剣と少女と世界の旅人   作:ADONIS+

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2.次元世界①(魔法少女リリカルなのは)

良次side

 俺は佐藤良次(さとうりょうじ)転生者だ。転生して早数年ようやく俺の出番が来た。やっと俺のターンだぜ!

 

 原作無印の開始。ユーノの念話で高町なのはが駆け付けているのを見た。俺も魔力に目覚めたらしくユーノの念話が聞こえた。ふふっ、原作介入だぜ。俺は高町なのはの後を追った。

 俺には力がある。ピンチになると目覚めるというまさに主人公のような能力。

「ふっ、俺様登場!」

 と、その場のさっそうと登場する俺。

 そんな俺に気付いたのだろうジュエルシードの暴走体が俺に突進してきたが、俺にはピンチになると目覚める能力があるんだ。そんな俺の考えとは異なり、俺は暴走体の突進でブチャッと潰された。

アキラside

 俺は田中アキラ転生者だ。俺はオリ主となるべく高町なのはと同じ小学校に通い、学校でも会話ぐらいはしていた。全てはこの時のフラグのために。

 

 原作の最初に干渉しそこねたが、今は二度目のジュエルシード回収がある神社に向かっている。犬に取り憑いた暴走体となのはちゃんが対峙している。

 周りの空間が変質してしまった。おそらく結界が張られたのだろう。魔力を持たない一般人はこの中に入ることはできないが、魔力資質を持つ俺は突破することは容易い。やはり俺がオリ主なんだ。原作ブレイク。目指せハーレムだぜ!

「なのはちゃん!」

「田中くん!どうしてここに!?」

 

 ふふっ、なのはちゃんがビックリしている。何せ俺はオリ主なんだ。そんな俺に気付いたのか暴走体が突進してきた。

 

「危ない!」

 と、なのはちゃんが俺を庇い犬のような暴走体に噛まれた。

 

 えっ! なのはちゃんは血をダクダクと流しながら倒れた。

 

「なのはちゃん!」

 

 予想外なことに驚いた俺は暴走体に殴りかかったが、全く通用しない。

 

「なんで効かねえんだよ!」

 

 俺はオリ主なんだ。凄い力があるはずだ。

 

「ガアアア!!」

 

 暴走体の攻撃で俺は倒れた。シールドもバリアジャケットも展開していなかった俺は呆気なく暴走体にやられた。

美月side

 ボクは東条 美月(とうじょう みつき)TS転生者です。ボクは前世ではもてない男だった。童貞でフリーター生活を送る日々でしたが、ある日生活苦から自殺しました。

 そんなボクは”全能なる観察者”と名乗る少女によってこの世界に転生した。容姿を調整してくれると言われたときにボクは『ヤミと帽子と本の旅人(アニメ版)』の東 葉月にして貰った。

 

 他の者はアルピノだの金髪だの言っていたが、『魔法少女リリカルなのは』に転生するなら多分日本に転生することになるだろうから日本人離れした容姿は避けるべきだ。それに元々女の子の身体に興味があったからどうせなら葉月みたいな美少女というのになってみたかったという願望もあった。ついでにいえば彼女がボクと同じようにオナニー好きで親しみやすかったのもあるね。

 そして今では葉月の幼少期にそっくりの小学三年生(8歳)になった。あと六年もしたら原作の葉月の容姿になるだろう。そんなマイペースなボクの生活でしたが、原作開始の時期になり、ユーノの念話を受信した。

 ちなみにボクは原作に干渉するつもりはない。そもそもボクは強力な能力を与えられている訳ではないので、そんなことをしたら命がいくらあっても足りないからだ。

 

 そういえば創作物の主人公のようにピンチになると能力に目覚めるらしいですが、危険なので試す気にはなれなかった。そもそもいきなり目覚めた能力で危機を乗り越えることができるのは物語の主人公だけでボクにはとても真似できない。出来たとしても真似したくないね。

 

 例えば皐月駆(11eyes)や衛宮士郎(Fate/stay night)はピンチに際に強力な力に目覚めて危機を乗り越えているが、選択を間違えるとあっさりと死んでしまっている。ゲームではないのだから、そんな危険な博打なんかしたくない。

 

 

 

「あら賢いのね」

「誰だ!」

 いきなり響いた声に驚く。ここはボクの部屋だからボク以外誰もいないはずなのに!

 

「私は貴女を転生させた者よ」

 気が付けば、その場にいた少女がそう喋る。

 

「まさか全能なる観察者!?」

 ボクは十年近く前の霞がかった記憶を呼び起す。確かにこの少女だった。

「……今更何のようです?」

 これまで何の音沙汰もなかった相手だ。ここで接触してくるとなると何かあるだろう。

 

「美月、貴女がこの世界のオリ主に選ばれたわ」

「どういうことですか?」

「他の転生者が全滅してしまったの。最悪なことに主人公の高町なのはを巻き添えにしてね」

 詳しく聞くと、本当に自分以外の転生者はいなくなったらしい。アルピノになった奴はその体質から紫外線にやられて死んでしまい、日本人夫婦の子供なのに金髪碧眼で転生した奴は、その結果として家庭崩壊を招いて逆上した母親に殺されてしまったらしい。まあ、あからさまに血が繋がっていない子供だからね。容姿に気を付けて本当に良かったよ。

 次にジュエルシード暴走体との戦いに干渉した二人の転生者が返り討ちにあった。特に最後は主人公の高町なのはの足を引っ張り巻き添えにして死んでしまった。

 実はボクを含めた五人の転生者はFランクの魔力資質があったらしい(今後の成長の見込み無し)。でも魔力が低すぎてバリアジャケットも展開出来ないほどだが、一応魔力があるために結界の中に侵入できた。だがFランクなんて念話ぐらいしかできず、魔導師として役に立たない。

 更にピンチになると「蔵(アーカイバ)」という能力が目覚める。これは、ドラえもんの四次元ポケットやギルガメッシュの王の財宝の様な物らしい。でも、それは最初は何も入っておらず、必要なものは自分で用意して入れる必要があるのでは?

 

「その通りよ。よく分かったわね」

 

 彼女はまたも美月の心を読んだようで、その疑問を肯定した。やはり蔵は、ギルガメッシュの『宝具』や、ドラえもんの『秘密道具』などのような強力な道具を事前に入れておかないと意味がないようだ。

 

 ピンチになると目覚める能力であっても、それがピンチを切り抜けるのに役立つとは限らないということである。だから原作に干渉した二人は呆気なく返り討ちになった。

「なぜそんな事をしたのですか? 予め注意しておれば防げた筈では?」

 だからこそ思う。何でそんな事をするのかと。

「私はトリッパーにはそれなりの質が必要だと思うのよ」

「質ですか?」

「そう、私がこれまで見てきたトリッパーは大概その能力で好き勝手していたわ。特に酷いのがニコポ、ナデポなどの魅力洗脳系の能力でハーレムを作る奴ね」

「それが不満だったと?」

「そうよ。仮にもトリッパーならある程度の質は必要だし、あまりの醜態に我慢がならなかったわ!」

 

 みこにとって話にもならない愚物が自分と同じトリッパーになるのは好ましく思っていない。現実にはみこが嫌うタイプのトリッパーが多いが、自分からそれを増やしたいとは思わない。だから選別を行う。

 

 実は容姿を好きにさせたのも罠だし、ピンチになると目覚める能力も罠だ。それらを潜り抜けて生き残った者は、少なくとも最低限の水準は満たしている。

 

 そんな風に同じトリッパーとして、迎えることができるように彼等に試練を与えて試す。その一方で問題外な者はさっさと退場させた。

「その点、美月は優秀だわ。自重して身の程を弁えていたからね」

 ここで少女は溜息を零した。

 

「でもまさか高町なのはが巻き添えになるとはね。これでは話が根本的に変わってしまう」

 確かに主人公が死んだら原作ブレイクも良いところだ。このままだと拙い。A'sでは上手くいけばグレアムが闇の書を封印できるかもしれないが、ジュエルシードは確実に拙い。下手をすると地球が吹っ飛ぶ。

「所詮は並行世界の一つにすぎないから最悪地球が滅んでも問題ないんだけど、放置しておくのは後味が悪いから、貴女には高町なのはの代わりをしてもらうわ。やって貰うことはジュエルシードによる次元災害を最小限に抑える事よ」

 最悪の場合、地球が無事ならそれで良いと言われた。

 

「でもこのままじゃ話にならないから能力を与えておくわ。東葉月と同じ容姿だから彼女の能力を与えておきましょう」

 とんとん拍子に能力が与えられ、チートオリ主に仕立てられるボク。

 

「あ、あの本当にボクがやらないといけないんですか?」

「うん、貴女がやらないと地球は崩壊ね」

 絶句、本当にやるしかない状態だ。座して死を待つ訳にはいかない。両親もいるわけだし。

 

 前世の記憶の所為で両親とは少し壁があるものの、それでも家族としての情というものがある。見捨てるわけにはいかない。というか、この人何でも出来るならPT事件も自分で処理できる筈では、と思うが…。

「それじゃ、面白くないじゃない」

 と言われた。

 

 やはり心を読まれていますね。これは迂闊な事は考えられないか。はあ~。さよなら、ボクの平穏な生活。まあ、いいや。とりあえず能力の確認をしないとね。

 

 ボクの能力は、ソーマによる不老不死(毒が効かず病気にならない。即死の重傷でも即座に復元する。外見年齢は現在8歳だが、15歳になると外見が固定される)と、ソーマによる超人的な身体能力の二つです。

 

 それと、みこから与えられた装備品は、引狭(いなさ)という刀だ。これはボクと同じトリッパーがエレザールの鎌(うしおととら)と同じ製法で造った刀にみこが大量のソーマを吸い込ませた刀で、東葉月が使用していた刀に比べるとより日本刀に近い形状をしている。

 

 これは単体でも一級の宝具に匹敵する業物であるが、ボクのソーマの力を増幅させてくれる働きがある。具体的には装備していると全ステータスが一ランク上昇するみたいな感じですね。

 

 チートだ。これに蔵(アーカイバ)が加わるから、確かにこれなら何とかなりそうだ。

 

「でも魔法が使えないと、ジュエルシードの封印も出来ないよ」

「問題ないわ。その刀でぶった切れば、ジュエルシードは消滅するから」

 

 おお、さすがチート特性の刀。ロストロギアでも問題なし。というわけで弱小転生者改めチートオリ主”東条美月”の原作介入が決定された。




解説

■引狭(いなさ)
『トリッパー列伝 引狭』で引狭が製作した日本刀。彼自身は使いこなせなかったのでみこに預けていたが、今回それが美月の手に渡る事になる。

■ソーマ
『ヤミと帽子と本の旅人』でイブが消えるさいの光で、それを浴びると不老不死になり超人的な身体能力や絶大な魔力を持つようになる。
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