暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~   作:黒ハム

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基礎の一学期
転校の時間


「急な話だが転勤することになった」

「……は?」

 

 思い返すと親のこの一言がきっかけだった。

 

「と言ってもそこまで遠くじゃない。だが、引っ越すつもりだからお前は転校することになる」

 

 三年生も始まったばかりの4月終わり。クラスのメンバーを覚えようかと思った矢先のことだったね。

 

「まぁ、何でもいいけど~。それより転校先は~?」

「椚ヶ丘中学だ」

 

 最初はこう思っていた。『椚ヶ丘中学?あそこって進学校じゃなかったっけ?中高一貫の』と。まぁ、そこから手続きやら転入試験やら色々済ませた。しかし、僕が配属されたクラスの教室の立地的に何かがおかしいと悟った。

 

「はぁ……朝から山登りかよ……とほほ~」

 

 僕は運動部じゃないので朝から山登りする趣味はない。

 

「おはようございます!君が今日から転校してくる和光(わこう)風人(かぜと)君ですね?」

 

 ゲームをしながら山を登ってると目の前に黄色いタコが現れた。もう一度言う。黄色いタコが現れた。

 

「…………」

 

 椚ヶ丘中学、三年E組に配属が決まってすぐのことだった。僕は防衛省の人に呼ばれ、今、この三年E組が何をやっているのかを聞かされた。

 要するにこの黄色いタコ、殺せんせーの暗殺である。

 賞金は100億。日々、僕の新たなクラスメートたちは暗殺に勤しんでいるようだ。

 じゃあ、そもそも何故このタコに100億もの賞金が掛けられているのか。春休みに起きた世界を震撼させるような事件。月爆発事件の犯人だからだ。まぁ、月爆発と言っても月の七割方が蒸発して、三日月になっただけなんだけどね~いや、その時点で凄いか。てか、ヤバい。

 

「ありゃ、驚かせてしまいましたかね」

 

 さぁ、どうする。

 

 ▶戦う

  逃げる

  会話

  アイテム

 

 よし。

 

「おはよ~コロセンセーだよね~。本当に速いんだね~。マッハ20……だっけ?」

 

 戦っても勝てないし、逃げるのは不可能。よし、会話だね。

 で問題はなぜ賞金首のタコがここの教師をやっているか。

 このタコは来年の三月に地球を爆破すると予告。これは各国の首脳たちや本当に国のトップしか知らないトップシークレット。まぁ、それを実行される前に打った手がこのタコの暗殺。しかしこのタコは速い。今まで何人もの暗殺者を送り込んだが全員手入れされて帰って来たそうである。

 そんな最強で殺すとかムリゲーなタコは三月まで逃げれば勝ち確定なのに何故か椚ヶ丘中学3年E組の担任を引き受けたいと申し出たそう。政府は生徒に危害を加えないことを条件に承諾。理由としては、教師として毎日教室に来てくれるのなら監視可能だし、毎日近くで三十人近くの人間がタコの命を狙える点。

 で、これから通う僕のクラスメートは毎日のように暗殺を仕掛けながら授業を受けているそうだ。

 

「はいそうですよ和光君。それと、歩きながらゲームはダメです。というかそもそも学校にゲーム機を持ってきてはいけません。没収します」

 

 なるほど。普通の教師みたいなことを言うんだ。

 

「あーセーブしたらね~」

 

 まぁ、ちょうどキリが付いたし、セーブっと。

 

「は~い。あ、放課後には返してね~。これからよろしく~」

「やれやれ。君も中々扱いにくそうな……」

 

 グチャ コトッ

 

 ゲーム機を持った瞬間、持った部分の殺せんせーの腕は溶けた。

 

「ふむふむ~。本当にこの武器殺せんせーに効くんだね~」

 

 ゲーム機に対殺せんせー用のナイフとか対殺せんせー用のBB弾を細かくしたやつを張り付けてみたけど普通に効いた。

 

「どこまで離れてるの~?僕は()()何もしないよ~?警戒しすぎだよ~」

 

 今は特に暗殺する気はない。まずはクラスメートに馴染むことが大切だからね!

 

「あ、ゲーム機に付いてる武器とか外してキレイにしてから返してね~」

 

 さぁ、今日から頑張りますか!おー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君は和光風人君だね。俺は烏間だ。改めてよろしく」

「えーっと、ここでは烏間先生でいいのかな~?よろしくお願いします~」

 

 現在職員室。朝のHRで僕は紹介されるらしいから、それまでここで待機だ。

 

「早速だが朝のアレは見せてもらった。君で二人目だ」

「それってダメージを与えたのがですか~?」

 

 最初の人は誰だろう?ちょっと気になる。

 

「さて、事情は分かってるな」

「えぇ、最初聞いた時は驚きましたよ~」

 

 転校が決まって、E組配属と分かってすぐのこと。何か理事長室に呼びだされたら、防衛省の人が来て色々説明してくれた。まぁ、月爆散事件の犯人が黄色いタコとは誰も思うまい。

 

「というか、何で殺せんせーなんですか?イエロータコじゃダメなんですか?」

「生徒の一人が『殺せない先生』ということで『殺せんせー』にしたそうだ」

 

 そっちの方がイエロータコより呼びやすいか。親しみやすそうだし。

 

「君にも武器は支給してあると思う。他にも欲しいものがあったら可能な限り手配しよう」

「はーい。というかこの武器本当に効くんですね~」

 

 そう言って、手の所でくるくると回していたナイフを自分の胸に刺す。

 

「人間には全くの無害。ただのゴムナイフにしか見えないのにね~。どういう構造だろ~?」

「そこは企業秘密だ」

「ほーい」

 

 にしても暇だなぁ……

 

「そう言えばここの教師は烏間先生と殺せんせーしかいないの~?」

 

 どうやらE組というのは本校舎から隔離されていて、教師すら別枠だそうだ。まぁ、暗殺のことがバレにくいと言う点ではいいかもね。

 

「今はな。国からもうすぐ一人くるとのことだが詳しくは聞いていない」

「ふーん」

 

 とりあえず、名簿でも見せてもらおう。だって、普段のクラスメートより早く名前を覚えておかないと色々支障が出るだろうし…………ん?

 

「この名前……」

「どうかしたか?」

「いえ、何でもありません~」

 

 うーん。知り合いは居ないと思ったんだけどなぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この日のE組はいつもよりソワソワしていた。

 

「ねぇね。転校生ってどう思う?」

「烏間先生に聞いたんだけど男子ってことしか分からなかったよ」

「えーイケメンかなぁ……顔写真とかなかったの?」

「ううん。でも、この時期に転校ってさ」

「やっぱり暗殺者。国から送り込まれた刺客ってところかな」

 

 至るところで転校生(和光)の話題で持ちきりだ。

 

「うーん。カルマ君はどう思う?」

「別に俺としては面白い奴だと嬉しいな。これからお隣さんだし」

 

 そう言ってカルマは自分の左隣の空席を指す。

 

「あはは……」

 

 キーンコーンカーンコーン

 

 そんな期待や思いが入り混ざる中、始業のベルは鳴り殺せんせーが入ってくる。

 

「おはようございます」

 

 一通りの出欠確認を終えた後、

 

「では今日から皆さんの新たな仲間を紹介します。これから一年。よく遊びよく殺しましょう」

 

 そう言って開けられるドア。しかし、誰も入ってこない。

 

「あれ?入ってきて下さーい」

 

 殺せんせーが声をかける。しかし、反応は一切ない。

 思わず殺せんせーが廊下に出ると、

 

「にゅや!?立ったまま寝てるぅ!?」

 

 聞こえてくる殺せんせーの声。

 

「起きて下さい!自己紹介ですよ!」

 

 この時E組生徒は思った。

 

(((だ、大丈夫かそいつ……)))

 

「ふぁぁああああ。あ、皆おはよ~」

 

 そしてその転校生……和光風人は欠伸をしながら軽く入ってきた。

 

「僕は和光風人です~。前の中学は……まぁ、隣町のどっかだね~。親の転勤っていう素晴らしい理由でここに来ました~よろしく~」

 

 のんびりとした調子で自己紹介をする。そして彼はクラスメートの顔を見渡して、

 

「あ、有鬼子。おひさ~」

「う、うん。久し振り風人君」

 

(((え?あの人神崎さんの知り合い?)))

 

「にゅや。和光君と神崎さんは知り合いでしたか」

「うん~実は――」

「風人君。ちょっと……」

 

 神崎さんに手招きされ寄っていく和光。一言二言話を終えると。

 

「せんせ~僕の席あそこ~?」

「はいそうですよ」

 

 殺せんせーに自分の席を確認してそこに座る。

 

「ヌルフフフ。さぁ、今日から和光君も三年E組の一員です。ちなみに朝、彼に触手を一本やられましたよ。これからが楽しみですね~では、号令を」

 

 こうして和光風人の暗殺教室は始まったのだった。

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