家庭教師ヒットマンリボーン[二度目の人生] 作:ツナさん
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ランボが当然のように食卓を囲み、住み始めた事を抜けば何もない一日だった。朝起きて修行をしてから家に戻ると朝御飯を食べてランボと遊び、リボーンと一緒に勉強を始める。勉強を始めるとランボが悪戯しにくるがリボーンが対応してくれるので勉強も集中できた。何もないけどこういうのが充実してるっていうのかな?
「...。はあ、この視線さえ感じなければなあ..」
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月曜日だから憂鬱な気分なわけじゃないだろう。昨日から感じるようになったこの視線。誰のか分かっているだけに手が出せないのも質が悪かった。
修行を終えて学校に向けて走っていると目の前から自転車が見える。
「どうぞ」
知らなければ美人なお姉さんからジュースを貰えたって喜ぶところなのだろうが、知ってるものからすれば冗談じゃなかった。投げ渡されるジュースを掴み、開かないように神経を使いながら持ち、河川敷に降りて土を堀り埋めた。誰も掘り起こさないと祈りながら。
「よし」
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教室に着いた俺は教室の扉を開けると、驚きにより固まってしまった。
「おはようございます!10代目!!」
元気よく挨拶してきたのは、全身に裂傷やら打撲を負った獄寺君だった。
「いや獄寺君。どうしてそんなにボロボロなの?」
少し怒りながら言う。昨日無理はしないで、という意味を込めて伝えた筈だったのにこんなに傷だらけになるなんて思わなかった。
「これは...ちょっと教えを受けてまして。ですが大丈夫です!自分の命だけは大切にしてますから!!」
そう答えた獄寺君は輝いていた。何かが決まったのか真っ直ぐ見ているその瞳は俺なんかが止めていい物じゃなかった。それに獄寺君が教えを自分から求める相手なんて一人しかいなかった。あの人がこんなにも早く日本に来てるなんて知らなかったけど、あの人に教えてもらってるなら安心だね。
「そっか。無理だけはしないでね?あ、後学校では10代目呼び止めてほしいんだけど」
「オッス。二人とも、マフィアごっこやってるのか?楽しそうだな、俺もそのファミリーに入れてくれよ?」
山本は高校を卒業と同時に野球を辞めて剣一本に絞っていた。この時のように野球をしている山本も好きだったので続けてほしかったけどマフィアになるならプロにはなれないって、高校二年の時から声かけられてたのに全部断ったと聞いたときには驚いたっけ。スクアーロは嬉しそうだったけど。それに、俺としても山本がずっと傍にいてくれたからこそ出来たこともあるし本当に感謝してる。この頃の山本は、才能があるからこそのイップスになってた筈。無理な練習をして怪我して一緒に屋上ダイブしたっけ、懐かしいな。山本の気晴らしになるならマフィアごっこも良いかもしれない。リボーンの事だし山本のバットを渡す日も遠くないだろうし。
「なっ!お前もしかして10代目の右腕を狙ってるな!10代目の右腕になるのはこの俺だ!」
「まあまあ獄寺君。山本も一緒にいても面白いと思うよ?」
「やりー!んじゃ遊ぶときは誘ってくれよな」
「遊びじゃねーって!」
この二人は、やっぱり相変わらずだね。獄寺君が一方的に嫌ってる感じがあるけど未来に行ったときからかな?獄寺君は納得しないと思うけど守護者の中では、山本を一番信頼してるんだよね。山本も獄寺君を一番信頼してるし。
「ちょっとあんたたち邪魔よ」
その声で教室の入口で話してたことを思い出す。
「ご、ごめん」
「ツナくん、おはよう」
登校してきた黒川と京子ちゃんがいた。黒川は、10年後お兄さんと結婚してマフィア関係者になっちゃうけど、一番女性関係で世話を焼いてくれたのは黒川かもしれない。京子ちゃんの事に関して、何度も言われたし。あの時の黒川は鬼気迫る感じで怖かったなぁ。優柔不断な俺がいけないんだけど。
「おはよう京子ちゃん。それに黒川」
「なんか沢田ってやっぱり変わったわよね。雰囲気が大人っぽくなったって言うか。まっ前よりは良いと思うわよ。ね?京子」
「うん、そうだね。変わったと言えば落ちついて見えるようになったところかな?」
「かもね。でもいくら大人っぽくなったからって子供連れてきちゃ不味いわよ」
いつのまにしがみついてたのか、ランボが足にいた。超直感を持ってして気付かないなんて、ひょっとしてランボって...そんな筈ないか。ただ危険は無いって事だろうし。
「ううう...ひぐっ」
「その子、ツナくんの弟?」
「ううん。知り合いの子でうちで預かってるんだよ。ランボどうしたんだ?」
「リボーン何処にもいなくて」
素直に遊びたいって言えば...いや無理だよな。優しくランボの頭を撫でてると廊下が騒がしくなってきた。
「おい、ツナ」
「あー、雲雀さん」
学生服に身を包んだ孤高にして並盛最強の風紀委員長。そして不良の頂点に君臨する男。好戦的な目を抜けば整った顔とスタイルの良さから女性にモテそうだが、彼に抱かれるのは恐怖とほんの一握りの憧れのみ。
「君。何してるの?風紀を乱すなら噛み殺すよ?」
「ツナ、こいつだけはやべーぜ」
「は?何言ってんだ。10代目がこんな奴に負ける筈ねーだろうが。むしろ10代目が出るまでもねえ!」
冷や汗を流しながら山本注意を促してくれるけど獄寺君が煽ってるから意味がない。山本は雲雀さんの危なさを知ってるからこその注意。獄寺君は知らないから、そして自分に対しての自信から態度に現れている。
「へえ。君転校生だったね。僕の前で群れると噛み殺すよ」
仕込みトンファーを出して威嚇する雲雀さん。今の動作で雲雀さんの実力の一部ではあるが垣間見た獄寺君は警戒している。
「雲雀さん、すいませんでした。知り合いの子なんですけど付いてきちゃったみたいで。一人で帰れとも言えないし今日だけ学校にいさせてもらえませんか?」
「駄目だよ。部外者が敷居に入る許可を出した覚えはないからね」
「それなら許可を取れば良いんですよね?見学者扱いに出来ませんか?そうすれば風紀が乱れる事もないと思います」
雲雀さんのトンファーが顔に当たる寸前で止められる。空を切ったその一撃はツナの髪を揺らす。当たっていればどれ程の威力になったのか想像したのだろう。周りで見ていた生徒の顔が一様に青くなる。
「へえ」
その声は雲雀さんから発せられたものだった。雲雀さんの一撃を寸前で止められたとはいえ、微動だにしなかったツナに対しての称賛の声かそれとも。
「て、てめえ!!10代目に何っ!10代目...」
雲雀さんに殴りかかろうとした獄寺君を手で制する。
「大丈夫だよ獄寺君」
「職員室に行きなよ。僕の名前を出せば問題ないから」
戻っていく雲雀さんは、途中で何かを思い付いたのか振り替えって言ってくる。
「そうだ。君、風紀委員に入る気ない?」
その言葉にざわめく廊下で、皆の視線は俺に向いていた。あまり気持ちの良い視線じゃなく、苦笑いで断る。
「そっ。気が変わったらいつでも来てよ。じゃあね」
雲雀さんが見えなくなった瞬間に廊下で皆が騒ぎ始める。これって風紀乱れてないのかな?
「ツナ凄いな!何時の間にあんな度胸付いたんだよ!」
「それも雲雀さん相手にだぜ?お前出来るか?」
「いや無理だろ!」
雲雀さんが当てる気が無かったのは超直感が反応しなかったからで、雲雀さんの一撃は20年以上後の雲雀さんの一撃と比べると天と地ほどの差があるから単純に遅いと感じただけだけど。それを素直に言うつもりはない。
「そんなことないよ。速すぎて何が起きたのか理解できなかっただけだから」
笑いながら誤魔化す俺の言葉に皆は納得して教室に入っていく。そろそろ時間なので急いでランボを連れて職員室に行こうとすると何故かランボがいなくなっていた。
「あれ?ランボは?」
「そう言えば、いませんね。10代目に御迷惑をかけておきながら勝手にいなくなるなんて」
「まーまー。落ち着けよ獄寺。それでツナどうすんだ?」
このままランボを放っておいても問題ない気はするけど。間違えて雲雀さんの所にでもいったら今度こそ戦いは免れないだろうしなぁ。
「ごめん。俺ちょっと探してくるよ。皆は授業始まるし先に教室に入ってて」
「それなら俺もお供しますよ!10代目」
「俺一人で大丈夫だよ。獄寺君は、俺が遅れてくるって先生に伝えてくれる?」
安易に着いてこないでと伝えたのだが10代目のお願い..しっかりと伝えておきます!と何故か張り切っていた。着いてこないなら良いかなと思いランボを探す。マフィアといってもまだ子供だ。多分。誤射してなければ。
そう遠くには行っていない筈。
階段を降りて外に出るとランボではなく、リボーンがいた。それもいつ仕掛けたのか壁が開き椅子の上に座っている。そう言えば学校の至るところに仕掛けてあるって言ってたような気がする。
「そろそろ授業が始まるぞ。早く教室に戻れ」
「変なところから出てくるなよ、リボーン。それよりもランボ見てないか?」
「ああ、見てないぞ」
「がははは、ツナを囮にしたら出てきたなリボーン!作戦通り!」
絶対行き当たりばったりだろ、とは言わない。言っても無駄なことは既に何度も経験してるからな。こんなときフータがいてくれたらなぁ。久し振りにフータにも会いたいな....。ボスになった後は殆ど会えなかったし。
「ツナ。遅刻したら帰ってからねっちょり勉強だからな」
「無視すんな!リボーン!!くらえ!!」
ミサイルランチャーを此方に向けるランボ。この状況に危険を感じないのは多生なりとも感性が狂ってしまってるんだろう。
「ランボ。学校でそんなもの撃ったらもう遊んであげないからな」
少しきつい言い方になるかもしれないけど、学校でミサイルランチャーなんて使われたら雲雀さんが来るに決まってるし、下手すれば獄寺君
も来ちゃうからランボの為にも使わせられない。
「う、うう...うわーん。やだー、ツナはーランボさんと遊ぶんだもんね!!」
結果泣き出してしまったランボ。リボーンはいつの間にかいなくなってるし、チャイムが鳴ったので遅刻は確定。家に帰ったらねっちょり勉強と考えると少し気が重い。
「撃たないなら遊ぶから。だから、な?そんな物置いておいで。ランボ」
「うん..ぐすっ....あっぐぴゃっ!」
何事もなく終わると思っていた拍子に、やっぱり何事も起こらないなんて有り得ないと思い返すことにした。何故かバナナの皮(多分仕掛けたのは、リボーンだろう)が置いてありそれを踏み滑って頭をぶつけ、更にランボは10年バズーカーを自分に誤射していた。
「会うのは2度目になりますね。若きボンゴレ」
「ランボ。ひさしぶ」
「ロメオー!!」
超直感を使わなくても分かる。この声は...。この頃視線を常に感じていた相手でもある。
「ビアンキ...。っ!ランボ急いで逃げて!!」
「へ?...え?」
「逃がさない!ポイズンクッキング!!」
毒々しい煙を立ち込めながらランボに皿に乗せられたケーキ?を投げ付ける。突然の事で避けられなかったランボはポイズンクッキングの餌食になり倒れてしまった。
「10年後の医療技術なら助かるかもな」
「リボーン。何処に行ってたんだよ」
「リボーン!!探したのよ。貴方にはこんな平凡な暮らしは似合わないわ。また私と一緒に仕事しよ?」
「俺はツナの家庭教師だから、それは無理だぞ」
「可哀想なリボーン。このボンゴレ10代目が不慮の事故か何かで死なない限り解放されないのね...」
この頃のビアンキって結構本気で俺を殺しに来てるんだよな...。殺し屋だから普通なのかもそれないけど。素人に殺気を隠そうともしないのはどうかと思うけど。それに思い出した。今日は女子が家庭科の授業でクッキーを作るんだ。このままビアンキがいたらポイズンクッキングを食べることになるのか。
「ビアンキ。ちょっと話があるんだけど」
「あら?死にたいの?だったら手伝うわよ?」
「違うって...」
ビアンキを一日校舎から離すにはどうすればいいか。それは長い付き合いだから分かっている。後で報復が怖いけど。京子ちゃんの手作りケーキは食べたい!
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ビアンキの耳元で話している声はリボーンには聞こえていない。ビアンキの反応から見ても上手くいきそうだ。
「.....今日は用事が出来たわ。リボーン。楽しみにしててね」
語尾にハートが付きそうな甘い声でリボーンに言った後ビアンキは学校を出ていった。
「ツナ...ビアンキに何言ったんだ?」
「ちょっとね。それより授業始まってるし俺は戻るよ」
きっと後で報復が待っている。でも、せめて帰るまでは楽しもうと。ツナは現実逃避を始めていた。