ボクは気が付けばかつての自室にいて8歳の姿になっていた。念の為に確認したが今日の日付はボクが管理局につかまった日だった。みこもボクがやり直しできるようにその辺りはちゃんとしてくれたようだ。
過去に戻ったボクは記憶が曖昧になったことから学校や家で色々とミスをしてしまい多少不審に思われたが、そこは小学三年生の子供にすぎなかったので何とか誤魔化して生活を送る事ができた。ボク的には数十年ぶりだからかなり忘れていたわけです。
また、この時期の各管理世界は、みこによって管理局が壊滅してしまった為に体制が崩壊して大混乱になっていたが、管理局とは無関係な地球は何の影響もなかったのも好都合だった。正直管理局は邪魔だけど、管理世界の混乱がこっちにまで飛び火したらたまらないよ。
<七年後>
高校一年生15歳になったボクは様々な世界を旅をしていた頃の姿まで成長していた。自分で言うのもなんであるが、ボクの容姿は並外れたもので、勉強やスポーツも優れていた為に文武両道のクールビューティとして学校の人気者になった。
まあ男子からもてるだけでなく、女子高のノリで下級生の女子からも「お姉さま」と呼ばれて慕われることが多かったのはちょっと問題だったのは余談です。
<更に十年後>
ボクは高校を卒業後すぐに結婚して子供を出産した。早すぎだって? 実は高校時代にはセックスの快楽を求めてそれなりの年齢(五歳年上)の男性と付き合っていて、当時からいろいろやっていたわけです。二人で性感を開発しましたよ。
まあ高校生が妊娠するのは拙いから避妊だけはしていたけど、相手がボクを本気に好きになり、ボクもまんざらでもなかったから卒業したらすぐに籍を入れて結婚したわけです。
通常、結婚となると収入とか経済的な問題になるけど、ボクの場合は蔵に収納している宝石や貴金属類などを売れば一生働かなくていいほどのお金が得られるからこれは度外視しても構わなかった。といってもニートやヒモ男なんて嫌だから相手はそれなりに勤労意欲がある男性です。
夫が働いてボクが専業主婦として家事や子育てをする生活。それは刺激のない当たり前の生活ですが、案外これも悪くないですね。勿論夜の生活も充実していますよ(笑)。
<更に五十年後>
ボクは75歳になった。既に夫は亡くなり、子供たちもとっくに自立して孫までいます。当然ながらボクの両親もとっくに亡くなりました。一応両親にはできるだけの親孝行はしましたが、きちんとできたとは断言できないのが少々残念です。
実のところボクは15歳から歳を取る事はなかった。老いることなく少女のままの私ですが、夫はそんな私を不気味がる事無くむしろ永遠の美少女と喜んで愛してくれました。まあ、そういう意味で寛容な男性だから夫に選んだわけですけどね。
しかし、子供たちは夫とは違い、外見が変わらないボクを気味悪がってボクからさっさと離れていきました。まあ、母親の外見が十代の少女だしね。それも分からなくもありません。正直いうとここでの生活はもう限界でしょう。そろそろここから離れるべきでしょうね。
「ヤッホー、美月久しぶり」
と、そんなことを考えていると誰かがボクに話しかけて来た。誰がボクに話しかけてきたのか確認するまでもありません。当然みこです。
「みこですか。本当に久しぶりですね」
「うん、そろそろいいかなって思ってね。どう美月、また私と一緒に旅に出かけない?」
「……いいでしょう。もうこの世界にようはありませんから」
ボクは少し考えて旅に出る事を了承した。最早この世界にいても仕方ないというか不老不死の身体なだけに厄介事になるだけでしょう。
「じゃあ、出発だよ」
そして、ボクは転生したこの世界から姿を消して、再び世界を巡る旅に出たのだった。
完
あとがき
これで『剣と少女と世界の旅人』は終わりです。正直言うとトリッパーの中ではかなり弱い東条美月が様々な下位世界で活動する話は書きにくくて苦労しました。まあだから話が上手くいかなくなり適当な所で終わらせる事にしたわけですが(笑)。最も美月たちの旅はこれからも続くので、その後の事はご想像にお任せします。