暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~ 作:黒ハム
演劇発表後。E組教室にて。
「はは…………あはは…………」
有鬼子は窓辺に立って壊れたように笑っていた。
「何か私ってさ。絶対こういうことするキャラじゃないよね?ね?何でこうなったんだろう……」
実際、あそこまですごい演技を見せてくれたんだ。賛辞の言葉の一つでもかけたいが……如何せん、皆、今は声をかけても効果なしと思って一歩引いてる。仕方ない。僕が代表して慰めに行くか。だって彼氏だもんね!決して皆からお前逝って来いって目で見られたからじゃないよ!
「いい演技だったじゃん♪」
「風人君……!」
「いつもよりもカッコよかったよ♪」
「うぅ……!」
「よしよし~」
胸に飛び込んでくる有鬼子。何というか、このクラスにおいてこんな大胆にイチャつくと言ったらあれだが……そう。恋人関係を隠そうともしないのは僕らだけだと思う。
いやね?ヘタにイチャつけば誰かさんたちのからかいを受けることは明白だからね。仕方ないね。
「ヌルフフフ。神崎さんも凄い演技力でしたよ。流石の一言に尽きます」
「あ、ありがとうございます」
「風人君の視線誘導術も見事なものです。そのおかげで今回の演技から皆さん目が離せませんでしたよ」
「あはは~でも、狭間さんの脚本と三村君の監督。皆のフォローも大きいよ~」
いくら注目を集めさせても僕以外の所では、彼ら彼女らの演技がものを言う。演技、道具、ナレーション。全部が観客を惹きつけるに必要な要素だ。
僕はただそこに観客の焦点を当てさせただけだ。
「ふふっ。あの高圧的な嘲笑に表情。私の期待通りだったわ」
「というかお前ら……あの殺気とか本物だっただろ。無茶苦茶引いたわ」
「「え?本気だけど?」」
あの時有鬼子を本気でぶつつもりで手の動きや殺気を出していた。……まぁ、さすがに避けられるようにしたし、最悪寸止めしてから軽く当てるつもりだったし。
え?凄い音が出てただろって?あれは流石に僕が有鬼子をぶったから出た音じゃないよ?なぜかはよく分からないけど、カルマが舞台裏でタイミングよく寺坂をぶった音らしくね。たまたまマイクに入って観客たちにお届けする形に……まぁそのせいでリアリティーが出たんだけどね。
「というか有鬼子。本気で僕を殺す気で台詞とかやってたでしょ」
「当然でしょ?いつもの感じでやったからね」
「無茶苦茶怖かったんですけど!?磔にするって言ったらカルマの野郎ガチで縛りやがったし!台本になかったよね!?」
「いやー神崎さんのことだから本気で殺りやすいように俺なりの配慮だよー」
「配慮が配慮じゃねぇよ!?マジで殺されるかと思ったよ!?」
あの時はマジで怖かった。というか本気で刺してきたよね?マジで?と思ったけど?まぁ、本物のナイフだったら死んでたなと思いつつ。
「ねぇねぇ~。そういえば、僕の台本ではあの時寸止めって書いてあったんだけど……」
「え?私の台本だと刺せって書いてあったよ?」
「脚本家~二人で台本に相違がございました~どういうこと?」
「いいじゃない。アンタも神崎に刺されるなら本望でしょ?」
「全然本望じゃないんだけど!?」
何を思って本望だと思ったのだろうか。あまりにも認識が酷い。
「でも……その……」
頬に手を当てどこか照れた感じの有鬼子。何だかそのモジモジと恥じらう姿がとても可愛ら――
「……私にやられる度に悲鳴を上げるその姿……ゾクゾクしちゃった♥」
――次の瞬間。僕は教室を飛び出した。
「助けてぇ!渚ぁっ!」
「わっ!?風人君!?急にどうし……ああ、また神崎さんを怒らせたの?」
「今回は僕は悪くないんだ!なんなら殺せんせーの触手を賭けてもいい!」
「いや勝手に賭けないでください!?」
「ってあれ?渚にししょー。それに殺せんせーも……どうしたの?こんな倉庫で?」
逃げ込んだ倉庫の中には何故か二人とタコの姿があった。一体こんな所で何してるんだろう?
「ちょっと小道具を散らかしちゃってね……手伝ってもらってたの」
「ほへー」
すると、僕の第六感がここにいてはいけないと警鐘を鳴らす。え?どうした僕の第六感?
「手伝ってよ。風人君も」
「あ、僕はあれがこれでそれだからこれにて失れ――」
「ヌルフフフ。風人君。神崎さんにある事ない事言いふらしますよ」
「――是非手伝わせていただきます……!」
血の涙を流しながら同意する。第六感……!もう少し……こう…………ね?早くね?教えて欲しかったなぁ……
(あはは…………神崎さんがちょうどいい脅しの道具になってる)
「そうだ。今思い出話してたの。この一年色々とあったねーって」
「そう言えば風人君が来たのってカルマ君の停学明けの後だったよね」
「そーだね~」
「そこからだよね。…………神崎さんが壊れ始めたのって」
「うん……修学旅行明けにはもはや別人だったよ……」
「ヌルフフフ。彼女も自分の殻を破った証拠ですよ……」
(……大事なものまで破りすぎてる気はしますが)
「でも風人君もあの頃から変わったよね」
「そう~?僕はよく分かんないや~」
「そうですよ。君もしっかり成長できています。……後はもう少し日頃の言動を意識して……」
「うへぇ……」
(私もたくさんのことをこの教室でやったなぁ……)
すると、手をうなじ当たりに持って行くししょー。
その極々自然な動作に対して僕は視線を外そうとしたが……僕の視線は彼女のうなじから離れることが出来なかった。見とれていた?違うそうじゃない。
明らかに髪とは違う。二本の触手が生えてきたからだ。
「…………気付かなかったね……最期まで」
「避けろ!せんせー!」
茅野が攻撃するのと僕が声を出したのはほぼ同時。
触手による攻撃は殺せんせーの足下の床を破壊する。
砂煙が倉庫に充満する中、かろうじて確認できたのは倉庫の下に大きな落とし穴が広がっていること。
「大好きだよ、殺せんせー。…………死んで」
落ちる殺せんせーに対して上から飛び降りる茅野。
「茅野が……」
「クソっ!」
いつからだ。あの触手はいつから彼女に備わっていた?プリン暗殺の後?いや違うだろ。あの時の彼女からは僕のジョーカーに対して抱いていた憎しみ。あれと同等のものを感じていた。そして今も……クソっ。じゃあ、やっぱり最初からなのか?最初から全部隠してきたのか?
「渚!無事!?」
「うん。なんとか……」
「一旦離れるよ!」
余波が凄い……茅野の奴。完全に殺せんせーの動きを見切っていやがる。ということはあの深い深い落とし穴の下には何かあるな……茅野の動き。あれは殺せんせーを地上に上がらせないために攻撃している。
ドンッ!
校舎の横で土煙が上がった。そこから出てきたのは傷だらけの殺せんせー。そして、
「あーあ、壁を壊して地中から脱出。思わず防御しちゃったよ、殺せんせーが生徒を攻撃するわけがないのにね」
出てきたのは触手を伸ばした茅野。
クラスの皆も今の音で教室から外に出てきたようだ。
「か、茅野さん……?」
「何、その触手……」
「渾身の一撃だったのに、逃がすなんて甘過ぎだね」
「茅野さん……君は一体……」
「ごめんね。茅野カエデは本名じゃないの。雪村あぐりの妹。そう言ったら分かる?人殺し」
そう語る彼女の顔は今まででたった一度しか見たことのない表情だった。
「明日また殺るよ。場所は直前に連絡する……触手をあわせて確信した。今の私ならやれる」
そして飛び立つ茅野。そのままどこかへ消え去ってしまった。
「あり得ない……メンテもせず触手を生やし続けていたなんて……地獄の苦しみが続いていたはずだ。表情に出さないなんてまず不可能……」
「いいや……アイツなら可能だよ」
僕の言葉に驚く皆。
「茅野カエデ。本名雪村あかり。磨瀬榛名という名前で今活動休止中の人気子役」
「風人君……それは本当なの?」
「結構前に本人に確認したよ……全部本当だ」
「だが役者だから乗り越えられるほど甘くはないぞ」
「……一つ言えるのは……彼女は前の僕と同じなんだよ。ごめん。これ以上は今は話せない。話したらいけない気がする…………帰るね」
僕は埃を払って、固まる皆を無視して、鞄を持ちそのまま帰った。
誰も僕の後を付いては来なかった。
全く本編関係ないけど皆さんはファーストキスのことを覚えていますか?って聞いてみたけど私はファーストキスってそこまで深く覚えてないですね。
「「急に何を言い出したこの駄作者」」
いやね。漫画とか二次元のファーストキスって凄い印象的で当人たちも絶対忘れられないものじゃん。
「「あー……」」
で、とある人が言ってたんだけど、思いの外ファーストキスって覚えてないなぁって。そのことに共感できるなぁって。いや、さすがに誰としたかは覚えているけど。
「そこ忘れたら最低ですからね……」
「まぁ、僕なんて……うん。あれを忘れることは絶対ないね」
「私は……?」
(あれ?よく思い返せば私のファーストキスの相手って……実はビッチ先生?いや、あの人はノーカンにしてほしい気が……)
そう言えばこの前のうちの有鬼子様の恋人にしたいですかアンケート、応えてくれた人、ありがとうございます。(尚、投票終了にはしてないのでまだで応えたい人や結果を見たい人はどうぞ投票してみてください。ネタですので)
「あーあの駄作者の思いつきね。……よく乗ってくれた人がいたものだ」
そして、この話を投稿時点で欲しいって人が一番多かったです。
「え……あ、ありがとうございます。何か照れるなぁ……」
ちなみに二番目は俺は巨乳派だ!ですね。
「……なるほど」
ちなみに駄作者は貧乳派だ!
「「…………あーなるほど」」
まぁ、正確には胸の大きさは二の次だけどどちらか選べって言われたら貧乳派だね。迷うことなく。で、二人は一体何を納得したの?
「いや……何で僕が貧乳派なのか……なんでししょーと仲がいいのか……なんで千影が断崖絶壁だったかの理由が分かった気がする」
おぉ……!特に意識してなかったけど……!
「やれやれ。でも意外だよね。有鬼子がBって」
それね。Aでもいいと思うのに。
「全くだ。どうする?今から全部修正して一層のことゼロにしとく?ししょーみたいに」
うーん。それだとゼロが霞むからなぁ……ってあれ?有鬼子は?
「さっきししょー呼んでくるって……ん?今のししょーって確か触手持ちなような……」
よ、よし!二学期編もいよいよ大詰め!次回もお楽しみに!
「また次回会いましょ~!」
この後、駄作者と風人君が乗り込んできた茅野(触手付き)と有鬼子に処されたのは言うまでもない。