剣と少女と世界の旅人   作:ADONIS+

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8.神仙と妖魔の世界(十二国記)

「あーもー、一体何ですか、この国は!?」

 と、苛立ちのあまり周囲に喚き散らしたボクは悪くないと思う。

 

 ボクが今いるのは巧州国。【十二国記】の世界に存在する国の一つだ。この世界は天帝が支配しており神仙と妖魔がリアルに存在する古代中華風ファンタジー世界だ。

 

 ぶっちゃけると前にいた明治時代の世界よりも更に文明レベルが低い。そんな世界を選んだのは飛天御剣流の理に従って刀で人々を救うために活動するならば、やはり文明レベルが低い世界がいいからだ。そうでないと色々とやりにくいからね。

 

 そんな世界であるが、この国は荒れているのか。この世界に来ていきなり人間が妖魔に襲われている場面に遭遇したボクはその場の判断で妖魔を切り捨てておいた。

 

 この世界の妖魔は冬器という特殊な呪をかけた武器を使わなければ傷一つ付けられないという設定であったが、幸いにもボクが使う引狭(いなさ)はそこいらの概念武装どころか一級の宝具に匹敵するとんでもない業物であった為に、妖魔を問題なく殺すことが出来た。

 

 そこまでは良かったが、助けた住民がボクと会話ができない事に気付くと態度を豹変させて襲い掛かって来たのだ。正直言って彼らの言語が理解できないから何言っているのかさっぱり分からなかったが、とりあえず襲い掛かって来た者を切り捨ててボクに恐れをなしてその場から逃げ出した者はあえて切らずに放置したが、これが拙かった。そこから情報が漏れたようで、この国の兵士たちがボクたちに向かって来たのだ。

 

 結論から言えばこの兵士たちは無謀だった。確かに兵士たちは何十人もいたので数において彼らは優勢であったが、多数の敵を倒すのに長けた飛天御剣流継承者相手に雑兵が何十人いても相手になるわけがない。たった一振りで三人を切り殺す事ができるボクは、あっという間に兵士たちを全滅させた。

 

 ボクの超人的な身体能力と技量、更に愛刀“引狭(いなさ)”の攻撃力を持ってすれば鎧を着ていようが、剣を持っていてもまったく意味がない。紙のように兵士の剣を切断し鎧ごと兵士を切り裂く。そんなボクを相手に戦いを仕掛けた彼らは運が悪かったとしかいいようがないだろう。

 

 しかし、その後も兵士たちや住民の襲撃があり、いくら殺しても絶える事なく突っかかって来るこの国の人間たちにボクも嫌気が指していた。

 

 何でもこの世界では触という次元災害のようなものによって日本から人間(ほとんど日本人)が流されてくる事があるらしく、この世界ではそんな漂流者を海客とよんでいるらしいが、この巧州国の場合、事実上ほとんどの海客を国を滅ぼすと称して処刑しているらしい。

 

 ちなみに、彼らは言葉と服装で海客と原住民を見分けているらしい。まあ、言語が違うから会話すれば一発で分かるし、特にボクたちの場合セーラー服に巫女服だからこの世界では浮くんだよね。

 

 

 

「こんな連中にいちいち付き合っていられないわ。こんな世界さっさと出て行きましょう」

 

 ボクはこれ以上無益な人斬りは御免である。斬るのが民衆を苦しめる悪党とかなら兎も角、王に扇動されて襲い掛かっているとはいえ基本的に悪人ではない民衆や兵士を殺すのは本意ではない、というか人助けの旅なのにそんな事をしたら本末転倒だ。

 

 このまま海客として追われるとなると、この国の人間が邪魔でしょうがない。かといって邪魔な人間を片っ端から殺して回るわけにもいかない。こうなったらさっさとこの世界から撤退するべきだろう。

 

「確かにこれじゃ、困るわね」

 と、まったく困っていない風にみこが言う。

 

 言うまでもないが、この国の人間たちはボクだけでなくみこにも攻撃を仕掛けていたが、彼らはみこに触れる事すらできなかった。恐らく何らかの防御系のチート能力を使用しているのだろう。正直みこならどんな出鱈目なチート能力を持っていても驚くに値しない。

 

「せやでぇ。これじゃなんにもでけへん。みこはんに美月はん、こないなとこさっさっとおさらばしまひょ」

 

 ジョニーも美月に同意する。ジョニーはみこの傍にいておこぼれで無事だったが、彼にとってもこの国は居心地が悪いだろう。

 

「そうね。じゃこの世界は外れってことで、次行きましょう」

 

 こうして、ボクたちはこの世界から撤退した。尚、ボクたちがこの国で派手に暴れた影響で、某赤毛の少女の追手が減少して彼女の逃亡の一助になったが、そんな事はボクたちには関係なかった。




あとがき

 もし、十二国記の巧州国に美月たちが来たら海客扱いされて揉め事になるだろうと思ったので試しに書いてみました。反則そのものなみこでもこの国に居座る気にはなりません(笑)。尚、美月の刀が妖魔に通用したのは型月の概念武装辺りなら十分に冬器の代用品になるだろうと考えた事からやってみました。
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