暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~ 作:黒ハム
朝のHRが終わって休み時間。とりあえず昼寝をしようと思ったら、なんか僕の周りに集まってきた。色んな質問をされ、答えるという作業を4回繰り返し、授業を4時間受けて、現在昼休み。
「和光君」
「えーっと、君は潮田君だね~。何か用かな~?」
僕より少し背が低い、中性的な外見をしている子が話しかけてきた。
「お昼一緒に食べない?」
「うん~いいよ~」
「なら、俺も混ぜてくれない?」
「赤羽君か~いいよ~」
「ありがと。後、俺のことはカルマでいいよ。そっちの方が呼ばれ慣れてるから」
「じゃあ、僕も渚で」
「カルマに渚ね~。僕も風人でいいよ~」
そんな感じでお互いに昼食を準備し、三人近くで食べ始める。
「そういやカルマ~。君でしょ?一番最初に殺せんせーにダメージ与えたの~」
「へぇ~誰から聞いたの?」
「ううん~。授業とか見ていたら何となくカルマじゃないかな~って、違った~?」
「合ってるよ」
一番後ろの席でこのクラスを眺めると、おそらくカルマが一番頭がキレる。……というか、殺せんせーの授業分かりやすいなぁ……まぁ、数学とか中学の範囲外で追いつくの大変そうだなぁ。
「そう言えば風人君もダメージ与えたんでしょ?どうやったの?」
「ゲーム機に武器を細かくしたのを貼り付けて~後は没収される時に勝手に触手が溶けたって感じかな~」
「げ、ゲーム機持ってきたの?」
「うん~そうだよ渚~。どうも前の学校の癖が抜けなくてね~」
前も登下校平然とゲームをやっていたが……山の中は一応ここE組のテリトリーだし、まずかったかな?
「カルマはどうやってダメージ与えたの~?」
「ん?手に殺せんせー用のナイフを刻んで貼り付けて握手した。風人とほとんど同じだよ」
ふむふむ。その手もあったか。
「面白いこと考えるな~というか、次体育だけど何するの~?サッカー?バスケ?バレー?」
「戦闘訓練」
「何それ~凄い楽しそう~」
こういうの憧れるよね~
「そういや、風人君。神崎さんとは知り合いなの?」
「うん~小学校が一緒だった~」
「へぇ、じゃあ何でここに進学しないで隣町の方に行ってたの?ここの方が近いだろうし何かと便利じゃん」
「親の転勤でね~まぁ、また転勤して戻ってきたんだけど~」
「そういえば、神崎さんの名前を呼んでる時イントネーション。微妙に違った気がするけど……」
「気のせいだよ~それか僕が独特なだけだよ~」
まぁ、こういう風に言っておけばいいかな?
そして五限。体育、戦闘訓練の時間である。
「では、ナイフの素振り始め!」
『イチ、ニ、サン、シ』
準備運動がこれだからな……普通の体育とはかけ離れているよね!
「ではいつも通り。模擬暗殺を始める。和光君は最後にやるから見ておいてくれ」
「はーい」
すると、烏間先生相手に模擬暗殺?が始まる。
各々に対殺せんせーナイフが渡され、ペア、あるいは個人で烏間先生にナイフを当てようとする……が、掠りすらしない。え?あの人やっぱヤバくね?
「じゃあ、最後和光君。君の現時点での実力が見てみたい。そのナイフを一回でいい。俺に当ててみろ」
「へーい」
皆が座ってこっちを見ている。何だろう。体育のテストと思えばいいのかな?というか先生。一回でいいって、さっき皆当てられてなかったですよね?
「烏間先生~ナイフって一人何本まで?」
「何本でも構わないが……」
「まぁ、二本でいいかな~」
ということで、一本借りて二刀流。いや、ナイフだから二ナイフ流だね~
「じゃあ、ひとまず~」
ナイフを二本とも投げつける。が、当然のように叩き落とされる。
「そう来なくっちゃ!」
投げると同時に距離を詰める。こんな強い人と戦えるなんて普段じゃ味わえない。
「へぇーやっぱ、自衛官というのは凄いんですね~」
攻撃を仕掛けるも、全て躱されるか、受け流されている。だが、生徒相手。しかも体育の授業ってことを考えると今出してる力は一割にも満たないはず。さぁ、どうしよう。というか、僕ってどうなったら負けなんだろう?
「まぁいいか!」
落ちている二本のナイフのうち片方を上に投げ飛ばし、そのまま足を振り抜きもう片方を烏間先生の元へ。当然砂とかも多少は巻き上がるが気にしない。さぁ、接近戦第二ラウン――
「そこまでだ」
――ドと行こうとした時、僕の首元にさっき蹴り飛ばしたナイフが添えられていた。
「なるほど~」
腕を掴んで動かそうと試みるもまるで石像のように動かない。
「これは僕の――」
すると、烏間先生の肩に何かが落ちてきて当たる。
「「「え?」」」
「――引き分けでいいですかね」
「そうだな」
そう言われると目の前の腕が消える。
「なるほど。完全に君が投げたナイフを意識から外してしまった。俺もまだまだってわけか」
「そんなことないですよ~。偶然です」
たまたま投げたナイフがたまたま意識から外されてたまたま当たった。それだけのこと。別にこんなの勝ちにも入らない。
「へぇーやるじゃん風人」
「まぁ当てればよかったからね~僕、近接戦よりこういうのの方が得意だから~」
六限は社会のテストだった。特に何の苦なく埋め、隣のカルマと話してたら怒られた。いいじゃん小声なんだから。
とまぁ、放課後。ゲームも無事キレイにして返され、後は下校。
「ふぁぁああ。今日も疲れた~」
「お疲れさま」
ただいま有鬼子と帰っている。
何で?と言われたら、まぁ回想するほどでもないけど、『一緒に帰りませんか?』と言われて『いーよー』と返しただけである。尚、杉野君筆頭に何か怨めしいような、羨ましいような感じで見てきたけど気にしてない!
「風人君って、普段からあんな感じなんだね」
「そういうあなたはまるで別人だね~」
有鬼子とは小学校が一緒だったわけではない。あれは嘘。ただの虚言。
「ねぇ、風人君」
「……ほへ?」
急に肩を掴まれたように思えると、背後の壁に追いやられ、首の両隣に手が、股下のところに足が添えられ、向こうの膝が壁に付いている。
「……ふむふむ。これが壁ドンってやつか~」
まさか、リアルで経験することになるとは。しかも同じクラスの少女から。
「で~僕を逃がさないようにしてどうするつもり~?」
「……言わないで」
「何を~?」
「……私と風人君の本当の出会った時のことを……お願いだから言わないで」
「……なるほどねぇ」
彼女との初めての出会いは中学二年生の夏。ゲーセンで会ってる。そこからまぁ意気投合ってわけじゃないが、色々あって、一緒に居たが、夏休みが過ぎてからは今日まで連絡も取ってなければ会ってすらいない。
そう。本来ならあそこで僕と有鬼子の関係は切れるはずだった。
「言わないよ。約束する。誰にだってそういう時期ぐらいあるでしょ?自分を変えて、親とかからの圧力を逃れたい時期が」
「……本当に?」
「破ったら何でもするよ。煮るなり焼くなり好きにしたら?」
「……分かった」
そういうと納得してくれたのか手を――
「……あれ~?手を放してくれると助かるんですけど~。というか足も」
どうやらまだ終わらないらしい。
「あと、呼び方変えて欲しいな」
すると笑顔で言ってくる。大抵の男ならこのシチュエーションですぐ落ちるだろう。
壁ドンに美少女の笑顔。うんうん。本当に――
「え?やだ~」
――普通の人ならコロッといきそうだけど。まぁ、僕には関係ないかな~。
「呼び方変えて欲しいな」
「断る!」
「変えて欲しいな」
「有鬼子怖い怖い。笑顔が怖い。というか、顔近くない?」
そりゃあ、互いの息が当たる距離だもん。下手すればゼロ距離。すると、それに気付いたのか少し離れた。
「分かったよ~」
「そう?ならよかっ――」
「じゃあ、ビッチで」
「かーぜーとー君?」
「…………ごめんなさい。マジで心の底からごめんなさい」
こ、この僕が恐怖で震えてるだと!え、笑顔であんな恐怖を与えられるのか!?
「……はぁ。分かった。じゃあ、変えなくていいよ。呼び方」
「え?本当?」
「うん。だって、これ以上おかしな路線に行くと収集つかなくなりそうだもん」
なんか酷い。
「というか、前見たとき思ったこと言っていい~?」
「……どうぞ」
「私服のセンスなくね?」
「…………え?そこ?」
「うん。そこ~」
まぁ、髪の先端だけ色が変わってるとかは染めたんだろうしどうでもいいけどさ。
「あれはバレないようにするためだからね。普段はもっと違う服を着ているよ」
「と供述しており、実は私服のセンスがないことを隠しているのだった~」
「風人君?調子に乗りすぎじゃない?」
「…………」
いやねぇ。本当にあの時はツッコミを入れなかったと思うけど、あの服のセンスはないと僕は思うんだよ。うん。ましてやクラスで清楚系美少女として通しているなら尚更。
「なら、今度の休日一緒に出掛けましょう。私がここを案内するね」
「あ、間に合ってるので~。後、僕の休日は忙しいから~」
一にゲーム二にゲーム。三、四にゲームで五もゲーム。忙しいな~本当に。
「じゃあ、駅前に朝の九時ね」
「あれ~?僕忙しいって言わなかったっけ~?」
「携帯の電話番号とか諸々も交換とかやっておいたから」
「おかしいな~。何でこうなってるんだろう」
「じゃあ、よろしくね」
「拒否権は~?」
「え?あると思ってるの?」
この日。僕は学習しました。有鬼子は怖いと。学校の中ではザ・優等生。優等生を演じるって大変そうだなぁ……
「ヌルフフフ。この二人が今後。どう進展していくか楽しみですね~。それにしてももう少し早くから来るべきでしたね」
この時の僕は気付かなかった。タコがこの光景を見ていたことに。