三度目の歌   作:ADONIS+

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20.後世の評価

 水蓮寺ルカ(すいれんじるか。西暦1994~2020年? この年に失踪して行方不明になった為に詳細不明)は、伝説的な地球人のアイドル歌手。

 

1.概要

 水蓮寺ルカは、第一次星間大戦(西暦2009年)において地球人と交戦状態となったゼントラーディ軍第118基幹艦隊を歌でカルチャーショックを与えて戦争終結に導いた伝説の歌姫である。

 また、彼女は地球人とゼントラーディの共存共栄の為にエデン計画を提案推進するなど今日の我々の生活の礎を築いている。

 彼女の代名詞として『平和の歌姫』や『エデンの光』などがある。

 

2.戦前

 ルカは元々ごく普通の少女であり、第一次星間大戦の切っ掛けとなったマクロスが存在していた南アタリア島の住民であった。

 当時この南アタリア島はマクロス修復のために巨大プロジェクトが組まれていて、この一連の事業に商機を見出した多くの民間人が南アタリア島に移住しており、ルカの両親もそんな民間人だった。

 

3.第一次星間大戦

 戦争のきっかけとなったゼントラーディ軍に対するマクロスの先制攻撃(実はマクロスに仕掛けられたブービートラップ)で南アタリア島が戦場になるが、マクロスのフォールドに巻き込まれて南アタリア島自体が冥王星近郊にフォールドしてしまう。

 その際に、マクロスはシェルターにいた民間人を艦内に保護しているが、その中にルカの姿はなく、状況から見て死亡したものと思われていた。

 しかし、何故か生存していただけでなく、ブリタイ艦隊にバルキリーで突撃して同艦隊の集中攻撃を掻い潜って歌を聞かせてブリタイ艦隊にカルチャーショックを与え、その後ブリタイ艦隊で連日ライブを行い、自らのファンを作り上げた。

 ボドル基幹艦隊合流後は、彼女のライブ映像の流出と彼女の生ライブで、ボドル基幹艦隊に所属する多くの艦隊を文化に目覚めさせ、この影響を恐れてルカを抹殺しようとしたボドルザー司令長官すら歌で説得して、最終的にはボドル基幹艦隊すべてにカルチャーショックを与えて和平に持ち込む事に成功した。

 

4.戦後

 戦後はゼントラーディと地球人の共存のために、地球人とゼントラーディを惑星エデンに移住させて共同生活をさせるエデン計画を提案して実行させている。

 また、ルカ自身もエデンに移住してアイドル歌手として活動した。 

 2020年に26歳で周囲から惜しまれつつも引退して、その後行方不明となった。

 

5.行方不明後

 ルカの失踪から暫くすると彼女の人気は大きく低迷していたが、2031年にエデン政府が映画『水蓮寺ルカ物語~僕ら、駆け行く空へ~』を発表して、大ヒットすることになる。

 これによって、ルカブームが再燃して水蓮寺ルカの持ち歌は名曲して扱われるようになり、水蓮寺ルカは歴史上の偉人としての不動の地位を築き上げることになった。

 

6.映画

 2031年において、エデン及び各地の植民惑星では地球人とゼントラーディとの諍いが問題になっていた。

 この為、エデン政府は地球人とゼントラーディの共存の象徴として、水蓮寺ルカを持ち上げる映画を作成するプロバカンタ政策を取り、これによって共存共栄の素晴らしさを認識させて問題を下火にすることに成功した。

 この映画はプロバカンタという理由もあって史実を元にした創作物という形になり、設定などを大きく書き換えられていた。

 最大の変化はルカが最初からアイドル歌手で、南アタリア島でゼントラーディと接触して誘拐されてしまうという形を取り、その後ルカが地球人とゼントラーディとの価値観の違いに苦労しながらも、ゼントラーディたちを歌で感動させて戦争終結に導いたという内容になっていた。

 この様な内容になったのは、史実であるとルカの疑惑が多すぎるので設定を変更して不自然さをなくして物語として成立させる為であった。

 

7.評価

 第一次星間大戦時の地球とゼントラーディの戦力差やゼントラーディの構造などを詳しく調べていくにつれて、当時の地球が極めて危険な状況であったことが分かった。

 ルカがボドル基幹艦隊を説得できていなければ地球が壊滅していた危険性が極めて大きく、その場合地球文化は失われていただろうと言われている。

 一方で、ルカには数多くの疑惑があり、近代史の大きな謎とよばれて歴史学者を大いに悩ませている。

 あまりの不自然さから水蓮寺ルカ宇宙人説、未来人説などというトンデモな学説まで飛び出て学会で冷笑されている。

 しかし、一般では映画の影響でこの手の疑惑はあまり考慮されず、平和の歌姫として称賛される存在となっている。

 

8.後日談

 水蓮寺ルカは熱狂的なファンを多く抱えており、某企業の御曹司(ルカ・アンジェローニ)の親は自分の息子にルカと名づけており、その事で某少年がぼやくことになった。

 まぁ男なのにこの世界では歌姫の代名詞ともいえる名前をつけられてしまったので、彼が不満に思うのは無理もないだろう。


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