ゼントラーディ軍第118基幹艦隊、通称ボドル基幹艦隊。原作ではこの基幹艦隊にブリタイ・クリダニク率いる第67グリマル級分岐艦隊やラプラミズ率いる基幹艦隊直衛艦隊などを含めて、総勢約480万隻の艦が所属していた。
このボドル基幹艦隊に第67グリマル級分岐艦隊は任務を切り上げて帰還していた。当初彼らは地球に落下した敵艦の調査に為に活動していたが、その艦を使っているのが敵ではなく地球人だというのだからどうすればいいのか判断に迷ったのだ。
おまけにそれが幻の反応兵器を有しているとなると、単純に殲滅すればいいと安易に判断すればいいわけではない。そう考える辺りブリタイの慎重さがうかがえる。
これが常に好戦的に頭に血が上っているカムジン・クラヴシェラならば深く考えずに殲滅していただろう。そう考えると交戦したのがブリタイであったのはマクロスにとって幸運だったと言えた。
このボドル基幹艦隊総旗艦、ボドル機動要塞はゴル・ボドルザー『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』と同じでブーメラン型の板状艦体へ、サボテン型の球形司令区画を乗せた全幅600kmの巨大要塞だった。主砲「ゴルグ・ガンツ砲」はとんでもない威力を持っていて連射も可能。各所に麾下の艦艇を補給するドック機能を備えており、ある程度の自動修復機能も持つというまさに要塞であった。まあ、これは原作知識から得ているものであるが、今一確信がないので多分と言うべきでしょうね。
そういえば、ブリタイ本人は気付いていないかもしれませんが、彼は私を捕虜として扱っていません。私を拘束しないどころか、私がブリタイ艦隊のあちこちで好き勝手にライブをしても妨害していない。
まあ、民間人と軍人の違いを辛抱強く説明したのもあったかもしれませんが、ゼントラーディなだけにきちんと理解できたとは思えない。となるとやはり私の影響を受けているのでしょうね。まあ、何日も私の歌を聞いているわけですから影響を受けないほうがおかしいですが。
さて、ブリタイからボドルザー司令長官が直接このノプティ・バガニス5631に来ると伝えられた。やはり異星のマイクローンを要塞に直接乗り込ませるのは嫌がったようだ。
それでボドルザーですがTV版のハゲ親父でした。てっきり劇場版かなと思ったけど、そうじゃなかったですね。どうでもいいですが。
今回尋問に参加するにはボドルザー、ブリタイ、エキセドルの三人だけで、原作のように三人トリオはいない。これだとマイクローンスパイイベントはどうなるのかな?
「お前が地球とかいう星に住んでいるマイクローンか。お前達の惑星には戦わない人間が本当にいるのか?」
「その通りです。地球では戦うのは軍人ぐらいで民間人は戦いません」
「信じられん。宇宙は戦いに満ちており、戦いある場所に命があるはずだ」
「それは貴方達の理屈でしょう? 実際私は歌手なので戦いませんよ」
「歌手? 歌手とは何だ?」
私の言葉にボドルザーが引っ掛かった。チョロイね。
「歌を歌う仕事をしている人の事です」
「では、歌とはなんだ?」
「それは説明するよりも、直接歌を聞いたほうがいいです。では一曲歌います」
こんなこともあろうかと、ここにはルシファーを配置しているので道具も問題ない。というよりも最初からボドルザーを歌で説得する為に用意しておいたわけだけどね。
ここで聞かせる歌は<愛・おぼえていますか>です。私は他人の持ち歌を歌うのは好きではないのですが、マクロスを象徴する歌はやっぱりこれでしょう。というよりこの歌を使わないと原作ブレイクはすごいし(汗)。
さあ、思いを込めて歌うよ。
「おおっ、プ、プロトカルチャー!」
「「プロトカルチャー?」」
私が歌い終えるとボドルザーがそう言い、それを疑問に思ったブリタイとエキセドルはそれを聞き返した。
「くううっ! だ、誰かその娘をここから連れ出せ!!」
動揺したボドルザーの命令で私は部屋からつまみ出されて別の部屋に送られました。ボドルザーに直接歌を聞かせる事で理解しあおうと思ったんですがそう簡単にはいきませんね。私もまだまだ精進が足りません。
面倒ですが、次の機会を待ちますか。いえ例の仕込みがどうなるかで次の動きを決めた方がいいでしょう。
ボドルザーside
あの娘はプロトカルチャーか? あの歌とやらを聞いた時の心の震えは一体何だ? まさかこれが失われた文化というものか?
だが、それが決して不快ではない。むしろ心地よいものであった。この気持ちは何だろうか?
あの娘を追い出したのは、あれ以上あの娘の歌を聞いていると取り返しがつかない気がしたからだ。だからあの娘を追い出したが、それを勿体ないと思う自分がいるのに驚いた。私は一体どうなったのだろうか?
「あの、ボドルザー閣下。先程おっしゃったプロトカルチャーの事ですが、あの娘、水蓮寺ルカが興味深い話をしていました」
「何だと! どういう話だ?」
聞き捨てならないエキセドルの言葉に私は反応した。
「はい。50万周期前にプロトカルチャーという種族がこの銀河に巨大な星間文明を築いていて、そのプロトカルチャーの調査船があの地球とかいう星に来た際に、彼らが現住生物の遺伝子を改造して作り出した人工種族が地球人なのだと言っていました」
「プロトカルチャーに作られた人工種族だと? ふむ、それであの地球人とかいうサンプルは調査したのか?」
「はい。勿論しております。調査の結果、あの娘は我々のマイクローンと骨格、細胞、遺伝子ともにほとんど同じでした」
「そうか、そういうことか。ではプロトカルチャーではないというのだな」
ボドルザーはあの娘がプロトカルチャーではないと知り安心した。もしプロトカルチャーだとすれば、とんでもない事態になっていただろう。
実はルカは、ボドルザーが地球人をプロトカルチャーと認識してしまうと、地球人の即時抹殺を実行する可能が高く極めて危険だと分かっていた。だから、地球人がプロトカルチャーに作られた人工種族であるという情報を意図的にリークしていた。勿論、後々「何でそんな事を知っていたのだ?」と突っ込まれる危険が大きいのはルカにも分かっていたが、背に腹は変えられなかった。
「総司令官はそのプロトカルチャーについて何かご存知なのですか?」
「……これから話すことは他言無用だ。破った場合は消去刑に処す。いいな?」
「「はい」」
「うむ、プロトカルチャーとは我々の遠い祖先の事だ。プロトカルチャーの時代は全ての人間はマイクローンの大きさでしかなく、男と女が一緒に生活して文化というものがあったという。しかし、プロトカルチャーの記録が失われた現在ではそれがどんなものであったかは、何もわからないのだ」
「では、あの娘が言っていた50万周期前というのは、プロトカルチャーの時代なのですか?」
「恐らくそうだろうな。それにそれなら我々のマイクローンと地球人が同じなのも納得がいく」
「確かに双方共プロトカルチャーを起源にしているとなるとそうでしょうな」
「そうだな」
そこでボドルザーは考え込んだ。件の地球人と言う種族は幻の反応兵器を有している。その製造ノウハウを入手できれば敵との戦いでもかなり有利になるだろう。
しかし、あの娘の歌とやらは気になる。地球人はプロトカルチャーではないらしいが、もしかしたら文化を有しているのではないのか? ここは暫く様子を見てあの娘をじっくり調べた方が得策だろう。そうボドルザーは考えていた。
しかし、この後思わぬ事態が発生してボドル基幹艦隊を混乱の坩堝に叩き込むことになる。