機動戦士ガンダム 一夏の一年戦争   作:赤バンブル

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ガンダムもんで一番つらいのは打ち切りとストーリーの構成。


ルナツー脱出

ルナツーへ入港後、イチカたちはどういうわけか味方であるはずの連邦軍兵士たちに包囲されていた。

 

テムの話によるとホワイトベースとガンダム含めるMSたちは本来AAAの機密事項であり、民間人にも知られてはいけないものだったらしくそのことに関して問題になっているらしい。更に船に乗せた避難民たちのことに関して目の前ではブライトがルナツーの連邦兵士に何やら話をしている。艦長のパオロは重傷患者のため、一足早くホワイトベースから運ばれて行った。

 

「我々は民間人を100人以上連れているんですよ?それもサイド7からやむを得ず脱出して来たんです。」

 

「ブライト少尉、我々だって降ろせるもんなら降ろしてやりたいよ。けどな、このルナツーとて今日も含めて緊急事態の連続なんだ。」

 

ルナツーの連邦士官はため息をつきながら言う。表情も疲れているところから緊急事態ということに関しては本当のようだ。

 

「味方の基地に着いたというのに休むこともできないなんて・・・・そんなことありますか!?」

 

対するブライトの方も機嫌が悪そうだった。無理もない、負傷したパオロ艦長に代わってホワイトベースの指揮を執り、その上人手不足を民間人で補っていることに頭を抱えていたのだから。そんなブライトたちの元へ別の士官が数名の部下を連れてやってくる。

 

「君の質問には私が答えよう。ルナツー方面軍司令 ワッケインだ。君がブライト・ノア君だな?」

 

「は、はい!」

 

ワッケインに聞かれ、ブライトは姿勢を正して答える。ワッケインは、先ほどブライトから質問を受けていた士官の持った書類を受け取り、目を通し始める。

 

「ワッケイン司令、避難民たちはとても疲れています。基地で落ち着ける場所を探していただきたい。」

 

「ジオン軍の追跡を受けて休める間もなかったんです。」

 

書類を一通り確認するとワッケインは顔を上げブライトたちの方を見る。

 

「・・・・・民間人を収容しておく余地はないな。」

 

「そんな!?」

 

「皆さん方は、このままここにいていただきます。地球連邦軍本部の指示を仰いで然るべき艦で直ちに地球に移動してもらうことになります。」

 

ワッケインの言葉を聞いて避難民たちはかなり動揺していた。サイド7から避難してきた人間の多くは元々地球からの移民であり、できることなら地球よりもサイド7に戻りたいというものもいた。しかし、今のサイド7に戻るのは却って危険だ。

 

「次の者は一般避難民と隔離する。ブライト・ノア、ミライ・ヤシマ、リュウ・ホセイ、セイラ・マス、カイ・シデン、ハヤト・コバヤシ・・・・・・そして、イチカ・オリムラ。」

 

「!?」

 

次の瞬間、イチカたちは銃を向けられる。イチカのすぐ近くにいた子供三人はいきなりの行動に怒り出す。

 

「なによ、何よ!?お兄ちゃんたちを~!?」

 

「そうだ!そうだ!」

 

「何でなんだよ!?」

 

「おやめなさい、ねっ?」

 

そんな三人をなだめようとするフラウ。突然の隔離宣言にブライトも動揺を隠せなかった。

 

「訳を!訳をお聞かせください!」

 

「士官候補生と民間人がみだりに軍のAAAの秘密・・・・・即ち、ホワイトベースとガンダム含める試作MSを使用したことによる。全員、軍事裁判にかけられるものと覚悟しておくことだ。よって、ホワイトベースは没収、ガンダム含める試作MSは封印し、軍の管轄下に戻す。以上だ。」

 

「一方的じゃないか!」

 

「ん?」

 

イチカの声にワッケインはイチカの方を見る。

 

「こっちでは何があったか考えたうえで言っているのかよ!あそこで秘密事項の開発さえ行わなければあんなに人が死ぬことなんかなかったんだぞ!調べもしないで勝手なこと言うなよ!!」

 

「イチカ、止せ!」

 

ワッケインたちの態度に思わずいら立ったイチカに対してブライトは抑えようとする。

 

「・・・・・イチカ・オリムラ。そう言えば、君は住民リストに登録されていなかった。かといって連邦兵士でもない。君は何者なんだね?」

 

「!?」

 

「ワッケイン司令、彼はジオンの攻撃に巻き込まれて頭を強く打って記憶喪失になっているんだ。」

 

ワッケインに詰め寄られるイチカをテムがなんとかフォローしようとする。

 

「レイ大尉、それは彼の芝居の可能性もありうる。」

 

「芝居?」

 

「彼がジオンのスパイという可能性だよ。」

 

「そんなっ!?」

 

「彼は尋問室へ連れていけ。私自らが取り調べを行う。レイ大尉、貴方はV作戦の責任者としてガンダム、ホワイトベースと共にジャブローに降り立って頂きます。」

 

「しかし・・・・・」

 

「既に先に送られてきたデータを基にジャブローでは、新たなMSの開発・量産計画が進められている。貴方にはその計画に加わってもらう。」

 

「・・・・・・・」

 

「すぐに手配させる。レイ大尉を控室に連れていけ。」

 

「はっ!」

 

「ワッケイン司令!」

 

「南極条約のことについては理解している。それに彼は未成年だ。手荒なことはしない。」

 

イチカは連邦軍兵士に拘束されて連れていかれる。一方のブライトたちも民間人と隔離され、それぞれの部屋へと連行されたがフラウと子供三人に関してはホワイトベースから降ろされたものの部屋割りが決められないため一時的に見張りを付けての待機となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、シャアの乗ったムサイは密かにルナツーの裏側に回り込んでいた。

 

「ルナツーのレーダーには捕捉されていまいな?」

 

「はい、ミノフスキー粒子の濃度がやや少なめですが大丈夫でしょう。」

 

「敵を目の前にしても捕捉されぬとは奇妙なものだな。科学戦も詰まるところまできてしまえば大昔の有視界戦闘に逆戻りと言うわけだ。」

 

「少佐、ルナツーを殺りますか?」

 

物資の補給で多少は戦闘が可能になったものの敵の前線基地を一隻だけで挑もうというのは本来無謀である。

 

「ドレン、貴様も言うようになったな。」

 

しかし、シャアの返事は意外にも反対ではなかった。むしろ好意的に受け取っている。

 

「あれだけの装備を誇っているルナツーだ。並の軍略家ならば、このムサイ如き軽巡洋艦で仕掛けてくるとはよもや思うまい。」

 

「だから、おやりになるので?」

 

「手はあるよ、ドレン。」

 

「期待します。」

 

ルナツー攻撃の策を練っている一方、シャアの脳裏にはサイド7で出会ったあの少女の姿がどうしても忘れられなかった。

 

(・・・・・・・あの時の少女がもし10年前に別れた妹だとしたら・・・・・いや、アルテイシアにしては強すぎる・・・・)

 

彼の記憶にある少女は幼い頃ではあるものの気が弱く、誰よりも優しい姿だった。しかし、あの少女は似てはいるものの自分に銃を向けるほど勇敢で力強く感じた。

 

(・・・・・そう、アルテイシアはもっと優しい。おそらく私の勘違いなのかもしれない・・・・・)

 

彼はその後、戦闘員を招集。

 

ノーマルスーツを着用させてルナツーへ破壊工作へと向かう。

 

第一目的は連邦軍の試作MSの強奪。

 

第二目的はそのMSを運用する新造戦艦の奪取だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「食事だ。」

 

ルナツーではシャアたちの破壊工作が行われようとしているとは知らず監禁されているブライトたちに食事を配達していた。看守は、食事を乗せたトレーを中に入れるとすぐに扉を閉め、電子ロックを掛けた。

 

「君!・・・・くっ!」

 

味方であるはずの連邦軍に監禁され、話すら聞いてもらえないことにブライトは苛立ちを感じ、扉をたたく。

 

「ワッケイン司令に会わせるんだ!」

 

「無駄じゃないかい?ブライトさんよ。」

 

皮肉そうにカイは、食事の盆を取る。

 

「しかしだな・・・・・・あのシャアが攻めてこないと言い切れないだろう。」

 

「それは向こうが何とかするんだろ?それより、腹が空いちゃあしょうがないぜ。取り敢えず食える時に食っとかねえと体が持たないぜ?万が一逃げ出すときにもよ。」

 

「貴様・・・・・」

 

カイの言い方にブライトは思わず腹を立てるがリュウが押さえる。

 

「落ち着けよ、ブライト。」

 

「リュウ・・・・・」

 

「カイの言うとおりだ。食べる時に食べとかなきゃ体が持たん。よく言うだろ、腹が減っちゃ戦はできないって。兵士は食べたくないときでも食べなきゃいけない時がある。ブライトもしっかり食事をとらんと。」

 

「・・・・・・それはそうだが。」

 

「イチカの事だろ?」

 

ブライトに食事を回すとリュウは自分の分と後ろにいるハヤトの分を回しながら言う。

 

「あぁ・・・・・まさかだと思うが・・・・・」

 

「スパイなら俺たちと一緒に戦う以前にガンダムに乗ったままジオンと合流するはずだ。けど、アイツはそれをしなかった。それが事実じゃないか。ハヤトもそう思うだろ?」

 

「はい・・・・・僕も彼のことはよく知りませんけど、ジオンのスパイだったら僕たちといるよりもジオンに戻る方を優先すると思います。」

 

「だろ?それにワッケイン司令だって手荒なことはしないと言ったんだ。少なくともいきなり銃殺とかにはならんさ。」

 

「・・・・・そうだな。」

 

 

その頃、イチカは尋問室でワッケインを相手に取り調べを受けていた。

 

「君は、本当にガンダムに乗る以前のことは覚えていないというんだな?」

 

「・・・・・はい。」

 

さっきからこの連続だった。イチカは、席に座らせながらできるだけ怪しまれないようにしていた。ちなみに周囲に見張りはいない。

 

「・・・・・では、これは一体なんだ?」

 

「!?」

 

ワッケインはイチカの目の前にあるものを見せる。

 

それはイチカの自室にしまっておいた。白いガントレット状態の白式だった。

 

「軽くスキャナーを掛けてみたがこれはただの籠手ではない。君はこれを最初から所持していた。違うかね?」

 

「・・・・・・・・」

 

「これは何なのか憶えていないのかね?」

 

「・・・・・・はい。」

 

イチカはワッケインの目を見ながら冷や汗をかく。

 

あれは確実に自分の嘘を見抜いている目だ。

 

いっそ話してしまおうかと考えてしまうがおそらく信じてくれるはずがない。

 

「・・・・・・君は先ほど私の下した命令が一方的だと言った。それは以前似たような人物を見たから言えるのではないのかね?」

 

「えっ?」

 

ワッケインの言葉にイチカは思わず口を開く。

 

「この戦争を仕掛けたのはジオンだ。そして、奴らのために4つのサイドが壊滅し、多くの人命が失われた。我が連邦の宇宙艦隊もルウムの戦いで大半が壊滅させられ、地球とて北米・ヨーロッパ方面が奴らに占拠されてしまっている。君はそのことすら知らないというのか?」

 

初めて知った。

 

イチカの知っている世界でこんな戦争は起こりえない。

 

彼の世界ではISの登場により軍ではISが最強兵器という扱いになり、世界各国で開発競争が行われている。そのため、この世界のような兵器が開発されていないのだ。皮肉にも姉の友人である束の気まぐれが世界の均衡を変な意味で保ってくれたのかもしれない。

 

しかし、それを知ったとて自分の事を話してもおそらくワッケインも信じてはくれないだろう。

 

「イチカ・オリムラ、未成年故に君が黙秘するのは勝手だ。だが、このまま黙っていても問題は解決しないぞ?何も答えないのであればジャブロー本部に連行、スパイ容疑と極秘機密であるガンダムを操縦し、危険にさらした罪に問われることになる。それでも何も答えないのか?」

 

「・・・・・・・・」

 

イチカは黙る。

 

ここですべて話すべきか?

 

信じる信じないは別として話してしまった方が楽なのではないのか?

 

どのみち罪に問われるのは確実だ。なら、嘘と言われても真実を話せば・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「司令、失礼します。」

 

そこへ連邦士官の一人が尋問室をノックしてきた。

 

「何事だ?今は取り調べ中だぞ?」

 

「はっ、ジャブロー本部からの返事が届きました。」

 

「何?」

 

ワッケインは、席を立ち部屋を出ようとする。

 

「取り調べはまた後だ。よく考えることだな。」

 

そう言うとイチカ一人が部屋に残された。

 

外に出るとワッケインは部下から書類を渡される。

 

「本部はなんと?」

 

「はっ、ホワイトベースとガンダム以下の試作MSをジャブローに届けるようにと。後、一応例のスパイ容疑のある少年の情報を送ったところ、この返事が。」

 

「見せてみろ。」

 

ワッケインは書類に目を通す。

 

 

 

 

「・・・・・何?あの歳で試作兵器のテストパイロットだと?」

 

ワッケインは更に資料を読み進めようとするが爆発音と同時に大きな振動が襲った。

 

「うぅっ!?・・・何事だ!?」

 

『基地の動力装置の一部をやられました!』

 

「監視レーダーを潜り抜けたというのか?」

 

「司令、おそらく敵はノーマルスーツによる破壊工作では?」

 

態勢を取り直しながら言う部下の言葉にワッケインは書類を見るのを中断し、司令部と連絡を取る。

 

「ブリッジ、マゼランの発進準備をさせろ!私はこのまま港から乗り込む!」

 

『了解!マゼランの発進準備を行います!』

 

「ホワイトベースの処置に続いてジオンの攻撃とは・・・・・・とんだ一日だな。」

 

ワッケインは急いでマゼランへと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここを開けろ!!」

 

ブライトたちもただ事ではないと気付き、扉を開けるよう叫びながら叩いていた。

 

「参ったねぇ・・・・俺たち完全に忘れ去られちまったんじゃねえの?」

 

「しかしだな・・・・・この!」

 

悔しいと感じながら扉を押すとどういうわけかロックが掛かっていた扉が開いた。

 

「開くぞ?」

 

「どうしたんでしょうか?」

 

「そう言えばこの基地の鍵は全部電子ロックだったな?ってことは電源がやられたから解けちまったってわけ?」

 

「それなら話が早い!行こうぜ!」

 

四人は部屋の外に出てみると見張りはなく辺りはシーンとしていた。

 

「確かミライとセイラが隣の部屋に入れられたはずだ。」

 

ブライトは隣の部屋を開いて見る。やはり電子ロックは解除されており、中ではミライとセイラが待機していた。

 

「ミライ、セイラ。」

 

「「ブライト!」」

 

「話は後だ。ホワイトベースへ向かうぞ。」

 

「イチカはどうする?」

 

「尋問室は、警備が厳しいからな・・・・・・だが、緊急事態なら警備が手薄になっているはずだ。問題は・・・・・」

 

「場所なら私が知っているよ。」

 

そこへ控室にいるはずのテムが来た。

 

「レイ大尉!?」

 

「どうやらジオンが仕掛けたらしい。基地は予想外の事態であちこち手薄になっている。おそらく尋問室もほとんど見張りがいないはずだ。私が直接向かおう。」

 

「わかりました。我々は港へ向かうぞ!向こうもこの事態に戸惑っているはずだ。」

 

ブライトたちはイチカをテムに任せ、港へと急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マゼラン、緊急発進!ドッキングロック、解除急げ!」

 

「ドッキングロック、解除します。」

 

シャアたちが至る所に罠が仕掛けているとも知らずワッケインは自らマゼラン級戦艦を発進させようとしていた。

 

マゼランがエンジンを吹かせて宇宙港入口へと向かっている中、未だに部屋にさえ行かせてもらえないフラウは兵士たちに対して不満を言い始めていた。

 

「ジオンの攻撃が始まったというのになぜ私たちを安全な所へ連れて行ってもらえないんですか?こちらは子供もいるんですよ?」

 

「しかしだね・・・君。司令から命令が出ていない以上我々も勝手なことはできないんだよぉ。」

 

「じゃあ、ここで死ねって言うんですか!?」

 

「い、いや・・・・そういうことじゃなくて・・・・・」

 

「・・・・あっ。」

 

フラウが連邦兵士ともめている中、三人の子供の一人である少女 キッカ・キタモトは、廊下の影に隠れているリュウたちの合図を見て理解したのか気を逸らすために連邦兵士の足をワザと踏みつける。

 

「いでっ!?こ、こいつ!?」

 

慌ててフラウの後ろに隠れるキッカに腹を立てた連邦兵士は銃を突き付けて呼び寄せようとするがそれが大きな隙となり、重力が軽いことで一気に背後にまで接近するブライトたちに気づくことなく、みねうちを受けて倒れてしまった。

 

「ブライトさん!」

 

「フラウ・ボゥ、避難民たちを集めてホワイトベースへ誘導してくれ。全員乗り次第、ホワイトベースを港から出す。リュウはカイたちと一緒にガンダムの封印を解いてくれ。レイ大尉も遅れてだが・・・・・」

 

「言わずとも私も加わるさ。」

 

言おうとした矢先、テムがイチカを連れて合流してきた。

 

「レイ大尉!イチカも無事だったか。」

 

「は、はい・・・・・・」

 

「おい、どうした?何かされたのか?」

 

複雑そうな表情を浮かべるイチカに対してリュウは心配しながら言う。

 

「い、いえ・・・・・大丈夫です。」

 

「よし、ではレイ大尉。彼らと一緒にお願いします。」

 

「わかった。ブライト君もホワイトベースの指示を頼むよ。」

 

「分かっています。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「少佐、マゼラン艦が宇宙港へと向かっています。」

 

「敵がこうもこちらの餌に食らいついてくれるとはな。」

 

ホワイトベース組が動いている一方、宇宙港の外ではシャアたちが安全地帯で身を潜め、様子を窺っていた。

 

宇宙港の入り口付近に罠が仕掛けられているとも知らずにマゼランは進んで行く。マゼランが進んでいることで爆弾の起爆装置が起動し、徐々に爆発までのタイムリミットを刻んで行く。

 

「行くぞ、あれでルナツーの機能は封じられたも当然だ。」

 

シャアたちは一斉にムサイへと引き返していく。マゼランはどんどん宇宙港へと向かって行き、外に出ようとしたところで爆弾は一斉に爆発した。

 

「「「うわっ!?」」」

 

「なっ、何事だ!?おぉ!?」

 

爆発に巻き込まれ、マゼランの船体が大きくひっくり返る。エンジン部は押しつぶれ。先端は見事に折れ曲がり、メインゲートを塞いでしてしまった。この衝撃でワッケインは壁に強く打ちつけられた。

 

「ぐっ!」

 

「ワッケイン司令!?」

 

クルーたちは急いでワッケインの元へ駆けつける。ワッケインは片腕を押さえながらも酷い怪我はしていない様だった。

 

「・・・・しまった、計られた。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだと!?マゼランが港の出入り口を塞いでしまっただと!?」

 

ホワイトベースのブリッジでブライトはメインゲートを塞いでしまったマゼランを見て唖然としていた。しかし、急がねば自分たちも沈みかねない。

 

「メインエンジン始動!機関急げ!」

 

「はい!」

 

各機関をチェックしている中、ブライトは格納庫へと通信を繋げる。

 

「レイ大尉、ガンダムの封印は解けましたか?」

 

『まだ時間が必要だ。ガンダムだけでもかなり拘束されているからな。』

 

「くっ・・・・・・・・・セイラ、避難民の方は?」

 

「重力ブロックに移動中です。フラウ・ボゥが指揮してくれています。」

 

「よし・・・・・レイ大尉、私もそちらに加わります。ミライ、エンジンパワーが臨界に達したら微速前進だ。」

 

「はい!」

 

それだけを言うとブライトはノーマルスーツに着替えて格納庫へと向かう。

 

その頃丁度マゼランからワッケインたちを乗せたスペースランチが出たところだった。

 

「司令、お怪我は?」

 

「大丈夫だ、ただのかすり傷だ。・・・・しかし、厄介なことになった。まさか、自分たちの船で港を塞いでしまうことになるとは・・・・・」

 

何とか打開策を考えながらホワイトベースの前を通り過ぎようとしたとき、どういうわけかホワイトベースのカタパルトが開きだした。

 

「だ、誰がホワイトベースに!?着けろ!ホワイトベースに着けるんだ!!」

 

ワッケインたちが格納庫から乗り込んで行くとそこには封印処置をしたガンダムを解こうとするイチカたちの姿があった。

 

「貴様ら、そこで何をしとるか!」

 

作業をしているイチカたちは一斉に銃を構えているワッケインに視線を送る。

 

「ホワイトベースの立ち入り禁止は厳命したはずだ!」

 

「敵がすぐ目の前にまで来ているんだ!ガンダムを出さなきゃみんなここでやられちゃうんだ!!」

 

「すぐに退去したまえ!君たちは自分たちの身がどういう立場か理解しているのか!」

 

姿勢を崩さないワッケインの目の前へ作業を中断したブライトが来る。

 

「・・・・・反逆罪は覚悟の上です。ですが、ワッケイン司令。貴方の敵はジオン軍なのですか?それとも私たちなんですか?」

 

「貴様・・・・・・」

 

「ワッケイン司令、貴方のいうことは確かに尤もなことだ。しかし、ブライト君の言う通りシャアがこのルナツーに攻撃を仕掛けてきた。それだけではない、彼の仕掛けた罠でこのルナツーのメインゲートはあのマゼラン艦によって塞がれてしまった。戦艦は入り込めはしないがMSや戦闘機ならあの隙間から侵入することは容易だ。もし、シャアがMSで今のルナツーに攻め込めば我々は全滅することになる。それでも貴方は軍紀を貫くというのか?」

 

「レイ大尉・・・・・貴方まで。」

 

「ガンダムをここで失えば連邦軍の計画に大きな支障をきたし、MSの戦線投入がさらに遅れる。シャアに手柄を立てさせることでジオン全体の士気を高めてしまう事態になる。かの赤い彗星がルナツー陥落とV作戦の試作MSを奪ったという成果をね。」

 

「今、士官候補生や技術者であるあなた方に軍紀がどうして必要なのか説明したくはないが、定められた命令は厳守だ!」

 

『軍紀、軍紀、それが何だって言うんですか!』

 

ワッケインの言葉をブリッジから聞いたのか近くの通信機からミライが我慢できずに口を開いた。

 

『軍人が軍紀にのっとって死ぬのは勝手です。でも、そのほかの民間人が巻き込まれて死ぬのは理不尽ではないでしょうか、ワッケイン司令!』

 

「な、何ッ!?」

 

『・・・・・ワッケイン君。』

 

「!ぱ、パオロ艦長!?」

 

医療室へ運んだはずのパオロがホワイトベースに戻って来ていたことにワッケインは思わず目を大きく開く。当のパオロは重傷でありながらもベッドに横たわりながらワッケインの顔を真っ直ぐ見ていた。

 

『ど・・・・・どうだろう・・・・ワッケイン君。ホワイトベースにしろ・・・・・ガンダムにしろ、ガンタンク、ガンキャノン・・・・・プロトガンダムにしろ・・・・今まで機密事項だった・・・・』

 

「おっしゃる通りです。」

 

『だからなのだ・・・・・・・・彼らの方が今の我々よりもうまく使ってくれるのだ・・・・うぅ、既に二度の実戦の経験がある彼らに・・・・・・』

 

「しかし、艦長・・・・・・」

 

『・・・・・だが、彼らは所詮素人だ。司令たる君が・・・・・・戦いやすいよう助けてやってくれ。・・・・グウ!・・・・・・わしが責任を持つ・・・・・・・』

 

「・・・・・艦長。」

 

重傷でありながら真剣な眼差しで頼むパオロに対してワッケインは断ることはできなかった。

 

「・・・・・わかりました。艦長のお言葉に従います。」

 

『感謝する・・・・・・。』

 

ワッケインが敬礼するのに対してパオロも敬礼する。

 

「これより、我々もガンダムの封印を解く作業に加わる。急げ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、封印を解いたガンダムはバズーカを持って発進する。一方のプロトタイプは封印を解くのが間に合わないため、リュウはコア・ファイターでの発進となった。

 

「イチカ、俺が出来るだけ援護をする。お前も落ちるんじゃないぞ!」

 

「はい!」

 

 

一方、ルナツーの下からシャア率いる計三機のザクがルナツーへと乗り込もうとしていた。

 

「マチュウ、フィックス。いいな?港に潜入、一気に木馬型とMSを叩く!」

 

「「了解!」」

 

港を出るとイチカはすぐにシャアのザクを捉えた。

 

「シャアか!」

 

イチカはすぐに照準を合わせてバズーカを発砲する。しかし、弾速が遅いこともありシャアはすぐに攻撃を回避し、マシンガンで攻撃を仕掛ける。

 

「くっ!バズーカは威力が高い反面、弾速が遅いのが欠点か!」

 

イチカはシールドで防御するとシャアは一気に接近してヒートホークを展開する。ヒートホークの攻撃に対してガンダムはシールドで防ぐが二回目の攻撃でバズーカの砲身を切断されてしまった。

 

「しまった!?」

 

「バズーカは潰した。今度はコックピットだ!」

 

シャアはヒートホークでガンダムのコックピットを潰そうとするがイチカはバズーカを投げつけ、瞬時にビームサーベルを引き抜く。

 

「くそ!」

 

「ちい!」

 

シャアはガンダムにヒートホークを斬りつけようとするがイチカに次々と防がれてしまう。

 

「少佐、援護します!」

 

「フィックスか、頼む!」

 

フィックスのザクがマシンガンでイチカのガンダムの気を逸らそうとする。イチカがシールドで防御する一方、リュウはコア・ファイターのバルカンでフィックス機の攻撃を遮った。

 

「おぉっと!?」

 

リュウは危うくマチュウ機のザクの攻撃に当たりそうになる。三対二の戦闘を行っている中、微速前進しだしたホワイトベースは目の前にあるマゼランに問題を向ける。

 

「ワッケイン司令、あのマゼラン艦を排除しない限りホワイトベースは港から出られません。このままではルナツー艦隊は戦わずして全滅です。」

 

ブライトの言葉にワッケインは後ろで寝かされているパオロを見る。パオロの表情は容態が落ち着いたのか穏やかでゆっくりと目を閉じる。

 

マゼラン艦を排除しなければこの危機を脱することはできない。

 

「ムサイだわ!」

 

ミライも操縦桿を握りながら港の外で接近しつつあるシャアのムサイを捉える。ワッケインは一つの決断を下す。

 

「・・・・・・・マゼランを排除する。」

 

「司令。」

 

「ホワイトベースをこの場に固定、各艦防護態勢を取れ。主砲、スタンバイ!」

 

「・・・了解しました。指令に従います。」

 

ホワイトベースの主砲が開き、艦はドッキングロックで固定される。

 

「照準合わせ、目標 マゼランの熱核反応炉を狙え。」

 

スコープが前方のマゼランを捉える。

 

「各自衝撃に備えろ。」

 

「イチカ、通路から離れるんだ。爆発に巻き込まれるぞ!」

 

 

 

 

「えっ?」

 

当のイチカはシャアのザクを相手にしながらフィックス機のザクを破壊したところでブライトの通信を聞く。同時にホワイトベースの主砲がマゼランに命中、マゼランは動力源を破壊されたことにより大爆発を起こした。爆発による衝撃は外にまで及び、イチカは回避するもののシャアの背後にいたマチュウ機は呑まれてしまう。

 

「マチュウ!?」

 

「しゃ、シャア少佐あぁぁぁぁあぁぁああ!!!」

 

マチュウはシャアの助けを求めるかのように叫びながら粉々に吹き飛ばされる。後方のムサイはドレンの指揮のおかげで損傷はなかった。

 

「ちぃ・・・・・・・敵の動きが思った以上に早かったか。」

 

シャアは追撃しようとしてくるガンダムに向かってヒートホークを投げつけるとムサイの方へと撤収していく。イチカはビームサーベルでヒートホークを跳ね返すと引き上げていくムサイを見る。

 

「また、シャアに太刀打ちできなかった・・・・・・・俺も未熟者だって言うのはわかるけど一体どんな奴なんだ・・・・・・シャアという人間は・・・・・・」

 

「おい、イチカ無事か?」

 

そこへリュウのコア・ファイターが近づいてくる。

 

「リュウさん。」

 

「ホワイトベースが港から出る。俺たちも戻ろうぜ。」

 

「はい。」

 

ガンダムとコア・ファイターが戻る一方、ホワイトベースのブリッジではパオロがひっそりとその生涯に幕を閉じていた・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後 ホワイトベースは一隻のサラミスの護衛の下地球を目指して出航した。

 

その後ろ姿をワッケインは司令室で複雑な心境で見届けていた。

 

「司令・・・・」

 

「少なくともジャブロー本部に行くまでは彼らに任せてもよかろう。パオロ艦長の仰ったとおりに。」

 

ワッケインはそう言いながら資料を見る。

 

「まさか、本部でこのような計画が進んでいたとはな・・・・・」

 

「司令、そう言えばイチカ・オリムラは結局何者なのですか?」

 

「・・・・資料によれば彼は、MS開発とは別に進められている新型対人用兵器テストパイロットらしい。あの籠手もその試作機の一つだ。」

 

「あの籠手がですか?」

 

「あぁ、宇宙空間でも活動できるマルチフォーム・スーツの開発・・・・・・・・サイド7でテストした後にジャブローでデータを集計して、他の試作機でテストした後にV作戦と並行してMSに一部の機能を転用するらしい。」

 

「まるで夢のような話ですね。開発者は?」

 

「クロエ・シノノノという女性科学者だ。歳も20代と若い。場所が違うとはいえ若者たちが次々と戦場に出なくてはならんとは・・・・・・寒い時代だとは思わんか?」

 

 

 

ワッケインが言っている頃、ホワイトベースではパオロの宇宙葬が行われる。

 

「艦長、貴方のホワイトベースは必ず、私たちの手で地球に送り届けさせます。ですから・・・・見守っていてください。」

 

ブライトがパオロに言葉を贈るとカプセルが閉じられ、宇宙へと放流される。それは途方もなく広がる宇宙では小さくも見え、戦争においては小さな出来事に過ぎないとイチカに感じさせた。

 

「・・・・・・・俺も・・・・いつかああなるのかな?」

 

パオロのカプセルが小さくなるにつれ、イチカは不安を抱える。

 

 




次回予告

重力に身を任せれば燃え尽きてしまう大気圏突入。

その瞬間にシャアはホワイトベースに奇襲をかけた!

我も危険なら彼も危険、共に大地を見ることができるのか?

次回、「機動戦士ガンダム 一夏の一年戦争」

「大気圏突入」

君は生き残ることができるか?



ちなみに何故生き残るのかというとそこまでやったら初代の予告そのまんまになってしまうからである。
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