暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~ 作:黒ハム
「恥ずかしいなぁ。何か」
「って言いながらいつも通りじゃないか~」
「ふふっ。風人君には負ける気ないよ」
「何を~」
僕らは今旅館にあるシューティングゲームでスコアを競っている。
「すげぇ、二人ともどうやって避けてるのかまるで分からん」
「凄い。和光君はともかく神崎さんがこんなにゲーム上手いだなんて意外です」
「黙ってたの。遊びができてもウチじゃ白い目で見られるだけだし」
うんうん。分かる分かる。
「服も趣味も肩書も流されたりして身に付けていたものだったから。自信がなかったの」
ほうほう。
「でも殺せんせーに言われて気付いたの。大切なのは中身の自分が前を向いていることだって」
「ほへぇ~……あぁ!ミスった!」
「ふふっ。じゃあ、私の勝ちだね。どこまでスコアを伸ばせるかな」
くそー話を聞きながらやるもんじゃねぇ~まぁいいけど。
「はははっ。上手いね風人君」
「そりゃどーも。まぁ、僕以上の化け物がそこに居るからね~」
「ははっ。でも、神崎さんが言ってたよ?風人君も上手いって。初めて会った時からそうだって」
そう。有鬼子は、僕との関係を小学校ということにしていた。ただ、今日の一件があってか、そのことを撤回。四班のメンバーには前から騙して言っていたので、撤回すると共に真実を告げた。まぁ、真実って程のものでもないけど。
「あーやられた」
「ふふっ。残念」
ほんと、あの時、隠そうと必死になっていたのが嘘みたい。自分の殻が破れたのかな?
「次はあれで勝負しよ~」
「いいよ。風人君の連敗記録が更新できるんでしょ?」
「僕が負けること前提!?」
と、ゲームを何戦かやった後、お互いに部屋に戻ることにした。結果?聞かないでくれ。いやねぇ。あれだようん。勝つことは出来たよ?うん。ただ、
「浴衣姿が可愛くて集中できなかった……」
「へぇ~誰の浴衣姿が可愛かったの?」
「有鬼子のだよ。全く。普段よりも可愛くて僕の集中を乱すとは卑劣な策略だよ~」
「あはは。乱される風人が悪いだけじゃないの?」
「そんなことないよ~で、カルマは何してたの?」
「俺はジュースを買いにね。もう部屋戻るけど」
「じゃあ、僕も~」
と、男子部屋に入ると何やら楽しそうなことしていた。
「お、面白そうなことしてんじゃん」
「僕らも混ぜてよ~」
「カルマに風人。いいところに来た。お前ら気になる
「うーん。俺は奥田さんかな」
「うーん。僕は有鬼子かな」
まぁ、何だかんだ同じクラスになってから一番話すし。
「言うのかよ」
「え?普通言わないの?」
「普通は知られたくないんだよ」
ほへぇ。そうなんだ。
「風人はともかくカルマは意外だな。何でだ?」
「だって彼女。怪しげな薬とかクロロホルムとか作れそうだし。俺のいたずらの幅が広がるじゃん」
「絶対くっつかせたくない二人だな」
それある~。
「一応聞いとくと風人の方は?顔か?性格か?」
「うーん。僕の場合は、まぁ気楽だからかな~のんびりマイペースに過ごしていても問題ないし~一緒にいると楽しいし~」
ただし、よく説教はされるけど。それはおいといて。
「皆。この投票結果は男子の秘密な。知られたくねぇ奴が大半だろーし」
ふむふむ。秘密秘密。
「女子や先生には絶対にな」
「ほーい。でも、あのタコはどうするの?」
障子を僅かに開けていた殺せんせーが、
「なるほどなるほど」
サー
障子を閉め、投票結果をメモして逃げる。
「メモって逃げやがった!殺せ!!」
一方の女子部屋。男子と同様のことをしていた。
「好きな人?」
「そうそう。こういう時の定番でしょ?クラスの男子でね。烏間先生は除外で」
「えぇー何で?」
「だって皆そうでしょ?面白くないじゃない」
「えぇー」
「うちのクラスでマシなのは磯貝と前原くらい?」
「そうかな?」
「そうだよ。まぁ、前原はタラシだから残念だとして、学級委員の磯貝は優良物件じゃない?」
「あ、顔だけならカルマ君と和光君もカッコいいよね」
「あー素行と性格さえ良ければね……」
「「「そうだね……」」」
カルマは素行不良。風人は超自由人と、顔の良さを帳消しどころかマイナスにする勢いで中身が最悪なのである。
「じゃあ、その二大問題児が一緒だった四班。どうだった?」
「でも、カルマ君は意外と怖くないし、和光君も班を乱すほどマイペースではなかったですよ」
「そうそう。普段は二人とも大人しいし」
「野生動物か」
と、女子の方で散々な言われようのカルマと風人である。
「神崎さんは?」
「えぇ!?わ、私は好きな人なんてい、いないよ……?」
(((あ、コレ絶対居るパターンだ)))
「ほうほう。これは気になりますねぇ。大方、四班の男子の誰かか」
「四班の男子だと、渚君に杉野君。後、
「じゃあ、和光君で決定だね」
「そうだね。和光以外に考えられない」
「ま、待って!何で風人君だって分かったの!?…………あ」
口に手を当てる神崎。しかし、時すでに遅し。
「いやーどう考えてもねぇ」
「悩む間もない」
「いっそのことコクっちゃえば?絶対オッケー貰えるでしょ」
「「「うんうん」」」
「それは無理だよ……だって、嫌いって言われたことあるし……」
頬を紅く染めながら答える神崎。
「ふーん。四班の二人から見て和光はどうだった?」
「うーん。あ、大人しいと思ったらカルマくんと一緒に真っ先に不良に喧嘩売ってたよ」
「え、マジで?」
「はい。その後も怖そうな人たちを片っ端からボコボコにしていました」
「予想以上に男らしいんだね~何と言うか真っ先に逃げるタイプか我関せずタイプだと思ってた」
「あ、でも神崎さんが連れてかれたことで和光君かなり怒ってましたよ?」
「風人君……」
ガラッと、障子が開きビッチ先生が入って来た。
「ガキ共ー一応就寝時間だってことを言いに来たわよー」
「一応って」
「どうせ夜通しお喋りするんでしょーあんまり騒ぐんじゃないわよー」
「そ、そうだ皆。ビッチ先生の話でも聞いてみない?」
「うん。そうだね。神崎ちゃんの話は後でいくらでも聞けるし」
「ビッチ先生の話聞いてみたい~」
と、流れに身を任せ、話すことになったビッチ先生。
「「「えぇー!?まだ二十歳!?」」」
「経験豊富だからもっと上かと思ってた」
「ねー毒蛾みたいなキャラの癖に」
「それはね濃い人生が作る毒蛾のような色気が――誰だ今毒蛾つったの!」
ツッコミが遅い毒蛾ビッチ先生である。
「女の賞味期限は短いの。あんたたちは私と違って危険とは縁遠いところに生まれたの。感謝して全力で女を磨きなさい」
「ビッチ先生がなんかまともなこと言ってるー」
「なんか生意気ー」
「なめくさりおってガキ共!」
「じゃあさじゃあさ。ビッチ先生がオとしてきた男の話きかせてよ」
「私も興味ある~」
「せんせーも~」
「ふふっ。いいわよ子供には刺激が強いから覚悟なさい」
と、ここでビッチ先生は気付く。女子だけのスペースだった場所に何か異物が紛れ込んでいることに。
「っておいそこ!さりげなく紛れ込むな女の園に!」
「いいじゃないですか~私もその色恋のハナシ聞きたいですよ」
「そーゆー殺せんせーはどーなのよ。自分のプライベートはちっとも見せない癖に」
「そーだよ。人のばっかずるい」
「先生は恋バナとかないわけ?」
「巨乳好きだし片思いくらい絶対あるでしょ!」
女子に詰め寄られる殺せんせー。そこで殺せんせーが取った行動は……!
「逃げやがった!」
逃走である。
「捕らえて吐かせて殺すのよ!」
「あーあ。結局は暗殺だね~」
「そうだね」
「どうしたの~?お疲れ~?」
「うん。色々あったからね」
月を見ながら肩を並べて語る僕ら二人。
「ねぇ、風人君。あの時の約束。守れなかったのには理由があったんだね」
「……あー。去年の夏のか」
「そう。ごめんね。今まで誤解していたけど、あの時も見えないところで助けてくれてたんだね」
「さぁね~僕は助けたつもりなんてないよ~」
「でも、これだけは言わせて。ありがとう。風人君」
「どういたしまして。というか顔紅いよ~?大丈夫~?」
熱でもあるのかな?
「う、うん。大丈夫。ちょっと気付いちゃっただけだから」
「気付いた?何に~」
「内緒。今は秘密だよ」
「えぇー」
口に人差し指を当て、片目を閉じる。
「いつか、教えて上げるから」
「できれば地球が破壊される前にね~」
「ふふっ。そうだ風人君」
そういうと抱き着いてくる有鬼子。
「私のために怒ってくれてありがと。でも、風人君が傷付くのはもう見たくないかな」
「分かった~でもさ。もし、僕が傷付いて、有鬼子を守れるのなら。僕はいくらでも傷付くよ。君を守るためにね」
…………これが僕の贖罪だから……
すると、耳まで紅く染める。あ、やべ。怒らせたか?
「じゃ、じゃあね風人君。おやすみなさい」
「うん。おやすみ~」
離れて部屋の方まで小走りで戻る。
「何かあったのかな?」
まぁ、何でもいっか~。