ボクは死んでいませんよ」
「まあ、美月がサーヴァントになったのはイレギュラーって事ね。聖杯がポンコツだから誤作動でもしたんじゃないのかな?」
確かに本来ならばサーヴァントとは英霊がなるものであって、死者でない生者がなれるものではないだろうが、あの聖杯ならエラーの一つや二つはありそうです。でも、ボクがそうなった事を考えるとみこが裏で手を引いている事が十分あり得る。と言うか、多分そうでしょうね。
「そういえば何故ボクのクラスがアサシン何です?」
ボクは剣士なので、クラスが与えられるならセイバーの筈だ。それなのにアサシンなのはどういうことでしょう?
「それは美月が暗殺で世界を二度も救っているからよ」
そう言われたらボクとしては沈黙するしかない。確かにジュエルシード事件と闇の書事件は地球を滅亡させかねないもので、ボクは確実に世界を守るために暗殺という手段を使ったのだ。それを考えれば世界を救った暗殺者の英雄と持ち上げられても文句は言えない。
「まあ、折角だから聖杯戦争を楽しんで来たら?」
「そうもいかないわ。イレギュラーな私たちが派手に暴れるわけにはいかないでしょう」
ボクは無暗に原作ブレイクをやりたいわけではない。えっ、今更何言っているですか? まあ、そういう突っ込みを受けるのは分かっていますが、ボクは本来の流れを乱したくないのです。そんなわけで、ボクはみこに聖杯との繋がりを切ってもらいこの世界から撤退した。
その後、第四次冬木聖杯戦争はマキリ陣営が開始前に脱落した影響もあって、流れが少々変化したものの概ね原作通りに進んで、聖杯戦争は勝者なしで終了した。雁夜は虫に体を喰われていた影響で聖杯戦争後にすぐに死亡し、臓硯は最初から今回の聖杯戦争に見切りを付けて次の聖杯戦争の準備に入っていたので、今回は何ら干渉することはなかった。
あとがき
美月を聖杯戦争に参加させてサーヴァントと戦わせようと思ったけど美月にとって聖杯戦争に参加する理由はないので撤退させました。雁夜は美月たちの所為で何もできずに犬死しましたが、それでも原作よりはマシなのが悲惨ですね(汗)。