暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~ 作:黒ハム
修学旅行当日。東京駅で僕らは新幹線へと乗り込むためにホームで集まっていた。
「人多いね~」
学校行事なので本校舎の先生や生徒たちもいる。まぁ、ほとんど誰かわかんないけど~。彼らは僕らE組とは離れ、前の方の車両へと各自乗り込んでいる。
「うわ、A組からD組まではグリーン車だぜ」
「E組うちらだけ普通車……いつもの感じね」
椚ヶ丘中学校ではもはや慣れたE組差別。学費の使用すらも本校舎の生徒たちを優遇しているそうだ。入学式で説明されらしいがはっきり言わせてもらおう。僕はそんなこと知らない、と。
「ごめんあそばせ。――――ご機嫌よう、生徒たち」
そんな僕らの集合している所へと優雅に歩いてきたのはビッチ先生。ところで、なんでこの先生は修学旅行にどっかのハリウッドセレブみたいな格好で来ているのだろう。アンタ、今は一引率の教師だよ?
「フッフッフッ、女を駆使する暗殺者としては当然の心得よ。良い女は旅ファッションにこそ気を遣わないと」
「良い女?どこにいるの~?」
「私よ私!」
「ほへぇ~…………自分で言っちゃったよ~」
「アンタ聞こえたわよ!だいたいねぇアンタは一言二言多い」
と、僕に説教?をしようとするビッチ先生の元へと烏間先生が歩み寄ってくる。
「目立ち過ぎだ。着替えろ。どう見ても引率の先生の格好じゃない」
烏間先生。まさしくその通りだと思います。
「堅いこと言ってんじゃないわよカラスマ。ガキ共に大人の旅の――」
「脱げ、着替えろ」
あ、烏間先生怒ってる。大丈夫?殺気漏れてない?
ビッチ先生も反論できないと感じ取ったようで、テンションを落とすと押し黙ったままトボトボと新幹線のトイレへと消えていった。
次にビッチ先生が姿を現した時、ハリウッドセレブから一転。上下ジャージという一般庶民にランクダウンしていたのだった。きっと、金持ちばっかり殺して感覚がずれてるのだろう。そういう日もあるさ。
と、気付けば新幹線が出発する時間となり、動き出す新幹線。
京都に着くまで大体2、3時間かな?せっかくの旅行なんだ。のんびりいこ~。
「おーい。和光。聞いてるか?」
「聞いてるよ~」
通路を挟んで杉野が話かけてくる。僕らは七人班なので通路を挟んで計十席使える。四人で纏まってる席と六人で纏まってる席。僕は四人の方で正面には有鬼子が。通路挟んで隣に渚がいる感じだ。
というか、話してる内容は殺せんせー暗殺の最終確認だけど……物騒な話だねぇ。他の班も殺せんせーが居ない間に最終確認。その後は各々の班で遊ぶ。…………ん?殺せんせーが……居ない間?
「ねぇ杉野~殺せんせーは~?」
「……あれ?確かに、電車出発したけど、殺せんせーは?」
周りを見回しているけど、
「うわっ!?」
「どーかした~……うわぁ~」
渚の短い悲鳴。声に釣られ見てみると新幹線の窓に殺せんせーが貼り付いていた。ぺたーって。
「何で窓に貼り付いてんだよ殺せんせー!」
「いやぁ、駅中スウィーツを買ってたら乗り遅れまして……次の駅までこの状態で一緒に行きます」
「せんせーだけ先次の駅に行ってたら~?」
「それはダメです。修学旅行は既に始まってます。移動も楽しんでこそでしょう?」
……はぁ。道理でこのせんせーだけ現地集合じゃないわけだ。
「ああ、ご心配なく身体を保護色にしているので服と荷物が貼り付いて見えるだけです」
「誰も心配していないよ~」
「それはそれで不自然だよ!」
渚のツッコミは今日もキまってるねぇ~
とまぁ、何とか次の駅までその状態でやり過ごした殺せんせー。下手な変装で新幹線に乗り込んできた。
「変装下手くそだね~」
「いいじゃん。アレでバれてないつもり何だからさ」
「どーしよーもないね~」
「前からだろ?」
と、僕ら七人はトランプをしながら雑談中。
「あ、私皆の分の飲み物も買ってくるけど何飲みたい?」
「私も行きたい」
「私も~」
飲み物か~
「じゃあ俺は烏龍茶で」
「僕は緑茶かな」
「ジュース~味は何でもいいや~」
「ジュースとかチョイスがおこちゃまだね風人。あ、俺イチゴオレで」
「うるさいな~そーいうカルマもじゃん」
「あはは……」
「分かった」
と、歩き出す有鬼子、茅野さん、奥田さんの三人。
「やっぱ、神崎さんって気が利くよな~」
「そーなの?」
「うんうん。美人だし優しいし」
優しい?ふっ。笑えるね。
「で?毎日送り迎えされてる風人的にはどうなの?」
「ま、毎日だと!?」
「う~ん。ゲームは禁止してくるし~ぽけーってしてたり寝てると起こしてくるし~酷い?」
(((いや、絶対感謝するべきだろお前……)))
「でも感謝はしてるよ~心の奥の片隅の方で~」
(((それは言っちゃダメな奴)))
新幹線とバスを乗り継いでほぼ一日を費やした後、僕らが今日から泊まる旅館へと辿り着いた。
ちなみに本校舎の人たちとは別の宿泊施設だ。E組……つまり僕らは古ぼけた旅館の大部屋二部屋を借りて男女に分かれているだけ。E組以外は高級ホテルの個室だって話だ。でもこう言うのって個室よりも皆で和気あいあいと楽しむもんじゃないの?
「…………」
「新幹線とバスで酔ってグロッキーとは……」
そんな中、殺せんせーは一人。旅館のソファーに顔色を悪くしながらぐったりともたれ込んでいた。どうやら乗り物が弱点らしい。でもそんな中でも、岡野さんとかがナイフを振り下ろしたけどすべて躱してる辺り何かな~
「せんせー寝室で休んだら?」
「ご心配なく。せんせー一度東京に戻ります」
「忘れ物~?」
「えぇ。枕を忘れまして」
「あんだけ荷物があって忘れ物かよ!」
それね。
「……どう?神崎さん。日程表見つかった?」
隣では有鬼子がガサゴソとカバンの中を探しもの中。
「……ううん」
「というか有鬼子~日程表、カバンじゃなくてポケットに入れてなかった~?」
朝、『メモした日程表持った?』と聞かれ、『何それ~?』って答えたら『コレだよ』って見せてもらった覚えがある。その後、ポケットに入れてたはずだ。ふっ。こう見えても記憶力だけはいいからね。……集合場所を間違えたのはたまたまということにしてほしい。
「ポケットも探したけど入ってなかったの」
「へー」
「神崎さんは真面目ですからねえ」
どこがだろう?
「独自に日程を纏めていたとは感心です」
「あ、僕も纏め(させられ)ていたよ~」
「でもご安心を。先生の手作りしおりを持てば万事解決」
いや、あれは持ち歩きたくないよね?と思いながらちゃっかり持ってきてるけど。
「何処かで落としちゃったのかなぁ……」
「ほら。有鬼子。僕の分渡しとくよ~」
「でも、それだと」
「いいよいいよ。僕みたいな人間がこういうのがあるより有鬼子が持ってた方がいいでしょ?」
どうせ持っていても見ないし。というのが本音だ。いやぁ。こういうのって作るの頑張るけど、結局使わないよね?
「そう?じゃあ貰っておくね」
「うんうん」
「しっかりと男子部屋では渚君やカルマ君、磯貝君の言う事聞くんだよ?」
キミは何歳の子に話しかけているのかな?
「へぇ~風人。俺の言う事聞いてくれるんだ~じゃあ、ジュース買ってきて」
「いやだよ~」
「お前のご主人様の神崎さんの命令だよ?聞けないの?」
「有鬼子は僕のご主人様じゃないです~」
「じゃあ何なの?」
ゲーム仲間……と言いたいところだけどゲームやってるとバレたくないらしいからな~
「うーん。…………宿敵?」
「敵なのね……そこ」
うん。ゲームで倒すべき最終相手だね~
「ここなら暗殺にピッタリじゃないか?」
二日目になりました。班ごとに分かれて散策中です。
「スナイパーの人から見えるかな?」
「変な修学旅行になったね」
「殺せんせーがいるからね~あ、おいしそうな香りが……」
「はいはい勝手にどこか行こうとしないの」
「ああ!折角京都に来たんだから抹茶わらびもち食べたーい!」
「僕も食べたーい!」
駄々をこねる甘党二人。苦笑する五人。
「では、それに毒を入れるのはどうでしょう?」
「「何で!?」」
「殺せんせー甘いものに目がないですから」
「いいねぇ。名物で毒殺」
「勿体ないよ!抹茶わらびが!」
「殺せんせーに効く毒があればいいんだけど」
「だったら毒殺じゃなくて爆殺にしよ~『抹茶わらび爆殺作戦!』」
「和光くんまで!?和光くんは味方じゃないの!?」
ふっ。いつから味方だと錯覚した。
「でもさぁ。修学旅行の時くらい暗殺のこと忘れたかったよな~」
杉野が暗殺とは縁のない場所だしな~と言うと渚がここは暗殺の聖地と言って、僕らを案内した。いや、暗殺の聖地って……
「なるほどなぁー。言われてみればこれは立派な暗殺旅行だ」
確かに、渚も言ってたけど、坂本龍馬や織田信長とか、割と有名な人が暗殺されてるんだね~ここらへんで。
「へぇ~祇園って奥に入るとこんなに人気ないんだ~」
あれから色んな所に行き、祇園に到着。本当に人気がないな~
「一見さんはお断りの店ばかりだかあ、ふらっと人が来るところじゃないし。見通しがいい必要がない。だから、私の希望コースにしてみたの。暗殺にぴったりなんじゃないかって」
ほへぇ~よく考えられているなぁ~
「さっすが神崎さん!下調べカンペキ!じゃあここで決行に決めよっか!」
「マジカンペキー」
すると先頭を歩く僕とカルマの前に何人かの男子高校生がぞろぞろと現れた。
「なーんでこんな拉致り易い所に来るのかねぇ………」
うん。こいつら不良だね~
「何?お兄さんたち、目的が観光に見えないんだけど?」
「そ~だよ?観光ならもっと有名な場所に行ったら~?」
と、ここにいる僕らが言えたことではないが。
「男に用はねー」
「そうそう女置いてとっととお家帰んな」
ガシッ ドガッ
隣のカルマが、顔面を鷲掴みにし、電柱に叩きつける。僕は僕で、相手の一人に脚払いをしかけ、踏みつける。
「ほらね渚君。目撃者のいないところなら喧嘩しても問題ないでしょ?」
「ふふふ。甘いね!僕が目撃者だよ!」
「……いや、風人も一人倒したし同罪だよ」
「それは盲点だった……」
畜生。どうにかしてカルマに全責任を取らせなければ……!
「テメェら刺すぞ!」
と、カッターナイフで刺そうと突撃する二人。が、
「刺す?そんなつもりもないのに?」
「見かけ倒しじゃ、僕らは倒せないよ~」
まぁ、二人には地面とキスしてもらった。
「いや!何!」
「放して!」
振り返る僕とカルマ。そこには捕まってる有鬼子と茅野さんが!くっ!何とかして助け出さないと!
「分かってんじゃんか!」
ドガッ
そして後頭部に伝わる衝撃。こいつどこから……!思わず倒れ込んでしまい、何発も蹴られてしまう。
「おい、連れてけ」
最後に見たのは二人が連れてかれる光景だった。