暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~   作:黒ハム

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激突の時間 二時間目

 風人君に負けた私は脱落者の人たちが集まるところに向かっていた。

 

「はぁ……」

 

 ただ、今思えば勝ちたかったぁ。でもまぁ、風人君が本気で私と殺ってくれて嬉しかったからいいか。

 あの時の目。私をぶっ殺すと言った時の目。確かに普段と違って怖かったけど……。

 

「…………反則だよ……あんなの」

 

 凄いかっこよかった。何というか私だけをすごい見てくれて……あぁ……これがサバイバルバトルじゃなかったらあのまま甘えていた気がする。もうこの身を彼に委ねてその手で滅茶苦茶にして欲しいくらいだ。それに加え最後もだ。押し倒した状態でキスして抱きしめてくるとか……今にして思えば凄い名残惜しい感じがする。

 ううん。ダメだ。今は思考を切り替えよう。もう私は脱落したんだし、皆の様子を、どうなるのかを見守っていくんだ。

 

「………………?」

 

 脱落者のスペースに行くと……何というか……妙な空気になっていた。

 いやまぁ、千葉君、岡島君、菅谷君の三人は私が殺ったし、違うチームだったからまだしも、なんで同じチームの片岡さんや竹林君まで目を合わせようとしてくれないのだろう?

そして、何でビッチ先生はそんな生温かい目で見守るような優しい表情なのだろう?

極めつけは……

 

「風人君に対して大健闘でしたね。神崎さん」

「は、はぁ…………」

 

 いや、顔をピンク色に染めて言われましても……。

 

「で、風人君とは実際どこまで行ったのでしょう?」

「い、いやどこまでって……」

「ユキコ」

「え?あ、ビッチ先生。何でしょう?」

「ベッドの上では負けるんじゃないわよ」

「……………………」

 

 全てを、察した。

 

 なるほど……つまりあの会話はすべて聞こえていたんだ。無線越しに……。

 

「それにしても風人君は大胆になりましたねぇ」

「えぇ。あんなことを堂々と言えるのは余程のバカ……いえ、余程肝が据わってないと出来ないわ」

 

 風人君のバカァァアアアアアアアアアアアッ!

 

 私は恥ずかしさのあまり心の中で彼に向かって叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さ、さすが……風人君だね」

「ほへ?流石って何がですか?ししょー」

 

 あれから僕は移動すると今度はししょーと遭遇した。

 何でもししょーは無線越しに僕と有希子が戦っていたのが分かったらしく、磯貝君の指示で僕を狩るためにやってきたそうだ。…………道中倉橋さんをやられたとかいないとか。

 で、何が流石なのか分からない。

 

「さっきまでの神崎さんとの会話だよ!よく堂々と言えたね!あれ全員に無線越しに聞こえてたんだよ!」

 

 ししょーが言いたいことを僕なりに噛み砕く。ふむふむ。つまり……

 

「次はベッドで押し倒す宣言を全員に聞かれたと」

「今の会話も聞かれてるからね!?」

 

 お互いのナイフがぶつかり合う。

 僕らはそんな会話しながらではあるが戦うことをしている……が決着が付かない。

 いや、ししょーの身体能力が意外に高くて驚いている。もっと楽に倒せると思ってたのに……。何でも役者業で鍛えていたのがとか今は触手による痛みがないとか何とか。

 ふむ……それにしても、分からないことがある。

 

「何か問題でも?」

「大問題だよ!?」

「いやだって、皆の前で接吻とか折檻とか説教とか調教とかされてたし……今更じゃん?」

「待って?最初の一つ以外おかしいことに気付いて?いや最初の一つも普通はおかしいと思うけどさ?」

 

 何というか……そう。今更感が半端ない。

 

「寧ろ知られて何が悪いんだ!」

「開き直っちゃったよ!普通は知られたくないんだよ!」

「そうなの?」

「そうなの!」

 

(って、本当に演技してる様子ないし……それでいて追撃の手は緩めてないし……少しは油断してくれると嬉しかったんだけどなぁ。話をすれば油断して隙を見せてくれると思ったのに)

 

「だってこの前だって有鬼子と――」

「バカゼトシャラアアアアアアアアップ!私言ったよね!?全部聞かれてるって!このままじゃ後で神崎さんに殺されるよ!」

「えええええぇぇぇぇっっ!?ま、マジですかししょー!?僕何かマズいこと言ってました!?」

「マズいことしか言ってないんだよ!」

 

 な、なん……だと……!僕……実はヤバい発言を繰り返してたのか……!

 

「流石ししょー……!僕を助けるために……!」

「バカゼト君……!じゃあ、助けたお礼に私にサクッと……」

「うん!サクッと……本気でやってあげるよ」

「流石に甘くはないか……!」

 

 というわけで、僕はスイッチを切り替える。ふぅ。完全にししょーのペースに飲まれていた気がする(本当は逆です)。

 

「行くよ」

 

(くっ……!やっぱり速いし、変則的で読めないし……!話していたさっきよりも手数が多すぎる……!というか!何でゼロ距離で撃っても当たらないの!?バケモノなの!?)

 

 ししょー……こりゃあ今まで相当力隠してきたな……普通に強いんだけど。まさか、全部躱すか捌かれるとは思わなかった。それに加えて反撃も速くて鋭い。まぁ、でも対応できないわけではない。できないわけじゃないけど……こっちも決められないし……。

 お互いに決め手がない。でもこんな状況だからこそ、この技が生きる。

 

「……っ!」

 

(風人君がナイフを二本とも上に……!?しまった!風人君のミスディレクション!)

 

「いないっ!?」

 

(今の一瞬で何処――)

 

 パンッ!!

 

 響き渡るのは何かが破裂したような音。

 

「この技……渚の……!」

「そうそう~。忘れてない?僕も猫騙しくらいは使えるよ」

 

(そうだった……ジョーカーとの戦いで……!)

 

 倒れ込みそうになるししょーを支える。そして、

 

「僕の勝ちだよ」

 

 最初に投げた二本のナイフがししょーの身体の上に落ちてきた。

 

「ははっ……負けちゃったか……まさかしゃがんで視界から消えるとはね……」

「ししょーの死角に入ってみました。まぁ、ゼロ距離で喰らわせたからね。多分少し麻痺してると思うから。無理はしないでね~」

「もう……強すぎだよ……」

「いやいや。ししょーは今まで爪隠しすぎ……」

 

 全く。有希子に対しては使うつもりなかったミスディレクションを使ったし、ししょーに対してもまさか猫騙しを使わないと早期決着が望めないとは思いもしなかった。

 やっぱり皆すごいなぁ……この一年で凄い成長している。僕の想像を超えているなぁ。

 

『あーあー。さっきから通信機でバカやってるバカゼト。聞こえてる?』

 

 と、そんな感傷に浸ってると我らがリーダーが僕に声をかけてきた。

 

「あ、カルマ~二人倒したよ~」

『まぁ、そこそこかな。で、今の状況どこまで分かる?』

「一応全部聞いてたから大体分かるよー」

 

 確か、速水・イトナコンビが青チーム引きつけ、中村・バカ三人が青旗強襲だったはず。まぁ、向こうが動き出したらスタートって感じだったかな。

 

『分かってるならいいや。じゃ、適当によろしく』

 

 ……ふむ。通信機の本来の使い方をした気がする。さてと、どっちに行こうかなぁ……

 

「もう、大丈夫だよ」

「そう?じゃあ、また後でね~。ししょー」

「うん」

「あと……その……」

「何かな?」

「弁解してくれてるとマジで助かります!というかお願いします!」

「あはは……やってはみるよ」

 

(弁解の余地はないと思うんだけどなぁ……)

 

 よし。僕も向かうか。ということでナイフを回収して先を急ぐことにしました。

 

 サバイバルバトル、風人VS茅野。

 勝者風人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 余談であるが一つ思い出してほしいことが(ry

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「神崎さん神崎さん!風人君と何があったんですか?」

「何もありませんでしたよ(ニッコリ)」

「本当ですか?」

「ええ、何もありませんでしたよ(ニッコリ)」

「とか言って本当は――」

「何もありませんでしたよ(ニッコリ)」

 

(((絶対何かあっただろ……)))

 

 不幸中の幸いなのは、中村とカルマといういつもならいじり倒す悪魔コンビが、サバイバルバトルに集中していたがために全部スルーしていたことぐらいだろうか。

 

(風人君のバカァ……!そして茅野さんありがと……!)

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