家庭教師ヒットマンリボーン[二度目の人生]   作:ツナさん

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第1話『持田先輩との剣道勝負』

リボーンに疑惑を持たれた状態で学校に遅刻する訳にもいかず、朝御飯を急いで食べて仕度をして家を出る。塀を走り並走するのは言わずもながリボーン。この時の俺ってこんなにも体力無かったのか、とかなりゆっくり走っている。呼吸法を工夫して走ってるからなんとか走ってるけどそれでもかなり遅いだろう。

 

「俺の本職はヒットマンだぞ」

 

そんなリボーンの懐かしい言葉にあの頃と同じように立ち止まり慌てたような態度をとる。リボーンに相談しても良いけど、これからの事を考えればそれは避けたい。なんだかんだ言ってリボーンと久し振りに会って一緒にいたいだけかもしれない。

 

「グルルル」

 

そんなときに、あの日と同じようにチワワの尻尾を踏んでしまう。勿論柵は開いており紐も何故か結ばれていない。今思えばリボーンの仕業なのかもしれない。

 

「ごめんな。尻尾踏んじゃって...痛かったよな」

 

チワワの頭を撫でる綱吉。優しげな瞳で優しく撫でるその光景は、全てを包み込む大空のようにリボーンには見えただろう。懐いたチワワを撫でていると後ろから声をかけられる。その声は懐かしくも少し幼くなった声。

 

「可愛い♪おはよう沢田くん」

 

「京子..ちゃん。おはよう」

 

危なく呼び捨てで呼ぶとこだったけど緊張してるってリボーンは思ってくれたかな?

 

「ちゃおっス」

 

「わーこの子。沢田くんの弟君?」

 

その時京子の後ろからもう一人。懐かしい人物が歩いてきた。

 

「この子弟さんですか?」

 

「ううん。弟じゃないよ」

 

懐かしい。そんな気分に胸を踊ろせながらリボーンとの会話を聞いている。

 

「僕。どうしてスーツなんて着てるの?」

 

「マフィアだからな」

 

こんなに堂々としててもマフィアなんて思う人はいないだろう。分かる人は完全にそっち系の人だけだ。見た目が赤ん坊って時点で普通は冗談だと思うだろう。

 

「わー格好いい♪じゃあ学校遅れちゃうから。またね僕」

 

「ちゃおちゃお」

 

「私も遅刻です!また今度!」

 

そう言って二人とも離れていく。寂しさもあるけど二人が楽しそうな所を見るのは、やっぱり嬉しいな。

 

「ツナ、どっちの女に惚れてんだ?笹川京子とは面識あると思うが、もう一人は無いよな?そのわりには、もう一人を見るお前の目はおかしかったぞ?」

 

「...そんなことないよ。俺も遅れるから急ぐぞ」

 

リボーンは、俺が嘘を付いたことに気付いただろう。でもそれでも構わない。俺から言わない限り追及はしてこない、それがリボーンだ。勝手に調べるかもしれないけど分かるはずもない。

 

「それよりもツナ。笹川京子に告白しないのか?」

 

「あー。まだ、な」

 

「そうか。...一辺死ね。死ねば分かることもある」

 

リボーンのその言葉と共に俺の超直感が反応し体を反らすが今の反射神経でリボーンの速打ちを避けられる筈もなく。

 

「リッボーン!!死ぬ気で告白する!そして絶対に京子を守る!!」

 

額に炎を灯し、あの日の後悔が溢れでる。

 

「守る、か。ツナ。お前は何を隠しているんだ?」

 

町中を駆け巡り持田先輩を吹き飛ばし告白する。その後は、あの日と同じだった。京子に逃げられ教室で笑われ持田先輩に勝負を挑まれて放課後。死ぬ気をコントロールした今の俺なら勝てるだろう。リボーンの死ぬ気弾が無くても死ぬ気になれる。死ぬ気にならなくても簡単な柔術くらいなら使えるし、持田先輩相手にビビる事なんて有り得ないだろう。

 

だが問題はリボーンだ。死ぬ気弾無しで死ぬ気になったとしたらリボーンがどんな行動をしてくるのか予想がつかない。

 

確か持田先輩との勝負は剣道だった筈。胴着が重すぎて使い物にならないから頼みなのは超直感のみ。

 

 

そして放課後。

 

「良く逃げずに来たな。沢田!」

 

「まあ。来ない選択肢は無かったですから」

 

京子を見ると少し不安そうな顔をしている。来たことが以外という声と良く言った!という声が聞こえてくる。

 

「貴様は剣道初心者だったな?そこでこの勝負10分間に一本でも俺から取れれば貴様の勝ち。出来なければ俺の勝ちとする。賞品は勿論!笹川京子だ」

 

「賞品!?」

 

「持田先輩、一つ良いですか?」

 

この場にリボーンがいるのは何となく分かってる。視線を感じるし、でもこれだけは言わなければいけない。

 

「京子ちゃんは賞品じゃありません。その言い方は京子ちゃんに失礼です。謝ってください」

 

「なっ!」

 

俺の言葉に盛り上がる周りと取り乱す持田先輩。

 

「う、うるさい!そういう言葉は俺に勝ってからにしろ!!」

 

持田先輩から仕掛けてきて竹刀を降り下ろしてくる。胴着も竹刀も着用してないが周りを見えていないのか荒々しく振り回してくる竹刀は型も何もあったものじゃない。超直感に身を任せて真っ直ぐに降り下ろされた竹刀を左に重心を向け体を横にすることで交わし、竹刀を握り左手で持田先輩の手首の腱に一瞬死ぬ気になり鋭い手套を叩き込む。手套版の鮫衝撃と言ったら分かりやすいか持田先輩の右手は痺れて暫く使い物にならないだろう。手が弛んだ隙に竹刀を奪い面に軽く降り下ろす。静かな空間に響き渡る竹刀と胴着の当たる音。完璧なまでの一本。

 

周りが溢れんばかりの声で叫ぶ。

 

だが終了のコールはならない。審判が一本の旗を上げない。誰の目から見ても仕組まれていることは明白だった。持田先輩は右腕に力が入らないことに驚いているが足は動くようで距離を取る。

 

「い、今のは始めと言っていなかったからやり直しだ!」

 

回りからのブーイングをものともせずに良い放つ持田先輩。ある意味すごい人だ。

 

「分かりましたやり直しましょう。でも持田先輩。その腕で続けられますか?」

 

その質問に苦い顔を浮かべる持田先輩。持田先輩は、胴着を脱ぎ捨てると後輩に竹刀を持ってくるように伝えた。利き腕とは異なる左腕で構えた持田先輩は一番良い顔をしているかもしれない。油断も怠慢もない。真剣勝負。

 

勝ちが決まっていると先程までの油断は一切感じられない。緊迫した空気。これが本来の県大会を優勝で飾った持田先輩なのだろう。

 

「笹川京子。すまなかった。賞品などと言ってしまって。ここからは男と男の勝負だ」

 

持田先輩は、京子に謝り左腕に持っている竹刀をこちらに向けてくる。

 

「かけるものなどない!真剣勝負だ!」

 

自然と笑みを溢してしまう。誤解していた。

この場の雰囲気が先程とはまるで変わっていた。互いにぶつかる竹刀の音は放課後に鳴り響いた。

 

 

 

 

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持田先輩との勝負を終えた俺は教室の机に座って夕陽を眺めていた。結果から言えば持田先輩に負けてしまった。死ぬ気になれば勝てただろう。でも俺は死ぬ気にならずに正真正銘真剣に勝負をした。結果は持田先輩の一本勝ち。

 

敗者である俺に、持田先輩は何故負けた?という視線に目をそらし教室に逃げてきた。逃げる根性の無さは、昔と変わってないのかもしれない。

 

「沢田くん」

 

「京子ちゃん」

 

教室に入ってきたのは京子だった。今日一番の被害者だろう。ぱんつ一枚の男に告白されて、賞品扱いされて。

 

「お疲れ様。今朝はごめんね。私友達から良く笑うところ分かってないって言われるの」

 

「あはは、気にしないで。あれは俺がいけなかっただけだから。ほんとごめんね」

 

「沢田くんって凄いんだね!只者じゃないって感じ!それにあの時、賞品じゃないって言ってくれてありがとう。私嬉しかった」

 

「京子ちゃん...。でもあれは持田先輩が油断してたからだよ」

 

「ううん。それだけじゃないって感じがするの。ねえ、沢田くんのことツナくんって呼んでも良いかな?」

 

あの日と変わらない出来事と変えてしまった結果。でも後悔はしてない。俺がやろうとしてやったことだから。

 

「ツナくん?」

 

「うん!勿論だよ!よろしくね、京子ちゃん!」

 

 

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